みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの大久保です。今回はクソコラなしです。
いよいよ1月9日(月・祝)にはフロンティア神決定戦が開催されますね。
新設タイトルなので、本イベントで優勝したプレイヤーはそのまま初代フロンティア神の座に就ける! 神になりたい人にとっては千載一遇のチャンスと言えるでしょう。
とはいえまだまだスタートしたばかりのフォーマットということもあり、情報も少なくメタゲームは未知数。どんなデッキと当たるのか、仮想敵を定めるのも一苦労でしょう。
本記事ではフロンティア環境に関する考察を独断と偏見を交えつつお伝えしていきたいと思います!
1. フロンティアの二大巨頭
まずはフロンティア環境の大まかなメタに関してお話していきたいと思います。
この図は【晴れる屋のデッキ検索】から使用率上位7つのデッキを抜き出してグラフにしたものです。
※「多色コントロール」に分類されるデッキの80%以上はダークジェスカイとなっており、ここでは便宜上≒ダークジェスカイと分類しています。また、多色ビートダウンはジャンドやマルドゥ、ティムールなど3~4色の様々なバリエーションが見られるため再定義はしませんが、概ね 赤 もしくは 黒 、あるいはその両方を含むカラーリングのデッキが多いです。
ここから特に使用者が多い「アブザンアグロ」と「ダークジェスカイ」の2つを“環境のトップメタ”と仮定します。どちらもKTK~BFZ環境で暴れていたアーキタイプですが、これらはフロンティアというフォーマットでどのようなデッキな進化を遂げているのでしょうか?
アブザンアグロ
2 《森》 2 《平地》 2 《梢の眺望》 1 《燻る湿地》 1 《窪み渓谷》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《樹木茂る山麓》 4 《花盛りの湿地》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地 (25)- 4 《始まりの木の管理人》 4 《残忍な剥ぎ取り》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 2 《不屈の追跡者》 4 《包囲サイ》 -クリーチャー (22)- |
3 《集団的蛮行》 3 《ドロモカの命令》 3 《アブザンの魔除け》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (13)- |
2 《配分の領事、カンバール》 2 《神聖なる月光》 2 《鞭打つ触手》 2 《苦い真理》 2 《死の重み》 2 《トーモッドの墓所》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 1 《悪性の疫病》 -サイドボード (15)- |
※赤字はスタンダード当時との大きく差異のあるカードや新加入したカード。
元々のデッキの強さに加えて『イニストラードを覆う影』および『異界月』、『カラデシュ』から得たものが多く、特に2マナ域のカードは飛躍的に強化されています。
序盤から中盤にかけて強靭な戦線を築き、《包囲サイ》で一気にダメージレースを崩壊させる動きはフロンティアでも強烈です。加えて《不屈の追跡者》や《屑鉄場のたかり屋》によって長期戦にも対応できるようになっており、隙がないデッキと言えるでしょう。
この手のミッドレンジデッキはより重い構成のコントロールデッキに対して苦戦を強いられることが多いですが、アンドウさんのデッキではサイドボードに控えた《領事の旗艦、スカイソブリン》によって継戦能力を高めています。
クリーチャーのみならずプレインズウォーカーにもダメージを飛ばせる誘発型能力はこのデッキの負け筋を潰し、素早く盤面を制圧します。
また、《密輸人の回転翼機》や《異端聖戦士、サリア》、《大天使アヴァシン》が採用されているデッキリストも多く見られ、全体的にカードに恵まれているのもデッキの特徴と言えるでしょう。
ダークジェスカイ
2 《山》 1 《島》 1 《平地》 1 《沼》 2 《大草原の川》 2 《燻る湿地》 1 《窪み渓谷》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 2 《神秘の僧院》 2 《乱脈な気孔》 -土地 (26)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 3 《魂火の大導師》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー (11)- |
2 《焦熱の衝動》 3 《稲妻の一撃》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《焙り焼き》 4 《はじける破滅》 2 《コラガンの命令》 2 《苦い真理》 1 《オジュタイの命令》 1 《燻蒸》 1 《残忍な切断》 3 《時を越えた探索》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -呪文 (23)- |
