中村 祐矢の8-cast
《ピナクルの特使》の登場以来、レガシーの親和デッキは8-castから0-castになってしまった。
《物読み》、《思考の監視者》が抜けてしまい、より高速化したデッキへと進化している。もはや「-cast」要素どころか「親和」要素もないのに、慣習的に8-cast、親和と呼ばれている。
初日のスイスラウンドを破竹の勢いで10-1、スイス順位一位で終えた中村祐矢。「レガシー日本選手権」を8-castで2連覇、直近の「レガシー選手権秋」も入賞するなど、8-castの名手として知られる中村のリストには《物読み》がまだ残されている。なぜ中村は”0-cast”を選択しなかったのだろうか。
――そもそもなぜ8-castを愛用しているのでしょうか。
はじめのきっかけは、2023年のニッセン(日本レガシー選手権2023)ですね。当時使うデッキを悩んでいて、友人に8-castをすすめられて使ってみたところ、都合よく勝てて強さを認識しました。
当時は《ウルザの物語》と《虚空の杯》だけでかなり勝てましたね。
ーーでは今回はなぜ8-castを選んだのでしょうか。
禁止改定で環境が動いたばかりで、みんな各々の好きなデッキを持ち込んでくるだろうなと思いました。カーンフォージが増えるかもな、と思いつつ、環境初期で混沌としているので手になじんでいるデッキを使おうと思いました。
結果的に、カーンフォージは思ったよりも少なくて、当たりもよく、結構勝てました。
長丁場のイベントは慣れてるデッキを使いたいですよね。サイドボーディングのプランも固まってますし、思考力のリソースを温存したいです。

インタビュー後も勝ち進み、トップ4入賞を果たした中村
――とはいえ、今大会でも親和デッキで《物読み》を使用するデッキは非常にまれでした。なぜ中村さんは《物読み》を続投したのでしょうか。
そもそもの話、デッキがぜんぜん違うんですよね。
あえて分類するなら、0-castはストンピィ、8-castはクロックパーミッションだと捉えています。
0-cast Legacy Championship – Eternal Weekend 2025 EU 優勝
0-castはヨーロッパでのエターナルウィークエンドで優勝していましたし、波が来ているとは思いました。しかし、デッキ相性の得手不得手がはっきりしすぎているとも感じています。メインの妨害が噛み合えば勝ち。引きが嚙み合えば勝ち。逆も然り。
8-cast 今大会で中村が使用したもの
一方の8-castはドローソースでライブラリーを掘れる、カウンターを厚めにとれるぶん、コンボにも強く、より丸いデッキだと感じています。
というのが表向きの理由です。
――すると裏向きの理由がおありで……
《継ぎ接ぎ自動機械》があまり好きになれないんですよね。
「右手要素」が強いですよね。下振れちゃうと、後引きで《継ぎ接ぎ自動機械》が来ちゃったり、《河童の砲手》を引きすぎたり。あくまで個人的な嗜好ですが、そういうデッキが好きになれなかったんです。
――丸い選択をした、ということでしたが、8-castは具体的にはどんなデッキに有利でしょうか。
まず禁止前のリアニには強かったですね~!
それはそれとして、青いテンポデッキには全体的に有利です。《虚空の杯》の刺さりがいいですからね。《目くらまし》は《古えの墳墓》などでかわしやすく、基本的には相手に《意志の力》での対応を迫り続けることができます。相手に手札損を押しつけることができるんですね。
最近は環境に《剣を鍬に》を使うデッキが増えていますが、そうしたデッキにもやはり《虚空の杯》は強いですね。
総じて、青いデッキに対してはテンポ差を付けやすいです。青いデッキにはマナなしで撃てる《意志の力》がありますが、攻めのテンポはどうしても1ターンに1枚ずつ土地を伸ばすしかありません。それに対し、こちらには《オパールのモックス》《古えの墳墓》があります。《ウルザの物語》という最強フィニッシャーもありますしね。
青いデッキに受ける展開を強いることができて、しかも《ピナクルの特使》、《ウルザの物語》、《河童の砲手》とフィニッシャーも複数あり、受け入れるには高いハードルがあります。
あと、エムリーはタミヨウなんで。アドバンテージの取り合いでも引けを取りません。
――といいますと……
まず1マナで出せます。1ターン目に出てくる。ガラクタを使いまわして情報を得ながらアドバンテージを獲得でき、マナを伸ばせたり、消された《河童の砲手》を回収したり。
タミヨウなのに《致命的な一押し》で除去するには紛争達成が必要なのもいいですね。
一方、不利なデッキというと、無色と緑のデッキですね。
チャリス界隈(《虚空の杯》入りデッキどうしのマッチ)では8-castが最弱デッキなので。同じカードなのになぜか相手のほうが強いんです。
サイズの大きいエルドラージに対しては《ウルザの物語》トークンや《河童の砲手》で対抗しなければならないんですが、《不毛の大地》や《荒景学院の戦闘魔道士》で対応されやすいのが厳しい。
あとはカーンフォージですが、「なぜか相手だけ無のロッド」の《大いなる創造者、カーン》がメインから入っているのがやばすぎます。どうなってる。
エルドラージの《魂の洞窟》、緑系の《アロサウルス飼い》は当然キツいです。クリーチャーデッキに対してはバウンスと打ち消しでの対応が基本となりますが、こうしたデッキ相手ではそれもむずかしいです。
それからDeath & Taxも。《虚空の杯》の刺さりが悪いデッキはやりにくいです。
――結局、0-castと8-castどちらがいいんでしょうか。
う~ん、結局は好みですよね。0-castはやることはっきりしていていいデッキ。レガシー環境に不慣れな人でも使いやすいと思います。
でも1マナ2ドローも楽しいですよ!
――以上、巧者中村の嗜好、もとい「思考/thought」でした。























