はじめに
みなさん、こんにちは。
先週末は『BIG MAGIC Open Vol.14』でチームモダンがありましたが、みなさん楽しめましたでしょうか。一方、Magic Online(以下、MO)では、参加者400名以上の大規模なイベントである『Modern Showcase Challenge』が開催されていました。
今回の連載では『Modern Showcase Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Modern Showcase Challenge』 -『久遠の終端』の話題のあのカードが大活躍-
開催日:2025年8月8日
優勝 グリクシス眼魔
準優勝 ドメインズー
3位 アミュレットタイタン
4位 ボロスエネルギー
5位 ドメインズー
6位 エスパーブリンク
7位 ピナクル親和
8位 ネオブランド
『Modern Showcase Challenge』はMOで開催されるプレミアイベントで、今大会でのトップ8入賞者には『Showcase Qualifier』への参加権が与えられます。このイベントの勝者には、『MOCS』本戦とプロツアーへの参加権利が与えられるため、ハイレベルなイベントとなっています。
今大会のプレイオフは、トップメタのボロスエネルギーやドメインズー、アミュレットタイタン、エスパーブリンクといった定番のデッキや、『久遠の終端』からの新カードを使った親和などさまざまなデッキが見られました。
そして、参加者454名と大変長丁場なイベントを制したのはグリクシス眼魔でした。
グリクシス眼魔
赤を足して《信仰無き物あさり》を追加することで、ファッティを墓地に送るバリエーションがディミーア眼魔より増えています。
1ターン目から《信仰無き物あさり》でキーカードを探しつつ墓地を肥やし、2ターン目には《発掘》や《頑強》といったリアニメイトスペルで《忌まわしき眼魔》《残虐の執政官》を着地させることができます。
またハンデスや除去、低マナ域の優秀なクリーチャーが搭載されているため、マッチアップによっては必ずしもリアニメイトプランを実行する必要はなく、グリクシスミッドレンジのように振る舞うことも可能です。
☆注目ポイント
《信仰無き物あさり》はリアニメイトの準備以外にも、墓地にカードが溜まるので《忌まわしき眼魔》の追加のコストを支払う助けにもなります。ただ《骨の皇帝》を採用したデッキに対しては、墓地に落ちたクリーチャーを逆に利用されるリスクがあるため、使いどころには注意が必要です。
《発掘》は3コスト以下限定のリアニメイトスペルで、このデッキには《忌まわしき眼魔》《超能力蛙》《骨の皇帝》といった3マナ以下の優秀なクリーチャーがそろっています。
3マナ5/5飛行と強力なクリーチャーである《忌まわしき眼魔》は、《発掘》でリアニメイトすれば追加コストを支払う必要がなく、墓地が肥えやすいこのデッキではそれほど苦労することなく素でプレイもできます。
《超能力蛙》はモダンの中でもかなり優秀なクリーチャーであり、青黒ベースのデッキを選択する理由になります。クリーチャーを墓地に送る手段にもなるため、リアニメイト戦略とも相性が抜群で、単体でも十分に強力なためフェア戦略にシフトしやすくなります。
《骨の皇帝》は追加のリアニメイト手段であり、墓地対策としても機能するなど2マナ域のクリーチャーとは思えないほどフレキシブルな性能です。
ピナクル親和
《オパールのモックス》の禁止が解除されてから活躍をみせる親和。《コーリ鋼の短刀》はイゼット果敢だけでなく、《オパールのモックス》デッキでも使われています。
《オパールのモックス》や《モックス・アンバー》でマナ加速していき、《知りたがりの学徒、タミヨウ》や《湖に潜む者、エムリー》でアドバンテージを稼ぎ、《コーリ鋼の短刀》のモンク・トークン、《河童の砲手》や《ウルザの物語》の構築物・トークンでゲームを決めます。
また『久遠の終端』の新カード《ピナクルの特使》は、アーティファクトベースのデッキを大幅に強化しました。
☆注目ポイント
アーティファクトを多用するこのデッキでは、《金属の叱責》はほぼ1マナの《マナ漏出》として機能するため、コンボデッキを牽制したり《知りたがりの学徒、タミヨウ》や《湖に潜む者、エムリー》を除去から守るためにメインから採用されています。多くのデッキがサイドから投入してくる《空の怒り》や《溶融》といったカードの対策にもなります。
