決勝:堀 雅貴(土地単) vs. 大川 博史(グリクシスコントロール)
晴れる屋メディアチーム
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By Yuya Furusawa
始まりは第4期関西帝王戦レガシーの準決勝まで遡る。
激戦の末に大川を破って決勝に勝ち進んだ堀は、勢いそのままに帝王の座を射止めた。
あれから時は経ち、第6回を迎えた関西帝王戦レガシー。
ベスト8の半数が歴代帝王という大激戦となったが、大川は歴代帝王相手に勝ち続けて決勝まで駒を進めた。しかし決勝で大川を待ち受けていたのは……第4期で土をつけられた堀であった。
絶叫する大川、不敵に笑う堀、なんという運命の悪戯か、それともお互いに強敵(とも)であるが故に引かれ合ったのか、図らずも第4回関西帝王戦準決勝と同じ組み合わせになってしまったのである。
さぁ因縁の対決が今ここに始まる!
……かと思いきや、いきなり自分のサイドボードを大川に見せながら意見交換を始める堀。
これから決勝戦だというのに、一切の緊張感を感じさせないこのゆるい空気もまた関西レガシーの魅力の一つかも知れない。
第4期レガシー帝王である堀は、愛機である「土地単」を使いここまで勝ち進んできた。関西帝王戦レガシーで決勝戦に進出するのはこれが3度目。もはやベスト8常連と言っていいほどの勝率は、堀の高い実力があってこそなせる業だろう。
対する大川も負けてはいない。
「グリクシスコントロール」を駆り、ここまで勝ちあがってきた実力は伊達ではない。『灯争大戦』、『モダンホライゾン』、『基本セット2020』と立て続けに新しいパーツが加わったデッキを手に、前回のリベンジを狙う。
この大一番を制するのはどちらか。
スイスラウンドの順位により堀の先手。堀は少し悩んで1マリガンでキープ、一方の大川は自信満々でキープ。
先手の堀は《踏査》をプレイし、さらに《燃え柳の木立ち》から《ギャンブル》へと繋げる好スタート。これは打ち消されることなく解決され、2枚目の《ギャンブル》がディスカードされる。
大川――「《死儀礼のシャーマン》帰ってきてほしいなーーー!」
堀のブン回りに大川の悲しい叫びがこだまする。
対する大川は《不毛の大地》をケアしてか、《沸騰する小湖》から《島》をサーチ。そして《思案》をプレイしシャッフルを選択という静かな立ち上がり。
返す堀は《壌土からの生命》で《吹きさらしの荒野》を回収。そのままセットして《森》をサーチし、《リシャーダの港》でマナを縛りに行く。
《リシャーダの港》によるマナ拘束を上手く《渦まく知識》でかわしながら序盤の準備を着々と進めていく大川だが、堀の《マナ結合》の着地を許してしまう。
《壌土からの生命》の発掘によるアドバンテージ差で万事休すかに見えた大川だが、《壌土からの生命》のプレイを待っていましたと言わんばかりに《否定の力》で打ち消し、追放することに成功する。
堀のアドバンテージ源を絶ったところに、すかさず温存していた《精神を刻む者、ジェイス》を着地させ失ったアドバンテージを取り戻しにかかる大川。
堀も負けじと《罰する火》と《燃え柳の木立ち》のコンボで《精神を刻む者、ジェイス》を撃ち落とし、さらに《不毛の大地》で大川の《Underground Sea》を破壊してマナ基盤を攻める。
しかし、堀が《不毛の大地》を使ったこのタイミングで大川が大きく動く。無人の荒野に《グルマグのアンコウ》を着地させたのだ。
堀は《演劇の舞台》で《Taiga》をコピーして赤マナを増やし、墓地にある《罰する火》を《燃え柳の木立ち》で回収。さらには2枚目の《燃え柳の木立ち》をセットし、《グルマグのアンコウ》を《罰する火》で落とすための準備を着々と整えていく。
大川は《瞬唱の魔道士》を追加のクロックとして展開。一気呵成に攻め込むも、堀は《罰する火》で着実に大川のクロックを削いでいく。
しかし大川の猛攻は止まらない。追加の《悪意の大梟》に加え、《精神を刻む者、ジェイス》を展開!
手札のなくなった堀に対して【+2】能力を起動し、ついに堀のドローまでコントロールし始める。捲れたカードは《ギャンブル》で、大川はこんなものを引かれてはたまったものじゃないとライブラリーボトムに送る。
堀は《罰する火》コンボで《精神を刻む者、ジェイス》を撃破すると、さらにトップから引き込んだ《イス卿の迷路》で《グルマグのアンコウ》をも抑え込む!
