インタビュー: Hareruya Latin ~最高のシーズンを振り返る~

晴れる屋

By Shin Tomizawa

 3名のプロツアー・チャンピオンが所属する南米のオールスターチームHareruya Latinは、マジック25周年プロツアーでのトップ4入賞を以ってシーズン総計212点のプロポイントを稼ぎ出し、堂々たる首位でチームシリーズ決勝戦へと駒を進めた。

 圧倒的と呼ぶに相応しいパフォーマンスを見せた彼らは今何を思うのか。昨シーズンを振り返ってもらおう。

昨シーズンは本当にたくさんの勝利を重ねられましたが、最も印象に残っている試合や大会はどんなものでしたか?

カルロス「マジック25周年プロツアーでの、トップ4で負けてしまった最終戦だね。とても悔しかった」

ティアゴ「俺はマジック25周年プロツアーのラウンド12かな。カルロスがマッチを落としてしまい、しかしマルシオは勝利した。チームの勝敗を賭けた試合が、よりにもよって相性が悪いウルザトロンとのマッチアップだったんだ。かなりプレッシャーがかかっていたけど、望外の勝利を得た。相手が5~6ターン何も引かなかっただけなんだけど……、とにかくチームの決勝ラウンド進出を守れてほっとしたよ。あの数ターンは生きた心地がしなかった」

ルーカス「プロツアー『ドミナリア』でジョン・フィンケルに構築とリミテッド両方のラウンドで当たって、その2試合ともに勝利したことです!」

セバスティアン「マジック25周年プロツアーの2日目の試合の一幕だね。俺は負けてしまって、さらにルイスもピンチに陥っていた。対ドレッジ(Hareruya Hopesのマッティ・クイスマ。プロツアーに先だってドレッジでグランプリ・バルセロナ2018で優勝)のタイトなゲームで、ルイスが《終末》を引き込んで勝利し、俺のゴールドレベルを確定させてくれたことが一番嬉しかったよ」

ルイス「優勝したプロツアー『イクサランの相克』はもちろん印象深い。特に準々決勝は最も危うい戦いだった。相手の4色《死の影》は非常に厳しいマッチアップで、勝率は10%程度と見込んでいたけど、わずかなチャンスを物にできたんだ」

マルシオ「マジック25周年プロツアーのトップ4入賞ももちろんいい思い出だが、プロツアー『ドミナリア』でのトップ4の試合だ。大舞台での親友(ゴンサロ・ピント)との試合はとても感慨深いものがあった」

自身のプレイヤーとしての長所と短所はなんだと思いますか?

ルーカス「大会前のデッキ調整にかけてはいつもしっかりと準備をしている自信があり、短所はたびたび集中力に欠けたプレイをしてしまうことです。メンタル面を鍛えなければいけませんね」

ルイス「俺はテクニカルなプレイには自信を持ってるよ。ただ、デッキ構築とサイドボーディングには大きな問題を抱えている。でも、今はチームが信頼できるリストをシェアしてくれるよ!」

セバスティアン「常にポジティブでいられるメンタル面は長所と言えるね。問題はプレイの面で、特にドラフトの技術にはまだまだ改善の余地がある。シグナルを発信することがまだ上手くできないんだ」

ティアゴ「ドラフトは得意な方だと思っている。これは僕の大きな武器だね。短所はいつも物事をネガティブに考えてしまうんだ」

マルシオ「知っての通り、リミテッドには自信があるよ。でも構築のデッキテストをするのは苦手だ。ドラフトと違って何時間もプレイし続けることができない。特にスタンダードはいつも同じようなゲーム展開になりがちだし、ちと退屈だね」

カルロス「俺の長所だって? 弱点がないってことさ! 弱点? そうだな……」

セバスティアン「長所がないことだろ?

カルロス「ははは! そうかもな!」

この1年で最も成長したと思った部分はどんなところでしょうか?

