はじめに
お久しぶりです。Hareruya Hopesの宇都宮です。
12月9日にモダンのRPTQがあるので、今日は僕がモダンを勝ち抜くために重要だと考えていることと、モダンのグランプリで2回連続のトップ8を成し遂げる原動力となってくれた、愛機「ブリッジヴァイン」のデッキガイドをお届けしようと思います。
モダンを勝ち抜くための考え方
モダンというフォーマットは、広大なカードプールといくつかの禁止カードにより明確なトップメタデッキというものはなかなか生まれず、多種多様な一線級のデッキが混在しています。これがモダンの特色であり、素晴らしいポイントであると僕は考えています。
グランプリ・アトランタ2018のカバレージ内にあった「2日目のメタゲームブレークダウン」上では、僕の使用していた「ブリッジヴァイン」は使用者が僕1人しかいない「その他」に分類されていました。
モダンだからこそ、使用者が1人しかいないデッキでも2回連続でグランプリトップ8に入賞できたんです。モダンは数あるフォーマットの中で最も自分の好きなこと、やりたいことを追求しつつ、同時に勝率も高めることができるフォーマットなんです。
さて、そんなモダンで僕が勝つために必要だと考えていることは、一言で表すと「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」です。
広大なモダン環境を理解することはとても大変ですが、相手が次に何をしてくるか、どのカードをプレイされるのが自分にとって一番厳しいかを理解しているだけで自分のプレイ精度は大きく変わります。そして自分のデッキを理解していれば、勝つために必要なアクションや引きたいカードなどをイメージした正しいプレイに繋がるでしょう。
自分のデッキ、さらには他のデッキへの理解度を高めることが、相性差がほとんどない幾多のマッチアップでの勝利を手繰り寄せ、相性が悪いマッチアップで唯一の勝ち筋を辿るための鍵だと考えています。
デッキの紹介
ここからは「ブリッジヴァイン」というデッキの紹介をしていきます。
自分には心に決めたデッキが……という方ももちろんいらっしゃるでしょうが、先ほど書いた通り、敵を知ることは己の勝率を高めることにも繋がります。そのため、ぜひ一度最後まで読んでいただければ幸いです。
このデッキは、その名の通り《黄泉からの橋》と《復讐蔦》をキーカードにしたクリーチャーベースの墓地利用コンボデッキです。
『基本セット2019』発売後に注目を集めましたが、今現在では人気が下火になってしまっています。人気が落ち着いてきた背景として、『ラヴニカのギルド』発売直後に「発掘」デッキが結果を残したことが考えられます。これにより環境に墓地対策カードの枚数が増えたことや、「ブリッジヴァイン」を使用していたプレイヤーが似た系統のデッキである「発掘」デッキに鞍替えてしまったのではないかと考えています。
ただし、「ブリッジヴァイン」には「発掘」デッキにはない魅力がありますし、デッキを理解していれば墓地対策を乗り越えて結果を残せる力のあるデッキだと思っています。この記事ではその辺りにも触れていきたいと思っています。
デッキリストと各カードの役割、採用理由
こちらが実際にグランプリ・アトランタ2018で使用したリストになります。
1 《山》
2 《血の墓所》
1 《草むした墓》
1 《踏み鳴らされる地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《新緑の地下墓地》
4 《黒割れの崖》
-土地 (18)- 4 《歩行バリスタ》
4 《縫い師への供給者》
4 《臓物の予見者》
4 《傲慢な新生子》
4 《墓所這い》
3 《ゴブリンの奇襲隊》
4 《恐血鬼》
4 《復讐蔦》
1 《大いなるガルガドン》
-クリーチャー (32)-
メインデッキ
《黄泉からの橋》、《復讐蔦》、《信仰無き物あさり》、《傲慢な新生子》、《縫い師への供給者》各4枚
このデッキの主な勝利手段は、《黄泉からの橋》の能力で大量のゾンビを展開することと、最速で1ターン目から攻撃できる《復讐蔦》になります。この2種がデッキの核です。
