Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2018/12/07)
自己紹介
やぁ。俺はHareruya Hopes所属のピーター・ウォード/Peter Ward。イングランドのバース出身だ。俺はホロウワンをずっと使ってきて、数々の結果を残してきた。マジック25周年記念プロツアーでは29位に入賞したんだ!でもそれよりも知ってもらいたいことがある。俺はホロウワンを使い込んできたけど、絶対に《沼》を入れるべきじゃないと思っているんだ。
なぜホロウワンなのか?
ホロウワンはメタに合っていないと言う人が多い。でも実際はそうじゃない。《虚ろな者》のおかげで、どんなデッキにも勝てるような展開でゲームを始められるデッキなんだ。ホロウワンの使うカードは消耗戦に強いし、多角的な攻め方もできる。どんなデッキに対してもゲームプランが立てられるから、ホロウワンは新世代のジャンドと言ってもいい。ただし、従来のジャンドは3ターン目にゲームに勝ったりしないけどね。
ホロウワンは「運次第のデッキだ」と言われることも多い。そういう人たちには、まずこのデッキを使ってみてほしい。実際には細かな判断がいっぱいあって、それらすべてがアドバンテージに直結する。その判断が難しいこともあるけど、マジで面白くて、ちゃんと使ってあげれば応えてくれるデッキなんだ!
これは俺が先週末のRPTQで使ったリストだ。5勝2敗で10位に入賞した。
2 《血の墓所》
1 《踏み鳴らされる地》
2 《血染めのぬかるみ》
2 《乾燥台地》
2 《沸騰する小湖》
2 《樹木茂る山麓》
4 《黒割れの崖》
-土地 (18)- 4 《炎刃の達人》
4 《恐血鬼》
4 《炎跡のフェニックス》
4 《通りの悪霊》
4 《虚ろな者》
2 《黄金牙、タシグル》
2 《グルマグのアンコウ》
-クリーチャー (24)-
基本的な初手のサンプル
じゃあ早速デッキを回してみよう。まずはこんな初手だったらどうプレイしていくか考えてみてくれ。
初手:
1ターン目:
1ターン目のベストな動きは《炎刃の達人》であることが多い。逆に《炎刃の達人》を1ターン目に出さない例を教えておこう。
1ターン目はフェッチランドを使う。理由は「探査」を考えると少しでも墓地を肥やしておきたいからだ。フェッチランドで持ってくるべき土地は《山》だ。メインデッキを回す上で黒マナも1つだけ必要になるけど、それは後々でも問題ない。
2ターン目:
2ターン目は、2枚目のフェッチランドを置いて、《燃え立つ調査》を唱える。《燃え立つ調査》で《グルマグのアンコウ》が手札に残った場合、フェッチランドを使って《血の墓所》をサーチしてくる。これで墓地はちょうど6枚になり、《グルマグのアンコウ》を唱えられるようになる。今回の例の場合、もし《燃え立つ調査》で《恐血鬼》が捨てられ、かつ《通りの悪霊》を引けていないと、《グルマグのアンコウ》の「探査」で《恐血鬼》を追放することになってしまうね。
もうひとつ興味深いのは、仮に《燃え立つ調査》が《信仰無き物あさり》であった場合、《グルマグのアンコウ》の「探査」コストは足りなかったということだ。《燃え立つ調査》のすごさを実感できる瞬間だね!
キープ or マリガン?
もしこの初手が来たらどうするか考えてみてくれ。
ケース1:
僕の答え: キープ
7枚の初手としては最悪レベルのものだ。もしこの初手に《グルマグのアンコウ》みたいな見返りのあるカードがなければ、マリガンすべき手札だね。ただ、嬉しいことにホロウワンは6枚、あるいは5枚ですらデッキとして十分な動きができる。俺の初手4枚からでも何度か勝った経験がある。あれはすごいゲームだったね。
ケース2:
僕の答え: キープ
1回マリガンをした初手。これは先手でも後手でもキープだ。《通りの悪霊》と《信仰無き物あさり》は、初手としては最高級の組み合わせといえる。なんでかいうと、この2枚は無作為に手札を捨てるカードではないので、リスクを負うことなく《虚ろな者》を出せるからだね。確かに土地が引けないリスクはあるけど、それに見合うだけのリターンがある。マリガンによる占術もあるし、《通りの悪霊》で追加のドローもできるから、キープに値する手札だろう。
《沼》について
俺のデッキリストを見て気づいたと思うけど、赤絡みのフェッチランド全種を分散して採用している。《沼》を採用しないことによるメリットとしては一番些細なものかもしれない。でも実はこれには重要な意味がある!
