cEDH徹底分析!環境が高速化&インスタントウィン増加!? | データで見る第13期統率者神決定戦

晴れる屋メディアチーム

はじめに

はじめましての方は、はじめまして!お久しぶりの方はお久しぶりです。

えんぞーと申します。

普段はログテヴェサミットという仲良しcEDHコミュニティで細々と遊んでおります。

前々回、前回から引き続き、3期連続で『統率者神決定戦』の分析記事を書かせていただけることに!

3期連続防衛ということで(?)、このシリーズを楽しんでくださっている方々に感謝です。

過去の記事

はじめに2

第13期統率者神決定戦』、お疲れ様でした。

参加者は154名。盛り上がっていましたね!

さっそく今回も環境のキャッチアップからいってみましょーー!!

『第12期統率者神決定戦』後の環境の変遷

①『Secret Lair x Sonic: Friends & Foes』国内販売

《Knuckles the Echidna》

Knuckles the Echidna不気味な雇われ人

クリーチャーの攻撃が通るたびに宝物・トークンを生成するという《不気味な雇われ人》に似た能力を持っています。

比較すると、《Knuckles the Echidna》は生成される宝物・トークンが1つの代わりに「2/4・二段攻撃・トランプル・速攻」というスペックがついています。

ただ二段攻撃があるため、《Knuckles the Echidna》は単体で宝物・トークンを2つ出すことができます。実質《不気味な雇われ人》と言うことができるでしょう(除去能力はいったん見なかったものとする)。

《織り手のティムナ》デッキではRRの捻出がネックですが、スペックを活かしてマナ加速だけでなくドロー(ティムナアタッカー)としての運用も可能です。

《Shadow the Hedgehog》

Shadow the Hedgehog

アーティファクトからのマナで唱えた呪文が「刹那」を持つという特殊なテキスト。

基本的に通したい呪文をマナファクトや宝物・トークンから唱えるという対話拒否的運用が想定されます。

対話拒否手段に乏しい黒赤系デッキでの運用が期待できるものの、マナ拘束が厳しく、このマナシンボルを払うためにマナファクトや宝物・トークンを使ってしまいがちという問題が。

意志を縛る者、ディハーダ

相性が最も良さそうなのは《意志を縛る者、ディハーダ》(伝説回収&宝物!)ですが、白を含んでいるデッキがこのマナ拘束のカードに頼る必要があるのかは未知数です。

②『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』の発売

《スパイダーパンク》

スパイダーパンク

呪文と能力は打ち消されない」というシンプルですが、恐ろしい効果を持ったクリーチャー。

沈黙

対話拒否手段に乏しい黒赤系デッキでの運用が期待できるものの(これさっきも言った気がする)、こちらは《沈黙》された場合ほぼ間違いなくターンが返ってこないのが大問題

とはいえ、黒赤系デッキがこういった手段に飢えていることも事実なので「にせ撤廃者」として使われそうです。

《情け容赦無き者、グウェノム》

情け容赦無き者、グウェノム

生ける《ボーラスの城塞》。城塞コンボの爆発力は証明されているので、こいつも結構やりそう。

速足のブーツ稲妻のすね当て溶岩拍車のブーツ

《情け容赦無き者、グウェノム》3本のブーツのどれかを履かせてコーナーで差をつけるのは楽しそうですね。ターンが回ってくる気がまったくしないですが。

黒単統率者の新たな星となれるか。

③『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』の発売

《アナグマモグラの仔》

アナグマモグラの仔

「土の技1」と「マナクリだけ《眷者の神童、キナン》」というようなマナ加速能力を持つクリーチャー。統率者以外のフォーマットでも大活躍していますね。

ガイアの揺籃の地

《ガイアの揺籃の地》との相性が非常に良く、出し方によってはマナ加速にすらなるのはとんでもない性能。《ガイアの揺籃の地》デッキでは定着しそうです。

永劫の活力自然の律動

《永劫の活力》とのシナジーは、もはやコンボと呼んでもいいレベルのパワーで、《自然の律動》《アナグマモグラの仔》をサーチ→《自然の律動》「調和」で《永劫の活力》をサーチという流れは王道展開になりそうです。