そしてこれらデッキの核を墓地に送るためのカードが、《傲慢な新生子》、《信仰無き物あさり》、《縫い師への供給者》です。この3種がデッキの潤滑油になります。
これら5種類はこのデッキにとって非常に大切なカードなので、いずれも4枚から減らすことはないでしょう。
《臓物の予見者》4枚、《大いなるガルガドン》1枚
デッキを回す上で八面六臂の活躍を見せるサクリファイス (生け贄に捧げる) 能力持ちのクリーチャーです。軽いクリーチャーである点と詰めの場面、全体除去呪文からの復旧の両面で《臓物の予見者》の方が強いです。《大いなるガルガドン》は絶対に複数枚引きたくありませんし、サクり台は合計で5枚以上欲しいのでこの割合です。
《墓所這い》4枚
あらゆる場面でいぶし銀の働きをします。回っている場面では墓地に1枚あれば充分という判断から枚数を減らしているリストもありますが、回っていない場面ではパワー2のアタッカーが重要であることを評価して4枚にしています。
それと、サイド後は《墓所這い》が1ターン目のベストムーブであることも多いです。というのも、《墓所這い》は1ターン目の様子見として最適だからです。
対戦相手が墓地対策カードを初手から持っている場合、それらの多くは2ターン目までにプレイされます。そのため、サイド後は1ターン目に《縫い師への供給者》や《信仰無き物あさり》で墓地にカードを落としてターンを返す動きは得策とは言えません。せっかく墓地に落としたカードを、有効活用する前に無効化されてしまう危険性があるからです。
そこで重宝するのが《墓所這い》で、こいつを出しておけば対戦相手が墓地対策を持っている場合・持っていない場合の両ケースに備えることができます。もし返しのターンで墓地対策が出てこないのなら2ターン目から《縫い師への供給者》や《信仰無き物あさり》を使い始めればいいですし、逆に墓地対策が出てくるようなら《墓所這い》のパワー2という特性を生かして速やかにビートダウン戦略に移行することができるからです。
また、サイド後の《信仰無き物あさり》は捨てたいカードや引きたいカードが状況次第で大きく変化するので、対戦相手が序盤に墓地対策を持っているかどうかを確認してからキャストした方がいいですし、そういった意味でも《墓所這い》は今後のベストな動きを判断する間のつなぎとして最適なんです。
《歩行バリスタ》4枚
デッキの速度を1段階上げる、(X)(X)マナコスト界最強のクリーチャーです。最後の数点を詰めたり、サイド後に出てくる悪夢のような《オーリオックのチャンピオン》を処理する唯一の手段にもなります。重ね引くと弱いという弱点はありますが、1ターン目に《縫い師への供給者》や《信仰無き物あさり》などから《復讐蔦》を出す唯一の方法でもあるので4枚のままでいいと思っています。
《恐血鬼》4枚
この枠に《搭載歩行機械》を採用している型もありますが、僕は絶対に《恐血鬼》の方が優れていると思っています。《信仰無き物あさり》などで墓地に落とす際に当たりとして換算できますし、「フェッチランド・《黄泉からの橋》・《臓物の予見者》・《ガルガドン》」と組み合わせることで爆発的にゾンビを増やすことができたり、単体でも粘り強い攻撃手段になるというのは《搭載歩行機械》にはできないことです。
環境にコンボデッキがかなり増えてスピードが必要にならない限り、5枚目以降の(X)(X)マナのクリーチャーは不要だと思います。
《ゴブリンの奇襲隊》3枚
並べたクリーチャーの打点を上げ、速攻を付与するフィニッシャー。ゲーム中にできれば1枚は引きたいのですが、複数枚引きたくはないですし、展開によっては手札で腐り続けてしまうので3枚が適正だと思っています。
《集団的蛮行》2枚
このスロットは自由枠でもあります。
このデッキの弱点は、土地が少ないのにマナシンボルの要求値が高いためショックランドにライフを払う回数ことが多いこと、クリーチャーベースのデッキなのでコンボデッキへの干渉手段が少ないことの二点です。
《集団的蛮行》はこれらの弱点を改善する唯一無二のカードで、75枚には必須だと言えます。アグロとコンボに対しては、1本目で勝利できればマッチに勝てる可能性が一気に上がるのでメインから採用しています。
