決勝戦:ワダ タカヒデvsタカハマ ノリマサ
晴れる屋メディアチーム
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By Ken’ichiro Omori
いよいよ開催となった『関西帝王戦リミテッド』。関西中のリミテッダーが待ち望んでいたーーーかはわからないが、63名という数のプレイヤーにご参加いただけた。そして栄えある“初代リミテッド帝王”の座に就くのは、この二人に絞られた。
ワダは関西のリミテッダー達が集まるカードショップ“ふらっと”で研鑽を積むプレイヤー。決勝ドラフトでは『ラヴニカの献身』環境の王道とも言えるエスパーカラーのデッキを作り上げ、見事に決勝戦まで勝ち上がった。
対するタカハマはご存知“初代モダン帝王”。通算15回目を迎える関西帝王戦シリーズだが、未だ二冠達成者は出ていない。タカハマが優勝すれば史上初の快挙となる。その偉業を後押しするかのように、タカハマの下へはシミックカラーのレアカードが集まり、数枚の赤いカードをタッチした強力なデッキに仕上げている。
果たして“初代リミテッド帝王”の栄光はどちらの手に渡るのか。
ワダのマリガンからスタートとなった第1ゲーム。先手のタカハマは《縄張り持ちの猪》、後手のワダは《ラクドスのラッパ吹き》とお互い2ターン目にクリーチャーを展開しあう順調な滑り出し。
《ギルド門通りの公有地》を置いたことにより、1ターンパスする形となったタカハマに対して、ワダは続けて《情熱的な扇動者》。次のターンタカハマがプレイした《野生の律動》も《屈辱》で破壊する。
だが、《縄張り持ちの猪》を《情熱的な扇動者》でブロックしたところで、タカハマの手札から《フェアリーの決闘者》が現れる。これにより《情熱的な扇動者》は、一方的に討ち取られてしまう。
タカハマはさらに《賢者街の学者》を追加、占術した2枚のカードを両方ライブラリーの上に残してターンを終える。ワダは《無慈悲な司教》を追加し、《ラクドスのラッパ吹き》と共にブロッカーとしてターンを返すが、タカハマの次なる戦力は《冷気をもたらす者》。
《ラクドスのラッパ吹き》をタップし総攻撃を仕掛けるタカハマ。ワダはこの攻撃を全て通しライフは15となる。自ターンを迎えたワダは《無慈悲な司教》で攻撃すると《アゾリウスの騎士判事》を召喚。タカハマの地上クリーチャーへ睨みを利かす。
だが、タカハマは飛行クリーチャーで4点の攻撃を加えると、《アゾリウスの騎士判事》では止まらないサイズとなり得る《楽園党の議長、ゼガーナ》を戦場へ追加する。
ワダは《アゾリウスの騎士判事》で攻撃するが、追加の戦力は《脚光の悪鬼》と少し寂しい。タカハマはこのターンも飛行クリーチャーのみで攻撃、ワダはここで《冷気をもたらす者》へ《最後の支払い》。コストに充てられた《脚光の悪鬼》の能力で《賢者街の学者》も除去し、このターンのダメージを1点に抑える。
タカハマは6枚目の土地を置きターンエンド。《楽園党の議長、ゼガーナ》を順応する構えを見せる。ワダも6枚目の土地を引き込む。《無慈悲な司教》の能力を起動できなくなるため少し考えるが、ここはフルタップで《債務者の輸送》を送り出す。
だが、予定通りワダのターン終了時に《楽園党の議長、ゼガーナ》の順応能力を起動したタカハマが、自らのターンで唱えたのは《集団強制》!
これにより《債務者の輸送》を奪われたワダは、8/8トランプルとなった《楽園党の議長、ゼガーナ》の攻撃を通さざるを得ず、ライフは1にまで落ち込む。
《フェアリーの決闘者》、《楽園党の議長、ゼガーナ》、《債務者の輸送》、ライフが僅か1のワダにとっては、そのどれもが排除しなければいけない脅威。現状手札が0枚のワダは、続くターンのドローのみではこの戦場を覆すことはできなかった。
ワダ 0-1 タカハマ
今度は、タカハマがマリガン。クリーチャーのないハンドをキープせざるを得なかったタカハマだが、ワダも3ターン目までクリーチャーの展開はなし。両者共に《ギルド門通りの公有地》を置き、まずは自身のデッキに必要な3色のマナを揃えるゆっくりとした立ち上がりとなる。
初動となったのはタカハマの《野生の律動》。だが、ワダはこれを即《日晒し》で破壊。続くターンには、《開展》でクリーチャー展開でも先行してゆく。そしてタカハマが《シミックのギルド門》を置きながら、《縄張り持ちの猪》でターンを返したワダの5ターン目、サイドボードより投入された秘密兵器が唱えられる。そのカードは《往時軍の覚醒》。
第1ゲームからもわかる通り、タカハマのデッキには複数の強力なレアカードが投入されている。唱えられてしまえば、戦況を大きくタカハマ有利に動かしかねない。ならば、それらを唱えられる前に叩き落してしまおうという作戦か。そしてその思惑は見事に的中する。タカハマの手札からは、《楽園党の議長、ゼガーナ》、《ハイドロイド混成体》を含む4枚の呪文がこぼれ落ちる。
盤面を整理すると、タカハマは《縄張り持ちの猪》と4体のゾンビトークンに4枚の土地、ライフは18。ワダは2体の飛行機械トークンと3体のゾンビトークンに土地が5枚、ライフは22。《往時軍の覚醒》により、お互いに手札は0枚。戦場のクリーチャーはタカハマ有利、ライフとマナの面ではワダ有利と戦況はほぼ互角。ここからはトップデッキが勝負の行方を握る。
まずはタカハマのターン、ゾンビトークン2体で攻撃。ワダはこれを素直にそれぞれ自身のゾンビトークンでブロック、タカハマはそのままターンエンド。唱えることのできないカードを引いてしまったのだろうか。
対するワダも、ドローしたカードを抱えたままターンを返す。盤面を五分へと戻すべく、飛行機械トークン2体も攻撃はしない。しかし、いざタカハマが総攻撃を仕掛けると、ワダの手が止まる。一旦はタカハマのゾンビトークンを飛行機械2体でブロックしようとするが、何かを感じ取ったのだろうかここは《縄張り持ちの猪》を自身のゾンビでブロックするのみとする。
そしてこの直観は的中、タカハマのこのターンのドローは《応用生術》。ゾンビトークンは一方的に討ち取られ、飛行機械のうち1体も排除されてしまう。
好判断により最悪の事態は免れたワダだが、この《応用生術》によって、盤面は一気にタカハマ有利へと傾いた。何かしら打開策を引く必要がある。そしてドローし、思わず笑みをこぼしながらワダは唱える。2度目の《往時軍の覚醒》を。
タカハマの手札から、またも強力レア《ギルドパクトの秘本》を奪い去るが、盤面の不利は変わらず。さらにタカハマのドローは《焦印》。ゾンビ同士を相打つことすら許さず、ワダのライフを削ってゆく。
力を込めてドローを続けるワダ。だが願いは届かず、2ターン続けて引いてしまった《平地》を公開し、勝者となったタカハマを祝福するのだった。
ワダ 0-2 タカハマ
この瞬間、『関西帝王戦』史上初の二冠王者が誕生することとなった。
『第一期関西帝王戦リミテッド』優勝は”第1期モダン帝王”タカハマ ノリマサ!おめでとう!!