《司書、ワン・シー・トン》

司書、ワン・シー・トン

《ハイドロイド混成体》に似たXドローと《オグマの文書管理人》を足して、隠し味に警戒を加えたハイスペッククリーチャー。シミック連合の合成技術もここまで進化したか……

瞬速・飛行・警戒というトンデモスペックに加え、パワー/タフネスを調整できる点、+1/+1カウンターで成長する点も驚異的。

ルーデヴィックの名作、クラム秘密売り、ティヴィット

cEDH目線では《ルーデヴィックの名作、クラム》《秘密売り、ティヴィット》をブロックできるクリーチャーなのも高評価ポイント。育てれば一方を狙うことだってできます。

また、無限マナの吐き先としての性能もかなり高いです。

どうしてもUUがネックになってくるので、採用できるデッキは限られていそうですね。

《キヨシ島の大ウナギ》

キヨシ島の大ウナギ

デカ《フェアリーの黒幕》といえるクリーチャー。引ける枚数が倍になっていてすごいぞ!

護法&5/5というボディが場持ちがよく、地上ブロッカーとしても高い性能を誇ります。

実際に出す/出されるとその性能の高さに驚きます《リスティックの研究》《神秘的負荷》に対して圧をかけられる点もgood。一緒に引く?

デッキによっては《一つの指輪》にとって代わる可能性を秘めているクリーチャーです(ほんまか?)。英語のカード名が「The」まで一緒なのでほぼ指輪といっても過言ではないかもしれません(過言)。