大川――「まさか《イス卿の迷路》引いた?」
堀――「ご名答」
大川――「それが嫌で(《ギャンブル》を)下に送ったの!」
この時点で、大川の盤面のクリーチャーは《グルマグのアンコウ》と《悪意の大梟》の2体。
実質的にクロックが《悪意の大梟》のみになってしまった大川だが、当然ながらこれは堀の《罰する火》で焼かれてしまい、クロックが残らない。堀は引き込んできた《暗黒の深部》をセットし、すでに戦場に出ていた《演劇の舞台》と合わせてマリット・レイジでの勝利を目論む。
だがこの時点で堀のライフはわずか4点。対する大川のライフは度重なる《燃え柳の木立ち》の能力で24点と、マリット・レイジの1回の攻撃では削り切れない点数にまで膨れ上がっていた。
そこに付け込みたい大川は、2体目の《グルマグのアンコウ》を展開!これによりマリッド・レイジは攻撃することができなくなり、実質的に膠着状態に持ち込む。
このゲーム展開を嫌った堀は、大川のエンドステップに《罰する火》コンボで《グルマグのアンコウ》を処理しにかかるも、大川は3回目の《罰する火》のタイミングでしっかりマナが寝ているのを確認してから《意志の力》!
これが相当効いたのか、大川のライフを確認する堀。
堀――「ライフは?」
大川――「24」
堀――「足りんか~」
大川――「土地引いたら足りるんじゃない?」
堀――「赤マナ限定やから……いややっぱダメやな」
そしてドローで赤マナ土地を引けなかった堀は叫ぶ。
堀――「布告あったら負け!」
そして大川は《思案》でトップ3枚を並び替えてから《グルマグのアンコウ》2体でフルパンチ。堀は《演劇の舞台》と《暗黒の深部》でマリット・レイジを開放するが、無情にも大川の手から《リリアナの勝利》が放たれる!
見事に攻撃が通り、大川が先勝!
堀 0-1 大川
両者マリガンなしで始まった2ゲーム目、先に動いたのは堀だった。
堀は《モックス・ダイアモンド》から《森》をセット、2ターン目に《演劇の舞台》から《窒息》をプレイするというロケットスタートを切る。
これには大川もたまらず《渦まく知識》から《意志の力》で対処し、《悪意の大梟》でなんとかドローを進めながら立て直しを図る。
だが堀は《暗黒の深部》をセットして早くもマリット・レイジ解放の準備を完了させると、大川のエンドステップにマリット・レイジを呼び出す!
しかし大川は冷静であった。先に大川を勝利に導いた《リリアナの勝利》でマリット・レイジを処理する。
攻め手を失った堀は《不毛の大地》で大川の《Underground Sea》を破壊して青マナの供給源を絶ち、さらに《燃え柳の木立ち》から《罰する火》でコンボが完成したことを見せつけつつ《悪意の大梟》を処理。
両者ともに攻め手を失う格好となったが、大川は《コラガンの命令》で《悪意の大梟》を回収しつつ堀の《モックス・ダイアモンド》を破壊と、アクションが途切れない。
ここで完全に形成が逆転し、攻勢をかける大川は先ほど回収した《悪意の大梟》を展開。さらに何もせずにターンを返した堀に《精神を刻む者、ジェイス》を叩きつける。
これで決まるかに見えたが堀が何の策もなしにターンを渡すわけがない。《罰する火》コンボで《精神を刻む者、ジェイス》を撃破し、《モックス・ダイアモンド》でマナ基盤の増強も忘れない。
しかし、大川の次なる一手は「土地単」にとって致命的な《基本に帰れ》!
さらにダメ押しと言わんばかりに《アングラスの暴力》で《モックス・ダイアモンド》を生け贄に捧げさせる。
攻め手を緩めるつもりのない大川は、追加の《悪意の大梟》と《グルマグのアンコウ》を並べてゲームを決めにかかる。
大川が攻撃手段を唱え、マナがフルタップになったことを受け堀が動く。《基本に帰れ》を対象に《紅蓮破》をキャストしたのだ!
これさえ通れば再び自由にマナが使えるようになる堀だったが、大川の《意志の力》がこれを阻む。
大川のクリーチャー軍団にライフを詰められ、ついに残りライフ1となってしまった堀。ここで大川は、《瞬唱の魔道士》で《コラガンの命令》にフラッシュバックを与えてとどめを刺しに行く。
このままでは負けてしまう堀は《輪作》でなんとか凌ごうとするも、大川の手には先ほどもゲームを決める大きな要因となった《否定の力》が。《輪作》を打ち消し、大川が見事に前回の雪辱を果たした!
堀 0-2 大川
「第6期関西帝王戦レガシー」優勝は大川 博史!おめでとう!!