3 《光輝の炎》 2 《アラシンの僧侶》 2 《否認》 2 《精神背信》 2 《トーモッドの墓所》 1 《勇敢な姿勢》 1 《完全なる終わり》 1 《見えざるものの熟達》 1 《悪性の疫病》 -サイドボード (15)- |
※赤字はスタンダード当時との大きく差異のあるカードや新加入したカード。
アブザンアグロが剛のデッキなら、ダークジェスカイは柔のデッキです。軽い除去で盤面をいなし、《時を越えた探索》や《ヴリンの神童、ジェイス》によってアドバンテージを得て少しずつ対戦相手を追いつめていきます。
スタンダード当時とほとんどデッキの形は変わっていないものの、『カラデシュ』から《奔流の機械巨人》が加入したことは大きなポイントです。
あらゆるフォーマットで禁止・制限を受けている《時を越えた探索》を0マナで疑似「フラッシュバック」する動きは反則レベルの強さで、一瞬で攻守を入れ替えます。ダークジェスカイが6マナを立てているときは迂闊なコンバットを咎められないよう注意しましょう。
序盤から終盤にかけて隙がなく、1対多数の交換を取ることに長けたデッキです。《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》や《先駆ける者、ナヒリ》、《最後の望み、リリアナ》といったプレインズウォーカーが採用されていることもあり、中速以降のデッキに対しては無類の強さを誇ります。
さて、環境の二大巨頭である「アブザンアグロ」と「ダークジェスカイ」をご紹介させていただきましたが、これらのデッキに対してどのようなアプローチで戦えばよいでしょうか? 次は有力な対抗馬であるフロンティアのコンボデッキを見てみましょう。
2. 対抗馬・コンボデッキ
デッキの紹介に入る前に、一つだけ前提を共有させていただこうと思います。
フロンティアの特徴としてサイドボードカードが弱いというものがあります。
上に挙げた3枚のような特定の戦略を否定するカードは非常に限られています。たとえばフロンティアにおける最強の墓地対策カードは《トーモッドの墓所》あるいはやや対処されやすい《先頭に立つもの、アナフェンザ》で、《安らかなる眠り》や《大祖始の遺産》といったモダン・レガシー級の墓地対策カードが飛んでくることはありません。
すなわちコンボデッキにとっては戦略的アドバンテージが得やすい環境と言えるわけです。
次にご紹介する「先祖の結集コンボ」と「魂込めビートダウン」はKTK~BFZのスタンダードをプレイしていた方にとっては馴染み深いデッキだと思われますが、フロンティア環境ではさらに強力に生まれ変わっています。
先祖の結集コンボ
1 《森》 1 《島》 1 《平地》 1 《沼》 2 《梢の眺望》 2 《大草原の川》 2 《窪み渓谷》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《吹きさらしの荒野》 2 《進化する未開地》 -土地 (24)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《サテュロスの道探し》 3 《エルフの幻想家》 3 《ズーラポートの殺し屋》 3 《呪文捕らえ》 4 《ナントゥーコの鞘虫》 4 《反射魔道士》 2 《地下墓地の選別者》 -クリーチャー (27)- |
3 《先祖の結集》 4 《集合した中隊》 2 《時を越えた探索》 -呪文 (9)- |
3 《残忍な切断》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《空への斉射》 2 《否認》 2 《集団的蛮行》 2 《実地研究者、タミヨウ》 1 《再利用の賢者》 -サイドボード (15)- |
※赤字はスタンダード当時との大きく差異のあるカードや新加入したカード。
先祖の結集コンボはその名を冠する《先祖の結集》で一挙にクリーチャーを並べ立て、《ナントゥーコの鞘虫》+《ズーラポートの殺し屋》で大量のライフを奪い取るコンボデッキです。
特に、スタンダード環境では共存することがなかった《サテュロスの道探し》が入ることで、デッキの動きとマナ基盤が飛躍的に安定しました。墓地が肥える速度が高まったことで《時を越えた探索》まで採用しているリストも散見され、コンボで勝ちに行けないときでも《集合した中隊》と《時を越えた探索》のアドバンテージ差で押し切るような戦い方も可能になっています。
他にも《呪文捕らえ》の加入など、クリーチャーの質が全体的に高まったことでビートダウン性能も高まっており、《真面目な訪問者、ソリン》や《包囲サイ》が採用されていることもあります。
魂込めビートダウン
4 《霊気拠点》 4 《秘密の中庭》 4 《感動的な眺望所》 4 《尖塔断の運河》 3 《シヴの浅瀬》 1 《ダークスティールの城塞》 -土地 (20)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 3 《ボーマットの急使》 4 《屑鉄場のたかり屋》 -クリーチャー (15)- |