《雷逸らし》

雷逸らし

赤1マナと5点で打てる対象変更。

5点は(特にむかつきネクロ系デッキで)痛いコストですが、赤いデッキは軽いインタラクション不足に悩んでいるので、今後見かける機会は多そうです。

偏向はたき

《偏向はたき》と異なり、“単一の対象”を持つものしか対象変更できないので注意。

環境予想

引き続き環境が高速化している

むかつきネクロポーテンストリトンの英雄、トラシオスオアリムの詠唱

「むかつきネクロ」の通りは依然として良好、環境のベースはここにある。

・セミブルーの台頭により、いわゆる足切りライン・足切りターンも高速化した。

・「対話拒否」の価値も引き続き高く、白いデッキは《オアリムの詠唱》まで採用が目立つ。

《オアリムの詠唱》はどんなデッキに対しても1枚で追加の1ターンを作り出せるため、白いデッキのサブウェポンとして定着してきた形。

「インスタントウィン」環境

風に運ばれて出現領域

・ロングゲームを差し切る手段として、インスタントウィンの価値が上昇している。

・ミッドレンジ以降のデッキにおいて、《風に運ばれて》《出現領域》などを絡めたインスタントウィンの採用率が上がっている。

ティムクラは今回も多そうだし、勝ちそう

織り手のティムナルーデヴィックの名作、クラム

最強。上で説明した環境に適応できる優秀な固有色に加え、統率者のスペックも高い。

・大会での使用率・優勝も増えている。

・関東の大会だけでなく地方の大会でもティムクラを使う人が増えているらしい。

ログサイ:嵐の予感

ロフガフフの息子、ログラクフ求道の達人、サイラス・レン

・ティムクラと双璧を成す「最強デッキ候補」のログサイ。

・こちらも大会での使用率増加の雰囲気を感じる。

・何名か2日目に抜けてきてもおかしくない。

セミブルーの勝率は落ちそう

ロフガフフの息子、ログラクフトリトンの英雄、トラシオス神経質な予見者、ヘルガ

・前回台風の目となったセミブルー(BCS)。しかし、流行とともに「ネタバレ」どころか過度にマークされてしまっている印象

セミブルーより速い仕掛けをするデッキが増えてきた。妨害枚数などが割れてしまったことで、先仕掛けプランを遂行されるケースも増えた。

・仕掛けの上からのインスタントウィンに対しての対抗手段がない。

注目デッキ①:シミック《ロフガフフの息子、ログラクフ》《トリトンの英雄、トラシオス》

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ロフガフフの息子、ログラクフトリトンの英雄、トラシオス

今年頭くらいから海外で流行していたアーキタイプです。

ひそかに国内でも研究が進んでいましたが、12期以降店舗大会での入賞が目立ち、ついに花開きました。

特徴

はらわた撃ち偏向はたき重複の閃光

・緑青赤の固有色を持つにもかかわらず、赤いカードがピッチスペルしか入っていない。

・マナベースの安定やデッキ戦略の一貫性のために赤いスペルを削っている。

ガイアの揺籃の地マダラの鉤爪門朧宮の微風呼び

《ガイアの揺籃の地》《マダラの鉤爪門》《朧宮の微風呼び》無限マナコンボが主な勝ち筋

・対話拒否がない代わりに、「インスタントウィン」カードが大量に採用されている。

強さ

ガイアの揺籃の地ロフガフフの息子、ログラクフ

・シミックデッキの《ガイアの揺籃の地》戦略において、緑(マナクリーチャー)によるマナ加速のラグがネックとなるが、それを0マナである《ロフガフフの息子、ログラクフ》と増えた赤いピッチスペルが補っている。

・キープ基準である《ガイアの揺籃の地》《ロフガフフの息子、ログラクフ》によって確実に1ターン目から動くのもポイント。

・ヘイトを稼ぎやすい大きいアクションではなく、細かめのアクションで少しずつ展開していくプランの止めにくさ

・そのプランと《トリトンの英雄、トラシオス》起動構えの相性の良さ。

フィニッシュがクリーチャー+土地という止めにくいコンボ&インスタントウィン。

・カードをプレイする行動のほとんどが、最終的に「朧宮コンボ」につながっているという一貫性。

注目デッキ②:《モンスーンの魔道士、ラル》

モンスーンの魔道士、ラルモンスーンの魔道士、ラル

今年夏ごろに海外環境でブレイクし、高い勝率を誇っていた統率者です。

特徴

・表が《ゴブリンの電術師》で裏がプチ《精神の願望》と、統率領域に潤滑油とリソース確保を兼ね備えたクリーチャーを置ける

・統率者が軽く、土地を最大限切り詰めた構築が可能。

・金太郎飴デッキなので、キープ基準が緩め。

強さ

・ウィンコンも止めどころもわかりにくく、初見殺し性能が高い

・速度感が既存のデッキよりワンテンポ早く、除去が間に合わない。

メタゲームブレイクダウン+結果の所感

ここからは使用者が多かった統率者を見ながら、それぞれの統率者への所感を書いていきます。

今回は「使用者が4名以上」の統率者をピックアップしていきましょう。

《織り手のティムナ》《ルーデヴィックの名作、クラム》

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織り手のティムナルーデヴィックの名作、クラム
第13期 第12期 第11期 第10期
使用者 14名 13名 11名 (1名)
戦績 29-46-7 27-48-3 22-40-2 (3-2-1)
勝率 35.37% 34.62% 34.38% (50%)
順位 ポイント 戦績
3 1713 4-2
19 1380 3-3
21 1360 3-3
24 1345 3-3
28 1311 3-2-1
29 1311 3-2-1
48 1101 2-2-2
51 1087 2-3-1
60 1023 1-4-1
70 891 1-5-0
75 876 1-5-0
76 875 1-5-0
80 875 1-5-0
1-2-1(ドロップ)

