THE LAST SUN 2025:メタゲームブレイクダウン(スタンダード)

晴れる屋メディアチーム

THE LAST SUN 2025:スタンダードメタゲームブレイクダウン

12月20日、年末のマジックの祭典『THE LAST SUN 2025』が晴れる屋TC東京で開催された。

『霊気走破』から『マジック:ザ・ギャザリング|アバター 伝説の少年アン』まで、今年発売の新セットには環境を塗り替えてしまうほどのパワーを持つカードが多く収録された。スタンダードのカードをレガシーやヴィンテージのような下環境で見かけるのは、いまやあたり前になっている。

食糧補充勝利の楽士量子の謎かけ屋アナグマモグラの仔

その一方で、禁止改定によって多くのカードが退場を余儀なくされた

アブエロの覚醒この町は狭すぎるプロフトの映像記憶望み無き悪夢心火の英雄
叫ぶ宿敵巨怪の怒りコーリ鋼の短刀豆の木をのぼれ迷える黒魔道士、ビビ

そんな激動の年となった2025年のスタンダード環境だが、締めくくりとなる本大会でメタゲームの頂点に立つのはどのデッキになるのだろうか。ここからは予選を勝ち抜いた全国の猛者たち210名によるメタゲームブレイクダウンを見ていこう。

デッキ 使用者数 使用率
ディミーアミッドレンジ3616.82%
イゼット講義2813.08%
イゼットルーティング2612.15%
赤単アグロ198.88%
スゥルタイリアニメイト157.01%
イゼットブリンク104.67%
ジェスカイコントロール94.21%
コーナコンボ62.80%
《身代わり合成機》52.34%
ナヤユウナ41.87%
グルール昂揚41.87%
白単コントロール41.87%
黒単デーモン31.40%
4色コントロール31.40%
ゴルガリウロボロイド31.40%
シミックウロボロイド31.40%
ディミーアコントロール31.40%
青単20.93%
緑単ウロボロイド20.93%
ディミーアバウンス20.93%
バントエアベンダー20.93%
ティムールカワウソ20.93%
グルールウロボロイド20.93%
アゾリウスコントロール20.93%
ティムールウロボロイド20.93%
緑単上陸10.47%
緑単アグロ10.47%
ボロス応召10.47%
マルドゥ発見10.47%
ボロスアグロ10.47%
イゼット海賊10.47%
セレズニア上陸10.47%
ゴルガリドラゴン10.47%
エスパーピクシー10.47%
黒単サクリファイス10.47%
ジャンド《武器製造》10.47%
オルゾフミッドレンジ10.47%
ティムールミッドレンジ10.47%
セレズニアミッドレンジ10.47%
スゥルタイコントロール10.47%
ディミーアサクリファイス10.47%
《ベイフォン家の賞金稼ぎ》コンボ10.47%
合計 214 100%

※提出された全デッキリスト214件を集計した。

ディミーアミッドレンジ(使用率16%)

デッキリストページ

使用率1位はディミーアミッドレンジ!昨年の『THE LAST SUN 2024』に引き続き、2年連続で1位となった。

黒の除去と青の打ち消しであらゆるデッキに対応できる安定感、そして《悪夢滅ぼし、魁渡》《永劫の好奇心》の二大アドバンテージエンジンは多くのプレイヤーに信頼を置かれているようだ。

遠眼鏡のセイレーン暗黒騎士、セシル悪夢滅ぼし、魁渡永劫の好奇心

軽いクロックを除去と打ち消しでカバーしながら、《悪夢滅ぼし、魁渡》《永劫の好奇心》で隙を突く基本戦術は変わらず強力。一度定着してしまえばどんどんとアドバンテージ差が広がっていくため、相手に逆転を許しづらい点も魅力だ。

ティシャーナの潮縛り

環境に合わせたチューンも各所に見られる。メイン採用が珍しくなくなった《ティシャーナの潮縛り》は、現在のスタンダード環境で生き残るうえで必須な存在だろう。イゼット講義の《忍耐の記念碑》《魂の洞窟》から出てきた《スーペリア・スパイダーマン》など、本来ディミーアカラーが苦手とする脅威に対しての対抗手段となる。

戦略的裏切り黒い太陽の日

除去の選択肢も豊富だ。《戦略的裏切り》は2マナで相手の墓地を一層できる布告除去で、使用者の多いイゼット講義やスゥルタイリアニメイトに対しての強力なアンチカードとなる。

『アバター 伝説の少年アン』からの新カード《黒い太陽の日》は、《アナグマモグラの仔》デッキのマナクリーチャーや《嵐追いの才能》《ブーメランの基礎》で横並びした《カワウソトークン》を一掃できる。Xの値を調整すれば相手にだけ甚大な被害を与えることも可能で、柔軟性の高い全体除去だ。

この1年、環境上位で存在感は出しつつも、常に二番手以下に甘んじることの多かったディミーアミッドレンジ。果たして、今回こそは頂点の座をつかみ取ることができるのだろうか。

イゼット講義(使用率13%)

デッキリストページ

世界選手権で華々しいデビューを果たしたイゼット講義が使用率2位となった。まだ環境に登場してから1か月も経っていないデッキだが、本大会に向けて短期間で仕上げてきたプレイヤーは多かったようだ。

