By Shin Tomizawa
シーズン最初のプロツアー『イクサラン』をトップ4の成績で飾りブレイクを果たしたジョン・ロルフ。続くプロツアー『イクサランの相克』・『ドミナリア』を共に10勝6敗、そしてマジック25周年記念プロツアーを9勝4敗1分(チーム成績)と好成績を残し続け、2017-2018シーズンを走り抜けた。
プラチナレベル到達、構築マスターレースにおいてはトップと2点差の2位で終え、そのスキルの練度を証明した彼は、スタンダードで赤単/赤黒のアグロデッキを使い続けていた。
年間を通して赤いアグロデッキと共にスタンダードを駆け抜けた彼が今回の世界選手権で駆るデッキも、当然のように赤黒アグロである。
赤いデッキで勝ち続ける彼に、話を聞く貴重な機会を逃す手はあるまい。
そこで試合開始前の貴重な時間を割いてもらい、インタビューにご協力いただいた。
ミラーマッチを制するために
――「あなたはこの1年間赤いデッキを使い続けて世界選手権までたどり着きましたが、赤いデッキを上手く使うにはどのようなことが重要になるのでしょうか?例えば、『赤黒アグロ』同型を制するために気を付けていることはありますか?」
ジョン「赤黒のミラーマッチはたくさんテストしたよ。今は一番人気のあるデッキで、多くの人がプレイしている以上ミラーは避けられない」
――「なるほど、どのような結論が出せましたか?」
ジョン「みんなやっていることだが、ゲームによってプランを変えるというのは本当に重要だ。僕は1ゲーム目ではできるだけアグロ戦術を取ることにしている。バーンデッキのようにね。2ゲーム目では、これも主流のプランだと思うが、PWなどの重いカードを増やしてミッドレンジかコントロールのように振る舞う。3ゲーム目までもつれた場合にどちらの対策を立てるか迷わせることだ。相手の想定を外すことができれば優位に立てる」
――「ということは、アグロプランに戻すこともあるということでしょうか」
ジョン「相手の対策が甘かったり、デッキを極端に重くしていることが確信できたときにはそういうこともあるね。自分が先攻ならなおさらだ」
キープ or マリガン?
――「赤いデッキのマリガンについてはどうでしょう?こちらはHareruya Prosの原根 健太選手がTwitterに掲載した問題ですが、あなたならどうしますか?」
スタンダード赤黒
— Kenta Harane (@jsp_magic) 2018年9月5日
自分先手、相手不明
山、山、ボーマット、たかり屋、フェニックス、ハゾレト、ドラゴン
ジョン「うーん…中々悩ましい初手だ。相手のデッキがわからないしね…。しかし、結論はマリガンだ。《栄光をもたらすもの》を出す前にゲームが終わってしまう可能性は無視できない確率で起こるだろうし、どうしたって手札を使いきれないから《熱烈の神ハゾレト》も無駄カードになる」
――「ちなみに原根選手の解答は『マリガンを選択。もしも呪文のうちどれか1枚が《削剥》か《ゴブリンの鎖回し》ならキープ』とのことで、日本選手権2018を同アーキタイプで準優勝した難波選手もマリガンするとのコメントを残しています」
ジョン「全く同感だ。嬉しいね。僕の意見としては、もし4マナ以上のカードが全て《再燃するフェニックス》だったならキープする。《熱烈の神ハゾレト》と《栄光をもたらすもの》では、都合よく土地を2枚引けたとしてもなお有効に働かないからね。2枚も無駄なカードがあるのは許容できないが、《再燃するフェニックス》ならそうはならないと思う」
微調整で差を付ける
――「昨今は情報の流れが非常に速くなっていますが、ネットに掲載されているようなリストをそのままプレイすることに抵抗はありますか?例えば『赤単』や『赤黒アグロ』のような素晴らしいデッキがあったとして、仮に75枚を完全にコピーしたとしたら対戦相手はしっかりと準備していることが予想されます。そういったことを加味して、自分なりの味付けをすべきだと考えますか?」
ジョン「スタンダードは毎週のようにメタゲームが変わるから、コピーデッキをそのまま使うことはあまりしないね。想定するメタゲームに応じて微調整をするのが僕のスタイルだ。今の環境の赤黒アグロで言えば、5枚から10枚は意識する相手によって変える余地のあるスロットだと思う。今大会では、ミラーマッチが多くなることを想定して、《マグマのしぶき》をメインから入れたりしているよ」
1 《沼》
4 《泥濘の峡谷》
4 《竜髑髏の山頂》
2 《霊気拠点》
-土地 (25)- 4 《ボーマットの急使》
4 《屑鉄場のたかり屋》
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》
4 《ゴブリンの鎖回し》
2 《ピア・ナラー》
3 《再燃するフェニックス》
2 《熱烈の神ハゾレト》
2 《栄光をもたらすもの》
-クリーチャー (23)-
いかがだっただろうか。
世界最高峰まで上り詰めた赤アグロマスター、ジョン・ロルフ。
トップメタを使用し勝ち続ける彼の思考から、得られる知見があったなら幸いだ。
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