決勝 : 脇田 智将(バントレジェンド) vs. 堀田 真吾(バントミッドレンジ)
晴れる屋メディアチーム
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By Tsutomu Date
今期の「スタンダード東海王決定戦」は、ミシックチャンピオンシップ予選(MCQ)シーズンの真最中に行われた。MTGアリーナの影響もあってか、スタンダードはかつてないほど恐ろしい速度で発展を遂げている。だが、『灯争大戦』の持つポテンシャルは事前の予想を遥かに上回っており、発売から1カ月以上が経過した今もなお、新たなデッキが開発されてはメタゲームが移り変わるというサイクルが続いている。
そんな混迷を極めるスタンダード環境で、決勝戦まで勝ち上がった2人を紹介しよう。
スイスラウンド1位通過の脇田 智将は地元愛知のプレイヤーで、プロツアーに2回の出場経験を持つ強豪だ。マジック歴は『ワールドウェイク』からおよそ10年。トーナメントプレイヤーらしく、シーズンに合わせてどのフォーマットもプレイするオールラウンダーだ。地元名古屋で行われたMCQでは、惜しくもMC出場の権利獲得とはならなかったが、そこでもスイスラウンドを1位で通過とその実力に疑いはない。
「晴れる屋名古屋店」を活動拠点としており、本大会での使用デッキはレジェンドを多く採用したバントミッドレンジだ。3日前までは4色の《戦慄衆の指揮》デッキを使用していたが、ミラーマッチが特に難しかったため路線を変更し、マナクリーチャーから速やかに《世界を揺るがす者、ニッサ》へ繋げる構成にしたとのこと。その後、黒を省いて現在の形とし、昨日行われたMCQの後も微調整を重ね、本大会に臨んだという。
一方、スイスラウンド2位通過の堀田 真吾も、グランプリ2日目進出をはじめ、「晴れる屋名古屋店」主催のモダン大会でも度々上位入賞を果たすなど、知る人ぞ知る強豪だ。
マジック歴は『闇の隆盛』からおよそ7年で、「ファミーズ共和店」、「晴れる屋名古屋店」で精力的に腕を磨いている。ユーティリティクリーチャーを用いるデッキを得意とし、主戦場とするモダンでも《召喚の調べ》や《首席議長ヴァニファール》を用いたデッキで数々の実績を積み重ねてきた。
本大会では脇田と同じくバントミッドレンジを使用。ただし、カラーリングこそ同じであれ、デッキの方向性は大きく異なる。脇田のデッキがマナ加速からパワーカードを連打する構成であるのに対し、堀田のそれは《永遠神オケチラ》を最大限に生かす構成だ。『灯争大戦』リリース後にMTGアリーナを中心に調整を続け、現在の形に至ったという。
「このデッキが完成しななければ、昨日のMCQには出ませんでしたね」というコメントからも、自身のデッキへの深い愛情と自信が垣間見える。前述の通り、モダン環境でもクリーチャーを多く用いたミッドレンジを得意とする堀田だが、スタンダード環境でもその持ち味を存分に発揮してここまで勝ち上がってきたようだ。
多様なデッキが存在する現スタンダード環境で、奇しくもバント対決となった本大会の決勝戦。勝敗はいかに!?
先手の脇田が2ターン目に《楽園のドルイド》、3ターン目に《時を解す者、テフェリー》と展開し、堀田の《培養ドルイド》をバウンスする立ち上がり。
堀田も負けじと《拘留代理人》で《楽園のドルイド》を追放し、《時を解す者、テフェリー》に睨みを利かせるが、脇田は《ハイドロイド混成体》(X)=2、続いて《世界を揺るがす者、ニッサ》を呼び出し早くもマウントを取る構え。
《世界を揺るがす者、ニッサ》の[+1]能力で《総動員地区》に+1/+1カウンターを3つ乗せると、《ハイドロイド混成体》とともに攻撃をしかける。
堀田もなんとか追いつきたいところだが、ドローが今ひとつついてこない。
3/3クリーチャーが増援される状況をシャットアウトすべく、《牢獄領域》で《世界を揺るがす者、ニッサ》を追放するが、脇田の攻勢は止まらない。3ターン目から生き残っていた《時を解す者、テフェリー》で《牢獄領域》をバウンスし、再び《世界を揺るがす者、ニッサ》を呼び戻すと、なんと《灯の分身》をプレイ!
《世界を揺るがす者、ニッサ》の複製を作りだし、さらに2つの土地を3/3へ。
状況を打破することができないと悟った堀田は、うなずきながら盤面を畳み始めた。
脇田 1-0 堀田
メインの受けの広いカードをアウトし、パワーカードを多くサイドインする脇田に対し、堀田はリアクティブなカードを最小限のみ投入するサイドボーディングプラン。双方の思惑は吉と出るか凶と出るか。
先手を取った堀田が2ターン目に《培養ドルイド》をプレイし、後続に繋げようとするも、返しの脇田のターンに《時を解す者、テフェリー》でそれをバウンスされる展開。
脇田は1ターン目の《ラノワールのエルフ》で、すでに先手と後手を入れ替えていたのだ!
《培養ドルイド》を出しなおす堀田だが、3枚目の土地を引くことができない。
一方、順調に展開を続ける脇田は《楽園のドルイド》を呼び出し、高マナ域への到達を進めていく。
マナクリーチャーの1体である《ラノワールのエルフ》は《時を解す者、テフェリー》でバウンスされたものの、しっかりと4枚目の土地をプレイすると、4ターン目にして《世界を揺るがす者、ニッサ》を着地させる。
これで《繁殖池》をクリーチャー化し、堀田の《時を解す者、テフェリー》を落とす脇田。
堀田は、《世界を揺るがす者、ニッサ》の脅威を《拘留代理人》で対処するが、脇田はそれに《狼の友、トルシミール》で応える!
《世界を揺るがす者、ニッサ》の復帰による3/3の追加、《狼の友、トルシミール》+狼トークンと、とても1ターンのムーブとは思えない怒涛の展開を堀田は支えきれない。
脇田はその圧倒的な軍勢を従え、そのまま第6期スタンダード東海王の座を獲得した。
『第6期スタンダード東海王決定戦』東海王の座を手に入れたのは、脇田 智将!おめでとう!