神が選ぶ『霊気紛争』注目カードトップ3!

晴れる屋メディアチーム



 いよいよ今週末の1月20日(金)に、最新セット『霊気紛争』が発売されます。


キランの真意号策謀家テゼレット艱苦の伝令


 『カラデシュ』からお馴染みの「機体」に加え、新たなプレインズウォーカー、そして「紛争」「即席」といった新キーワード能力など。

 魅力的なカードが揃った『霊気紛争』を見ると、どのカードやデッキが強いのか、どのカードを買えばいいのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?

 そこで各フォーマットを代表する実力者である第7期「神」の4人と、つい先週末に新たに「神」に就任したばかりの【フロンティア神】に、「『霊気紛争』で注目するカード トップ3」を聞いてみました!


■ 「神」とは?

晴れる屋が主催している、「神決定戦」という大会の暫定王者。
スタンダード・モダン・レガシー・ヴィンテージ・フロンティアの5フォーマットそれぞれで行われており、予選大会 (挑戦者決定戦) と決勝大会 (神決定戦) を勝ち抜いた者だけが「神」になることができる。

詳しくはこちらをご覧ください。→【神決定戦特設ページ】


 各フォーマットを熟知した者ならではの視点から、鋭い意見が飛び交いました。「神」の目には何が映り、彼らは何を考えたのでしょうか。



◆ 第7期スタンダード神 和田 寛也




『霊気紛争』カードセット全体の印象

 ご無沙汰しております、スタン神です。


生命の力、ニッサ査問長官


 【前回『カラデシュ』】《生命の力、ニッサ》を激推しした結果大外れだった私ですが、一位に推した《査問長官》はプラチナプロの瀧村 和幸君やMr.PWCの三宅 恭平君が愛用してくれたようなので、個人的には非常に満足しています。

 さて、今回のセットも禁止改定という波乱はあったものの、マニアの心をくすぐるカードが何枚かあるようです。そんな中から個人的に注目の3枚を紹介させて頂きます。



『霊気紛争』スタンダード注目カードトップ3!


■ 1位 《策謀家テゼレット》


策謀家テゼレット


 久しぶりの登場となるテゼレット。《ボーラスの工作員、テゼレット》育ちの私としては心ときめくものがあります。

 今回のテゼレットは「策謀家」ということもあり、どのような「策」をデッキに仕込むかによってテゼレット本人の強さも大きく変わってくると感じています。

 幸い今回は出したターンに自身を守ってくれる《致命的な一押し》や高い忠誠度を生かしやすい《キランの真意号》、そして並べたアーティファクトと相性が良く、また単純にカードパワーの高い《艱苦の伝令》などなど、脇を固める役者に非常に恵まれていることもあり、スタンダードで活躍できるお膳立ては十分整っていると言えるのではないでしょうか?


■ 2位 《貪欲な侵入者》


貪欲な侵入者


 《エイトグ》の同型再版。サクリ台信者の私としては見逃せない一枚です。

 様々な角度から鋭角に強烈なダメージを叩き込んでくるかもしれないということでプレッシャーも相当なものであり、カードプールが広がれば広がるほど強くなる生物と言えるでしょう。

 今回新たに登場した《財宝の守り手》《霊気装置の設計図》との相性も良く、また《スラムの巧技》なんかと組み合わせるのも面白いかもしれません。いずれにせよ、期待の持てる一枚です。


■ 3位 《バラルの巧技》


バラルの巧技


 《海神の復讐》世代の私が目を疑った一枚。

 まあ構築だと上の効果はそこまで汎用性が高くないのでナイスサイド止まりではありますが、下の効果をどれだけ上手く使えるかどうかによっては十分に化ける可能性もあるでしょう。

 《海神の復讐》比べた際のインパクトがあまりにも強いため堂々のランクイン。



◆ 第7期モダン神 松田 幸雄




『霊気紛争』カードセット全体の印象

 今回も色々とモダンで使えそうなカードが出てきましたね。

 アーティファクト関連がかなり強くなったと思いますが特に目を引くのが新キーワード能力の「紛争」。フェッチランドの採用頻度が多いモダンでは比較的簡単に条件を達成できるため、かなり使いやすく強力です。


改革派の結集者隠れた薬草医緑輪地区の解放者


 「紛争」関連のカードがどう環境に影響を与えるか注目したいところです (まあ《ギタクシア派の調査》《ゴルガリの墓トロール》が禁止されたことの方がもっと影響を与えそうですが)。


ギタクシア派の調査ゴルガリの墓トロール




『霊気紛争』モダン注目カードトップ3!