チームシリーズを通じて結束がさらに深まったことだね。個人的なところでは、チームの意見を聞いてより良いデッキを選べるようになった。スタンダードの黒赤や、モダンの5色人間、青白コントロールとかね」

ルーカス「2シーズン前はプロツアーで優勝することができました。これはとても良い結果ですが、それ以外にはあまり良いところを見せられませんでした。今シーズンは2回トップ16に入賞でき、明確にアベレージが上がったと感じています。2日目に失速したものの初日全勝したプロツアーもあったし、今まではできていなかったドラフトでの3-0を2回果たしました。これは大きな自信がつきました。ティアゴとマルシオから多くを学んだ成果ですね」

セバスティアン「今シーズンを振り返ると、経験を積んだことでよりリラックスして重要な試合に臨むことができた。昨シーズンはそういう試合になると緊張しまっていて実力を発揮できなかったと思う。ハードな経験を積んだことで改善できた点だね」

ティアゴ「自分の選択したデッキに後悔し続けたりはしなくなって、ネガティブな部分は少し良くなったかな」

マルシオ「チームの結束が強まったことだ。意志の疎通がさらにスムーズになって、意見交換が活発になった」

ルイス「最も改善されたのはマインドセット。負けが込んでいるときでも苛立ったりせずに正しいプレイを続け、それ以上負けないようになった。これが最も大きいと思う」

逆に昨シーズンに足りなかったところ、改善したいと思ったところはありますか?

カルロス「トーナメントの準備をするという面だな。デッキをテストしたり、記事を読んだり、動画を観たり、より良い準備をすることを心掛けたい」

ティアゴ「同じくデッキのテストをより充実させたい。人員や時間、もっとたくさんのリソースを割く必要があるだろう」

ルーカス「もう一度プロツアーのトップ8に入りたいですね。そのために何をすればよいか、今は答えが出せません……。もっと考えなくてはなりません」

セバスティアン「プラチナレベル到達! Hareruya Latinはプラチナプロばかりだから、仲間たちに追いつかないとね」

マルシオ「いつも改善したいことばかりだよ。先ほどのプレイテストについてもそうだし、他にも、自分が理解していることを言語化して他のメンバーともっと共有したい

ルイス「デッキ構築が本当に苦手なので、自分自身でも調整ができるようになりたいね」

2018-2019シーズンの目標をお聞かせください。

カルロス「チームシリーズ連続優勝、全員がプラチナレベル、全員がプロツアートップ8、そして自身の殿堂入りだ。来年はプロツアーが6回あるから、全部の大会を俺たちが1人ずつ優勝したら素敵だろう?

ティアゴ「世界選手権に参加することかな」

ルーカス「もう一度プロツアートップ8に入ることです」

セバスティアン「プラチナレベル到達だよ。さっきと同じになっちゃうけどね(笑) 心底望んでいるんだ」

マルシオ「チームシリーズを同じチームでまた決勝まで進みたい。個人目標はプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを取ることだ」

ルイス「プラチナレベルを維持すること

最後に、チームシリーズ決勝に向けた意気込みを聞かせてもらえますか?

「いつもありがとう、みんなの応援は本当に励みになるし、ファンがくれるツイッターのメッセージをとても楽しみにしているよ。このラスベガスでトロフィーを取って、素晴らしい仲間たちと喜びを分かち合いたい。歌ったり踊ったりして喜びたい(笑) いや、これは大事なことだぜ? チームの成功は俺達のモチベーションを最高に高めてくれるんだ!」

 彼らの戦いはこのチームシリーズ決勝で一つの区切りを迎えるが、すぐに次のトーナメントが待っている。

 インタビュー中にずっと伝わってきたのは、チーム全員がお互いのことを兄弟のように慕いあっていること。世界最高峰のトーナメントで勝ち続けるために多大な労力を要したことは想像に難くないが、全員が仲間たちと切磋琢磨することを心底楽しんでいる。

 努力を苦とは思わない彼らならば、続くシーズンも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるだろう。

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