はじめに
みなさん、こんにちは。
今週末には『第30期レガシー神挑戦者決定戦』が開催されます。国内で開催されるテーブルトップのイベントで、優勝者にはレガシー神への挑戦権が与えられます。
さて、今回の連載では『Legacy Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
8/22 『Legacy Challenge 32』 -1ターンキルコンボが優勝-
開催日:2025年8月22日
優勝 The Spy
準優勝 スニーク・ショー
3位 ディミーアリアニメイト
4位 エルドラージ
5位 ナヤイニシアチブ
6位 イゼットテンポ
7位 クレイドルコントロール
8位 クレイドルコントロール
先日の『Legacy Showcase Qualifier』では、デス&タックスが優勝するなどメタに動きがありましたが、その翌週に開催された『Legacy Challenge』ではなんとThe Spyが優勝していました。
The Spy
墓地を使った高速コンボデッキ。1ターン目からマナ加速して《地底街の密告人》や《欄干のスパイ》をプレイすることで、デッキに土地がないためライブラリーのカードをすべて墓地に落とすことができます。その後、《戦慄の復活》をフラッシュバックして《タッサの神託者》をリアニメイトすることで勝利するデッキです。
相手の妨害は《否定の契約》でカウンターすることができ、コンボを決めたそのターンにゲームに勝てるので契約のデメリットも無視できます。
また、1ターン目にコンボを決めるために《暗黒の儀式》からスタートしたいので、採用されているスペルランドのすべてが黒マナを出せるものになっています。
☆注目ポイント
スペルランドの《不敬者破り》は、《ダウスィーの虚空歩き》などやっかいなクリーチャーを除去する手段になり、《アガディームの覚醒》は追加のリアニメイトスペルとして機能します。《ボガートの獲物さらい》は墓地対策兼パワー3と悪くないクロックで、コンボ対策された際にビートダウンプランに移行することもできます。
ほかのリストと異なり、《ジャック・オー・ランタン》や《記憶の旅》《ポクスウォーカー》は不採用で、《思考囲い》と《強迫》といったハンデスが多めに採用されています。ハンデスを厚くすることで、コンボを確実に通すことに重点が置かれているようです。メインの合計9枚のハンデスと《否定の契約》を活用することによって、《意志の力》などカウンターも乗り越えやすくなります。
サイド後は、墓地対策の影響を受けない勝ち手段である《ゴブリンの放火砲》が投入されます。《金属モックス》や《ライオンの瞳のダイアモンド》は 《鏡に願いを》の「協約」のコストにもなり、《ゴブリンの放火砲》をサーチすることが可能です。
8/23 『Legacy Challenge 32』 -環境のトップメタ-
開催日:2025年8月23日
優勝 ディミーアリアニメイト
準優勝 ディミーアリアニメイト
3位 バントナドゥ
4位 イゼットテンポ
5位 TES
6位 ディミーアリアニメイト
7位 8 Cast
8位 ドレッジ
TES、ドレッジ、8 Castといった比較的ニッチなデッキが入賞するなか、今大会で優勝したのはディミーアリアニメイトでした。ワンツーフィニッシュということで、さすがは現環境最強のデッキです。
ディミーアリアニメイト
今までに何度も解説しているディミーアリアニメイトですが、基本的な構成に大きな変化はなく、環境に合わせて調整が加えられています。
リアニメイトという強力な勝ちパターンがあるためメイン戦の勝率が高く、サイド後はコンボを残すか、《バロウゴイフ》や《ダウスィーの虚空歩き》といったクリーチャーや除去を投入してフェア寄りにするプランも取れます。
そのため、「墓地対策をどれぐらいサイドインするか」の読みあいが発生するので非常に対戦難易度が高く、このデッキがトップメタである理由のひとつになっています。
☆注目ポイント
リアニメイトプランをケアしつつ、1ターン目の《知りたがりの学徒、タミヨウ》に対処するのは難しく、一度変身すると時間を稼ぐことができ、[-3]で《納墓》や《再活性》を回収できます。[-7]能力が決まればほぼ勝ちなため、相手もこのカードにリソースを費やすことになり、結果的にリアニメイトプランが決まりやすくなります。
MOでは、同型やThe Spy対策に《虚無の呪文爆弾》をメインから2枚ほど採用したリストが多くみられますが、デス&タックスやイゼットテンポなどを意識していたのか、《オークの弓使い》が3枚と多めにとられていました。
墓地対策はサイドに《ダウスィーの虚空歩き》が3枚のみと思い切った構築になっています。《オークの弓使い》はミラーマッチではそれほど強くないカードなため、ミラーを意識する場合は墓地対策のほうが良さそうです。
サイド後の除去枠はいろいろありますが、特に最近は《苦々しい勝利》が見られます。《濁浪の執政》からプレインズウォーカーまで幅広い脅威に対応することが可能で、先ほどの《知りたがりの学徒、タミヨウ》にも対処しやすくなります。手札を捨てる追加コストも、このデッキなら《偉大なる統一者、アトラクサ》などリアニメイトしたいクリーチャーを墓地に送る手段として機能します。
8/26 『Legacy Challenge 32』 -コンボ多数-
開催日:2025年8月26日
優勝 ディミーアリアニメイト
準優勝 The Spy
3位 赤単ストンピィ
4位 カーンフォージ
5位 The Spy
