はじめに
こんにちは。
Hareruya Prosの平山(@sannbaix3)です。
今回は《北風の守護者》の登場に伴い大幅にアップデートされた、「コーナ全知」のデッキガイドを書きました。
3月23日に開催された『第33期スタンダード神決定戦』で現在のスタンダード神である私が使用したデッキです。
「コーナ全知」とは?
コーナ全知は、《救助のけだもの、コーナ》を《巨大な神核、ウスロス》などに配備することでタップし、《全知》を筆頭に重量級パーマネントを場に出すコンボデッキです。
基本的にはコーナの緑と、《マラング川の執政》が使用できるシミックカラー、あるいはそこに1色追加した3色でデッキが組まれることがほとんどです。
このデッキは完全に新しいデッキというわけではありません。過去にもそれなりに活躍していたデッキです。
「シミック全知」
「バント全知」
それなりの活躍はしつつも、これらのデッキが第一線級になることはありませんでした。
《救助のけだもの、コーナ》《全知》と配備ランドはもちろん、勝利手段として《マラング川の執政》2枚、さらに《救助のけだもの、コーナ》を守る《迷路での迷子》《魂の洞窟》など、そろえるには必要枚数が多すぎるため安定性に難があったからです。
《北風の守護者》が登場して何が変わった?
このデッキに自分が再び注目したのは、先日リリースされた『ミュータント タートルズ』で《北風の守護者》が収録されたからです。
《北風の守護者》は、ゲームの外部であるサイドボードから自由にカードを持ってこれるため、《全知》を置いてある状態で1枚で勝てるコンボカードとして注目されていました。
似たデッキとして、ひとつ前のローテーション前には現禁止カード《アブエロの覚醒》を使用した「アゾリウス全知」というデッキがありました。自分語りになりますが、僕がスタンダード神になったデッキでもあります。
- 2025/03/13
- スタンダード神へ就任!アゾリウス全知&神決定戦での思考を徹底解説!
- 平山 怜
(スタンダード神挑戦者決定戦・スタンダード神決定戦優勝)
(このデッキは最終的に無限に《長川の引き込み》の贈呈を行い相手のライブラリアウトを狙う)
このデッキは、《アルケヴィオスへの侵攻》というカードが採用されており、《全知》があれば《アルケヴィオスへの侵攻》1枚で勝つことができるデッキです。
《北風の守護者》は、この《アルケヴィオスへの侵攻》と同様の役割が果たせます。
しかし、このデッキの研究が進むにつれ、コンボ専用のカードである《アルケヴィオスへの侵攻》を抜き、《フラッドピットの大主》などを入れたミッドレンジ中心の構築へと移行していきます。コンボに特化するより、ミッドレンジプランで戦えるほうがデッキとしての柔軟性が高いからです。
こういったコンボデッキは、対戦相手がコンボの妨害に意識を割かなければいけないため、クリーチャーの通りがよくなります。
(スポットライトシリーズ39位)
(《マラング川の執政》2体でループし《不穏な変換》でライブラリアウトさせる)
では、いまさら《アルケヴィオスへの侵攻》もどきの《北風の守護者》が追加されてなぜこのデッキに注目したかというと、《北風の守護者》が《アルケヴィオスへの侵攻》であり、《フラッドピットの大主》でもあるからです。
コンボパーツとしてはもちろん、5マナ5/5飛行と状況に合ったサイドカードのサーチは、現代スタンダードでも十分通用するスペックです。
「コーナ全知」は、コンボ以外の勝ち手段として《マラング川の執政》頼りでした。そこに《北風の守護者》が追加されたことで、フェアなゲームプランがより太くなり、多角的な戦い方が現実的にできるようになりました。
コンボで圧をかけつつ、相手がコンボを恐れて構え続ければ《北風の守護者》《マラング川の執政》でフェアなゲームができる、2つの戦略がとれることがこのデッキの新たな強みです。
デッキリスト紹介
というわけで、デッキリストの紹介を行います。以下は私がスタンダード神決定戦で使用したデッキリストです。
メインボード解説
《救助のけだもの、コーナ》
コンボの核です。「パルへリオンシュート」の《大牙勢団の総長、脂牙》にあたる存在です。
タフネスが低く攻撃は通りづらいので、配備ランドや《冬夜の物語》で能動的にタップして、出したターンに即座に能力誘発を目指します。
コンボの圧が強く、配備ランドさえ場にあれば4ターン目以降は相手にマナを構えることを強要します。
それにより、現環境では少し遅いドラゴンビートダウンが間に合うようになるわけです。
《大牙勢団の総長、脂牙》と違って何が出てくるか読めないので、仮に手札に出すパーマネントがなくても相手は無視できません。《北風の守護者》で勝つつもりの場合は、積極的に出していき、相手の除去の当てどころにするとよいでしょう。
