Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2019/01/04)
はじめに
みなさん、こんにちは。スタンダードのシーズンも終盤にさしかかっていますが、本日はみなさんにおすすめしたいデッキがあります。ワールド・マジック・カップ2018に向けてシンガポール代表が調整し続けたデッキであり、実際のワールド・マジック・カップでも大きな存在感を見せつけたデッキのひとつでもあります。そのデッキとは、セレズニアトークンです。
セレズニアトークンは、今の環境でとても良い立ち位置にあり、苦手としているマッチアップはジェスカイコントロールと《弧光のフェニックス》入りの青赤ドレイクだけです。青赤ドレイクに関しては、《弧光のフェニックス》が入っていないバージョンの方が環境のさまざまなデッキと戦いやすいため、《弧光のフェニックス》入りのものは数を減らしています。ですから、コントロールデッキが環境で幅を利かせない限りは、セレズニアトークンはこれからもデッキ選択の筆頭にあがるアーキタイプになるでしょう。『ラヴニカの献身』ではセレズニアトークンと相性の良さそうな「死後」というメカニズムもありますしね。
最新のデッキリスト
今後私がセレズニアトークンを使うとすれば、このようなリストになるでしょう。
4 《森》
4 《寺院の庭》
4 《陽花弁の木立ち》
1 《オラーズカの拱門》
-土地 (21)- 4 《アダントの先兵》
3 《協約の魂、イマーラ》
4 《敬慕されるロクソドン》
3 《不和のトロスターニ》
-クリーチャー (14)-
セレズニアトークンの戦い方は、トークンを生成して盤面を広げ、展開したクリーチャーを《不和のトロスターニ》や《敬慕されるロクソドン》、《開花+華麗》で全体強化して勝つというものです。また、「召集」のおかげで1ターンの間に呪文を連続で唱えられる強みもあります。もっとも理想的な勝ち方のひとつは、《大集団の行進》でトークンを生成し、そのトークンたちを《開花+華麗》で強化することです。「絆魂」持ちの3/3兵士トークンたちが相手に一斉に襲いかかります。
調整をしていくなかで、セレズニアトークンにも弱点があるとわかりました。たとえば、セレズニアトークンは呪文を連打して盤面を有利にする戦法を使っている以上、《轟音のクラリオン》や《採取+最終》といった全体除去に対してあまりにも脆いのです。ただ、サイドボードには《ビビアン・リード》や《不滅の太陽》のような相手にとって対処しづらいカードがあるため、全体除去への耐性を上げることができます。
《アダントの先兵》か《茨の副官》か
セレズニアトークンのデッキリストは人によって区々ですが、よく見受けられる違いは「《アダントの先兵》か《茨の副官》か」です。今の環境であれば、《アダントの先兵》の方が優れていると私は思います。ジェスカイコントロールや青赤ドレイクが対処しづらいカードですし、ゴルガリミッドレンジと戦う上でも《茨の副官》より頼りになるからです。もし環境にアグレッシブなデッキが増えてくるのであれば、《茨の副官》と入れ替えることでしょう。
サイドボードガイド
ゴルガリミッドレンジ
このマッチアップでキーになりやすいカードは2種類あります。《野茂み歩き》と《最終》です。もし《野茂み歩き》が盤面に残り、「探検」クリーチャーも出されてしまうと、相手にデッキを掘り進める余裕を与えてしまいます。そしてゆくゆくは《採取+最終》を引き込まれ、盤面を一掃されてしまうのです。
対 ゴルガリミッドレンジ (先手)
対 ゴルガリミッドレンジ (後手)
2本目以降は《野茂み歩き》を対処できるカードを追加し、《不滅の太陽》や《ビビアン・リード》といったカードでデッキを太くしましょう。《不滅の太陽》が対処されずに《大集団の行進》とのコンボが決まれば、大抵は勝ったも同然となります。
通常、《大集団の行進》で大量のトークンを生成できそうでも、すぐには唱えずに温存します。実際に唱えるタイミングは、2ターン以内に勝てるという強い確信があるときだけです。
