はじめに
みなさん、こんにちは。
今週末は『第31期モダン神挑戦者決定戦』が開催されますね。モダンは人気の構築フォーマットのひとつなので盛り上がりそうです。
今回の連載では、『Modern RC Super Qualifier』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Modern RC Super Qualifier』 -ベルチャーが300名超えの予選イベントを制する-
開催日:2025年8月31日
優勝 青単ベルチャー
準優勝 イゼット果敢
3位 サムワイズフード
4位 イゼット果敢
5位 エルドラージトロン
6位 エルドラージトロン
7位 ボロスエネルギー
8位 エスパー御霊
9位 親和
10位 エスパー御霊
11位 エスパーブリンク
12位 ルビーストーム
13位 エルドラージランプ
14位 エルドラージトロン
15位 ボロスエネルギー
16位 青単ベルチャー
『Modern RC Super Qualifier』はアメリカの祝日である「レイバー・デー(労働者の日)」に開催されたこともあり、320名もの参加者が集まりました。
今大会のプレイオフには、アグロ・ミッドレンジ・ランプ・コンボと群雄割拠な最近のモダンらしく、さまざまなデッキが入賞しています。
最終的に優勝したのは青単ベルチャーでした。ボロスエネルギーやエスパーブリンクなど、ミッドレンジが活躍する環境ではコンボデッキが強くなる傾向にあります。
青単ベルチャー
モダンではお馴染みのベルチャーコンボ。《海門修復》や《朦朧への没入》などスペルランドを活用することで、《ゴブリンの放火砲》から高確率で勝利することができます。
《睡蓮の花》があれば4ターン目に《ゴブリンの放火砲》で勝つことができ、《現実の設計者、タメシ》で《睡蓮の花》を何度も再利用して大量のマナを得るといった動きも可能です。
☆注目ポイント
《撹乱する群れ》《拒絶の閃光》など複数のカウンターが搭載されており、コンボが決まるまではコントロールデッキとして振る舞うこともできます。特に《呪文嵌め》と《厳しい説教》は、トップメタのボロスエネルギーや、同じく人気があるブリンク系の多くのカードに対応できます。
《水力発電の検体》は1/4と硬いため、ブロッカーとしてコンボを決めるまでの時間稼ぎに貢献します。《朦朧への没入》はスペルランドのなかでも最も優秀なカードで、相手の脅威を捌いたり、コンボを守るために使える非常にフレキシブルなスペルになります。
《発明品の唸り》《ファラジの考古学者》《稲妻罠の教練者》といったコンボに必要なカードをサーチする手段も複数用意されています。《ファラジの考古学者》と《稲妻罠の教練者》は、《拒絶の閃光》のコストとしても使用できる点が優秀です。
《発明品の唸り》で《ゴブリンの放火砲》をサーチすることで、多くのデッキに採用されている《記憶への放逐》をかわすこともできます。サイド後は《トーモッドの墓所》など対策カードにもアクセスでき、それらのアーティファクトは《現実の設計者、タメシ》で再利用することが可能です。
サイドの《求道者テゼレット》は、主に追加の《ゴブリンの放火砲》のサーチ手段として使われます。《発明品の唸り》と同様に、《記憶への放逐》を構えた相手に対して《ゴブリンの放火砲》を戦場に出す手段になります。
イゼット果敢
《コーリ鋼の短刀》によってモンク・トークンを並べることができるイゼット果敢は、単体除去では捌き切るのが難しいためフェアデッキに強いデッキになります。
また、《変異原性の成長》+《暴力的衝動》や《精鋭射手団の目立ちたがり》による爆発力のおかげで、アンフェアなマッチアップでも相手の準備が整う前に勝負を決めることが可能です。
☆注目ポイント
《ミシュラのガラクタ》は0マナなので《コーリ鋼の短刀》の「疾風」や《精鋭射手団の目立ちたがり》などの強化として使えます。そのため、このデッキでは《ミシュラのガラクタ》をこれらのカードと一緒にプレイするまで温存することが推奨されます。
《変異原性の成長》+《暴力的衝動》の組み合わせは非常に強力で、除去が少ないデッキに対しては最速で3ターン目に勝利できるポテンシャルがあります。アミュレットタイタンや青単ベルチャーなど、コンボデッキに対しても速度で勝負することができます。