《並外れた語り部》
任意のクリーチャーをサーチできるクリーチャーです。
《救助のけだもの、コーナ》を持ってくるのはもちろん、《北風の守護者》を持ってくることができるので、《全知》を出したあとは実質的に引けば勝ちのカードになります。2個目の能力も意外と使い道があります。
《煌野の成長》を貼ってある土地をアンタップすればマナが増えますし、任意のタイミングでタップできるので《スパイダーセンス》のウェブスリングと相性がいいです。
また、ミラーマッチでは相手の《救助のけだもの、コーナ》をアンタップさせることができるため、このカードが出ると相手はコンボを決められなくなります。
《北風の守護者》
新時代の《軍団の天使》です。サイドボードから次の《北風の守護者》やコンボパーツを持ってくることができます。
前述の通りコンボとフェアなプランの両方の軸となるカードです。《スパイダーセンス》を持ってくることで《救助のけだもの、コーナ》を通す手段にもなりつつ、「ウェブスリング」で手札に戻すことでそのまま勝ち手段として使いまわせます。
1本目から《紅蓮地獄》のようなサイドボードのカードにアクセスできるなど、とにかくやれることが多彩で、使いこなすことが非常に難しく楽しいカードです。
唱えなければ能力は誘発しないので、《救助のけだもの、コーナ》で出しても効果は使えません。とはいえ、盤面を強固にするために出してしまうこともあります。
《マラング川の執政》
ドローソースとフィニッシャーとコンボパーツ、3つの役割を兼ねる強力なクリーチャーです。
能力が優秀なうえにスタッツが非常に大きく、さらに「前兆」でドローまでできる至れりつくせりなカードです。
3、4ターン目の《救助のけだもの、コーナ》で出せれば圧倒的な盤面を形成できるため《全知》でなくてもこのカードで事足りることも多く、実質的に追加の《全知》の役割も果たします。
自分のカードも手札に戻せるため《北風の守護者》や《並外れた語り部》、別の《マラング川の執政》まで使い回しが可能です。
《全知》
出すと手札からマナを支払わずにカードを唱えられます。すごいね。
10マナですが《救助のけだもの、コーナ》で出せばタダです。すごいね。
《煌野の成長》
2マナのマナ加速です。このカードのおかげで、理論上3ターン目に《全知》を場に出すことができます。ドラゴン連打を目指す場合もマナジャンプはもちろん有効です。
このカードの真の価値は、プレイすることで3ターン目の土地のタップインを許容できることです。
初手に配備ランドがあればいいですが、毎回都合よくはいきません。《食糧補充》などの3マナドローソースで見つけられたとしても、配備ランドはタップインなので4マナの《救助のけだもの、コーナ》を寝かせられるのは5ターン目です。
そこで2ターン目にこのカードを出せていれば、《食糧補充》で加えた土地をそのままタップインできるので、後引きの配備ランドの受け入れを増やすことができます。
《食糧補充》
現スタンダード最強のドローソースです。
とはいえ相手にあまり干渉しないこのデッキがそう何度も唱える余裕はないので、枚数は3枚に抑えています。
《マラング川の執政》を2枚そろえなければならない従来の「コーナ全知」と違い、《北風の守護者》にさえアクセスできればコンボが決まるので、コンボのためのドローソースの重要性も落ちています。
今のメタゲームであれば、ブロッカーにもなり、《救助のけだもの、コーナ》に確実にアクセスできる《並外れた語り部》のほうが優先度としては上だと感じています。
「イゼット果敢」「緑単上陸」のような押し付けの強いデッキが減り、「イゼット講義」のようなデッキが増えればアドバンテージを稼げるこちらを優先したほうがいいでしょう。
《冬夜の物語》
追加のドローソースです。見れる枚数は《食糧補充》に比べて少ないですが、「調和」のおかげで《救助のけだもの、コーナ》をタップする手段にもなりますし、《並外れた語り部》などで捨てた際にバリューのあるカードになるので散らしています。
《間の悪い爆発》
全体除去です。《予言》として唱えることも可能なので、ドロー呪文の枚数を確保しつつ妨害札を積み増すことができます。
《全知》をはじめマナコストの高いカードが多くだいたいなんでも倒すことができるため、デッキに非常にマッチしたカードです。
《洪水の大口へ》
軽い干渉手段です。1マナの干渉手段は、2ターン目をタップイン土地の消化にあてやすいため使いやすいです。1ターン稼ぐ手段としては1マナ除去の中でバウンス呪文は非常に優秀です。