火の技の修行爆裂の技アイローの表演

『アバター 伝説の少年アン』の「講義」カードはどれも高いスペックを持っており、なかでも赤い火力除去は汎用性に富んだものが揃っている。

最序盤で便利な《火の技の修行》は終盤に引いてもキッカーで5点火力となり、腐りにくい。タフネスの高いクリーチャーにも対処できる《爆裂の技》と、《カワウソトークン》《ラノワールのエルフ》の横並びに強い《アイローの表演》は、互いを補い合うかのような関係だ。

積み重ねられた叡智

「講義」除去を連打されボードを失ったあげく、《積み重ねられた叡智》の3ドローが待ち構えている。この《積み重ねられた叡智》の3ドローがさらなる《積み重ねられた叡智》を呼び、相手との単純な手札枚数の差で押し切ってしまうことも少なくない。

美術家の才能忍耐の記念碑

それらの「講義」ギミックをサポートするのが《美術家の才能》《忍耐の記念碑》のパッケージだ。非クリーチャー呪文をルーター付きにしてしまう《美術家の才能》があれば、墓地に「講義」を3枚という条件はすぐに達成できるだろう。単体ではなにもできない《忍耐の記念碑》も、《美術家の才能》があれば毎ターン手札・マナ・ライフという3つのアドバンテージを生み出すことが容易だ。

そんなイゼット講義だが、世界選手権「後」の今のスタンダード環境では懸念点もある。

魂標ランタン除霊用掃除機鋭い目の管理者戦略的裏切り

昨今ののイゼット講義やスゥルタイリアニメイトの流行を受け、メインから墓地対策カードが採用されることも当たり前になりつつある。本大会のカード採用枚数ランキングでは、なんと《魂標ランタン》が採用ランキング1位となっている。

この逆風の中、イゼット講義がどこまで勝ち上がってくるかにも注目したい。

注目デッキ:セレズニア上陸

上陸デッキの顔ともいえる《ティファ・ロックハート》《苔生まれのハイドラ》も入っていない、一風変わった上陸デッキが初日のスタンダードラウンド全勝を飾っていた。

デッキリストページ

本大会の直前にMagic Onlineで頭角を現してきたセレズニア上陸だ。《強靭形態の調和者》《巨大なガラガラワーム》など、これまでのスタンダードでは見慣れないカードが採用されている。

強靭形態の調和者

《強靭形態の調和者》は、上陸を達成することでクリーチャー1体のパワーを2倍にするというド派手な能力を持っている。いわば、任意のクリーチャーを《ティファ・ロックハート》にできるといったところか。

寓話の小道脱出トンネル重厚な世界踏破車

上陸デッキではお馴染みの《寓話の小道》《脱出トンネル》のほか、既存の上陸デッキではあまり見られない《重厚な世界踏破車》も採用されている。

3ターン目《重厚な世界踏破車》、4ターン目《強靭形態の調和者》を展開はあまりにも美しい流れだ。出した《強靭形態の調和者》がそのまま《重厚な世界踏破車》に搭乗でき、攻撃誘発でパワーを2倍にすれば最大12点パンチをお見舞いできる。

巨大なガラガラワーム導路の塔門

「砂漠」タイプを持つ《導路の塔門》があれば、《巨大なガラガラワーム》で奇襲をかけることもできるだろう。イゼット系デッキの主要な除去である《ブーメランの基礎》《塔の点火》では、ターン終了時に瞬速で出てくる6/5トランプルには対処できない。パワー6のトランプル持ちという点で《強靭形態の調和者》との相性も抜群だ。

氷耕しの探検家幻獣との交わり

《氷耕しの探検家》によって土地を伸ばしつつ墓地を肥やしていけば、《幻獣との交わり》のフラッシュバックも容易に狙えるだろう。どちらのクリーチャーもタフネス4であるため、こちらも《塔の点火》で対処しづらい。

縫い目破り幽霊による庇護

また、白をタッチすることでサイドボードから《縫い目破り》《幽霊による庇護》を採用できるようになっている。《縫い目破り》は緑系デッキ特有の不器用さをカバーできる1枚。《嵐追いの才能》《アナグマモグラの仔》をスマートに除去できる環境屈指の軽量除去だ。

クリーチャーのサイズの大きいセレズニア上陸においては、《幽霊による庇護》の絆魂によるライフ回復も凄まじい。

忍耐の記念碑

《忍耐の記念碑》による3点刻みでライフを責めてくるイゼット講義に対しても活躍の機会がありそうな1枚だ。

展望

以上、『THE LAST SUN 2025』スタンダードのメタゲームをお届けした。前評判通り、イゼット系デッキの流行が目立ったものの、使用率1位に輝いたのは安定と信頼のディミーアミッドレンジだった。スゥルタイリアニメイトやコーナコンボのような軸をずらしたコンボデッキや、セレズニア上陸のような新進気鋭の新デッキも登場し、スタンダード環境はまだまだ発掘の余地を残している。

ここまで見てきたメタゲームが、明日の決勝ラウンドではどのような結末を迎えるのか。ぜひその行方をその目で見届けてもらいたい。

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