■ 1位 《致命的な一押し》


致命的な一押し


 強力な「紛争」持ちのカードの中で最も強いです。

 《稲妻》では倒しにくかった《タルモゴイフ》《氷の中の存在》を除去でき、「紛争」すれば《難題の予見者》《ファイレクシアの抹消者》も倒せる。まさに画期的な除去ですね。

 モダンではこれからは黒いデッキを見たらこのカードを警戒する必要がありそうです。


■ 2位 《発明品の唸り》


発明品の唸り


 これはかなり面白そう

 アーティファクトを使ったコンボ、例えばソプターコンボ (《飛行機械の鋳造所》《弱者の剣》) が簡単に揃うし、「X=0」で《睡蓮の花》を持ってきてマナ加速から《残酷な根本原理》《解放された者、カーン》につなげてもいい。相手のプレインズウォーカーが出てくるのに対応して《真髄の針》を置くのも楽しい。青い《召喚の調べ》としてうまく使えたらいいデッキができそうです。

 ただしモダンのアーティファクト対策は《古えの遺恨》《石のような静寂》など強力なものが多いため、メインデッキとサイドボードをよく練る必要がありそうです。


■ 3位 《ヤヘンニの巧技》


ヤヘンニの巧技


 効果自体は少し弱い全体除去といったレベルですが、サブ効果のマナコスト踏み倒し効果がとてもやり手です。

 この効果で本来は「待機」専用呪文である《死せる生》《祖先の幻視》を唱えたり、「融合」カードを「融合」状態で唱えることもできます。特に《唯々+諾々》が強烈で、1/1飛行トークンが4体出てきて4枚ドローと異常なことが起きます。一見ロマンに見える挙動ですが、決まったら圧倒的なので侮れません。

 ちなみに他の「巧技」でもできますが、普通に使っても除去になり、コンボが苦手な打ち消し対策として手札破壊を積める黒色の「巧技」がおそらく使いやすいでしょう。


密輸人の回転翼機


 最後に、全然関係ないですが《密輸人の回転翼機》はモダンでも結構強いので、スタン禁止でショックを受けた人はモダンで使ってはどうでしょうか?

例: 《密輸人の回転翼機》《死霧の猛禽》を捨てて、《ギャサンの略奪者》でさらに《死霧の猛禽》を捨てつつ表向きにする。すると《死霧の猛禽》がたくさん帰ってくる (ザコ)



◆ 第7期レガシー神 川北 史朗




『霊気紛争』カードセット全体の印象

 『カラデシュ』から引き続きアーティファクトをメインに置いており、【親和使い(笑)】としてはわくわくするエキスパンションですね。


復讐に燃えた反逆者解析調査


 メカニズムとして、フェッチを切れば簡単に条件を達成できる「紛争」、アーティファクトでマナを軽くできる=何か悪いことができそうな予感の「即席」は、両方ともレガシーの環境を変えてくれそうな期待感がありますね。



『霊気紛争』レガシー注目カードトップ3!


■ 1位 《屑鉄さらい》


屑鉄さらい


 《電結の荒廃者》との相性が抜群!《クラーク族の鉄工所》《テラリオン》と似た効果を持つ「器具」シリーズと組み合わせると悪いことができそう!

 また、テキストに「屑鉄さらいか~」と記載があるので、単体で強い厄介なクリーチャーだと思います。《悪意の大梟》が死亡して墓地の《テラリオン》を回収され、《テラリオン》を生け贄にして墓地の《虚空の杯》《搭載歩行機械》または《羽ばたき飛行機械》を回収……うーん、やられたら腹が立ちますね。

 《剣を鍬に》《終末》相手には効果を発揮できませんが、デルバーやエルドラージにとっては脅威になりうるクリーチャーですね。

 最近レガシーではすっかり見なくなった「親和」デッキですが、このカードを機に復権もありうるのでは?