フェアデッキとのマッチアップでは、高タフネスのクリーチャーを除去できるよう《邪悪な熱気》がサイドにフル搭載されています。《表現の反復》などアドバンテージ獲得手段もあるため、サイド後は《忌まわしき眼魔》を投入してミッドレンジのように振る舞うことも可能です。
デッキ内の多くのスペルが1マナ域でまとまっているため、《虚空の杯》用に《記憶への放逐》がフル搭載されています。もし置かれた場合でも、強引にスペルをプレイして《忌まわしき眼魔》で戦うプランもとれるので覚えておきましょう。
エルドラージトロン
『タルキール:龍嵐録』から《嵐の目、ウギン》が登場したことで再びトロン戦略に注目が集まっています。
環境的にもボロスエネルギーやエスパーブリンクといったフェアデッキがポピュラーなため、エルドラージトロンはいい立ち位置にあるといえます。
☆注目ポイント
トロンランドにより3ターン目に7マナ出せるトロンは、《嵐の目、ウギン》を最も強く使えるデッキのひとつです。プレイするだけで相手の脅威を追放でき、解決後は《探検の地図》や《精神石》といった無色スペルにおまけで追放除去がついてきます。
サイドボードは《大いなる創造者、カーン》でサーチすることを前提に組まれています。
ベルチャーやネオブランドなど特定のカードに依存したデッキに刺さる《石の脳》、墓地対策の《トーモッドの墓所》、クリーチャーデッキ用の《罠の橋》、ミラーマッチ対策の《街並みの地ならし屋》などを状況に応じてサーチできます。
《攪乱のフルート》はアミュレットタイタンやルビーストームなど、多くのコンボデッキ相手にサイドインしたいカードなので複数採用されています。
さまざまなキーワード能力を持つ《七つの死の種父》は、特にフェアデッキとのマッチアップで強さを発揮します。警戒と絆魂があるのでボロスエネルギーにとっては突破が非常に困難で、到達もあるので飛行も止められます。7点ライフを支払う護法も、単体除去が中心のミッドレンジとのマッチアップでは対処されにくく、信頼性のあるフィニッシャーになります。
エスパー御霊
エスパー御霊は、諜報ランドや《超能力蛙》《信仰の繕い》によって墓地に落とした《偉大なる統一者、アトラクサ》《グリセルブランド》を《御霊の復讐》でリアニメイトするコンボデッキです。
《御霊の復讐》で釣った伝説のクリーチャーは次の終了ステップ開始時に追放されてしまいますが、《儚い存在》でブリンクすることで戦場にキープすることができます。
☆注目ポイント
『久遠の終端』で登場した《量子の謎かけ屋》は、《儚い存在》と組み合わせることによって強力なアドバンテージエンジンとなります。また「ワープ」した《量子の謎かけ屋》をブリンクすることで、ドローしつつ4/6飛行を場に残せます。
手札のクリーチャーを能動的に墓地に落とせる《超能力蛙》は、リアニメイトプランに貢献してくれるだけでなく、単体でも脅威となります。《量子の謎かけ屋》とともに、特に墓地対策が投入されゲームが長引く傾向にあるサイド後のゲームで活躍します。
サイド後は追加の《時を解す者、テフェリー》や《思考囲い》《空の怒り》などが投入され、よりミッドレンジに寄せる選択肢もあります。
《時を解す者、テフェリー》は《忍耐》や《外科的摘出》といったインスタントタイミングの妨害に有効で、さらに相手が設置しておいた《虚無の呪文爆弾》や《魂標ランタン》もバウンスできるのでリアニメイトを通しやすくしてくれます。
3色なこともあり《血染めの月》に弱いマナ基盤になっているので、《天界の粛清》のようなパーマネント除去はぜひとも採用したいです。特にボロスエネルギーは《血染めの月》をメインから採用していることも多いため、できれば基本土地から優先的にサーチしたいところです。
総括
ボロスエネルギーがトップメタなことは変わりないものの、新セットの影響もあり環境は常に変化し続けているようです。
最近では《量子の謎かけ屋》が登場したことで環境がフェアにシフトしているため、エルドラージトロンなどランプデッキも活躍しています。また、フェアデッキに強い青単ベルチャーも予選イベントで優勝するなど、さまざまなデッキが活躍できる良環境となっています。
今週末に開催される『第31期モダン神挑戦者決定戦』では、どのようなデッキが持ち込まれるのか楽しみですね。
以上、USA Modern Express vol. 139でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!