はじめに
みなさん、こんにちは。
週末は『プレイヤーズコンベンション横浜2025』があり、そこでモダンの『チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド1』が開催されます。
今最も熱い構築フォーマットのひとつであるモダン。禁止改定はノーチェンジでしたが、新セット『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』の影響がどれほどあるか楽しみですね。
さて、今回の連載では先週Magic Online(以下、MO)で開催された『Modern RC Super Qualifier』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Modern RC Super Qualifier』 -イゼット果敢が多数入賞-
開催日:2025年11月10日
優勝 イゼット果敢
準優勝 ドメインズー
3位 イゼット果敢
4位 イゼット親和
5位 ルビーストーム
6位 シミック出産の儀
7位 アミュレットタイタン
8位 イゼット果敢
9位 ボロスエネルギー
10位 ルビーストーム
11位 ボロスエネルギー
12位 エルドラージランプ
13位 ネクロドミナンス
14位 エスパーブリンク
15位 ジェスカイブリンク
16位 繁殖鱗コンボ
《量子の謎かけ屋》の流行も落ち着いてきており、モダンはふたたび多様なデッキが見られるようになりました。
今大会ではイゼット果敢が優勝者も含めてトップ8に3名と大活躍。コンボデッキに対しても速度で勝負することができ、プロツアーでも結果を残していた人気のデッキです。
アミュレットタイタン、親和といった現環境で強いとされているデッキも見られるなか、《出産の儀》のようなニッチなデッキも入賞していました。
イゼット果敢
果敢クリーチャーや《ドラゴンの怒りの媒介者》を軽いスペルを連打することで強化し、速攻で相手のライフを削る爆発力があるアグロデッキです。
『タルキール:龍嵐録』から登場した《コーリ鋼の短刀》は、このアーキタイプを大幅に強化しました。コンボデッキに対しても速度で勝負することができ、《表現の反復》などアドバンテージを稼ぐ手段も持ち合わせているため、ロングゲームでも粘り強く戦うことができます。
☆注目ポイント
《精鋭射手団の目立ちたがり》は「計画」することで相手の隙をうかがいつつ、大ダメージを叩き出すことができます。
《ドラゴンの怒りの媒介者》は軽いスペルを多用するこのデッキでは「諜報」を誘発させやすく、「昂揚」の条件も容易に満たせます。《溶岩の投げ矢》を諜報で墓地に落とせれば、「フラッシュバック」により果敢1回分を稼ぐことが可能です。
《コーリ鋼の短刀》はこのデッキのキーカードであり、果敢持ちのトークンを複数生成できるので単体除去にも耐性がつきました。また、《ミシュラのガラクタ》のような0マナでプレイできるスペルのおかげで、《コーリ鋼の短刀》をプレイしたそのターンからトークンを生成しはじめることが可能です。
《ミシュラのガラクタ》はアーティファクトなので昂揚の達成にも役立ちます。初手にあっても、すぐにキャントリップとして使うのではなく、果敢や《コーリ鋼の短刀》用に手札にストックしておくというプレイングも重要です。
0マナでプレイできる《変異原性の成長》は、果敢クリーチャーと組み合わせることで高火力を出すことができ、相手の火力スペルから守る手段としても使えます。《暴力的衝動》は昂揚していれば二段攻撃を付与できるため、強化された《精鋭射手団の目立ちたがり》などと組み合わせることで3ターンキルを狙うことも可能です。
イゼット親和
親和はここ最近大幅に強化されたデッキになります。《オパールのモックス》が解禁され、『久遠の終端』からも《ピナクルの特使》や《武器製造》といった新戦力を獲得しました。
《ピナクルの特使》によって驚異的な速さでアーティファクトを場に並べることができ、「親和」や「即席」といったメカニズムを最大限に活用できるようになります。
☆注目ポイント
《ピナクルの特使》は現在の親和のキーカードであり、1ターン目に「ワープ」でプレイしたあとに《オパールのモックス》をプレイするだけで「金属術」の条件を満たせるので、そこからさらに展開することができます。
手札によっては、1ターン目から《河童の砲手》を叩きつけたり、《物読み》で手札を補充する理不尽な動きも可能です。1-2ターン目に出た《河童の砲手》は、「護法
」という優秀な除去耐性によって、対処するのは至難の業でしょう。