《跳ね弾き》であれば《全知》をおいたあと、すでにプレイした《並外れた語り部》《北風の守護者》を手札に戻して勝ち手段にすることができますが、メインデッキとサイドボード合わせてある程度の枚数《倦怠の宝珠》を対処できるカードを用意する必要があるためこちらを採用しています。
これより多くのバウンス呪文を採用するなら《跳ね弾き》を採用してもいいでしょう。
《削剥》
除去呪文です。《雷魔法》のような1マナ火力でもいいですが、《洪水の大口へ》と同じく、《倦怠の宝珠》に対処できる枠を確保しているためにこのカードにしています。
サイドボードの枠を空けるためにメインデッキに採用している側面が強いです。
《スパイダーセンス》
このデッキに非常にマッチした打ち消し呪文です。
《否認》などと比べると、《忍耐の記念碑》《轟く機知、ラル》などの相手の攻める手段には対応できないものの、インスタント除去だけでなく《ティシャーナの潮縛り》などにも対応できるので、自分の攻める手段を押し通すカードとしては非常に優秀です。
「ウェブスリング」能力も《並外れた語り部》《北風の守護者》と相性がよく、配備ランドでタップ状態のクリーチャーを自発的に作れるので1マナカウンターとしての運用も簡単です。
《呪文貫き》
対戦相手に対する干渉手段兼こちらへの妨害の対策です。《呪文嵌め》とメタゲームに合わせて選択するとよいと思います。
「イゼット果敢」のこちらへの干渉手段が《塔の点火》《洪水の大口へ》などの1マナなので今は《呪文貫き》が有効だと思います。「イゼット講義」を重く見るなら《呪文嵌め》のほうがいいでしょう。
マナベース
まず大前提として、このデッキのマナベースはスタンダードのデッキで1,2を争う弱さです。
確定タップインの単色土地はマナベースにとてつもない負担を与えます。
大量の配備ランドと《魂の洞窟》のせいで境界ランドが使いづらく、アンタップでだせる2色土地がショックランドしかないためライフ損失もかなり大きいです。
配備ランド
「配備」能力によって《救助のけだもの、コーナ》や《スパイダーセンス》のためにクリーチャーをタップできる土地です。
1枚引かないとコンボが決めづらいのはもちろん、配備ランドを場におけていないと相手視点でコンボを警戒する必要がないため、対戦相手のプレイが楽になってしまいます。
そのためにもぜひとも初手で引きたいカードで、マナベースを破壊してでも多めに採用する価値はあります。
《魂の洞窟》
高コストクリーチャーがそろっているので、非常に価値の高い土地です。
「イゼット講義」のような相手には、《全知》コンボを決めるより、これでドラゴンを連打することがメインの勝ち筋になるほどです。
打ち消しのない相手には色マナの出る土地として使いましょう。一番色拘束の厳しいクリーチャーは《北風の守護者》なので、悩んだらドラゴンを選ぶとよいでしょう。
《始まりの町》
4ターン目以降も土地をアンタップで出したいデッキではありますが、これ以上ショックランドを増やしたくないので採用しています。《マルチバースへの通り道》と違い完全な3色土地なので、初手にあるときの安心感が非常に高いです。
ショックランド
4マナ以降のタップイン土地がすでに配備ランドと《始まりの町》で大量に採用されているので、ほかはいつでもアンタップインする土地にしたいです。
境界ランドは土地タイプを持った土地も非常に少ないので採用しづらく、必然的にショックランドを大量に採用することになります。
《リバーパイアーの境界》
アンタップインする痛くない2色土地がほしい、と欲張って1枚だけ採用しました。
ほかに島や山の基本土地タイプを持つ土地は《マルチバースへの通り道》含め9枚しかないので、青マナは出たり出なかったりします。
《リバーパイアーの境界》と《ソーンスパイアの境界》の両方とも1色目が赤マナなのが残念なポイントで、ティムールカラーの弱点です。
基本土地 0枚
スタンダード神決定戦のリストでは、挑戦者決定戦で優勝しそうな主要デッキに、《解体爆破場》のような土地破壊カードが採用されていないため、基本土地を採用する必要性を感じなかったので抜きました。
もし《解体爆破場》のようなカードを恐れるなら《踏み鳴らされる地》を1枚《森》にするか、《リバーパイアーの境界》を《島》にするとよいでしょう。
サイドボード解説
《殲滅戦艦》
最終的な勝ち筋です。現代のカードにしては珍しく、土地も破壊できます。
自分のクリーチャーはすべて《マラング川の執政》で戻してから出しなおせるので、《マラング川の執政》ループで何度も出し入れすることで相手の盤面を完全な更地にしたあと、クリーチャーを再展開して次のターンに殴り切ります。
ただし、一度ターンを返す必要があります。《北風の守護者》でサイドカードを好きなように構えられるとはいえ、《峰の恐怖》などを採用した場合に比べ、確実には勝てません。現スタンダード環境において、たとえば以下の状況では今のリストだと勝てない状況が発生します。