実はかつて、ランタンコントロールと対戦していたときにこんなことがあった。相手は先手1ターン目に《ミシュラのガラクタ》を使い、俺のライブラリーのトップに《燃え立つ調査》があることを確認し、《真髄の針》で《血染めのぬかるみ》を指定してきた。でも俺の手札に唯一あった土地は《沸騰する小湖》だったんだ!赤絡みのフェッチランド全種を散らして採用しておいたおかげさ!
《沼》を採用しているプレイヤーの主な言い分はこの2つだ。
《沼》を使うメリットを探そうと思えば探せると思う。しかし、デッキをうまく使ってやれば、《沼》なんて邪魔でしかないんだ!その理由を教えよう。
サイドボードガイド
ホロウワンはデッキを回す上で外せないパーツが多いから、サイドインするカードがよっぽど強くない限りはサイドインする枚数を抑え、デッキの機能を保ったままにすべきだ。その性質を踏まえて、サイドボードのカードを散らし、さまざまなデッキに対して戦えるように構築してある。だから、サイドボード後に弱いカードが残ったままにならないようになっている。
ホロウワンはちょっとやそっとの対策では止まらない。《墓掘りの檻》や《外科的摘出》、《虚空の力線》でさえ、ホロウワンにはほとんど効果がないんだ。
モダンにはさまざまなデッキが存在している。みんな好き勝手なデッキを持ち込んでくるからね。だから大切なのは、柔軟に対応すること、そして俺のアドバイスを聞いて基本を押さえることだ。
vs. ドレッジ
vs. ドレッジ
《燃え立つ調査》は、どんな相手に対しても全部サイドアウトすることはない。デッキの強い動きをするには必要なカードだからね。ドレッジは墓地に「発掘」カードがないこともあるから、その隙を狙って《虚ろな者》を軽いマナで唱えられるようにしてやれば、勝利をものにすることができる。もし《燃え立つ調査》を全部抜いてしまったら、こんな勝ち筋はなくなるし、デッキとしての安定性も失うことになる。それに《虚空の力線》を設置できていれば、ドレッジが何を捨てようが関係なくなるからね。
vs. バント・スピリット
vs. バント・スピリット
《ゴブリンの知識》は、《霊廟の放浪者》や《呪文捕らえ》に弱すぎるので2枚は抜く。確かに《集団的蛮行》もこれらのカードに弱いけど、とても有効なカードでもあるんだ。それに《崇拝》を使われたとしても、2点ドレインで勝つことができる。まぁ最近は《崇拝》を使ってる人はあまりいないみたいだけどね。
vs. 《硬化した鱗》親和
vs. 《硬化した鱗》親和
《古えの遺恨》や《致命的な一押し》などの確定除去は、《鋼の監視者》や大きなサイズになった《墨蛾の生息地》のためにとっておこう。相手はゲームプランを実行するなかで、チャンプブロックをしたクリーチャーを《電結の荒廃者》で生け贄に捧げることが多いから、このマッチアップでは単体でのブロックを許さない《炎刃の達人》が大きな脅威となる。戦闘後に《炎跡のフェニックス》を出せば《墨蛾の生息地》に対するブロッカーになるから忘れないようにね!
