決勝:植西 啓祐 (5色スケープシフト) vs. 宮川 佳大 (シミックエレメンタル)
晴れる屋メディアチーム
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By Yuma Yamamura
今季のスタンダードは、非常に流動的である。リリースされるエキスパンションの影響力が非常に強く、次々と新しいアーキタイプが開発されては環境に変化が訪れる。
今回勝ち進んできた2人のデッキも例に漏れず、『基本セット2020』によって生まれたデッキ同士の対決となった。
植西が使用するデッキは「5色スケープシフト」。
《死者の原野》という最高の相方を手に入れた《風景の変容》が、ここにきてまさかの一大勢力に。
戦場をゾンビで埋め尽くす瞬殺コンボも魅力だが、一度《死者の原野》の条件さえ満たせば、土地を戦場に出すカード全てがフィニッシャーと化すことも強みのひとつだ。それゆえに対策が難しく、デッキの安定性と強度は非常に高い。
先日行われた第14期スタンダード神挑戦者決定戦では、Hareruya Hopesの江原 洸太が使用。圧倒的なパフォーマンスをもって優勝し、勢いそのままに神の座をも射止めた。
各地で行われている大会でも上位に入賞しており、今最も注目を集めているデッキである。
対する宮川が使用するデッキは「シミックエレメンタルランプ」。
《枝葉族のドルイド》や《発現する浅瀬》といったエレメンタルシナジー、さらには除去が乏しいシミックカラーにとって待望の《大食のハイドラ》という新戦力を手に入れ、前環境から大幅に強化されたデッキである。
《世界を揺るがす者、ニッサ》も搭載されており、とてつもないマナの量から放つX呪文は、豪快に相手を薙ぎ倒す。
両者ともここで勝てば初タイトル獲得ということもあり、気合十分である。ローテーション前最後の帝王となるのは、果たしてどちらだろうか。
まずはお互いに《繁殖池》をタップイン。2ターン目には植西のデッキのキーカード、《死者の原野》が戦場に登場する。
宮川は《枝葉族のドルイド》を唱えてマナ加速を試みるが、植西の《時を解す者、テフェリー》で阻まれる。
お返しにと宮川は《雲族の予見者》を送り込み、テフェリーを牽制する。だがテフェリーが落とされることを意に介さない植西は、悠々と4枚目の土地を置いて《迂回路》。《ゴルガリのギルド門》と《イゼットのギルド門》を導き出し、《死者の原野》の条件達成にリーチをかける。
マナの差で離された宮川は、《雲族の予見者》の攻撃で《時を解す者、テフェリー》を倒してから《発現する浅瀬》。土地を伸ばしてマナの差を埋める。
植西は恒久的なアドバンテージ源の《発現する浅瀬》を《拘留代理人》で退場させ、セットランドと《エルフの再生者》でさらに土地を伸ばしていく。そしてこの過程で《死者の原野》の条件を達成したことで、ゾンビが2体出現。ラクーンシティも目じゃないレベルの生産効率である。
殺伐とした原野から力を得る植西に対し、宮川は穏やかな森林から力を得る《世界を揺るがす者、ニッサ》で対抗する。
しかし、植西は返すターンで豊富なマナから《ハイドロイド混成体》X=6。手札を補充し、なおかつ《世界を揺るがす者、ニッサ》を倒せる戦力を用意する。
だが宮川も負けていない。目には目を、ハイドラにはハイドラをと言わんばかりの《大食のハイドラ》X=6!!
ハイドラ同士の格闘を行うが、令和生まれの《大食のハイドラ》はなぜかタフネスが1あるため、一方的に《ハイドロイド混成体》を葬り去る。
大型クリーチャーを失ったものの、手札は潤沢な植西。《エルフの再生者》×2を重ね、1体目は土地を見つけることに失敗するが、2体目が見つけ出したのは2枚目となる《死者の原野》。その後《迂回路》を唱え、総勢10体のゾンビが立ち並ぶ!!
すさまじい数のゾンビに圧倒され始めた宮川は、出せるだけのマナをつぎ込んだ渾身の《ハイドロイド混成体》X=12!序盤に呼び出した《雲族の予見者》がコツコツ殴っていたおかげで、ライフが危険水域に達している植西に回答を迫る。
とても受けきれるサイズではない《ハイドロイド混成体》を前に、苦い顔の植西。しばらくして覚悟を決めた植西は、《不屈の巡礼者、ゴロス》を唱える。
まずは戦場に出たときの能力で《死者の原野》を追加し、ゾンビを生成。すでにゾンビは宮川を倒すのに十分な数が立ち並んでいる。
そして次のターンを生き残るため、もしくは宮川を倒す手段を求めて《不屈の巡礼者、ゴロス》の能力を起動する。宮川は手を合わせて全てを見守る。
めくれた3枚の中には……。
《風景の変容》、そして《時を解す者、テフェリー》×2!!
1枚目の《時を解す者、テフェリー》で《ハイドロイド混成体》をバウンス、さらには2枚目の《時を解す者、テフェリー》で《大食のハイドラ》をもバウンス。
無防備となった宮川にゾンビの群れが雪崩れ込む!
この攻撃によってニッサも倒され、全てを失ってしまった宮川はここで投了となった。
「シャッフル失敗した~!」と嘆く宮川と、「助かった~」とホッとする表情の植西。
両者両極の一喜一憂であるが、談笑を交えて対戦する様は見ていて非常に楽しそうである。
植西 1-0 宮川
涼しい顔で7枚キープを宣言する宮川に対し、植西は少し悩みながらも7枚を渋々キープ。
余裕のキープだけあって、宮川は1ターン目に《ラノワールのエルフ》から2ターン目、3ターン目と連続して《雲族の予見者》という好スタートを切る。
手札を減らすことなく攻勢をかける宮川に対し、タップイン土地が続く植西はこの動きを静観することしかできない。
全軍で攻撃して植西のライフを13まで落とし込んだ宮川は、《発現する浅瀬》を戦場に送り込む。手札を補充しつつ、さらに《ラノワールのエルフ》を追加。
小粒だが数が凄まじい宮川の軍勢に対して、植西は《エルフの再生者》から《ゴルガリのギルド門》を戦場に。手札から《死者の原野》をセットするものの、はたしてこのカードが機能するまで生き残ることができるのか?
返しに宮川はエルフのチャンプを許さない《大食のハイドラ》X=3。《エルフの再生者》をハイドラの餌食とし、全軍で攻撃して王手をかける!
しかし、植西はここで最高の回答となる《時の一掃》をキャストし、文字通り戦場を一掃!!
窮地を脱した植西は、ついに《死者の原野》からゾンビの量産体制に入り反撃の狼煙を上げる。
残り少しのライフを何とか削りたい宮川だが、返しの動きは《発現する浅瀬》と《楽園のドルイド》を送り出すのみという寂しいターンとなった。
これで完全にペースを掴んだ植西は、《死者の原野》でゾンビを生成しながら《拘留代理人》。宮川の頼みの綱の《発現する浅瀬》を封じ込める。
手札がなく何もできない宮川を尻目に、続くターンに2枚目の《死者の原野》を出してゾンビが2体、《迂回路》を打ってさらにゾンビが4体と怒涛の展開を見せる植西。
次のターンには《不屈の巡礼者、ゴロス》を出して3枚目の《死者の原野》を導き、手札から土地を置いて悠に10体を超えるゾンビの群れで宮川を圧倒する!!
最後まで有効牌を引くことができなかった宮川は、ここで投了となった。
植西 2-0 宮川
『第7期関西帝王戦スタンダード』優勝は植西 啓祐!おめでとう!!