①自分のライフが1で、返しのターンに《山》から《狂信的扇動者》をプレイされる(《ショック》なら《スパイダーセンス》で打ち消せるが、クリーチャーの起動型能力は止める術がない)
②《終末の加虐者》などで、自分のライブラリが0枚のターンにコンボした
③時間切れ
とはいえ、これらを超えるリターンが《殲滅戦艦》にはあると判断して採用しました。
それは、《全知》がないときでも持ってくることがあるからです。
《救助のけだもの、コーナ》の処理がしづらい相手であれば、出したあとも《救助のけだもの、コーナ》が残ってターンが帰ってきます。そのときに《北風の守護者》から《殲滅戦艦》を持ってくれば、相手の盤面を更地にしつつ、配備によって10/10飛行、5/5飛行が並びます。
《全変する変わり身》
《マラング川の執政》のコピーになることができるカードです。このカードで《マラング川の執政》を代用することで、サイドに必要な《マラング川の執政》の枚数を抑えることができます。
意外と召集で出せるコピーが有用な場面もあり、フェアな展開でも軽い《北風の守護者》《マラング川の執政》としてサイドから持ってくることがあります。
《マラング川の執政》
コンボのためにサイドボードに必要なカードです。《ルーン傷の悪魔》などでメインデッキの《マラング川の執政》をサーチすれば代用できますが、どちらにせよ《北風の守護者》でのサーチ先として1枚はサイドボードに残したほうがいいです。
《北風の守護者》
《軍団の天使》ノスタルジーを感じるためには、《軍団の天使》で《軍団の天使》を持ってこれる必要があるため、サイドにも《北風の守護者》が必要です。
相手が除去を構えて圧をかけてこない展開では、変に《スパイダーセンス》を持ってくるより《北風の守護者》を持ってきたほうがマナを構える必要がなく、楽です。
2枚目の《北風の守護者》で《スパイダーセンス》《マラング川の執政》をもってくれば事足りることがほとんどのため、これ以上サイドにとる必要はありません。
《ストームケルドの先兵》
《帰化》能力を持つカードです。「イゼット講義」の置物や《倦怠の宝珠》を破壊する手段として、《並外れた語り部》でサーチすることができます。
「イゼット講義」相手は6/7サイズも強力で、大型クリーチャーでフェアに戦うゲームプランに合致しています。
《洪水の大口へ》
追加の1マナ除去です。《北風の守護者》で1マナの干渉手段を持ってきたい盤面がそれなりにあるのでサイドに1枚用意してあります。
《スパイダーセンス》2枚
変にカウンターを散らさずに、効果の高いこのカードを厚く2枚採用しています。
常にサイドに1枚残しておくべきカードです。このカードをすべてサイドインしたいと思った相手には、必ず《北風の守護者》でこのカードを持ってきたいと思う場面が来るはずです。
《削剥》2枚
《倦怠の宝珠》の除去と、《ばあば》《忍耐の記念碑》の2種の厄介なパーマネントを対処できるので多めに採用しています。
《紅蓮地獄》2枚
「イゼット果敢」や《アナグマモグラの仔》系のデッキに有効な全体除去です。これらデッキは4ターン目にはゲームを終わらせる速度があるため、《間の悪い爆発》では間が悪いことがあるので軽いこのカードを追加で採用しています。
《間の悪い爆発》
《北風の守護者》でのサーチ用に入っています。「バント《自然の律動》」など、《北風の守護者》を出すような速度感ではないマッチアップではサイドインしても問題ありません。
《魂標ランタン》2枚
墓地対策です。「イゼット講義」はこちらのでかいドラゴンの対処を《爆裂の技》に頼り切っているので、墓地を即座に一掃できるこのカードを採用しています。
不採用カード一覧
《龍の創始》
《北風の守護者》の追加に伴い追加の《全知》として機能するカードです。
とはいえ、このデッキのコンセプトは《全知》に寄せることではないので、そもそも追加の《全知》をとる必要を感じませんでした。
《北風の守護者》でサイドから持ってくるカードとしても、その時点で《北風の守護者》を消費してしまい、追加の《マラング川の執政》《北風の守護者》がないと結局コンボできないため機能するハードルが高く、素直に《殲滅戦艦》《マラング川の執政》を持ってきて出せばよいと結論付けました。
《乱動するドラゴンの嵐》
「アゾリウス全知」などでは《マラング川の執政》ループ中に勝ち手段に到達する手段として優秀でしたが、2マナのドローソースはタップイン処理のタイミングが減るため取り回しが悪いです。
そのうえ《北風の守護者》1枚でコンボ完走できる以上、ドラゴンを出せているタイミングでは別にこのカードが手札に戻る必要もないので、ただの質の悪いドローソースになる場面が多いです。
