ミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019の幕が開けた。今回のミシックチャンピオンシップは、新マリガンルールの導入やデッキリストが公開された状態で試合を行うなど大きく仕様が変わっている。果たして選手達はこの変更を受け、どのようなデッキ選択を行ったのか。
ポーランドの強豪グジェゴジュ・コヴァルスキが今回持ち込んだのは、白単エルドラージだった。
白単エルドラージ
1 《荒地》
4 《地平線の梢》
3 《戦場の鍛冶場》
1 《シェフェトの砂丘》
4 《エルドラージの寺院》
4 《幽霊街》
2 《宝石の洞窟》
-土地 (24)- 4 《レオニンの裁き人》
4 《スレイベンの守護者、サリア》
2 《異端聖戦士、サリア》
4 《猿人の指導霊》
4 《変位エルドラージ》
4 《難題の予見者》
4 《現実を砕くもの》
-クリーチャー (26)-
1 《外科的摘出》
1 《天界の粛清》
1 《石の宣告》
1 《安らかなる眠り》
1 《石のような静寂》
1 《崇拝》
1 《漸増爆弾》
1 《魔術遠眼鏡》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
-サイドボード (10)-
(※サイドボードはカード名だけ公開されています)
デッキの選択理由を彼はインタビューでこう語っている。
グジェゴジュ「今回ドレッジやトロンといったTier1デッキを使いたくなかったんだ。みんな知ってるデッキだし、意識されているからね。墓地対策だったり、《血染めの月》や《減衰球》といった土地対策を積んでいるのが今や当たり前になっている」
グジェゴジュ「白単エルドラージは、今回から始まった新しいルールを上手く使うことができると思ったんだ。相手のデッキを予め知っておくことができれば、《スレイベンの守護者、サリア》や《虚空の杯》といったヘイトカードを探すことができる。さらに、ロンドンマリガンのおかげでよりそういったカードを求めやすくなったんだ」
核となるのはこれらエルドラージパッケージ。
《エルドラージの寺院》からマナ加速し、早いターンから《難題の予見者》や《現実を砕くもの》といったクロックを繰り出していく。
《変位エルドラージ》は、環境に多いイゼットフェニックスの《氷の中の存在》を再び氷漬けにしたり、コンボデッキに対しては、相手のアップキープに《難題の予見者》を明滅することで毎ターン疑似ハンデスもできるテクニカルなクリーチャーだ。
エルドラージの相方に白が選ばれているのは、これらヘイトベアーのためだ。《レオニンの裁き人》は《幽霊街》を《露天鉱床》へと変貌させる。2種類のサリアは相手の動きを鈍らせ、その間にエルドラージで殴り切ってしまうのが基本の動きだ。
ヘイトベアー以外にも相手を妨害する手段が搭載されている。《虚空の杯》は《流刑への道》や《血清の幻視》、《信仰無き物あさり》といった呪文をシャットダウンする。デッキによってはこれだけで機能不全に陥ることもあり、最速で相手を妨害するために《猿人の指導霊》や《宝石の洞窟》が採用されているのだ。
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は、《虚空の杯》や《スレイベンの守護者、サリア》が効きづらい黒緑系のデッキ相手で活躍する。インタビューではフェアデッキに強いカードを探した結果、最後にこのカードがデッキに入ったと話している。
《虚空の杯》を搭載しているこのデッキでは、《流刑への道》を使うことができないため、代わりに《四肢切断》が4枚採用されている。
《歪める嘆き》は非常に柔軟性の高いカードだ。《終末》をカウンターしたり、《氷の中の存在》を追放できたりと役割は多い。《ヴェールのリリアナ》の[-2]能力をトークン生成でかわせることは覚えておこう。
モダンでは珍しい《トカートリの儀仗兵》がサイドに採用されている。このカードは、最近増加している5色人間に対してかなり効果的なカードだ。《反射魔道士》や《サリアの副官》などデッキのほとんどが場に出たときの能力を持つため、このカードの影響力は非常に大きい。
さて、いかがだったろうか。デッキリスト公開やロンドンマリガンを踏まえ、プレイヤーのデッキ選択にも変化がある。グジェゴジュ選手は意識されたデッキを避け、新ルールを上手く利用できるデッキをこの大舞台に持ち込んだ。
相手を妨害し、殴る。シンプルな白単エルドラージをお試しあれ。