vs. 青白コントロール
vs. 青白コントロール
青白コントロールとの対戦は、とてつもない長期戦になることが多いけど、ちゃんとプレイすれば消耗戦で勝つことができる。《通りの悪霊》や《思考囲い》といったカードはもちろん、《流刑への道》と《廃墟の地》を意識してフェッチランドでショックランドを積極的にサーチしなきゃいけないから、ライフはあっという間に減ってしまう。《致命的な一押し》は、鬱陶しい《天界の列柱》のために1枚は残しておこう。相手のデッキがジェスカイコントロールなら、サイズの大きいクリーチャーを処理しづらいデッキなので、比較的戦いやすくなる。
vs. 5色人間
vs. 5色人間
《渋面の溶岩使い》をサイドインするなら、大体の場合「探査」クリーチャーを抜いてしまって構わない。サイドボード後の勝ち方としては、消耗戦で勝つか、地上を固めて《炎跡のフェニックス》で空から攻撃するかだ。
vs. ミラーマッチ
vs. ミラーマッチ
相手のデッキに《グルマグのアンコウ》が入っているなら、《黄金牙、タシグル》は抜くべきだ。デカい魚に負けるようなやつのために墓地を肥やす必要なんてない。《虚空の力線》を使ってくる可能性が高い相手に対しては、少なくとも1枚は「探査」クリーチャーを抜くのが定石だ。
vs. 黒緑/ジャンド
vs. 黒緑/ジャンド
このマッチアップでは「探査」コストの支払い方に少し注意が必要だね。相手の《タルモゴイフ》のサイズを下げるために使ったりするからね。それと、「探査」コストには不要なクリーチャーを優先して使うようにしよう。《漁る軟泥》にエサを与えちゃだめだ。
vs. トロン
vs. トロン
トロンからすれば、ホロウワンのクリーチャーは実に対処しづらい。トロンでもっとも厄介なカードは《ワームとぐろエンジン》だけど、こいつを出された返しのターンで威迫や飛行のクリーチャーたちで勝ったことが何度もあるぜ!
vs. 《死の影》
vs. 《死の影》
デッキ本来の動きをあまり鈍らせたくないから、《虚空の力線》は4枚も入れたりしない。しかも《虚空の力線》は、必ずしもすべてのゲームで効果抜群というわけでもないからね。なぜかというと、相手の最善の勝ち筋は《死の影》と《ティムールの激闘》のコンボだからだ。
vs. 《弧光のフェニックス》デッキ
vs. 《弧光のフェニックス》デッキ
このアーキタイプは《騒乱の歓楽者》や《弧光のフェニックス》を軸にして動くことが多いから、《虚空の力線》はとても効果的で、この2種のカードをシャットアウトできるんだ。相手はサイドボード後に、大抵《氷の中の存在》を軸にしたプランに変えてくるから、《致命的な一押し》を1枚サイドインする。まだ登場して間もないアーキタイプとの対戦だから、改善の余地があるサイドボーディングだね。
vs. バーン
vs. バーン
バーン相手に《通りの悪霊》は無駄なカードになってしまうことがほとんどだ。バーンが《罠の橋》を入れてくることを想定したサイドボーディングをしよう。
vs. 青赤ストーム
vs. 青赤ストーム
コンボデッキが相手の場合、普通は《恐血鬼》よりも《炎跡のフェニックス》の方が弱いカードになる。墓地から復活させるのに1マナがかかるからね。しかしストームが相手の場合は、盤面がゴブリンの群れで固まってしまうから、飛行を持つ《炎跡のフェニックス》はデッキに残しておこう。
vs. 感染
vs. 感染
感染相手には、完全にコントロールデッキとして立ち回ろう。感染は《台所の嫌がらせ屋》や《形成師の聖域》といった厄介なサイドボードを入れてくることがあるけど、大体の場合カードアドバンテージで勝つことができる。こちらが相手のクリーチャーをことごとく除去するため、相手は《巨大化》系の呪文を手札に抱えることになるからね。
vs. アイアンワークス
vs. アイアンワークス
サイドボードをするときは《練達飛行機械職人、サイ》の存在を忘れてはいけない。《虚空の力線》は、相手の《彩色の星》のような「サイクリング」できる1マナのアーティファクトを封じることができるから、とても心強い味方になってくれる。《虚空の力線》をまともに4マナで唱えて勝ったゲームも数えきれないほどあるんだ!
まとめ
ここまで読んでもらっても、ホロウワンがモダンで最強クラスのデッキだと思えない人のために、簡単にホロウワンの魅力をまとめておこう。
長所:
短所:
ここまで読んでくれてありがとう。これからみんなの日々も「虚ろなもの」になりますように。