《迷路での迷子》
除去としての性能は中途半端であり、《救助のけだもの、コーナ》を守る手段としても打ち消しに無力など欠点が目立ちます。
《救助のけだもの、コーナ》を無理に押し通すより、《呪文貫き》などで交換したほうがフェアなゲームを戦う上で有効であり、デッキコンセプトにあっています。
補足:シミック型とイゼット型
3月14日-15日に開催された『チャンピオンズカップファイナル Season4 Round2』では、私はシミックベースのリストを使用し、同じチームの熊谷さんと宇都宮さんはイゼットベースのリストを使用しました。
色は違いますが、根幹になっている思想は同じです。2つの違いを簡単に説明します。
採用している呪文は、基本的にイゼット側のほうが強いです。
《煌野の成長》よりも《再点火、アシュリング》のほうが多くのマナがでますし、ルーティング能力もコンボデッキではもちろん優秀です。
低マナの干渉手段も《洪水の大口へ》に加え《雷魔法》などの火力除去を採用しやすいです。
呪文ではないですが、《記念の星、カヴァーロン》はシミックの配備ランドに比べてはるかに強力な能力を持っており、《記念の星、カヴァーロン》の能力で勝つゲームもたびたびあります。
一方、マナベースはシミック型のほうが優秀です。《煌野の成長》が色を出すのはもちろん、赤をタッチカラーにしたほうが都合がいいからです。
その一番の要因になっているのが緑のクリーチャーです。足りない色はよく《魂の洞窟》で色マナを担保することになりますが、緑のクリーチャーには《並外れた語り部》《救助のけだもの、コーナ》の2体がいます。
《並外れた語り部》で《救助のけだもの、コーナ》をサーチするとき、《魂の洞窟》しか緑マナがなければどちらかしかプレイできません。
不足しているのが赤マナであれば《北風の守護者》でしか使用しないため、こういった問題はおきません。
緑をメインカラーにしたシミックのほうが安定するわけです。
コンボについて
《全知》後に《北風の守護者》を出したあとのコンボルートについて、詳しく説明します。
基本的には、既存と同じく、《マラング川の執政》を用いてループします。
そのため、サイドに必要なものは以下になります。
- ①《マラング川の執政》
- ②《マラング川の執政》をバウンスするカード(例:2枚目の《マラング川の執政》など)
- ③勝ち手段となるカード(出たときに切削やダメージ、ライフゲインするカード。《峰の恐怖》など)
①と②がそろえば、任意の回数パーマネントをバウンスすることができるようになります。
これの条件を満たすカードがサイドにそろっていれば、《全知》がある状態で《北風の守護者》を唱えれば勝ちになります。
コンボルート例
《マラング川の執政》《全変する変わり身》《殲滅戦艦》の場合、基本のループ
1.《北風の守護者》で《マラング川の執政》を持ってくる。
2.《マラング川の執政》で《北風の守護者》を手札に戻す。
3.《北風の守護者》で《全変する変わり身》を持ってくる。
4.《全変する変わり身》で《マラング川の執政》をコピーし、《北風の守護者》《マラング川の執政》を手札に戻す。
6.《殲滅戦艦》で相手の土地を破壊する。
7.戻しておいた《マラング川の執政》で場の《全変する変わり身》と《殲滅戦艦》を戻す。
8.《殲滅戦艦》と《マラング川の執政》(もしくはコピー)を交互に出し直し、相手のパーマネントを土地も含めてすべて破壊する
8.《北風の守護者》で《スパイダーセンス》《洪水の大口へ》などを持ってきて構え、次のターンに攻撃。
コンボパーツの選出
比較的自由度が高く、選択肢も多いので、ここはなるべく最適なカードを選出してスマートにいきたいです。有用な基準をいくつか紹介します。
枠をとらない
《マラング川の執政》をバウンスする役割と、勝ち筋を両方担えるカードがあれば、この枠を2枠で抑えられます。ですが、残念ながら条件を満たすカードは現スタンダードにはなく、これは不可能なので、3枠に抑えましょう。
スタンダード外のカードであれば、たとえば、《サヒーリ・ライ》が条件に合致します。
ドラゴンである
追加の《全知》として《龍の創始》を採用する場合、ループパーツがすべてドラゴンである必要があります。
その場合サイドにとるのは《マラング川の執政》《全変する変わり身》《峰の恐怖》の3枚がおすすめです。
メインデッキに干渉しない
《マラング川の執政》は、もともとメインデッキに入っている強力なクリーチャーです。なるべくメインデッキに多く採用したいので、《マラング川の執政》を2枚もサイドにとりたくありません。
《全変する変わり身》が5枚目の《マラング川の執政》として、メインボードへの干渉を抑えています。