地味ながらディスカード手段になるのも偉いです。
土地18枚
特に(X)(X)マナのクリーチャーが多い構成だと17枚のリストも見かけますが、僕のリストでは(X)(X)マナのクリーチャーが少なく、《恐血鬼》もあるので2枚目以降の土地に巡り会うのは絶対に満たさなければいけない条件です。土地が1枚のみでも《信仰無き物あさり》を含む強い初手はキープするので、そこからちゃんと2枚目の土地を引けるようにするためにも18枚の方がいいでしょう。
サイドボード
《虚空の力線》4枚
カードの性質上4枚がいいですが、ここ最近は有効な相手も少なくなってきている印象を受けます。もしどうしても他に採用したいサイドボードがある場合は、1枚だけ削ってもいいかなと思います。
《暗殺者の戦利品》4枚
サイドインする枚数については後述のサイドボードガイドの部分で詳しく書きますが、《虚空の力線》だけは2ターン目に割ることが絶対条件になるので、対処法である《暗殺者の戦利品》は最大枚数の4枚を採用しています。対置物枠が生物にも触れるようになったので、かなり嬉しい強化です。
《減衰球》2枚
コンボデッキとの相性を改善してくれ、「トロン」にも直撃します。ひっそりと自分の《復讐蔦》を戻すときに邪魔になりますが、それよりも相手の妨害が重要なマッチアップで入れるので気になりません。
《思考囲い》2枚
同じくコンボや「トロン」への枠です。「青白コントロール」などが相手の場合、《安らかなる眠り》や《悪斬の天使》も落とすことができます。
《冒涜の行動》1枚
「カンパニー」や「5色人間」、「スピリット」用のスイーパー (全体除去呪文) です。《漁る軟泥》がアクティブな状況以外では3マナ以下でキャストできると思います。キャストできたときの効果は絶大で、この1枚で絶望的な盤面を何度も逆転してきました。サイドインするマッチでは絶対に引きたいものの、複数採用していたときにキャストできずに手札に溜まってとんでもないことになったので、それ以来1枚に抑えています。
《暗黒破》1枚
「発掘」持ちの除去として《貴族の教主》や《教区の勇者》、《療治の侍臣》などに有効です。除去が少ないデッキなので、除去することを躊躇いがちな《貴族の教主》などに何の気兼ねもなく打てるので1枚入れておくと便利です。限定的ではありますが、「感染」に対して最強のカードです。
《壊死性の傷》1枚
サイドボードで唯一他のカードに変更してもいいかなと思っているところ。3ターン目くらいになると大体何でも除去できますし、追放する効果なので自分の墓地の《黄泉からの橋》がなくなることもないため、理論上は一番使い勝手がいい除去です。
欠点はふたつで、最序盤には打てない可能性があることと、相手の墓地対策によって腐りうることです。特に「緑白カンパニー」に対しては《献身のドルイド》には間に合わず、《漁る軟泥》も処理できない、なんてことが起こりえます……。「紛争」する手段は多いので、《致命的な一押し》の方がいい可能性はあります。
デッキの長所と短所
長所
ブン回りが強く、墓地に特定のカードを落とすという目的を達成するための手段が豊富
《黄泉からの橋》、《復讐蔦》を落とすために《縫い師への供給者》、《信仰無き物あさり》、《傲慢な新生子》、《集団的蛮行》の計14枚が採用されています。
クリーチャーデッキでありながら全体除去含む除去への耐性が高く、粘り強い
キーカードの《黄泉からの橋》、《墓所這い》、《恐血鬼》は除去全般に強く、《臓物の予見者》や《大いなるガルガドン》が絡むことで「青白コントロール」の《終末》でさえも比較的軽傷で済ませることができます。
墓地利用コンボには珍しく、墓地対策の上から勝利できることが多い
後述になりますが、サイド後には相手のアクションやサイドインされるカードを予想した立ち回りが必要になります。なにも考えずにプレイすると、当然墓地対策が直撃してしまいます。
フェアデッキにめっぽう強く、アンフェアとも速度勝負が可能。
