最新のスタンダード大会結果をチェック!
こんにちは!晴れる屋メディアの紳さんです。
MOの結果や直近の大会での入賞リストの数を見ればわかる通り、現スタンダード環境はどうやら、イゼット大釜の一強状態となっているようです。
ところで、仮にイゼット大釜が現スタンダードで最強デッキであったとして、大会本番、イゼット大釜を使用することは堅実でしょうか?
「いや、最強デッキなんだから堅実に決まっているでしょ」と思われるかもしれませんが、実際はそう簡単な話でもなさそうです。

▲Hareruya Pros・平山怜。現スタンダード神でもあります。
たとえば、9月には『スタンダード神決定戦』、11月には『チャンピオンズカップファイナル(今回はモダン)』が開催されますが、こういった大型大会にはプロプレイヤーも多く参加します。
環境に明らかな最強デッキがある場合、プロプレイヤーたちも大会で最強デッキを使用する確率は高いのではないでしょうか?
つまり、あなたがイゼット大釜を使用する場合、勝ち抜くにはプロプレイヤーとのミラーマッチを制さなければいけないという事態になりかねません。少なくとも、次のスタンダード神になるためにはHareruya Pros・平山怜に勝つことは必須条件となります。
……平山さんがイゼット大釜を使うかどうかはわかりません。しかし、「トップメタのデッキを使うと、格上プレイヤーとのミラーマッチが多くなる」という可能性は高いのではないでしょうか。
そんなとき、もしも格上が使用するイゼット大釜を狙い撃ちできるデッキがあるとしたら、使ってみたくなりませんか?
実際にそんなデッキがあるかどうかはわかりませんが、今回は「直近の大会でイゼット大釜を押しのけて勝ったデッキ」を紹介していきたいと思います!
『THE LAST SUN 2025 スタンダード予選 in 吉祥寺店』
年末に開催されるマジックの祭典、『THE LAST SUN 2025』への出場権利を懸けた予選大会が晴れる屋吉祥寺店で開催されました。参加者30名、優勝したプレイヤーだけが本戦へと駒を進めます。
『THE LAST SUN 2025 スタンダード予選 in 吉祥寺店』
準優勝 イゼット大釜
トップ4 アゾリウスコントロール
トップ4 アゾリウスコントロール
トップ8 ディミーアミッドレンジ
トップ8 ディミーアミッドレンジ
トップ8 オルゾフサクリファイス
トップ8 黒単
【大会情報】
— 晴れる屋 吉祥寺店@WPNプレミアムストア (@hareruya_kcjoji) August 17, 2025
本日13時開始の
THE LAST SUN 2025 スタンダード予選 権利獲得者は🏆
「アゾリウスアーティファクト」を使用した「オダ マサオ」様 です!
おめでとうございます🥳
上位入賞者のリストはこちらから🔽https://t.co/2d8YRNkEdt pic.twitter.com/W65JYUI5sM
イゼット大釜との決戦を制し、優勝したのはオダさんのアゾリウスアーティファクトでした。権利獲得、おめでとうございます!
ちなみに、オダさんは2021年からずっと『THE LAST SUN 予選』を抜けており、これで5年連続の権利獲得です。これまではモダンのハンマータイムで1回、レガシーのThe Spyで3回抜けています。
なぜ、オダさんは今年に限ってスタンダードを選んだのでしょう?
そして、なぜイゼット大釜ではなく、アゾリウスアーティファクトを使用したのでしょうか?
……もしかして、オダさんはアゾリウスアーティファクトがイゼット大釜に有利という知られざる真実(?)にたどり着いてしまったのでは!?