3 《撃砕確約》 2 《頑固な否認》 4 《爆片破》 3 《ティムールの激闘》 2 《無許可の分解》 4 《アーティファクトの魂込め》 4 《幽霊火の刃》 2 《密輸人の回転翼機》 1 《高速警備車》 -呪文 (25)- |
3 《ファイレクシアの破棄者》 3 《トーモッドの墓所》 2 《石の宣告》 2 《否認》 2 《乱撃斬》 2 《無許可の分解》 1 《静翼のグリフ》 -サイドボード (15)- |
『基本セット2015』に収録されていた《アーティファクトの魂込め》をキーカードに据えたアグロデッキです。スタンダード当時と比べるとほとんどのカードが入れ替わっており、実質的にフロンティア発のデッキと呼べるかもしれません。
フロンティア環境に存在する数あるデッキの中でも最も『カラデシュ』リリースによる恩恵を受けており、《屑鉄場のたかり屋》のような粘り強いクロックや《爆片破》に次ぐダメージソースの《無許可の分解》を得ました。
モダンの「スーパークレイジーズー」などでお馴染みの《ティムールの激闘》も採用されており、《撃砕確約》との組み合わせで一瞬でライフを蒸発させます。
1ターン目に《ボーマットの急使》、2ターン目に《アーティファクトの魂込め》、3ターン目にこの2枚、といった回り方をすれば最速3ターンキルも可能です。
ダメージ軽減、エンチャント対策、小型クリーチャー除去の三役を兼ねる《ドロモカの命令》は致命的なアンチカードですが、《アーティファクトの魂込め》への依存度を下げつつ長期戦を戦い抜くために、サイドボードに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や《領事の旗艦、スカイソブリン》が採用されているリストも見られます。
「先祖の結集コンボ」と「魂込めビートダウン」。どちらもトップメタである「アブザンアグロ」と「ダークジェスカイ」に対して同等以上に渡り合える強力なコンボデッキです。
前置きした通り、環境にはこれらのデッキに対するアンチカードが少ないため、神決定戦でも活躍が期待されるデッキです。
3. まとめ
ここまでに4つのデッキをご紹介させていただきましたが、フロンティアにはまだまだデッキアイディアが多数眠っています。
たとえば【プロツアー『マジック・オリジン』】の優勝者であり、プラチナレベル・プロのJoel Larsson(スウェーデン)は、「Channel Fireball」に寄せた記事の中でこのようなデッキアイディアを披露していました。
1 《森》 1 《島》 1 《平地》 1 《沼》 2 《梢の眺望》 2 《窪み渓谷》 1 《大草原の川》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《吹きさらしの荒野》 2 《花盛りの湿地》 -土地 (23)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《サテュロスの道探し》 2 《不屈の追跡者》 4 《包囲サイ》 2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 1 《奔流の機械巨人》 1 《約束された終末、エムラクール》 -クリーチャー (18)- |
4 《ウルヴェンワルド横断》 2 《過去との取り組み》 1 《究極の価格》 3 《アブザンの魔除け》 1 《苦渋の破棄》 2 《衰滅》 1 《残忍な切断》 2 《絹包み》 3 《最後の望み、リリアナ》 -呪文 (19)- |
2 《アラシンの僧侶》 2 《強迫》 2 《否認》 2 《鞭打つ触手》 2 《トーモッドの墓所》 1 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 1 《再利用の賢者》 1 《龍王シルムガル》 1 《払拭》 1 《正義のうねり》 -サイドボード (15)- |
※デッキリストは【Channel Fireball】より引用しました。
KTK~BFZ期の「アブザンアグロ」に現行スタンダードの「緑黒昂揚」のパッケージを詰め込み、細部に《衰滅》や《奔流の機械巨人》を添えたようなデッキリスト。《ウルヴェンワルド横断》が色事故の負担を軽減しつつ、異なる2つのコンセプトを接着させる役割を担っている。
本人曰く、弾幕のような除去で序盤を凌ぎ、《包囲サイ》や《墓後家蜘蛛、イシュカナ》で盤面を作り上げた後、《約束された終末、エムラクール》で勝利するという構造になっているそうだ。
このように、フロンティアには未だ誰も知らぬデッキコンセプトが眠っている。
まだまだ発展途上のこのフォーマット。ぜひ1月9日(月・祝)の「フロンティア神決定戦」で、あなたも新世界の神を目指してみてほしい。
この記事内で掲載されたカード
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