また、《敬慕されるロクソドン》や《暴君への敵対者、アジャニ》を使い、《不和のトロスターニ》を2/5というサイズにすることを肝に銘じておきましょう。そうすれば《最終》で《不和のトロスターニ》も《敬慕されるロクソドン》も除去されません。
白ウィニー/ボロスウィニー
もっとも相性の良いマッチアップのひとつになります。《不和のトロスターニ》と《大集団の行進》があるので、相手の動きを上回ることができるのです。除去は《ベナリアの軍司令》のために必ず温存しておきましょう。《ベナリアの軍司令》を除去できないと、相手のクリーチャーを有利にブロックできなくなります。
対 白ウィニー/ボロスウィニー
サイドボーディング後のベストカードは《秋の騎士》です。《ベナリア史》や《実験の狂乱》、《議事会の裁き》を破壊できますからね。
青赤ドレイク
青赤ドレイクは《弧光のフェニックス》を採用しないタイプがほとんどになってきたので、セレズニアトークンにとっては追い風です。それでも勝負は互角の展開になります。大事なのは、序盤からできるだけプレッシャーをかけていくことです。なぜなら、1本目は相手のドレイクに対処できるカードは4枚の《議事会の裁き》だけですし、相手も《潜水》でドレイクを守ってきますからね。
《アダントの先兵》は青赤ドレイクが除去できないクリーチャーであり、屈指の働きを見せます。できることならば、《敬慕されるロクソドン》などでクリーチャーを強化する場合、優先して《アダントの先兵》を2/2に強化しておきましょう。そうすれば、タフネス4のドレイクたちに向かって攻撃できるようになります。
対 青赤ドレイク
サイドボーディング後に関しては、《一斉検挙》によって相手の《潜水》をかわしつつドレイクを全滅させることができます。《イクサランの束縛》を投入するのは、もしドレイクを追放できれば同名のドレイクをそれ以降シャットアウトできるからです。
ジェスカイコントロール
最悪の相性です。ジェスカイコントロールは《轟音のクラリオン》でトークンを一掃してきますし、《残骸の漂着》もあります。ドロー呪文も数多く採用していますから、ジェスカイコントロールがこれらのカードを1枚見つけるのは造作もないことでしょう。
ジェスカイコントロールに勝つ方法は、《アダントの先兵》を複数引くことです。相手が除去しづらいカードですからね。
対 ジェスカイコントロール
《秋の騎士》は《封じ込め》を破壊できるだけでなく、脅威として戦場に残ってくれます。《ビビアン・リード》や《不滅の太陽》もサイドインできるので、サイドボード後は全体除去だけで負けないような盤面を作っていくことが可能になります。
赤単
《ゴブリンの鎖回し》が一番厄介なカードであり、《アダントの先兵》は赤単相手には残念なカードになってしまいます。1/1のトークンを《敬慕されるロクソドン》で2/2へ強化しておけば《ゴブリンの鎖回し》でやられることもなくなるので、《敬慕されるロクソドン》を唱えるタイミングはあまり欲張らないようにしましょう。
対 赤単
セレズニアトークンがゲームを掌握した後に赤単が逆転できるとすれば《実験の狂乱》だけです。ですから、《秋の騎士》や《イクサランの束縛》は《実験の狂乱》のために絶対に温存しておきましょう。
セレズニアトークン
序盤に有利な盤面を作れたプレイヤーが勝ちます。もしどちらも序盤に有利な盤面を作れなかった場合には、《大集団の行進》が勝敗を決することになります。
対 セレズニアトークン
さいごに
今回の記事はここまでになります。みなさんがセレズニアトークンのことをより深く知っていただけたのなら幸いです。『ラヴニカの献身』でセレズニアトークンがどう強化されていくのかも楽しみですね。
デッキやサイドボードについて質問があれば、コメント欄やTwitterまでどうぞ。喜んでお答えします。それではまた次回お会いしましょう!
ケルヴィン・チュウ@KelvinCh3w