今場所も相変わらずの強さ。まさかの3期連続勝率約35%という驚異的な数値をたたき出しました。

完全に“東横綱”と言っていい結果です。

何度も出てきている話になってしまいますが、複数のレンジで動きが担保されているデッキ強度は随一。大きく環境が変わるまで不動の1位として君臨するデッキでしょう。

《ロフガフフの息子、ログラクフ》《求道の達人、サイラス・レン》

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ロフガフフの息子、ログラクフ求道の達人、サイラス・レン
第13期 第12期 第11期 第10期
使用者 8名 0名 3名 5名
戦績 9-33-2 6-11-0 10-18-1
勝率 20.45% 35.29% 34.48%
順位 ポイント 戦績
11 1469 3-3
34 1153 2-4
42 1118 2-3-1
81 863 1-5-0
88 858 1-5-0
117 649 0-5-1
0-4-0(ドロップ)
0-4-0(ドロップ)

前回参加者0人という衝撃の事件がありましたが、こちらも“西横綱”と呼ぶに相応しい最強デッキの一角として環境を定義しています。

ですが、前回比+8人と使用者数は一気に伸びたものの勝率は予想ほど伸びず……。

・神決定戦というフィールドにおいて、ヘイトが高く打ち消しを喰らいやすいこと。
・おそらく選択したプレイヤーのほとんどが、12期以降にこのデッキへの鞍替えを行っていること。

あたりが伸び悩んだ要因として予想されます。次回以降の結果が楽しみな統率者です。

《ロフガフフの息子、ログラクフ》《トリトンの英雄、トラシオス》

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ロフガフフの息子、ログラクフトリトンの英雄、トラシオス
第13期 第12期 第11期 第10期
使用者 6名 3名 (0名) (0名)
戦績 11-22-1 6-9-3
勝率 32.35% 33.33%
順位 ポイント 戦績
9 1602 4-2
26 1329 3-3
53 1084 2-4-0
54 1070 2-4-0
100 649 0-5-1
0-4-0(ドロップ)

前回の3名はティムール/シミック/セミブルーの三者三様でしたが、今回は6名全員がさきほど紹介した「シミックログトラ」となりました。

勝率はそこそこ出ており、”初見殺し要素”もそこまで影響がないことや、2日目進出後に発生する確率の高いミッドレンジゲームにおいて、安定してゲームプランを遂行できる統率者のため、今後も見かけるデッキになると思います。

《秘密売り、ティヴィット》

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秘密売り、ティヴィット
第13期 第12期 第11期 第10期
使用者 5名 5名 4名 3名
戦績 13-13-2 6-17-1 10-12-2 8-9-1
勝率 48.15% 25% 41.67% 44.44%
順位 ポイント 戦績
2 1868 5-1-0
7 1611 4-1-1
10 1473 3-3-0
85 858 1-4-1
0-4-0(ドロップ)

前回は勝率の出なかった《秘密売り、ティヴィット》ですが、「下振れただけ」と言うかのごとく戻ってきました。

なんとTOP12に3名!

「挑戦者決定戦」というフィールドにマッチしている統率者だと思っているので勝つのは納得ですが、予想をはるかに超えた戦績でした。

禁止改定以降《秘密売り、ティヴィット》が出にくくなってしまったという問題点に対して、むりやりなマナ加速を用いて着地ターンを担保する構築がメインでしたが、ここ最近は無理に大太刀(《秘密売り、ティヴィット》)を振らずに小太刀でゲームを引き延ばすプランが定着してきており、うまく機能している印象です。エスパーというカラーの器用さがなせるところ。

弱点としてインスタントウィンを積みにくいという点が挙げられます。

時の篩発明品の唸り

《時の篩》コンボの都合上、差し込みカードが《発明品の唸り》くらいしか取れず、それも相手の攻めの上では無力なため、今後このインスタントウィン環境にどう適用していくか楽しみです。

《迷える黒魔道士、ビビ》

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迷える黒魔道士、ビビ
第13期 第12期 第11期 第10期
使用者 5名 4名
戦績 7-19-2 9-15-0
勝率 25% 37.50%
順位 ポイント 戦績
22 1351 3-2-1
58 1053 2-3-1
89 844 1-5-0
92 844 1-5-0
0-4-0(ドロップ)

