柳澤 由太:「アゾリウス石鍛冶」
――今回、このデッキを選択した理由を教えてください。
実は、《溌剌の牧羊犬、フィリア》を採用したアゾリウス石鍛冶の原型はもともと、ディミーアリアニメイトを倒すために私が開発したデッキなんです。「起源を主張」したいわけではありませんが(笑)
《戦前の正装》で無限にリソースを回収できるところが強みのデッキだったのですが、標的にしていたディミーアリアニメイトが環境から姿を消してしまったので、とりあえず他のデッキを使うことにしました。
具体的には《トーラックへの賛歌》が入ったディミーアテンポが有力だと考えており、今大会に向けて練習をしていたのですが、先日の『Eternal Party 2025』でアゾリウス石鍛冶がトップ8に2人も入賞し、「え?石鍛冶いけるの?」と。
とはいえ、大会前日まではディミーアテンポを使う気満々だったのですが、直前になって知り合いに「アゾリウス石鍛冶が面白いよ」と言われ、勢いで自分も石鍛冶を使うことにしました。
――このデッキのポイントを教えてください。
対戦相手のデッキに合わせて、《石鍛冶の神秘家》をプレイしたときにサーチする装備品を的確に選ぶことですかね。ロングゲームになりそうな相手には《戦前の正装》が強いですし、積極的にライフを詰めてくる相手には《殴打頭蓋》といった感じで。
さらに新しく《隕鉄剣》という選択肢が加わり、対応できるデッキの幅が広がりました。現レガシーは「なんでもいて、なんでも勝つ」環境だと考えているので、対応力があるデッキというのは魅力的です。
また、《石鍛冶の神秘家》もさることながら、このデッキの真の主役となるのは《溌剌の牧羊犬、フィリア》です。もともとデッキに必須だと思われていた《虹色の終焉》を抜くことができたのは、《溌剌の牧羊犬、フィリア》によるパーマネント一時追放でカバーできる部分があるからです。
《溌剌の牧羊犬、フィリア》と相性が良いカードもメインからナチュラルに採用することができるようになりました。追放したパーマネントが戻ってくる能力を打ち消すことで完全除去となる《もみ消し》などが代表的ですかね。
強いし、本当にかわいいワンコですよね。犬種でいうと「コーギー」だと思うので、後ろから見れば四角い食パンみたいなお尻をしていると思います。今後、様々なイラストで再録して欲しいです。
――アゾリウス石鍛冶が得意なデッキ、不得意なデッキはありますか?
このデッキはまず、《もみ消し》と《不毛の大地》を採用しているため、どんなデッキが相手でも土地嵌めで倒せる(《もみ消し》でフェッチランドの起動型能力を打ち消せる)という特徴があります。
明確に得意なデッキがあるというよりは、先述したようにどんなデッキとも対等に戦える対応力がある、といった感じですね。
あえて苦手なデッキを挙げるとしたら、エルドラージには不利だと思います。
私のリストで《石鍛冶の神秘家》や《溌剌の牧羊犬、フィリア》とシナジーのない《濁浪の執政》を3枚も採用しているのは、決着を急がないといけない場面に対応するためでもありますが、「サイズでエルドラージにも立ち向かえるから」ということも理由の一つです。
《荒景学院の戦闘魔道士》でバウンスされるとキツいんですけどね。
――今後、このデッキを改善するとしたら、どのようなアイディアがあるでしょうか。
ディミーアリアニメイトが姿を消したことで、全体的に墓地対策への意識が下がっており、そこを狙うデッキがまた隆盛する可能性があります。
現状は《外科的摘出》と《封じ込める僧侶》で対応していますが、今後は《安らかなる眠り》が採用圏内に入ってくるかもしれません。






















