Just Nowスタンダード! vol.69 -イゼット大釜、敗れる。大型大会でシミックウロボロイドが優勝-

紳さん

最新のスタンダード大会結果をチェック!

こんにちは!晴れる屋メディアの紳さんです。

迷える黒魔道士、ビビアガサの魂の大釜プロフトの映像記憶

現スタンダードは「イゼット大釜」が支配的な環境であり、9月の『第31期スタンダード神決定戦』も現スタンダード神・Hareruya Prosの平山 怜が圧倒的な強さで防衛を果たしました。

剃刀族の棘頭魔道士封じのトカゲ新星のヘルカイト塔の点火声も出せない舷側砲の一斉射撃

イゼット大釜に対して有利と言われていた赤単も、イゼット大釜側が適切なサイドボードを用意することで克服でき、平山プロの談によると『メインはイゼット側が不利〜五分、サイド後はむしろ有利になる』とのことでした。

悪夢滅ぼし、魁渡救助のけだもの、コーナ養育するピクシー

そのほか、ディミーアミッドレンジ・コーナコンボ・オルゾフピクシーなど有力なデッキもありましたが、いずれのデッキもイゼット大釜と赤単の両方に勝つことは難しく、このままイゼット大釜の一強状態がつづく……かのように思われました。

しかし、最新の大型大会で王者・イゼット大釜が『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』の新カードを採用したデッキによって衝撃的な敗北を喫するという、思いがけない展開が待ち受けていました。

今回は、10月2日(木)に行われたマジックオンラインの『Standard RC Super Qualifier』の結果を振り返りながら、最新のメタゲームを追いかけたいと思います!

『Standard RC Super Qualifier』

地域チャンピオンシップ』に繋がる大会、『Standard RC Super Qualifier』には197名と多くのプレイヤーが参加しました。大会結果は以下の通りです。

イゼット大釜、敗れる。

天才遺伝学者、ジャッカルウロボロイドマルチバースへの通り道

優勝は新デッキのシミックウロボロイド、準優勝は多色コントロールという結果となりました。

トップ16中7名が入賞するなど、圧倒的な支配率を見せたイゼット大釜でしたが、トップ4には残れませんでした

シミックウロボロイド

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天才遺伝学者、ジャッカル遺伝子変異の成虫ウロボロイド

優勝したのは『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』の新カード《天才遺伝学者、ジャッカル》を4枚フル採用したシミックカラーのミッドレンジデッキ、シミックウロボロイドでした。

デッキに採用されているクリーチャーの質が高く、《天才遺伝学者、ジャッカル》のコピー生成能力がしっかりと活きる構成となっております。

特に《遺伝子変異の成虫》《ウロボロイド》の組み合わせは強力で、上陸によって《ウロボロイド》を3/3、あるいは6/6にすることでクリーチャー全体に置かれる+1/+1カウンターの数が増え、あっという間に盤面を制圧するポテンシャルがあります。

遠眼鏡のセイレーン脚当ての補充兵亭主の才能

《遠眼鏡のセイレーン》《地図トークン》《脚当ての補充兵》《亭主の才能》など+1/+1カウンターによってクリーチャーのパワーを調節できる点も《天才遺伝学者、ジャッカル》と噛み合っており、これから唱えるクリーチャー呪文のマナコストに合わせて《天才遺伝学者、ジャッカル》のパワーを変動させることで継続的にコピーを生成するエンジンとなります。

コピーを含めてクリーチャーが横並びすれば《ウロボロイド》でゲームを決めることができますし、ゲーム終盤は単独でも強力な飛行フィニッシャーとなる《遺伝子変異の成虫》が躍動することでしょう。

略奪するアオザメ蒸気核の学者群青の獣縛り

+1/+1カウンターでクリーチャーを強化することにより、イゼット大釜のメインアタッカーに対してサイズで立ち向かえる点が優秀です。飛行を持つ《蒸気核の学者》《量子の謎かけ屋》は厄介ですが、《遠眼鏡のセイレーン》《遺伝子変異の成虫》を強化するプランと《群青の獣縛り》で飛行を失わせるプランがあるため、粘り強く戦えます。

神出鬼没の狩人、スーラク失せろ保安官を撃て

ちなみにこのデッキはクリーチャーで殴ることのみが勝ち筋のフェアデッキであるため、一見すると除去に弱いデッキに思えますが、《脚当ての補充兵》に加えて《神出鬼没の狩人、スーラク》を戦場に出すことで、クリーチャーを対象に取る除去がさほど有効に機能しないゲームに持ち込むことができます。

審判の日古代魔法「アルテマ」

損をせずに《神出鬼没の狩人、スーラク》を除去するためには全体除去ぐらいしか有力な手段がないのですが、全体除去を使うデッキはイゼット大釜・赤単・ディミーアミッドレンジが鬼門となるため、メタゲーム的にかなり選択しづらいです。

排撃の変異呪文貫き否認

さらに、シミックカラーはサイドボード後に打ち消し呪文を用意することが可能です。今回のデッキは《排撃の変異》を3枚採用するのみに留まっていますが、仮に全体除去を使うデッキが環境に増えてきたとしたら《呪文貫き》《否認》といったカードを足すことで解決しそうです。

つまりこのデッキ、将来性抜群ということになります。

現スタンダード環境で最強のフェアデッキかもしれませんね!今後の活躍に期待しましょう。

多色コントロール

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マルチバースへの通り道フラッドファームの境界グルームレイクの境界リバーパイアーの境界