キャラクター人気やカラーリングの参入障壁の低さから、よく見かける統率者になってきています。

現環境は意外と《迷える黒魔道士、ビビ》へのヘイトが低く、定着させられるゲームも多い印象です。

好奇心

しかし、そこからウィンコンに向かうためのカード(《好奇心》など)のインパクトが強すぎて妨害を食らっている印象。またそういったカードが《迷える黒魔道士、ビビ》に依存しているため、妨害のポイントが明確な点も気になります。

《迷える黒魔道士、ビビ》に依存しないサブプランを確立することができれば、勝率を伸ばせるだけのポテンシャルを秘めていると思います。

《刃を咲かせる者、ナジーラ》

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刃を咲かせる者、ナジーラ
第13期 第12期 第11期 第10期
使用者 5名 3名 4名 (2名)
戦績 5-21-1 6-11-1 10-14-0 (2-9-1)
勝率 18.52% 33.33% 41.67% (16.67%)
順位 ポイント 戦績
37 1121 2-4-0
65 909 1-4-1
95 844 1-5-0
0-4-0(ドロップ)
0-4-0(ドロップ)

かなり勝率を落としてしまいました。

純ターボ型の《刃を咲かせる者、ナジーラ》が前々回・前回と連続でTOP12に残っていたことで、かなりマークされてしまった部分もあるでしょうか。

今の環境でどの型の《刃を咲かせる者、ナジーラ》がベストなのかはわかりませんが、5色統率者・軽いマナコスト・固有コンボと強い要素は全部そろっているので、環境にアジャストできれば復権もありそうです。

《人造魔導士、ケフカ》

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人造魔導士、ケフカ人造魔導士、ケフカ
第13期 第12期 第11期 第10期
使用者 5名 3名
戦績 6-22-0 6-12-0
勝率 21.43% 33.33%
順位 ポイント 戦績
35 1137 2-4-0
36 1135 2-4-0
62 935 1-5-0
91 844 1-5-0
0-4-0(ドロップ)

こちらも《迷える黒魔道士、ビビ》と同じくFINAL FANTASY出身の統率者でカードパワーも高く、人気の統率者として定着しつつあります。

グリクシスという恵まれたカラーと着地したときの制圧力はピカイチ

《人造魔導士、ケフカ》を着地させるという中間目標があり、デッキがわかりやすい構造なのもいいですね。

デッキ構造上、ほかのグリクシスデッキに比べて早期決着を苦手にしている部分や、《人造魔導士、ケフカ》だけでマウントがとりきれないゲームで《沈黙》などの対話拒否がない部分を、構築やプレイでどうカバーしていくかが今後の課題と考えています。

《眷者の神童、キナン》

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眷者の神童、キナン
第13期 第12期 第11期 第10期
使用者 4名 4名 6名 9名
戦績 4-18-0 5-18-1 10-25-1 9-41-4
勝率 18.18% 20.83% 27.78% 16.67%
順位 ポイント 戦績
20 1362 3-3-0
99 844 1-5-0
107 649 0-6-0
0-4-0(ドロップ)

今回も勝率を上げることができませんでした。

何度も書いていますが、序盤の展開でどうしても派手なマナ加速をするため、卓内ヘイトを買いやすく、これには構造上どうしようもない部分があります。

ターボモノリス型・ミッドレンジ起動型・コントロール型・セミブルー型など、さまざまなアーキタイプが試されていますが、上記で説明した「シミックログトラ」の登場により、ミッドレンジ~コントロールプランはあまり評価できなくなってしまいました。

シミックといえば、という立場は危ぶまれてきたか。

《意志を縛る者、ディハーダ》

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意志を縛る者、ディハーダ
第13期 第12期 第11期 第10期
使用者 4名 5名 3名 (2名)
戦績 11-13-0 6-24-0 6-9-2 (3-9-0)
勝率 45.83% 20.00% 35.29% (25.00%)
順位 ポイント 戦績
17 1420 3-3-0
18 1396 3-3-0
25 1342 3-3-0
33 1160 2-4-0