■ 2位 《致命的な一押し》


致命的な一押し


 これはレガシープレイヤーなら誰もが思いつく、今回一番注目されているカードではないでしょうか?

 《稲妻》が入らないBUG系のデッキのサイドボードによく見られる《見栄え損ない》のほぼ上位互換と言っても過言ではないと考えます。《見栄え損ない》では対処できなかった《タルモゴイフ》《難題の予見者》を葬れるのは大きいですね。


■ 3位 《戦利品の魔道士》


戦利品の魔道士


 3マナのアーティファクトを持ってこれる《粗石の魔道士》ですね。

 《玄武岩のモノリス》または《ブライトハースの指輪》のどちらかがある状態で、《戦利品の魔道士》でもう片方をサーチすれば無限マナ!

 ちょっとEDH的な発想なのでこのコンボは弱そうですが、《罠の橋》《減衰のマトリックス》などの実用的な対策カードを持ってこれるので、使われる可能性はありますね。


発明品の唸り


 他にも友人からお勧めカードとして教えてもらった《発明品の唸り》も、悪いことができそうなカードの一枚として注目しています!



◆ 第7期ヴィンテージ神 森田 侑




『霊気紛争』カードセット全体の印象

 『カラデシュ』では堅実に強いカードが多いと感じさせられた一方、今回は「巧技」サイクルによる踏み倒しや《パラドックス装置》など、将来何かをやらかしそうな不穏さを感じさせるカードが多い印象です。


カーリ・ゼヴの巧技パラドックス装置


 《高速警備車》をはじめとした「機体」はヴィンテージ環境でも活躍しているので、新しいメカニズムである「紛争」も今後ヴィンテージ環境で見ることになるかもしれません。エネルギーカウンターも使ってみたいのですが、現在のところヴィンテージで使うには一歩足りないのが残念ですね……。



『霊気紛争』ヴィンテージ注目カードトップ3!


■ 1位 《歩行バリスタ》


歩行バリスタ


 ヴィンテージの茶単デッキでは《トリスケリオン》がよく採用されていますが、新世代の《トリスケリオン》として多くの茶単デッキが採用することが予想されます。

 単に《トリスケリオン》の上位互換というわけではなく、2マナや4マナでプレイできる柔軟性を重視する場合は《歩行バリスタ》《ファイレクシアの変形者》を積極的に使いたい場合は《トリスケリオン》というように、好みやメタゲームに応じて使い分ける (もしくは併用する) ことになるでしょう。

 地味に《粗石の魔道士》で持ってくることができる点も見逃せません。


■ 2位 《発明品の唸り》


発明品の唸り


 青トリプルシンボルというコストの制約上「即席」を生かすことは難しいと思いますが、ヴィンテージでは《Black Lotus》《太陽の指輪》《魔力の墓所》といった強力なカードをインスタントタイミングでサーチできるので、このカードには怪しい臭いを感じます。

 マナ加速だけではなく、《仕組まれた爆薬》をサーチすることで場のMoxを一掃するなど、ヴィンテージならではの使い道に色々期待できるカードです。


■ 3位 《屑鉄さらい》


屑鉄さらい


 「茶単デッキはリソースが尽きやすい」という弱点をカバーしてくれるであろう一枚。

 特に《煙突》を軸にしたロック重視の茶単に採用することで、リソースの維持が楽になり、さらに効率よく相手を締め上げることができるでしょう。


■ 番外 《抵抗の宝球》 (Masterpiece)




 今までFoilになったことがないこのカードが初のFoil化!