ほぼ起こりはしないものの、1ターン目《復讐蔦》2体→2ターン目《ゴブリンの奇襲隊》で合計20点というパターンが存在するので、最速は2kill。ここまでではなくとも《ゴブリンの奇襲隊》絡みのブン回りをしているときは高い3kill率を誇ります。コンボ同士の対決ではほとんどお互いに干渉しないので、このパターンであれば速度で上回って勝つことができます。
短所
期待値の高い初手からでも、上手く繋がりきらずにただのゴミビートで終わってしまうことがある
これは《縫い師への供給者》がキープ基準になったときに起こりやすいです。《黄泉からの橋》と《復讐蔦》という大当たりが落ちなくとも、《墓所這い》や《恐血鬼》、《信仰無き物あさり》でも最低限デッキは回るので、ゴミビートになってしまう確率がそれほど高いわけではないのですが、そうは言ってもデッキ内には外れカードの方が多いのです。
コンボデッキへの干渉手段が乏しい
長所の部分でも書いた通り、こちらの妨害手段はわずか2枚の《集団的蛮行》のみ。理想の回りができれば速度勝負で勝てる展開もありますが、クリーチャーによって20点を削りきることを目指すこのデッキは、モダンで言うところの3.5killデッキに当たります。この0.5ターンの隙を突かれてしまい、あと1ターン早ければ……ということ展開は往々にして起こります。
墓地デッキなので必ず墓地対策をサイドインされる
後述するように墓地対策を避ける方法が存在するとはいえ、墓地対策が効かないわけではないです。マリガン後にどうしても墓地対策が避けられないようなハンドがくることもあります。
デッキを回す上で覚えておくといいテクニックなど
《ゴブリンの奇襲隊》のキッカー能力
《ゴブリンの奇襲隊》のキッカー能力は戦場に出てからスタックに乗ります。そのため、墓地に《黄泉からの橋》+《臓物の予見者》or《大いなるガルガドン》が揃っているのであれば、《ゴブリンの奇襲隊》の能力が解決される前にゾンビトークンを生み出すことで、ゾンビに+1/+0の修正と速攻を与えることができます。
《傲慢な新生子》をキャストするタイミング
《傲慢な新生子》をキャストするのは、生け贄に捧げるターンにするべきです。例えば、2ターン目に確定で《復讐蔦》を墓地から戻せる手札の場合、1ターン目に《傲慢な新生子》と《臓物の予見者》があるのなら《臓物の予見者》からキャストするようにしましょう。こうすれば2ターン目に《臓物の予見者》も攻撃に参加できるので、打点が1点多くなります。ただし、《傲慢な新生子》で《黄泉からの橋》を捨てる場合のみ2/2ゾンビが戦場に残るので打点が増えます。
また、《傲慢な新生子》は威迫を持っているので、思いのほかダメージを稼いでくれます。1点の積み重ねが響いてくる展開もあるので、決して忘れないように。
1ターン目のアクションの指針
1ターン目のアクションは非常に重要です。自分の中の指針としては、《歩行バリスタ》が手札にある場合は《縫い師への供給者》が最優先です。《縫い師への供給者》で《復讐蔦》が落ちれば、即座に戦場に戻すことができるからです。手札に《歩行バリスタ》がなければ1ターン目に《復讐蔦》が墓地から戻ることはないので、手札のクリーチャーの数を減らさないためにも《信仰無き物あさり》から入るのがベストであることが多いです。
相手のライフを削ることを常に意識する
常に20点を削ることを目的に動きましょう。最も勝ちやすいのが《黄泉からの橋》と《復讐蔦》ですが、《恐血鬼》や《ゴブリンの奇襲隊》などを上手く活用すれば予想外のところから勝てたり、絶対的な盤面を作りあげたりすることが可能です。
《黄泉からの橋》や《復讐蔦》を引いてしまったときに、墓地の《信仰無き物あさり》をフラッシュバックしたくなることがあると思います。しかし《信仰無き物あさり》のフラッシュバックは3マナとこのデッキにとっては重く、そのターンに他のアクションをとることは難しいです。フラッシュバックするよりも手札のクリーチャーを展開して攻める方が勝利に近づく場面もあります。捨てたいカードを引いたからと言って、安易にフラッシュバックしてしまわないように注意しましょう。
今何が必要なのかを理解しておく