フェアなゲームで持ってくる
コンボが決まればどうせ勝つので、なるべくフェアなゲームプランのときに持ってこれるカードであればうれしいです。
そういう意味で《マラング川の執政》は、《北風の守護者》から持ってくるフェアカードとしても優秀です。
逆に、《峰の恐怖》を勝ち筋にするべきでない理由もこれです。フェアなゲームで《峰の恐怖》を持ってきたいと思う盤面では、《北風の守護者》や《マラング川の執政》のほうが強い場合がほとんどのはずで、実際に持ってくる機会はありません。
デッキリスト紹介で説明したように《全変する変わり身》《殲滅戦艦》はよく持ってくるのでこれらを採用しています。
コンボルートの補足
コンボについて、レアケースで役立つものをいくつか紹介します。
《並外れた語り部》ルート
《全知》がある状態で、ライブラリーや手札、盤面に《マラング川の執政》が3枚あれば、《並外れた語り部》から以下の手順で無限にドローを行うことができます。
《北風の守護者》が《死人に口無し》などで追放されたときや、《殲滅戦艦》後にどうしても持っておきたい干渉手段がメインデッキにしかないときに役立つことがあるでしょう。
《並外れた語り部》での無限ドロー手順
①《並外れた語り部》で《マラング川の執政》Aをサーチし、《マラング》Aで《語り部》を手札に戻す。
②再び《並外れた語り部》で《マラング川の執政》Bをサーチし、《マラング》Bで《語り部》と《マラング》Aの2枚を戻す。
③戻した《マラング川の執政》Aを前兆で唱える。
前兆で《マラング川の執政》がデッキに戻っているので、②~③を繰り返すと、手札を2枚捨てて3枚引く無限ドロー
除去を無視する
先述したループは、除去への耐性を考えていません。相手に除去があるならどうせ《救助のけだもの、コーナ》が除去されているはずだからです。
ただ、相手のタップアウトの隙に《全知》を出したもののそのターン中に決めきれなかった場合などは、次のターン以降《北風の守護者》を出したときに除去が撃たれる可能性があります。
これを回避する方法を考えます。
《並外れた語り部》での無限ドロー手順
②《北風の守護者》で《マラング川の執政》を持ってくる。
③《マラング川の執政》で《北風の守護者》2体を手札に戻す。
④《北風の守護者》で《スパイダーセンス》を持ってくる。
⑤もう一体の《北風の守護者》で《全変する変わり身》を持ってくる。
以下、基本のループ手順のため省略
これで回避できているように見えて、④の《スパイダーセンス》を持ってくる前に《マラング川の執政》を除去されると止まってしまいます。
もし追加で場に《マラング川の執政》《並外れた語り部》がいれば、③で《北風の守護者》1体の代わりにそれを手札に戻せば、どのタイミングで除去を撃たれても大丈夫です。
また、「勝ち手段となるカード」を《峰の恐怖》にしたうえで、追加で《鳥群のなりすまし》をサイドボードに用意すれば完全に単体除去を無視できます。
《スパイダーセンス》の代わりに《鳥群のなりすまし》を持ってくるだけです。
《鳥群のなりすまし》を持ってきた後に単体除去を使われたら《鳥群のなりすまし》で回避し、その前に《マラング川の執政》に除去を撃たれた場合は《全変する変わり身》が《鳥群のなりすまし》のコピーとなりその2枚でループします。
この場合はほかのパーマネントをバウンスする余裕はないので、勝ち筋は《峰の恐怖》のような置いておけるものである必要があります。
とはいえ、基本的に除去は《救助のけだもの、コーナ》に当てられるので今回のリストでは採用していません。
《犯行現場の再現》を使ったデッキなど、《北風の守護者》まで除去の使いどころがないデッキは採用を検討する余地があります。
Tips
配備しよう
それぞれカウンターがたまると追加の能力を得ます。能力の使用頻度は、
《巨大な神核、ウスロス》<<<越えられない壁<<<《目覚めの安息地、エヴェンド》<<<<<<<<<<<越えられない壁<<<<<<<<<<<<<《記念の星、カヴァーロン》
くらいです。
このリストでは色の都合上採用していませんが、《記念の星、カヴァーロン》の能力は実質、毎ターン《イモデーンの徴募兵》を出すという非常に強力なものです。遅い相手には明確な勝ち手段になるので積極的に配備したほうがいいです。
《目覚めの安息地、エヴェンド》は《ガイアの揺籃の地》のようですが、緑マナも必要なため意外とマナが増えません。とはいえ《並外れた語り部》で起こせばマナが大量に増えることもあるのでときどき《全知》を唱える手助けになったりします。
《巨大な神核、ウスロス》の能力は使ったことがないです。自分でアーティファクトを並べることはできず、相手に《失せろ》を連射されれば理屈上はマナが出ることもありますが、あまり現実的ではないので気にする必要はたぶんないです。
