お久しぶりです。Hopes浦瀬です。
プロツアー『ラヴニカのギルド』に参加してきました。
結果はドラフト2-4構築6-4でプロポイント加点なしという残念なものでしたが、今回はチーム「武蔵」(武蔵の6人+原根さん、rizerさん、高尾さん、宇都宮さん)で調整させていただいたので、そのレポートも兼ねて良かった点・悪かった点を振り返っていこうかと思います。
本稿はデッキ解説記事ではありませんが、末尾にはおまけとしてプロツアーで使用したセレズニアトークンのサイドボードガイドもあります。
良かった点(1):シルバーレベルに到達した
今年5月のプロツアー『ドミナリア』のときから確定していた話ではありますが、今回の参加ポイント3点でプロポイント22点となり、シルバーレベルに到達しました。
タイトルである「レベルプロへの道」的には一応達成です。ゴールドを目指すにはまだまだ実力が不足しているという自覚があるので、当面はシルバー維持を目標にやっていきます。
良かった点(2):チーム内分担が適切にできた
今回はチームの約半数(市川さん、覚前さん、原根さん、行弘さん、僕)が「セレズニアトークン」を使用しました。
4 《森》
4 《寺院の庭》
4 《陽花弁の木立ち》
1 《オラーズカの拱門》
-土地 (21)- 4 《アダントの先兵》
3 《協約の魂、イマーラ》
4 《敬慕されるロクソドン》
3 《不和のトロスターニ》
-クリーチャー (14)-
セレズニアトークンはチーム内で僕がメインで調整していたデッキです。勝率が高かったことなどからデッキリスト提出の約1週間前に市川さんが興味を示し、提出の2日前~前日にかけてチーム内の本命デッキとして他の方も乗り換えてきました。
他人の興味を引くクオリティでデッキの調整ができたということ自体喜ばしいことですが、真に良かったのは「セレズニアトークン」という見逃されがちなTier2デッキに目を付けられたことです。
これは別に僕がセレズニア大好きっ子だからというわけではなく(セレズニアは好きですが)、適切なチーム内分担の成果だと思っています。
チームでは特に示し合わせたわけでもなく、BGは原根さん、URは渡辺さん、という風に各人に担当デッキができていました。僕は調整前半で《発見の道》を軸に据えたアブザン探検をメインに触っていましたが、デッキのポテンシャルに限界を感じていたところでした。
アーキタイプ | 入賞数 |
---|---|
ジェスカイコントロール | 7 |
白赤天使 | 5 |
黒緑ミッドレンジ | 5 |
白緑トークン | 3 |
白緑探検 | 2 |
白緑ミッドレンジ | 2 |
白赤教導 | 2 |
白単アグロ | 2 |
その他(使用者1名以下) | 4 |
ちょうどその頃グランプリ・ニュージャージー2018の結果が入ってきていて、トップ8に2人、トップ32まで見ると7人がセレズニアカラーのデッキを使用していました。
にもかかわらずチーム内でセレズニアを触っている人間がいなかったため、自分が触ってみることにしました。こういう選択ができたのは、セレズニアがうまくいかなくても、他の人からいいリストをもらえるという当てがあればこそです。
これが個人であれば、きっと誰が見てもTier1であるBGを調整していたと思います。
良かった点(3):チームのために自分が何ができるかより、自分がチームから何を得られるかを重視できた
実は2年前のプロツアー『カラデシュ』のとき、市川さん・覚前さん・山本さんを含む旧「THE SUN」で一緒に調整させていただいたことがあります。当時は、自身初プロツアーであったことや、リアルで新入社員だったことから、はっきりいってかなり浮足立っていました。チームのために(というよりチームに気に入られようとして?)空回りしていた感じです。
今回お誘いいただいた際、同じ轍を踏まないようにしようと決意していました。マジックはあくまで個人競技ですから、自分がいくらチームに貢献しても自分自身が勝たなければ(少なくとも僕にとっては)意味がありません。調整チームはオトモダチ組織ではなく、ビジネスライクな関係であるべきです。
結果からみると今回も僕個人は勝っていないので100%良かったといえるかは微妙なところですが、少なくとも心構えの点では前回より大きく進歩しており、良かったと思います。
悪かった点(1):ドラフトの練習不足
今回はリアルドラフトは発売日の晴れる屋練習会のみ、その後はMOのリーグドラフトを原則1日1回という準備でした。
