インタビュー:レガシー界の「母」斉藤 伸夫 -高野 成樹の源流を知る者-

晴れる屋メディアチーム

レガシープレイヤーを育むレジェンド

レガシー神・高野 成樹の永世神が懸かった大会、「第30期レガシー神挑戦者決定戦」において、斉藤 伸夫の姿があった。

強豪レガシープレイヤーとしてその名を馳せ、レガシープレイヤーを集めたコミュニティの推進にも力を注いできた。また、自身の研究成果を独り占めにするようなことをせず、惜しみなく世の中に向けて公開、情報発信を続けてきた人物でもある。

レガシー界の発展のために」という想いで連載されていた「のぶおの部屋」は伝説的なコンテンツで、多くのレガシープレイヤーに親しまれてきただろう。

今回、レガシー神決定戦に寄せて、高野 成樹の「母親的存在」である彼に話を聞かせてもらった。

インタビュー

近況について

──最近はレガシーをプレイされているんでしょうか?

斉藤 :趣味もいろいろあるので、ほとんどやっていません。ただ、マジックをプレイすることは減りましたが、LINEで仲間たちと今でも連絡を取っているし、新セットが出たときにはカードレビューとかも参加しています。

敏捷なこそ泥、ラガバンレンと六番超能力蛙

斉藤 :昔から、発売前に気になるカードはテストして、強いと判断したら仲間と情報共有をしてきたんです。実はプレイこそしていませんが、《敏捷なこそ泥、ラガバン》《レンと六番》《超能力蛙》あたりは自分でも初動価格でおさえて購入しています。すべて一度も使うことなく、禁止されちゃいましたが(笑)

斉藤 :そんな感じで、マジックはいつでも復帰できると思っていますし、ずっと関わりは持ち続けています。

──ひさしぶりの大会(レガシー神)に参加してみて、いかがでしたか?

斉藤 :同窓会みたいな感じで楽しかったです。みんなとは付き合いも長くて、15年ぐらいの付き合いがある顔なじみもたくさんいましたね。

のぶおの部屋の反響について

──斉藤さんといえば「のぶおの部屋」が好評でした。記事の反響はいかがでしたか?

斉藤 :いろんな人に良かったって、声をかけてもらいました。「のぶおの部屋」に呼ばれるために、おなじアーキタイプを使い続ける職人プレイヤーもたくさんいたとか聞きましたし、すごく嬉しいですよね。

斉藤 :当時、サイドボードの「イン」「アウト」の方向性を明確にする記事は少なかったと思いますが、その先駆けになったコンテンツだったのではないでしょうか。「今後の勝敗に響くから、そういった情報はあまり広めないほうがいい」っていう考え方が主流だったと思います。また、サイドボードのインアウトはガッチリ固めないほうが良い、という風潮もありました。

斉藤 :とはいえ、「さすがに変えるよね」っていう明確なマッチアップもあるし、情報発信してから議論されることも大事だと思いました。

斉藤 :サイドボード関連の情報発信は、当時の晴れる屋メディアの編集者に僕からお願いして、「レガシー界の発展につながるから、やらせてくれ」って言って、載せてましたね。

──今、「のぶおの部屋」をやるとしたら、ゲストとして招きたいプレイヤーはいますか?

血染めの月欄干のスパイ

斉藤 :「赤単プリズン」で勝ち続けている池田 貴浩さんとか、「The Spy」のちょうちんくんですかね。

斉藤 :どちらのデッキもまだ「のぶおの部屋」で取り上げていないアーキタイプなので、ちょうど良いと思います。

レガシーのコミュニティについて

──実は、高野 成樹を育てたのも斉藤さんだとお聞きしました。

斉藤 :いやいやいや(笑)育てたなんて、大袈裟です。たしかに、シゲキとはたくさんマジックをしたし、いろんな話はしてきました。シゲキをレガシー界に惹きこむきっかけぐらいにはなったとは思います。

斉藤 :文面にすると偉そうになっちゃうんですが、シゲキには本当にいろんなことを伝えてこれたと思います。初めて出会ったころは、積極的に大型大会に参加するようなタイプではなかったんです。参加費を払うのも少し、躊躇するような。

斉藤 :今はマジックから遠ざかってはいるんですけど、僕たちには土屋という仲間がいて、シゲキを仲間に誘ったのは土屋です。「シゲキはワシが育てた」と言う権利があるとしたら土屋のほうですかね(笑)。彼が大会でシゲキのプレイを見ていて、「こいつは絶対に強くなるから、仲間にしよう」と誘ったのがきっかけです。

斉藤 :それからシゲキをよく誘っては、コミュニティのみんなで大会に出るようになって。シゲキがエルフで第1回目のBMOを優勝して……今に至る感じですかね。シゲキの活躍はずっと見てきたので、今回の永世神が懸かった戦いも、すごく応援しています。

──高野 成樹をはじめとして、斉藤さんのコミュニティからはたくさんの名レガシープレイヤーを輩出しているそうですね。

斉藤 :コミュニティの仲間で誰かしらが大会に勝つ、というのは昔からよくありました。みんなで協力して実力をつけていったという感じですね。比較的新しい仲間では、片山くんとかも活躍していますよね。彼ともたくさん、マジックをしてきましたね。

▲元パウパー神・片山 龍一。今年の8月はレガシーでBMOを優勝。

斉藤 :コミュニティでの僕の役割は「データ分析」なんです。みんなが大会に出たときの情報、デッキ分布や対戦成績といったデータをまとめて分析し、みんなにフィードバックを返すという役割をしていました。

高野 成樹について

──斉藤さんからみて、高野 成樹はどんなプレイヤーですか?

斉藤 :昔から、誰よりも数をこなすタイプでした。とにかく試合をたくさんして、自分のミスも成功体験も積み上げ、ちゃんと振り返ることができる、「習慣的な強さ」を持っているプレイヤーです。

斉藤 :プレイング面では「なにもプレイしないという選択肢」をちゃんと選べる強さを持っています。「今、動けば勝てるかもしれない」「走りきれるかもしれない」という場面でも、「ここは待った方が勝率が高いのでは?」ということを常に考える。マジックにおいて、待つことの大事さを理解しているプレイヤーですね。

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