能力の使用が必要かに関わらず、《スパイダーセンス》のウェブスリングを警戒させるという意味でも、アンタップ状態である必要のないクリーチャーは基本的には配備しておいたほうがいいです。《スパイダーセンス》があるときだけ配備していたら手札が透けてしまいます。
《スパイダーセンス》をうまく使おう
《スパイダーセンス》のウェブスリングは、うまく使えばクリーチャーを使いまわすことによってドローソースのようにつかうことができます。いくつか例を紹介します。
例1:除去を構えられてそうな盤面
相手:「イゼット講義」《爆裂の技》を構えているかもしれない
盤面:配備土地含む土地5枚、《並外れた語り部》
手札:《救助のけだもの、コーナ》《全知》《スパイダーセンス》《巨大な神核、ウスロス》
この手札では、仮に《全知》が置けたとしてもそこで止まってしまいます。しかし、相手が《救助のけだもの、コーナ》に除去を使えば、《並外れた語り部》を戻しながら《スパイダーセンス》を使うことで、《全知》を通しつつ勝ち筋の確保を行えます。
《並外れた語り部》は、土地を対象に能力を起動すれば実質的にマナを使わずにタップ状態にできるので、「ウェブスリング」が可能です。
相手が除去を唱えなければ勝てませんが、相手視点ではこれを把握することは難しく、ほとんどの場合で除去を使われるはずです。
除去を構えられているときに《北風の守護者》で遠回りして《スパイダーセンス》を持ってきた場合もこういった状況は多発します。
例2:《スパイダーセンス》を自分に撃つ盤面
盤面:配備土地含む土地5枚、《救助のけだもの、コーナ》《並外れた語り部》《全知》
手札:《スパイダーセンス》《始まりの町》《巨大な神核、ウスロス》
上の例で、相手が除去を持っておらず、その後ターンが返ってきたとします。
この場合《救助のけだもの、コーナ》を再び配備し、《救助のけだもの、コーナ》の誘発を《並外れた語り部》を戻しながら《スパイダーセンス》で打ち消すことで、《北風の守護者》までつなげることができます。
《煌野の成長》のつけかた
《煌野の成長》をつけるときに意識する点は以下の2点です。
①青がでる土地以外につける
土地を1枚アンタップで残せるとき、基本的には打ち消し呪文が構えられる青マナを残したいはずです。
たとえば、このように青が出る土地が1枚しかないときに《繁殖池》に《煌野の成長》がついていると、《救助のけだもの、コーナ》+《呪文貫き》のように構えられなくなってしまいます。
②ほかの《煌野の成長》がついている土地につける
同じ土地に複数枚の《煌野の成長》をつけたほうが、《並外れた語り部》で起こした際に多くのマナがでます。
その分《解体爆破場》の被害も大きくなるので、相手が採用しているなら散らすのが無難ですし、配備ランド以外につけるといいでしょう。
サイドボード・マッチアップガイド
このデッキは《北風の守護者》を使う都合上、2本目以降もサイドボードに有効なカードを残すことに意味があります。以下は基本的にメインデッキにいれることのないカードたちです。
- 《スパイダーセンス》2枚のうち1枚
- 《全変する変わり身》
- 《マラング川の執政》
- 《殲滅戦艦》
逆に、これら以外はサイドインする可能性があります。《北風の守護者》から持ってくる展開があるかゲーム感を考えながらサイドボーディングしましょう。
たとえば、サイドボードの《北風の守護者》は、基本的に除去を構えた相手に《北風の守護者》から持ってくるためにサイドボードに採用されています。
しかし、「白系モモ」相手では《北風の守護者》で2枚目を持ってくる展開はあまりなく、《間の悪い爆発》を持ってくることが強いため《北風の守護者》はサイドインします。
《削剥》は「イゼット講義」に有効ですが、《ばあば》に間に合うようプレイしたいので《北風の守護者》から持ってくるのでは間に合いません。
そのためサイドボードには残さずすべてサイドインします。
「イゼット果敢」
《救助のけだもの、コーナ》に対する対処手段が2~3枚程度のため、困ったら《救助のけだもの、コーナ》で突っ込みましょう。主な対処手段が《跳ね弾き》などのバウンス呪文なので、生きていればまた明日挑戦できます。
ドラゴンが除去されることはあまりないですが、《ブーメランの基礎》などでどかされてしまうので出しても安心はできないです。
メインはこちらも除去が薄く、相手の脅威に対処できないため、コンボを積極的に狙っていきます。
vs. イゼット果敢
除去が増え、相手もこちらへの干渉手段を増やすので何もできずに負ける展開は減るはずです。とはいえ、ロングゲームで完全に受けきるのは《渦泥の蟹》なども含めると少し難しいです。