アゾリウスアーティファクト
こちらが優勝したアゾリウスアーティファクトのリストです。
《団結の最前線》はスケールが大きなカードで、1枚でほぼ確実に2枚分以上の働きが望めるカードです。
上振れると《身代わり合成機》を2枚着地させることもできますし、そうでなくとも《ピナクルの星檻》《危険な罠》《編まれた網》など盤面に干渉するカードを戦場に出すことができるため、攻防一体となるパワーカードです。
特に《ピナクルの星檻》は《略奪するアオザメ》《逸失への恐怖》《アガサの魂の大釜》といったイゼット大釜の主力をまとめて吹き飛ばし、墓地も肥やさせない点が強力ですね。
《再利用隔室》はそのときに必要なアーティファクトをサーチする手段として優秀なカードで、オダさんのリストではシルバーバレットした《火のクリスタル》を戦場に出す工夫が施されていました。
赤マナが出ないこのデッキでは起動型能力こそ使えませんが、「自軍のクリーチャーすべてに速攻を与える」のは強力で、《身代わり合成機》が生成した《構築物トークン》をすぐさま攻撃に向かわせることができます。
サイドボードには《アガサの魂の大釜》と「昂揚」を同時に対策できる《安らかなる眠り》が準備されていました。
イゼット大釜といえば、墓地を対策されても、《略奪するアオザメ》や《プロフトの映像記憶》によってスタッツを強化しながらビートダウンを遂行する動きが強烈なデッキですが、クリーチャーのスタッツ勝負になれば《身代わり合成機》が本領を発揮します。
また、青いデッキながらイゼット大釜は打ち消しを多用するタイプのデッキではなく、メインには採用されていないことがほとんどです。
《団結の最前線》を打ち消される心配が少なく、《古代魔法「アルテマ」》のようなアーティファクトをまとめて破壊するカードもないため、イゼット大釜はアゾリウスアーティファクトにとって戦いやすい相手かもしれません。
現状、イゼット大釜相手に明確に有利とされるデッキの情報は少ないのですが、アゾリウスアーティファクトは突破口となるでしょうか。今後の活躍が楽しみですね!
『チャンピオンズカップシーズン4ラウンド2スペシャル予選 in 日本橋店』
つづいて、晴れる屋日本橋店で開催された『チャンピオンズカップシーズン4ラウンド2スペシャル予選』の結果をチェックしていきましょう。参加者38名、決勝ラウンド勝者4名が本戦出場の権利を得ることになりました。
『チャンピオンズカップシーズン4ラウンド2スペシャル予選 in 日本橋店』
権利獲得 グルール上陸
権利獲得 アゾリウスコントロール
権利獲得 赤単ドラゴン
権利獲得 イゼット大釜
トップ8 ディミーアミッドレンジ
トップ8 イゼット大釜
トップ8 イゼット大釜
トップ8 グルール昂揚(デッキ非公開)
【イベント情報】
— 晴れる屋 日本橋店 (@hareruya_npnbs) August 17, 2025
本日開催の『 チャンピオンズカップシーズン4ラウンド2スペシャル予選』、ただいますべての試合が終了しました☀️
ファイナルへの権利を獲得した皆様おめでとうございます🎉
TOP8のデッキリストはこちらから👇https://t.co/uV9K2VtSud pic.twitter.com/8g77CjpsM5
トップ8にイゼット大釜が多く入賞するなか、グルール上陸、アゾリウスコントロール、赤単ドラゴンが権利を獲得しています。
……いずれも、イゼット大釜に対して強いデッキの可能性がありますね!