常に見えないライブラリーの上数枚に、何があればいいのかをイメージしましょう。《縫い師への供給者》や《信仰無き物あさり》をプレイする際に、墓地に何が落ちれば良いのかと、それが落ちる期待値まで判断できるようになればより勝率が上がります。
サイドボードガイド
基本的にデッキ全体が完成されたコンボデッキなので、サイドボードをすればするほどデッキの完成形から離れていくことになります。サイドボードは必要最低限にすることが重要です。
モダンは想定しうるデッキが多すぎるので、全てのマッチをここに記すことはできません。いくつか主要なものを載せますが、それ以外のデッキと戦うときのために個人的な指針を書いておきます。
サイドアウトするカードの判断基準
1. 《集団的蛮行》が必要かどうか
一番分かりやすいかもしれません。コンボ以外には大体抜いていいです。フェア相手も腐りはしないものの、必須ではありません。
2. 求められているスピードに応じて《歩行バリスタ》か《恐血鬼》を抜く
速度がなければ勝てないコンボデッキを相手にする場合は、3~4ターン目くらいに真価を発揮する《恐血鬼》では手遅れになることがあります。素出しする場合も2マナと重いので、純粋な速度が求められているマッチアップの場合は《恐血鬼》から抜いていくことになります。
一方で、フェアデッキなどの速度勝負にならない相手には《歩行バリスタ》があまり有効ではなく、《恐血鬼》はそれ単体で強いアタッカーになります。速度が重要でないフェアデッキ相手には、《歩行バリスタ》を抜きましょう。5色人間だけは例外で、《オーリオックのチャンピオン》がサイドインされるので、《オーリオックのチャンピオン》対策として4枚すべて残すことになります。
3. 《大いなるガルガドン》か《臓物の予見者》を削る
基本的には《大いなるガルガドン》からサイドアウトすることが多いです。《大いなるガルガドン》を残す場合にはいくつかのパターンが存在しますのでご覧ください。
4. 《ゴブリンの奇襲隊》
可能な限り抜きたくはありませんが、横並びするマッチアップの後手など有効ではないシーンが想定されるときは1枚程度サイドアウトすることがあります。また、このカードは《謎めいた命令》の「クリーチャーをタップするモード」には弱いものの、《謎めいた命令》を打ってくる「青白コントロール」のようなデッキには全体除去呪文の返しに出したいので、全部抜くことはありません。
想定される対策カードと《暗殺者の戦利品》をサイドインする枚数
《暗殺者の戦利品》はどんなパーマネントでも対処できる便利なカードですが、僕は対戦相手が投入してくるであろうカードに合わせて《暗殺者の戦利品》をサイドインする枚数を変えています。
前述の通り、メインデッキの形はできる限り変えたくありません。そのため、《暗殺者の戦利品》をサイドインする枚数が多ければ多いほどこのデッキにとって致命的なパーマネントであると言えます。
《安らかなる眠り》は致命的ではないのか?と思われるかもしれませんが、《安らかなる眠り》を置かれる前に十分な展開ができていれば、《安らかなる眠り》を置いた分の2マナのテンポ損と合わせて盤面だけで押しきることは可能です。もちろん割れるにこしたことはありませんが、何があっても処理しなければ勝てないというほどのものでもありません。
一方で、《虚空の力線》は0ターン目に0マナで設置ということでテンポ損がないため、割れない限り攻めきれる未来はありません。複数枚置かれて対戦相手の手札が少ない場合にのみ、稀に《虚空の力線》を無視してクリーチャーなどに《暗殺者の戦利品》を充て、ゴミビートを継続する戦略をとることがあります。
マッチアップ別サイドボードガイド
青白コントロール
基本的に有利。
《終末》を常に頭に入れることと、サイド後はそれに加えて《安らかなる眠り》を置かれることもしっかり想定すること。
対 青白コントロール
トロン
お互いに勝ちパターンが多く五分五分の印象でしたが、《暗殺者の戦利品》の登場に伴いサイドボードのスロットに余裕が生まれ、《減衰球》まで採用できるようになったので有利になったかなと思っています。
メインから《大祖始の遺産》が採用されていることが多いので注意。
対 トロン