準優勝した多色コントロールは、WUBRの4色のマナを必要とする、マナ要求が厳しいデッキです。

しかし、『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』で登場した《マルチバースへの通り道》のおかげで、基本土地をほぼ採用せずに多数の境界ランドを採用するという、大胆なマナベースを実現させています。

喝破稲妻のらせん不可避の敗北ジェスカイの啓示審判の日一巻の終わり

この強固なマナベースのおかげで、《喝破》《稲妻のらせん》《不可避の敗北》《ジェスカイの啓示》といった優秀なマルチカラーの呪文を採用しながら、《審判の日》《一巻の終わり》といったダブルシンボルのカードまで運用可能となっています。

アグロデッキやミッドレンジデッキにはスピードで劣るコントロールデッキですが、《稲妻のらせん》《不可避の敗北》による3点ライフゲインによって序盤のライフロスをリカバリーする狙いも見てとれます。

食糧補充星間航路の助言神秘の指導忘れ去られし伝承のスフィンクスティシャーナの潮縛り

打ち消しや除去で1対1交換をするだけではゲームには勝てませんが、《食糧補充》やキッカー込みの《星間航路の助言》によってカードアドバンテージを稼ぎ、ゲームを優位に進めていきます。

《神秘の指導》はかなりコストが重く感じるカードですが、状況に応じて必要なインスタントカードをサーチするだけでなく、フラッシュバックによってアドバンテージまで得られるカードです。さらにサイドボード後は《忘れ去られし伝承のスフィンクス》《ティシャーナの潮縛り》といった「瞬速」持ちのクリーチャーもサーチできるようになります。

汎用性がありながら、いざとなればフィニッシャーにアクセスできるカードということで重宝しそうですね!

安らかなる眠り跳ねる春、ベーザ否認極悪非道の盗人炎魔法湧霧の村

多色デッキゆえに、墓地対策・アグロ対策・打ち消し・ロングゲーム対策としてそれぞれ、最高峰のものを選んで採用できるという強みがあります。

陽背骨のオオヤマネコ

対応幅が広く、あらゆるマッチアップに対して対等に戦えそうなデッキですが、赤単の《陽背骨のオオヤマネコ》だけは絶対に打ち消さないといけないカードとなりそうです。常に打ち消し用のマナを構えながら赤単の脅威を捌き切るのは難しく、腕の見せどころとなるでしょう。

《不可避の敗北》《ジェスカイの啓示》のカードパワーには目を見張るものがあります。使いこなせたら、この上なく楽しそうなデッキですね!

スゥルタイリアニメイト

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スーペリア・スパイダーマン最後の贈り物の運び手簒奪者、アーデン

なにかと話題の新カード、《スーペリア・スパイダーマン》を採用したリアニメイトデッキが約200名規模の大会でトップ8入賞という結果を残しました。

つい先日、ローグデッキとして紹介したばかりですが、これでもう、ローグデッキ扱いはできませんね!

デッキの詳細な解説は『限界突破スタンダード!』の記事と内容が重複するので、この記事では要点をまとめていきます。

死せる生

「切削」やルーティングによって墓地にクリーチャーを落とし、《スーペリア・スパイダーマン》《最後の贈り物の運び手》のコピーとして戦場に出すことで、さながらリビングエンド(《死せる生》)のような能力を発動させることができるのが、このデッキの必殺技です。

天才遺伝学者、ジャッカル神出鬼没の狩人、スーラクウロボロイド

簡潔にいえば「戦場と墓地のクリーチャーが入れ替わる」ことになり、墓地にクリーチャーをたくさん送り込んでいる分、こちらのデッキが大幅に有利になるという戦略です。

頭角をあらわしつつあるシミックウロボロイドも、リビングエンドの前には歯が立ちません。フェアデッキを潰すデッキとしては最上級の戦略ではないでしょうか。

安らかなる眠り虚空の力線アガサの魂の大釜

ただし、墓地対策カードの存在はかなり気になるところです。現スタンダードには最強の墓地対策カードである《安らかなる眠り》があり、さらにトップメタのイゼット大釜にはメインから《アガサの魂の大釜》が採用されています。

誉れある死者の目覚め受け継ぎし地の開墾強迫無効

風向きが良いとは言えないリアニメイトデッキですが、メインの《誉れある死者の目覚め》、サイドボードの《受け継ぎし地の開墾》《強迫》《無効》などエンチャント・アーティファクトを対処するカードにかなりの枠を割いており、多少の対策カードは乗り越えて勝ちにいける構成になっています。

せっかく肥やした墓地をリセットされると辛いですが、実際は墓地対策カードをプレイしている分、相手の動きも鈍くなっているため、意外と間に合う展開が多いのではないでしょうか。

ただのリアニメイトではない、派手なリセットつきの大量リアニメイト戦略。ぜひとも体験してみたいものですね!

おわりに

パーカー・ラック蜘蛛の心、アラーニャ

以上、最新の大会結果をお伝えしました。

イゼット大釜の脅威はまだまだ続きますが、『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』の新カードが活躍し、メタゲームがまた少し動く予感がします!

現在、《パーカー・ラック》を使ったコントロールデッキや《蜘蛛の心、アラーニャ》を採用したボロスアグロデッキなども研究が進んでいるようで、いずれ紹介できるかもしれません。

さあ、次はどんなデッキが活躍するでしょうか。次回の大会結果もお楽しみに!

この記事内で掲載されたカード

紳さん マジック愛に生きるフリーライターです。モダン、パイオニア、スタンダードでローグデッキを使い、勝利を目指す! 至って真剣勝負の毎日です。 紳さんの記事はこちら