入賞はしなかったものの高い勝率を出しました。

今回も《むかつき》を採用しているプレイヤーはおらず、ターボデッキというよりは《意志を縛る者、ディハーダ》を軸にしたランプデッキとして定着した形です。

除去を受けにくいことも含め、立ち位置が良いのかもしれません。《沈黙》などの対話拒否の価値が上がったことも追い風です。

新セットが出るごとに伝説のクリーチャーが大量に刷られ続けていることも嬉しいポイント。

メタゲームにマッチした統率者ではありそうですが、色の都合で継続的なアドバンテージエンジンがあまり存在していないことは弱みとしてあるでしょうか。

今後もこの高い勝率を維持できるのか、こちらも次回以降に注目ですね。

《トリトンの英雄、トラシオス》《織り手のティムナ》

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トリトンの英雄、トラシオス織り手のティムナ
第13期 第12期 第11期 第10期
使用者 4名 8名 6名 8名
戦績 5-15-3 11-33-2 8-24-2 10-26-10
勝率 21.74% 23.91% 23.53% 21.74%
順位 ポイント 戦績
31 1293 3-2-1
93 844 1-4-1
126 649 0-6-0
1-3-1(ドロップ)

勝率が低めで横ばいになってしまっています。

走るミッドレンジなら「ティムクラ」、受けるミッドレンジなら「シミックログトラ」というように、それぞれの得意分野により強いアーキタイプが確立してしまったことも原因かもしれません。

選別の儀式

盤面にクリーチャーを展開して勝利を目指すデッキが増えたため、ミッドレンジゲームで固有の必殺技である《選別の儀式》が消されやすい環境になってしまったことも向かい風ですね。

えんぞー’s セレクション

今回は使用者数は多くなかったものの、活躍したデッキを紹介する企画「えんぞー’s セレクション」をやってみます!

《岐路に立つアン》

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岐路に立つアン

クローンなどを上手く使いデッキを掘り、チェインを進めていくタイプのコンボデッキです。

似たデッキとして《深海の破滅、ジャイルーダ》が挙げられますが、見れる枚数が多い点や相手の墓地を肥やさない点などが異なりますね。

白のブリンク要素でのチェインのかさ増しや、緑のマナ加速による安定性が強みと思われます。

うろつく玉座消失師、プレストン

《岐路に立つアン》が出た際のチェイン1回目で勝ち切ることは難しく、勝利するためには誘発を2倍にするカードや《消失師、プレストン》などの特殊なカードが必要です。それらのカードを経由してもう一度チェインをするために、追加のアクション(クローンやブリンクなど)が要求されることは覚えておいたほうがいいでしょう。

《ワイルドキャット隊長、サミ》

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ワイルドキャット隊長、サミ

平均3キルというスピードを持つ赤白衝動ストームデッキです。

「親和(アーティファクト)」なんて絶対ダメだろ!赤白ならいいと思ったのか?

特に入賞したセキカワ選手のリストはキルターンを短くすることを意識されたチューニングに見えます。

モンスーンの魔道士、ラル戦争の世継ぎ、ローアン

先ほど紹介した《モンスーンの魔道士、ラル》《戦争の世継ぎ、ローアン》に近いですが、比較して“重い代わりに着地したターンからチェインを始めることができる”という点が強みですね。

ストーム系デッキは、原則”チェイン中に色マナが足りなくなる問題”を抱えており、《発熱の儀式》系マナ加速スペルとドロー系スペルをいい感じに撃たないといけないのですが(だから《ジェスカの意志》が最強なんです!)、《ワイルドキャット隊長、サミ》は「親和(アーティファクト)」という能力のおかげでマナファクトがすべて0マナとなり”実質Mox”状態になるため、色マナの確保がしやすいという特徴があります。