グルール上陸
ほぼ、緑単の上陸デッキですが、除去も妨害もない代わりに、圧倒的な速さでの「押しつけ」を狙う構成となっております。
特に《ティファ・ロックハート》や《苔生まれのハイドラ》のプレッシャーは強く、「除去されずにターンが返ってきたら、ほとんど勝ち」といっても過言ではありません。
こういったストレートな押しつけ戦略が、イゼット大釜に対して強い根拠となっているようです。
実は、イゼット大釜自体もデッキとしては「押しつけ」を狙うデッキです。
《アガサの魂の大釜》によるコンボをちらつかせながら、ビートダウンによる両軸の攻めが強力である反面、受けるためのカードが《洪水の大口へ》や《削剥》といったカードに限定されています。
そもそも、相手に干渉せずとも《略奪するアオザメ》や《プロフトの映像記憶》で勝てるケースが多く、《アガサの魂の大釜》での勝ち筋も墓地に《迷える黒魔道士、ビビ》を落とすだけと、シンプルで時間がかからないため、妨害が少なくとも問題にならないことがほとんどでした。
しかし、グルール上陸はイゼット大釜よりも速く勝ちにいけるデッキです。
1ターン目《ラノワールのエルフ》からのブン回りもあれば、《サッズのヒナチョコボ》や《棘を播く者、逆棘のビル》による速攻もあり、さらに上述した《ティファ・ロックハート》や《苔生まれのハイドラ》によるワンショットがあります。
イゼット大釜以上に攻めにオールインしているため、捌かれた場合は脆い面も見せる一方、干渉されなかった場合のスピードは現スタンダード環境でNo.1のデッキといえるでしょう。
また、ただでさえ少ないイゼット大釜の妨害を《蛇皮のヴェール》や《過剰防衛》で弾く狙いが強烈で、イージーウィンすることもありそうです。
……極端に相性が悪そうなデッキがいくつかあることは気がかりですが、対イゼット大釜における優位性はかなり高そうですね!
アゾリウスコントロール
最近では《安らかなる眠り》をメインから採用する構築が流行っているアゾリウスコントロール。今回、権利獲得となったデッキにもメインから採用されていました。
イゼット大釜対策にはもちろん、グルール昂揚やディミーアミッドレンジの《永劫の好奇心》の蘇りを封じることができるなど、メインから採用するのに十分な価値があるカードです。
特にアゾリウスコントロールにとっては鬼門となるディミーアミッドレンジとのマッチアップにおいて、少しでも相性が改善できるのは良いですね。
《古代魔法「アルテマ」》は全体除去をしながら厄介なアーティファクトを破壊することができ、《身代わり合成機》を完封することができる強力なリセット呪文です。
また、即座に「ターンを終了する」効果のおかげで、《威名のソルジャー、セフィロス》などが持つ「クリーチャーの死亡時に誘発する能力」を無効化することができます。
また、イゼット大釜はルーティングを多用する関係でたくさんドローしているように見えますが、実のところカードアドバンテージを得られるカードは《冬夜の物語》ぐらいで、これも《安らかなる眠り》で威力が半減することになります。
リソース勝負になれば《星間航路の助言》と《食糧補充》を有するアゾリウスコントロールに軍配が上がり、丁寧に打ち消しや除去で1:1交換を続ければ、アゾリウスコントロールがイゼット大釜に勝つことはそう難しくありません。
『久遠の終端』では新たに《縫い目破り》を獲得し、序盤を凌ぐ動きが強化されました。イゼット大釜に対しては《略奪するアオザメ》《プロフトの映像記憶》両方を対処できるのが便利ですね。
2ターン目から《喝破》《失せろ》を構えることもでき、アグロデッキ相手にもしっかりと立ち向かうことができます。
6月30日の禁止制限告知によって赤単アグロが大きく弱体化したことはコントロールデッキにとっては追い風となりました。
インスタントタイミングでクリーチャーを召喚するディミーアミッドレンジとは相性が悪いですが、それ以外のほとんどのデッキと対等以上に戦うことができ、今後の活躍が期待されているデッキです。
最近ではイゼット大釜がアゾリウスコントロール対策に《新星のヘルカイト》を採用するケースも増えており、それだけ苦手意識があるということなのでしょう。
打倒イゼット大釜の一番手はアゾリウスコントロールが担うかもしれませんね。
おわりに
以上、直近の大会結果からイゼット大釜に勝てそうなデッキをピックアップして紹介しました。
どのデッキにも得手不得手があり、イゼット大釜に勝てても、ほかのデッキに惨敗するといったことは考えられます。
しかし、今の状況であれば大会がイゼット大釜で溢れることは安易に予想できるため、相対的な立ち位置はかなり良くなるのではないでしょうか。
はたして、メタゲームはこのままイゼット大釜の独走となるのか。大会本番はプロプレイヤーたちの選択も気になりますね!
次回の大会結果もお楽しみに!それでは、また。