《ピナクルの特使》の真価はその軽い「ワープ」コストにあります。特に《オパールのモックス》《モックス・アンバー》《ミシュラのガラクタ》といった0マナアーティファクトとの相性が抜群で、1ターン目から大量のドローン・トークンで場を埋め尽くすことができます。これにより、早い段階から《河童の砲手》を展開したり《思考の監視者》でアドバンテージを稼ぐことが可能です。
《河童の砲手》は「護法」のおかげで除去耐性があり、6マナなので《空の怒り》や《溶融》でも対処しづらく信頼性の高いフィニッシャーとなります。
サイドにはアミュレットタイタンなどの対策で《海の先駆け》が採用されています。「英雄譚」のルール変更により、《ウルザの物語》がⅡ章の能力を得た状態で《海の先駆け》をプレイすることで、構築物・トークンを生成し続けることができるのは覚えておきたいポイントです。
エスパーブリンク
現在のモダンでボロスエネルギーと並んでトップメタとしての地位を確立しているエスパーブリンク。《ベイルマークの大主》をブリンクすることで早い段階からクリーチャー化させ、《孤独》などを使いまわすことでアドバンテージ差をつけていきます。
ミッドレンジらしくアドバンテージを稼ぐ手段が豊富で動きも一貫しており、トップメタのボロスエネルギーをはじめとした多くのデッキと互角以上に渡り合えます。
また最近はオルゾフの2色よりも、《超能力蛙》や《記憶への放逐》といった強力な青いカードにアクセスできるエスパーが主流になっています。
☆注目ポイント
『久遠の終端』から《量子の謎かけ屋》が早速採用されています。《量子の謎かけ屋》を「ワープ」して《儚い存在》や《溌剌の牧羊犬、フィリア》の能力でブリンクさせることで、アドバンテージを稼ぎつつ速い段階から強力な飛行クリーチャーを展開できます。
《大祖始の遺産》《骨の皇帝》などデッキ内のさまざまなカードと相性が良い《新たな夜明け、ケトラモーズ》ですが、エスパーバージョンでは《超能力蛙》とのシナジーもあり、墓地のカードを3枚追放する起動型能力によってドローできます。
《記憶への放逐》は青単ベルチャーや繁殖鱗コンボ、ドメインズーなどいろいろなマッチアップで有効なカウンターです。ほかにも、ストーム用には《真昼の決闘》、親和やベルチャーにはキーカードをシャットアウトできる《鳴り渡る龍哮の征服者》、横並びデッキには《空の怒り》と環境のさまざまなデッキに対する強力なサイドカードが使えることも、エスパーブリンクの人気の理由になります。
ドメインズー
常にメタの上位に位置しているドメインズーは、今大会でも準優勝、トップ8にも1名と安定した成績を残していました。
ゲーム開始時に《ギルドパクトの力線》を張ることができれば、《力線の束縛》はわずか1マナでプレイできる除去になり、《ドラコの末裔》で自軍のクリーチャーに「警戒」「呪禁」「絆魂」「先制攻撃」「トランプル」を付与できます。
ボロスエネルギーを含めたフェアデッキは、この《ドラコの末裔》+《ギルドパクトの力線》を対処できる手段が限られています。
☆注目ポイント
《ドラコの末裔》や《縄張り持ちのカヴー》といった軽くてパワー4以上のクリーチャーが主力なので、《頑固な否認》の「獰猛」を簡単に達成できます。カウンターしながら高いクロックで攻めれるので、ミッドレンジアグロの中でもコンボとのマッチアップに強い部類に入ります。
《火の怒りのタイタン、フレージ》を採用することで、よりロングゲームに対応できるようになりました。《縄張り持ちのカヴー》や《鏡割りの寓話》で墓地に送ることができ、《栄光の闘技場》で速攻を付与するコンボも搭載されています。
サイドの《門衛のスラル》はブリンクデッキなどに有効で、「脱出」していない自身の《火の怒りのタイタン、フレージ》を戦場に残す手段としても使えます。
総括
毎週のように新たな戦略が生み出され続け、モダンのメタは日々進化し続けています。ボロスエネルギーがトップメタであることは変わらないものの、メイン戦はコンボが苦手と弱点も明確なため、ほかのデッキにも活躍するチャンスがあるようです。
ブリンク系の新たなアドバンテージエンジンとして採用されている《量子の謎かけ屋》や、アーティファクトデッキを大幅に強化した《ピナクルの特使》など『久遠の終端』のカードも環境に影響を与えています。今後の環境にも注目ですね。
USA Modern Express vol. 138は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!