《神経質な予見者、ヘルガ》

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神経質な予見者、ヘルガ

セミブルーの中で「生き残り」ともいえる統率者です。

“平均キルターンが遅い代わりに、受けカードを採用することができる”というバントセミブルーにしかない強みを生かして生き残っているとも言えますね。

食物連鎖霧虚ろのグリフィン

《食物連鎖》+《霧虚ろのグリフィン》コンボと《神経質な予見者、ヘルガ》のドロー能力の相性がよく、《食物連鎖》を早仕掛け戦略として搭載できるのも、非赤セミブルーにおいて《神経質な予見者、ヘルガ》が優れているポイントですね。

セミブルーの弱点ともいえる《沈黙》も、1周手番を回すだけになるところも好印象です。

このデッキも今後のインスタントウィン環境にどう対応していくのか楽しみですね。

枚数変遷から見る環境

オアリムの詠唱出現領域風に運ばれて
渓間の洪水呼びハイフェイのトリックスター

《オアリムの詠唱》とか「インスタントウィン」とか本当に増えてるの!?

気になりますよね!

そこで「晴れる屋メディア」のスタッフさんに採用枚数を調べていただきました!

カード名 第13期 第12期
《オアリムの詠唱》 35枚 17枚
《出現領域》 67枚 38枚
《風に運ばれて》 50枚 40枚
《渓間の洪水呼び》 31枚 15枚
《ハイフェイのトリックスター》 10枚 9枚

採用枚数ベースでみると、明確に増えていることが分かりやすいですね!

次の環境へ ~除去の重要性~

cEDHでも昨今言われている「クリーチャー・カードの質の向上」の影響は大きく出ています。

リソースを獲得するためのジャンプアップ手段は、年々スペルからクリーチャーに変遷しています。

また、伝説のクリーチャーの質の向上は、統率者に指定されるクリーチャーのスペックが上がり続けているということにもなります。

現に統率者を軸としたコンボデッキは増加していますし、勝ちのプランは太くなり、キルターンが短くなる傾向にあります。

殺しサイクロンの裂け目

それに伴い、ジャンプアップを刈り取る目的や、勝ちを咎める目的のインタラクションとして、インスタントタイミングで盤面に触れるカード(単体除去やバウンス)の価値が上がってきていると考えています。

デッキにもう1枚、そういったカードを増やしてみるのも環境に適応する一つの手段かもしれません。

逆に全体除去はコストが重いことや、基本的にソーサリータイミングなことがネックになり、適切なタイミングで打つことが難しくなっている印象です。

また、ジャンプアップ手段がクリーチャーになっていることの弊害として、本来全体除去を撃って流したい相手ではないプレイヤーから、打ち消しを吸ってしまうシチュエーションが目立つようになりました。

偏向はたき激情の後見致命的なはしゃぎ回り

統率者ピッチを強い順に並べたら?というcEDH界でよくある小噺がありますが、《偏向はたき》《激情の後見》《致命的なはしゃぎ回り》ではなくなってきているようにも感じます。

まとめ

織り手のティムナルーデヴィックの名作、クラム風に運ばれてワイルドキャット隊長、サミ

第12期~第13期は、引き続き《織り手のティムナ》《ルーデヴィックの名作、クラム》を中心としたメタゲームでありつつ、インスタントウィン環境の到来新たなアーキタイプの台頭と、変化が目立ちましたね。

早いもので2025年ももう年末。

個人的なことがらになってしまいますが、今年は晴れる屋メディアで分析記事を連載できるようになり、自分にとって大きな躍進となる一年でした。

年末にはトーナメントセンター東京で『年越し統率者祭り2026』も開催されますし、年明けには『ローウィンの昏明』の発売も待っています!《並外れた語り部》や新たな「想起」サイクルも楽しみですね!

次回の統率者神決定戦がいつかはわかりませんが、また新たな環境でお会いしましょう!

よいお年を!

おわりに

いかがでしたでしょうか。

この分析記事が、みなさんの良きcEDHライフの一助になれば幸いです。

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