By 富田 翼
ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019開幕直前、Hareruya Prosへの電撃加入が発表されたラファエル・レヴィ。黎明期から現在まで活躍を続けているレジェンドだが、意外とその素顔は知られていない。
それこそ少年から青年、結婚を経て現在は父親として競技レベルで活躍し続けているが、我々いつだってはweb越しに彼の後ろ姿ばかりを見てきた。
だからこそ観戦記事ではなく、正面に座り彼の生の声を届けたい。今回は加入したばかりラファエル・レヴィへインタビューをお願いした。
ラファエル・レヴィの原点
――「Hareruya Prosへようこそ!まずは日本の読者への紹介を兼ねて、根本的な質問から始めたいと思います。マジックを始めた経緯について教えてください」
レヴィ「私がマジックを始めたのは大体『アンティキティー』の時だね。(今や37歳だけど)13歳のころに友達が勧めてくれて、見事にはまってしまったよ。自分より年上のプレイヤーを打ち負かしていると、もしかして自分はマジックが上手いんじゃないかと思えたね」
――「24年も!?本当にマジックの黎明期から続けているのですね。レヴィ選手の途切れることのない情熱、マジックの魅力を教えてください」
レヴィ「私は当時チェスをする機会も多かったので、マジックの競技的な側面が非常に魅力的に映ったね。初めて参加した地元でのトーナメントではいい成績を残せたし、続いて国別選手権、そして世界選手権にも出場することができた。1997年に権利を勝ち取ってから今でもプロツアー(現ミシックチャンピオンシップ)に参加し続けているよ」
レヴィ「勝つこともだが、なんと言えばいいのかな。私はレベルの高い大会に参加するのが好きなんだ!素晴らしいプレイヤーたちと真剣勝負ができるからね」
訪れた転換期
――「レヴィ選手は プロツアーニューヨーク98からプロツアー『破滅の刻』 まで、実に91回も連続で出場を果たしていましたね。そしてプロツアー『イクサラン』の時期に第一子が誕生されましたが、マジックとの付き合い方に変化はありましたか?」
レヴィ「私の息子、ラヴァン/Lavanはプロツアー『イクサラン』に発つ予定の日に生まれたんだ。妻のモニカ/Monicaにとってはもう3週間遅い予定だったが、息子が私たち夫婦に早く会いたかったのだと思う。家族のためにプロツアーを辞退するのは、当然のことさ」
レヴィ「ただ家族とマジックの両立をする上では、ちょっと前途多難な走り出しだったかもしれない。実際にその年のマジックは思うように成績を残すことができなかった。仕事を持ち、マジックをプレイし、家族の面倒を見る。当時の私にとってそれは到底手に負えないものだったんだ。あまり睡眠時間が取れなかったので、プレイングを含めて、何をするにせよ大きな影響が出てしまっていたよ。だから当然のごとく大会では全くうまくいかなかった」
――「レヴィ選手ほどの方でも難しかったわけですね。現在はどのような工夫をして家族と競技マジックを両立しているのでしょうか?」
レヴィ「全てをうまくするために、自分は無理をし過ぎていた。自分も大事にしなきゃいけないって気付くまで丸一年もかかったよ。家族に対していい父親であり、そしてマジックのシーンでも活躍するには自分自身のことも大切にしなければいけない。先週のグランプリ・ストラスブルグ2019でトップ4に入れたから、これは正しかったんだと思う。睡眠もしっかりとり、体調管理に努めたおかげだね」
Hareruya Pros × ラファエル・レヴィ
――「この度Hareruya Prosに加入されましたが、その経緯を教えてください。またその決め手はなんでしょうか?」
レヴィ「今年の初めに7年間記事を書いてきた他サイトとの契約が終わりを迎えた。ちょっとの期間記事を書くことから離れて、家族との時間をより大切にしたくなったんだ」
レヴィ「小休止を終えてから、多くの友人(中でもジェレミー・デザーニ/Jeremy Dezaniは非常に貢献しているよね)を支援している晴れる屋に連絡を取ってみた。これまでも齋藤 友晴のチーム(Connected Company、Hareruya Axe)に所属していたし、共に戦っていた仲間とより親しくなりたいと思うのは自然じゃないかな?」
――「レヴィ選手と一緒に戦えることを私たちも嬉しく思います。さて、Hareruya Prosへ加入された一プロプレイヤーとして、更に殿堂プレイヤーとして次の目標は何でしょうか?」
レヴィ「今やマジックに真剣に取り組めるようになって、再び高レベルな世界で戦えるようになったと感じている。7つ目のトロフィーを家に持ち帰れたらなおよかったが、それでもストラスブルグは戦線に戻るいい機会だったね。ミシックチャンピオンシップでのTop8やグランプリでの優勝を経験出来たら、経歴にまた一つ花を添えることができるだろう」
――「最後になりますが、日本の読者へメッセージをお願いします」
レヴィ「日本のコミュニティとはいい関係を築けているが、そこまで親密ではなかったね。これからはお互いのことをより深く知れたらいいと思っているよ!」
――「ありがとうございました。」
マジックを愛し、家族を想うだけでは、一流の男ではない。自分自身も大切にする必要があることに気づき、プロとして新たな一歩を踏み出したラファエル・レヴィ。グランプリ・ストラスブルグ2019でのトップ4入賞は、復調の兆しを強く印象付けてくれた。
ラファエル・レヴィから素晴らしい報告が日本へ届くことを期待しよう。