6位 ジェスカイコントロール
7位 カーンフォージ
8位 ディミーアリアニメイト
The Spy、カーンフォージといったコンボが複数見られ、優勝はトップメタのディミーアリアニメイトでした。メインからの墓地対策が薄くなってきたこともあり、ディミーアリアニメイトとThe Spyは高い勝率を出しています。
カーンフォージ
レガシーを代表する無色デッキで、デッキ名通りマナ加速を利用して可能な限り早く《神秘の炉》《大いなる創造者、カーン》《一つの指輪》といった強力な4マナ域を展開していきます。
メインのカードがすべて無色なため、《神秘の炉》の効果でライブラリートップから複数の無色スペルをプレイできます。
《大いなる創造者、カーン》の[-2]能力によって、サイドボードから《罠の橋》や《トーモッドの墓所》などを状況に応じてサーチするシルバーバレット戦略も採用されており、ほかにも《マイコシンスの格子》で相手をロックしたり、コンボパーツの《パラドックス装置》もサーチ可能です。
マナが大量に出るので《目くらまし》などソフトカウンターに耐性があり、クリーチャー主体ではないので相手の除去が無駄になりやすいのも強みです。また、《魂標ランタン》などメインから墓地対策にアクセスできるので、ディミーアリアニメイトやテンポデッキに強いデッキになります。
☆注目ポイント
『久遠の終端』から登場した《冷酷な船長、テゼレット》が新戦力として活躍しています。《厳かなモノリス》や《一つの指輪》などをアンタップする[+0]能力、《Candelabra of Tawnos》や《多用途の鍵》といったアーティファクトをサーチできる[-1]能力など、アーティファクトを軸とするこのデッキで真価を発揮するプレインズウォーカーです。
3マナと軽いため、《厳かなモノリス》などから1ターン目に《冷酷な船長、テゼレット》をプレイすることもでき、その《厳かなモノリス》をアンタップしてさらに展開していくことも可能です。またアーティファクトを場に出すことで忠誠度が上がるため、戦闘での対処も困難です。
このデッキの主な勝ち手段のひとつが《まばゆい肉掻き》です。無色スペルをプレイするたびに落とし子・トークンを生成でき、さらにトークンが出るたびに相手にダメージが入るため、《神秘の炉》コンボでの勝利を容易にします。
フレキシブルなスペルである《コジレックの命令》とのコンボも強力で、《まばゆい肉掻き》が戦場にいれば1つ目のモードで多大なダメージを叩きだせます。
8/30 『Legacy Challenge 32』 -墓地を使ったデッキが複数入賞-
開催日:2025年8月30日
優勝 セファリッドナドゥ
準優勝 12ポスト
3位 ディミーアリアニメイト
4位 ディミーアリアニメイト
5位 ジェスカイコントロール
6位 セファリッドナドゥ
7位 The Spy
8位 オルゾフエネルギー
墓地を使ったデッキが複数入賞するなか、優勝したのはセファリッドナドゥでした。
セファリッドナドゥ
《セファリッドの幻術師》+《コーの遊牧民》のコンボによってライブラリーを空にし、その過程で場に出た《ナルコメーバ》をコストに《戦慄の復活》をフラッシュバックし、《タッサの神託者》をリアニメイトして勝利するデッキです。
《剣を鍬に》やカウンターを採用しているため、コンボをちらつかせつつコントロールとしても振る舞えます。相手がコンボを意識しすぎてゲームが長引けば、《ウルザの物語》の構築物・トークンでビートダウンしたり、《魂の洞窟》からカウンター不能の《有翼の叡智、ナドゥ》をプレイして莫大なカードアドバンテージを稼ぐことでゲームに勝つことも可能です。
☆注目ポイント
《コーの遊牧民》は《セファリッドの幻術師》とのコンボ以外では基本役に立たないカードでしたが、《有翼の叡智、ナドゥ》と組み合わせることで、毎ターン大量にドローができる強力なアドバンテージエンジンになります。
《ウルザの物語》はコンボパーツの《手甲》のサーチ手段兼、追加の勝ち手段としての役割を担っています。コンボを対策されても、構築物・トークンでビートダウンプランに移行することが可能です。
《記憶の旅》は相手の墓地を牽制しつつ、《外科的摘出》や《フェアリーの忌み者》といった墓地対策を回避する手段としても使えます。フラッシュバックコストも軽いので、墓地を肥やす《セファリッドの幻術師》とも相性がいいスペルになります。
相手に《タッサの神託者》のリアニメイトを妨害されても、《記憶の旅》でライブラリートップに戻して、次のターンに手札からプレイして勝つという動きも可能です。
総括
デス&タックスやカーンフォージといった非青デッキが台頭してきたことで、The Spyなど高速コンボも復権してきました。
多角的なプランを有するディミーアリアニメイトを相手に、サイド後のゲームで2勝するのは困難なため《虚無の呪文爆弾》《魂標ランタン》《忍耐》といった墓地対策はメインから採用しておきたいところです。
《冷酷な船長、テゼレット》を採用したカーンフォージも活躍していますが、《記憶への放逐》や《無のロッド》といった対策がどれだけ採られているかで強さが変動するデッキになります。また、MOではあまり見かけないものの『BIG MAGIC Open Vol.14 Legacy』で入賞していたディミーア忍者も要注目です。
USA Legacy Express vol.261は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!