バーン
有利です。
先手2ターン目の《大歓楽の幻霊》は80%以上負けますが、それ以外は間に合う展開が多いです。
「バーン」の《安らかなる眠り》は「バーン」側の盤面が弱いので、ただのタイムワープみたいなもので他のデッキほどの影響力はありません。したがって、《暗殺者の戦利品》を3枚入れる必要はないと感じています。
対 バーン
5色人間
五分だと思います。こちらは相手の《カマキリの乗り手》を含む航空戦力に対処できませんが、相手側もこちらの展開を上手く妨害できないので、1本目に関しては回りが良い方が勝ちやすいです。
サイド後は《カマキリの乗り手》に加えて、1枚でゲームエンドとなる《オーリオックのチャンピオン》が追加されます。《歩行バリスタ》はできれば《オーリオックのチャンピオン》用に温存しておきましょう。
対 5色人間
スピリット
五分です。割と「スピリット」側が有利という話を聞きますが、双方の理解度と引きに依存すると考えています。
「スピリット」に負けるパターンは、複数枚のロードによる飛行ビートダウンであっという間にライフがなくなるときです。相手が《霊廟の放浪者》や《悔恨する僧侶》で妨害してくる可能性がある盤面では、常に起動された場合を考えて損を最小限に抑えるプレイをしましょう。「5色人間」と違って、サイド後は《安らかなる眠り》や《崇拝》といった致命的なパーマネントをプレイしてきます。
対 スピリット
《クラーク族の鉄工所》 (KCI)
不利です。『基本セット2019』の新戦力である《練達飛行機械職人、サイ》が採用されるようになってサイド後の戦略に柔軟性が増し、墓地対策だけしても勝てなくなってしまいました。
アタックも通らない上に、《練達飛行機械職人、サイ》でトークンを生け贄に捧げると《黄泉からの橋》を追放することも可能なので、《練達飛行機械職人、サイ》は出されると詰むレベルです。
1本目の速度勝負をなんとか制して、サイド後は相手の回りがぬるめなことを祈ります。
対 KCI (先手)
対 KCI (後手)
《硬化した鱗》親和
無理です。体感のマッチアップ相性は1:9くらいあります。
こちらは妨害できないので、対面の《歩行バリスタ》がムキムキになってこちらの盤面とライフを削りまくるのを眺めるしかできません……。一方で、相手は《電結の荒廃者》などで《黄泉からの橋》ルートに干渉できます。《復讐蔦》も《搭載歩行機械》の前では無力です。
サイド後は《虚空の力線》を置き、《黄泉からの橋》を追放させず、「電結」させず、《搭載歩行機械》のトークンを出させない状態からスタートしないと勝てない印象です。
対 鱗親和
ミラー / 発掘 / ホロウワン
1本目は対「発掘」、「ホロウワン」ともに有利です。
《黄泉からの橋》が明確に有利な点で、こちらの展開力が相手の突破力を上回るからです。
サイド後はお互いに《虚空の力線》を設置することになります。「発掘」はこちらよりもデッキがシナジーに偏っているので、《虚空の力線》が対処されなければ勝てます。仮に《虚空の力線》が対処されたとしても、相手は対処したあとに動き始めることになるので大幅に減速します。
「ホロウワン」は《虚空の力線》を無視して《虚ろな者》を展開できるため、相手側に《虚空の力線》があるとほとんど勝てません。逆に《虚空の力線》さえなければ《黄泉からの橋》で1本目と同様に勝てるので、対ホロウワン戦は《暗殺者の戦利品》が明確なキープ基準になります。
対 ミラー / 発掘 / ホロウワン
おわりに
いかがだったでしょうか?
僕が使用する上で考えていることをできるだけ書かせていただきましたが、「ブリッジヴァイン」は使用人数が少ないこともあってまだまだ発展の余地があるデッキです。単体では弱いカードの集まりなので簡単に使いこなせるものでもありませんが、使っていて楽しいデッキですし、使いこなすことができれば結果が残せるデッキです。
使っていて疑問に思うことや、この記事に載っていない気になるサイドボードディングなどがありましたら、僕のTwitterアカウント@katuo079595までお願いします。
少しでも多くの人のお役にたてれば幸いです。
宇都宮 巧