《北風の守護者》で相手にカードを使わせつつ《全知》につなげるよう、サイドに1枚《全知》を落とすのがいいのではないかと考えています。
「緑単上陸」
相手の攻め手段が非常に多角的かつ速度も速く、ドラゴンミッドレンジでは非常に厳しい対面です。反面こちらの派手な動きに対応する手段には乏しく、《全知》コンボが最も有効な対面です。
妨害としては《洪水の大口へ》が非常に有効です。《アナグマモグラの仔》でクリーチャー化した土地や育った《サッズのヒナチョコボ》を手札に戻すことでかなり時間を稼ぐことができます。
vs. 「緑単上陸」
サイドボード後も基本的にコンボに注力します。
対戦相手も速度で勝負しにきますし、数少ない妨害手段が《倦怠の宝珠》なので《北風の守護者》の通りが悪いです。コンボの勝ち手段として少しあれば事足ります。
「イゼット講義」
《救助のけだもの、コーナ》に固執せず、《魂の洞窟》でドラゴンビートダウンを目指します。
ロングゲームになれば相手のシステムが完成してしまうので、4~7ターン目程度にしっかり有利な盤面を作れるように動きましょう。除去やカウンターが散っており、有効でないカードも多いので、困ったら目をつぶって突っ込みます。
できるだけ《爆裂の技》でないと対処できないように動き、《爆裂の技》の枯渇を目指しましょう。
vs. 「イゼット講義」
相手の構成次第で大きく変わります。基本的には即座に《救助のけだもの、コーナ》を決められません。そのため、ゲームが長引くと被るリスクのある《全知》を減らします。
上記のサイドボードは《嵐追いの才能》なし、《忍耐の記念碑》ありの型を想定しています。《嵐追いの才能》が多く採用された型であれば《紅蓮地獄》のサイドインもありです。
サイド後は相手のリソース源に干渉しやすくなり、相手は《焼きつけ》《軽蔑的な一撃》などこちらの引き次第で有効でないカードをサイドインしてくることが多いので、サイド後はよりドラゴンミッドレンジで戦いやすくなるはずです。
《北風の守護者》は非常に有効ですが、《北風の守護者》で持ってくることが多々あるのでサイドに残します。
相手が《全知》を抜いていると踏んでタップアウトしてくる場合は、《全知》を多めに残して咎めにいくのもありです。
《自然の律動》系
緑単上陸に似ていますが、全体除去の通りがいい代わりに速度が少し速いです。
マナクリを展開された後に《マラング川の執政》だけでは結局勝てない展開が多いので、《間の悪い爆発》で一度流すか、《全知》か《殲滅戦艦》の着地を目指します。
vs. 《自然の律動》系
引き続き相手の干渉手段は少ないのでコンボを目指します。ドローソースを撃つ余裕はあまりないため減らしてもよいです。
《北風の守護者》から全体除去を持ってくるゲーム感でもないため、《間の悪い爆発》をサイドインしても問題ありません。
「白系モモ」
ほかのアグロデッキほどは速度が出ず、打ち消しもないので比較的やりやすい相手です。
《全知》コンボの通りもよく、《北風の守護者》を出す余裕もあります。
vs. 「白系モモ」
全体除去の《紅蓮地獄》はまず入ります。
《北風の守護者》で《北風の守護者》を持ってくる必要がなく、《北風の守護者》→《間の悪い爆発》が間に合い有効なので、《北風の守護者》もサイドインします。
おわりに
以上で「ティムール全知」デッキガイドは以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございます。
【#神決定戦】
— 晴れる屋メディア (@hareruya_Media) March 22, 2026
最初に2ゲーム落とすも、それでも折れない神の執念で勝負は最終戦へ!
サイド後は全知コンボからドラゴンビートダウンへと姿を変え、《北風の守護者》が勝利を決定づけた!
『第33期スタンダード神』は平山 怜!おめでとう!!
"永世神"まで、あと4勝。 pic.twitter.com/0LTYzW0ymZ
このデッキでなんとかスタンダード神決定戦で防衛することができました。練習に付き合っていただいた市川さん、熊谷さん、井川さん、改めてありがとうございました。
試合の模様は配信されているので、ぜひそちらもご視聴お願いします。

- 2026/03/21
- 第33期スタンダード神決定戦
- 晴れる屋メディアチーム
派手さを備えつつ、見た目に反して柔軟で選択肢の多いデッキなので、使っていて非常に面白いです。ぜひ使ってみてください。
ではまた。



















































