 ヴィンテージの茶単ではほぼ4枚使うカードのため、コレクター寄りのプレイヤーは (色々な意味で) 涙を流して集める決心をしているようです(笑)



◆ フロンティア神 松本 友樹




『霊気紛争』カードセット全体の印象

 はじめまして。松本 友樹です。これまでデッキテクなどでは載せていただいたことはあるのですが、晴れる屋で記事を書かせていただくのは初めてになります。

 この度はフロンティア神に就任したということで、早速ですが『霊気紛争』がフロンティアにどのようなインパクトを与えるのかについて書いていきます。


致命的な一押し致命的な一押し致命的な一押し致命的な一押し致命的な一押し致命的な一押し
致命的な一押し致命的な一押し致命的な一押し致命的な一押し致命的な一押し致命的な一押し


 『霊気紛争』全体を見て感じる印象は……何よりもコンボデッキの大量増加について、ですね!

 《パラドックス装置》《守護フェリダー》《金属ミミック》《不屈の独創力》と、(実用性があるかは置いておいて) コンボの数が圧倒的に増えました。

 スタンダードでは活躍しないコンボも、カードプールが広いフロンティアでは……!ということで、フロンティアならではのコンボデッキの誕生に期待しています。



『霊気紛争』フロンティア注目カードトップ3!


■ 1位 《致命的な一押し》


致命的な一押し


 1位に選ばれるカードが何か、この記事を読む方のうち9割は予想できたと思います。

 スタンダード、モダン、レガシーまで共通で1位に選ばれるようなカードをフロンティアでも1位にあげなければならないのはあまりに辛い。辛いのですが、流石にこれ以外のどんなカードも1位に選ぶことはできません。そのくらいこのカードがフロンティアに与える影響は大きなものです。

 なぜこのカードが強いのかについては3ページくらい語れるのですが、少々紙面が足りませんので抑えておきます。

 一言で言うと、レガシーにおける《剣を鍬に》、モダンにおける《流刑への道》、フロンティアにおける《致命的な一押し》、です。


■ 2位 《緑輪地区の解放者》


緑輪地区の解放者


 このカードが2位に選ばれることが意外だと感じる方もいらっしゃるかと思います。

 実は私も非常に悩んだのですが、このカードだけでなく、このカードを含めた「紛争」カード群は大きな影響を与えそうだな、ということで代表者として来てもらいました。とりあえず《ナーナムの改革派》《緑輪地区の解放者》《隠れた薬草医》《改革派の結集者》フロンティア版ズーが組めそうです。

 また《ピーマの改革派、リシュカー》も含めて【フロンティア神決定戦】トップ8の【パンハモニコンエルフ】のようなデッキも大幅に強化されます。

 「《タルモゴイフ》のような強力な低コスト域クリーチャーが存在しない」かつ「フェッチランドが存在する」フロンティアにとって、これらのカードが大きな影響を与えるだろうことは想像に難くありません。


■ 3位 《パラドックス装置》


パラドックス装置


 ストーリーで悪役として活躍するあのテゼレットが感銘を受けるほどの装置。それがこの《パラドックス装置》です。この機械からは私も大きな感銘を受けました。

 フロンティアには《ジェスカイの隆盛》コンボが存在しています。このカードはその隆盛を100倍くらいコンボに特化させたカードです。なんせクリーチャーを出し入れするだけでも無限コンボができるのです。相変わらず《森の女人像》が存在しない点は悲しいですが、とりあえず《エルフの神秘家》があるだけでも+です。

 《クイックリング》《侵入する生物種》《シディシの信者》など、低コストで呪文を再度唱えることが可能になるクリーチャーもフロンティアには多数存在しています。デッキに0マナクリーチャーや1マナクリーチャーを多く入れて、《進化の飛躍》でぐるぐるするのも楽しそうです。選択肢が圧倒的に広いので、どうやってコンボをするかは時間をかけて考えなければなりませんが、その可能性は無限大です。

 ぜひ皆さんで最強の《パラドックス装置》コンボを作っていただきたいですね。





 「神」ならではの柔軟な発想と鋭い着眼点から、各フォーマットの『霊気紛争』の注目カードをレビューしてもらいました。

 彼らは、そして世界中のプレイヤーたちは、これらのカードをどう使うのでしょうか?

 発売後に行われるプロツアー『霊気紛争』や、各フォーマットの大会結果をお楽しみに!!



Twitterでつぶやく

Facebookでシェアする

関連記事

このシリーズの過去記事