しかしMOリーグですら勝てず、危機感がありました。直前に行弘さん・ヤソさん・rizerさんから極意を聞いて底上げを図りましたが、付け焼刃ではなんともならず、プロツアーでは1-2を2回という残念な結果に終わりました。
ヤソさんの教えに「プロツアーはドラフト4-2、構築8-2を目指すゲーム」というのがあります。自分はヤソさんではないので構築は7-3を目指すとして、次のプロツアー権利が得られる目標ラインの11-5を達成するためには、ドラフトで4-2できないとそれだけでゲームオーバーということになります。
今回は事前準備の感触からしてとても4-2できる気がしなかったので、もっとドラフトにリソースを割くべきでした。
悪かった点(2):MOでの対戦成績を過信しすぎた
今回はMOでの調整データを集計していましたが、セレズニアの対BG勝率はかなり良い数字が出ていました。しかし、これは罠でした。
まずリアル調整ではBG相手にあまり勝ちませんでした。これを受け「有利」から「五分」に認識を改めたものの、リアルでは記録を付けていなかったこともあり、不利と感じるには至りませんでした。
しかしデッキリスト提出当日、回し始めた武蔵の面々のフィードバックの結果、実際には「かなり不利」であることが発覚します。大慌てでサイドボードに《不滅の太陽》を取りましたが、プランの練りこみ不足もあり、本番でも僕はBG相手に2敗を喫することになりました。
データは有用ですが、必ずしも統計的に十分なサンプル数が取れているわけではありません。理論的な分析やリアル調整の結果を織り込んで考える必要があります。
悪かった点(3):《意志の力》が足りなかった
これは《意志の力》……ではなく、サイドボードの《不滅の太陽》をめぐる話です。前述のとおり、《不滅の太陽》はBG対策として直前になって追加したカードでした。
ところで僕は調整前半《発見の道》型アブザン探検を触っていましたが、このデッキは《不滅の太陽》を最もうまく使えるデッキとしてデザインされたものでした。
サンプルリスト
3 《平地》
1 《沼》
4 《草むした墓》
4 《寺院の庭》
4 《陽花弁の木立ち》
4 《森林の墓地》
2 《名誉の記念像》
-土地 (25)- 2 《クロールの銛撃ち》
4 《マーフォークの枝渡り》
4 《野茂み歩き》
1 《管区の案内人》
4 《翡翠光のレインジャー》
2 《秋の騎士》
4 《不和のトロスターニ》
-クリーチャー (21)-
僕はこのデッキを断念します。その理由は、BG側が《打ち壊すブロントドン》を採用していた場合、本来勝ち筋であるはずの《不滅の太陽》が、逆に負け筋に直結するからでした。
BG側の《不滅の太陽》を対処できるカードは《暗殺者の戦利品》と《打ち壊すブロントドン》の2種類です。《不滅の太陽》は6マナと重いので、対処されるとかなり負け筋になります。
《暗殺者の戦利品》だけなら所詮単発なのでなんとかなりますが、《打ち壊すブロントドン》は一度引かれると《採取+最終》や《愚蒙の記念像》で必要なときに再利用されてしまいます。序盤の「探検」でめくれるだけで《不滅の太陽》の価値は激減し、対BGに有効でないなら使う理由がないということでデッキ自体を諦めたのでした。
さて、話はセレズニアトークンに戻ります。対BGにサイドの枠を取ることになり、チーム内では《不滅の太陽》が有力視されていました。僕は上記の経験を話しやんわり反対しましたが、特に代案を出せません。逆に「対処されなかったときのリターンが一番大きい」と説得を受け、半分納得してしまいます。
否定派から半信半疑派に改宗したことで、サイドに1枚採用することにしました(完全に納得したわけではなかったので、2枚取るという意見には反対し、1枚に留めました。これは結果的に良かったです)。
プロツアーが終わってみると、《不滅の太陽》はやはり《打ち壊すブロントドン》が厳しいので、代わりに《暴君への敵対者、アジャニ》の3枚目を取るべきだったという結論になりました。
《不滅の太陽》デッキもセレズニアトークンもチーム内では僕が一番回した経験があるので、もっと自分の感覚に自信を持つべきだったと思いますし、より強く主張するべきでした。この点はチームに対し申し訳なく思っています。
おまけ:セレズニアトークンサイドボーディングガイド
プロツアー後あまり回す時間を取れていないので、以下ではプロツアー時点で実際に行っていたサイドボードを載せます。基本的に《無効皮のフェロックス》で軸をずらして勝つことが多いです。
対 BG
対 UR
対 Jeskai
対 W/R aggro
対 Mono Red
それではまた次回。