《武器製造》がメインに3枚、サイドに1枚の計4枚も採用されています。アーティファクトをプレイすることで大量の《弾薬》が並ぶので、《河童の砲手》がものすごい早さで育っていきます。
《弾薬》を墓地に送る手段として、《ギックスのかぎ爪》や《電結の荒廃者》《仕組まれた爆薬》が用意されています。
《電結の荒廃者》はかつて親和の主力として採用されていたカードで、《武器製造》との相性の良さから再び見られるようになりました。起動型能力によって《弾薬》を生け贄して自身を強化しつつ、好きなところに2点火力を飛ばせるので、大量に弾薬があれば一気にライフを削り切れます。
シミック出産の儀
最近のモダンでは、《出産の儀》が有力なアドバンテージエンジンとして台頭しています。
《出産の儀》の能力を最大限に活用することがこのデッキの目的で、《とぐろ巻きの巫女》や《氷牙のコアトル》といった軽いクリーチャーを戦場に用意すれば、《忌まわしき眼魔》など強力なクリーチャーをタダで場に出すことができます。
☆注目ポイント
このデッキも《量子の謎かけ屋》を巧みに活用しています。《量子の謎かけ屋》を「ワープ」で出したあと、戦場を離れる前に《出産の儀》で生け贄に捧げることで、新たにクリーチャーを出すことができるのです。
主にフィニッシャーである《忌まわしき眼魔》をサーチしていくことになりますが、マッチアップによっては《海の先駆け》や《忍耐》など相手にとってクリティカルなクリーチャーを出す選択肢もあります。
クリーチャー主体のデッキですが、《拒絶の閃光》《否定の力》《朦朧への没入》《忍耐》《緻密》など0マナでプレイできる妨害スペルが豊富なため、相手の脅威を弾きながら《出産の儀》とクリーチャーがそろうまでの時間を稼げます。
ルビーストーム
ルビーストームは人気のコンボデッキです。《ルビーの大メダル》や《モンスーンの魔道士、ラル》を置いて、「儀式」スペルを連打してマナを増やし、《無謀なる衝動》《レンの決意》などでデッキを掘り進めていきます。
最終的に《モンスーンの魔道士、ラル》を変身させるか、十分にマナがあり墓地にスペルが貯まった状態で《炎の中の過去》をプレイしてゲームを終わらせます。《願い》からフィニッシュ手段を持ってきたり、大量の「ストーム」から《ぶどう弾》を決めましょう。
☆注目ポイント
《美術家の才能》はレベルを上げるのにマナがかかるため、《ルビーの大メダル》や《モンスーンの魔道士、ラル》と比べると性能面では劣るものの、ルーター能力とコスト軽減能力は十分に優秀な性能です。
これらの「衝動的」ドロースペルは、コスト軽減カードとの相性が良いです。先ほどの《美術家の才能》のルーター能力によって、さらに深くライブラリーを掘り進めることができ、キーカードにもたどり着きやすくなります。
コンボデッキの宿命ではありますが、サイド後は《減衰球》や《耳の痛い静寂》《トーモッドの墓所》《オアリムの詠唱》など、さまざまな妨害にさらされることになるので注意が必要です。
このデッキのサイドにも《オアリムの詠唱》がフルで採用されており、コンボ始動前にプレイしておくことで、打ち消しなどインスタント・タイミングの妨害を対策することができます。
総括
モダンはプロツアー後もメタゲームが動き続けています。さまざまなデッキが活躍できる群雄割拠な環境なので、今回の禁止改定で変更なしというのも納得です。
ただ、唯一公式がアミュレットタイタンに関しての声明を出していました。
その種のコンボ自体は特に問題を引き起こすものではありませんが、「アミュレット・タイタン」のような複雑なデッキが勝率を高め勢力を広げると、トーナメントにおける管理上の問題が生まれるのではないかと意識するようになっています。このデッキの過去や、モダンがこれまで数多くのコンボ・デッキを取り込んできたことから、現時点でこのフォーマットに変更を加えることには消極的です。それでも今後数か月は、「アミュレット・タイタン」が与える影響に注目していきたいと思います。このデッキが競技イベントのラウンド時間に過度な影響を与え続けるようなら、私たちが取るべき行動を模索し始めるかもしれません。
デッキの強さが認識され、より多くのプレイヤーが選択することで、過去に問題視された《第二の日の出》や《クラーク族の鉄工所》などのように、イベントの進行の妨げになる可能性を懸念しているようです。
USA Modern Express vol. 144は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!
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