みなさん新年あけましておめでとうございます。今年も、アメリカで開催されているSCG Tourの結果を中心に、みなさんにスタンダードの情報をお届けしていきますのでよろしくお願いいたします。
いよいよ新セット『ラヴニカの献身』が今月末にリリースされます。カードリストが徐々に公開され始めており、新環境のデッキを考えるのが楽しい時期です。現環境のスタンダードも終盤を迎えていますが、今週末には『ラヴニカのギルド』環境名人戦が開催されるなど、まだまだ熱いフォーマットです。
今回の連載では、SCG Classics Columbusの入賞デッキと、現時点までで公開されている『ラヴニカの献身』のカードを使ったスタンダードのデッキをご紹介したいと思います。
SCG Classics Columbus
安定した成績を残し続けている白いアグロデッキ
2019年1月5-6日
- 1位 Boros Aggro
- 2位 Golgari Midrange
- 3位 Golgari Midrange
- 4位 Boros Aggro
- 5位 Jeskai Control
- 6位 Selesnya Aggro
- 7位 Izzet Phoenix
- 8位 Golgari Midrange
Cooper Johnson
トップ16のデッキリストはこちら
環境も終盤ということで、上位入賞デッキはGolgari MidrangeやBoros Aggroなど手堅い選択をしたプレイヤーが多く見られます。環境はほぼ解明されており、多くのプレイヤーは先月に開催されたSCG Invitational Season2の経験を活かせるため、使い慣れていたデッキを持ち込んでいたようです。
SCG Classics Columbus デッキ紹介
「Golgari Midrange」「Jeskai Control」
Golgari Midrange
5 《沼》
4 《森林の墓地》
4 《草むした墓》
1 《愚蒙の記念像》
1 《探知の塔》
-土地 (23)- 4 《ラノワールのエルフ》
4 《マーフォークの枝渡り》
3 《野茂み歩き》
2 《僧帽地帯のドルイド》
4 《翡翠光のレインジャー》
1 《疫病造り師》
1 《真夜中の死神》
2 《貪欲なチュパカブラ》
3 《殺戮の暴君》
-クリーチャー (24)-
今大会で準優勝したPaul Mullerは、同様のリストでInvitationalのスタンダード部門で7-1という成績を残していました。
Jeskai Controlを意識していたようで、《殺戮の暴君》はもちろんのこと《真夜中の死神》や《疫病造り師》といったクリーチャーがメインから採用されています。
☆注目ポイント
ミラーマッチやJeskai Controlなど、除去を多用するデッキとのマッチアップでアドバンテージを稼いでくれる《真夜中の死神》のほかに、《疫病造り師》もメインから採用されており、サイドにもう1枚とられています。Jeskai Controlの《ドミナリアの英雄、テフェリー》を容易に処理することが可能で、ミラーマッチでも《殺戮の暴君》対策になるので重宝します。
《悪魔の布告》系の除去が現環境で有用なことは、サイドに採用されている《最古再誕》を見ても分かります。Ⅰ、Ⅱ章はJeskai Controlやミラーマッチで高い効果を発揮し、最終章のリアニメイトは相手にとって大きな脅威となります。
新環境ではショックランドも揃い、Rakdosカラーの万能除去である《魔性》が加入予定なので、『ラヴニカの献身』リリース後の環境ではJundにシフトしていくことも考えられます。《ドリルビット》は条件付きではありますが、《思考囲い》と同様に機能するので追加の妨害スペルとしてよく見られるカードになりそうです。クリーチャーが多いこのデッキでは、条件を満たすハードルは比較的低めでしょう。《肉儀場の叫び》は、《弧光のフェニックス》など墓地を使った戦略を考慮すると、追放は無視できない要素で《黄金の死》に代わるスイーパーとなりそうです。
Jeskai Control
1 《中略》
2 《溶岩コイル》
2 《活力回復》
1 《一瞬》
1 《本質の散乱》
1 《否認》
4 《轟音のクラリオン》
3 《悪意ある妨害》
3 《薬術師の眼識》
2 《残骸の漂着》
1 《浄化の輝き》
3 《発展+発破》
2 《封じ込め》
1 《アズカンタの探索》
1 《イクサランの束縛》
1 《ミラーリ予想》
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
1 《イゼット副長、ラル》
-呪文 (34)-
Golgari Midrangeと並んでコンスタントに入賞し続けているJeskai Control。このデッキにはいくつか異なるバリエーションがあり、今大会で入賞を果たしたDavid Yannarellaのリストは、メインにクリーチャーを採用しておらず、《ミラーリ予想》や《イゼット副長、ラル》など、ほかのリストと少しカード選択が異なります。
☆注目ポイント
《ミラーリ予想》を有効活用するために《溶岩コイル》などソーサリースペルが採用されており、《活力回復》といった軽いスペルも多めです。《発展+発破》と《ミラーリ予想》のコンボも搭載されています。Golgari Midrangeなどのメインの除去を腐らせるために、最近は《パルン、ニヴ=ミゼット》などクリーチャーはサイドに落とされる傾向にあります。
『ラヴニカの献身』からいよいよ待ちに待った《神聖なる泉》が再録されるので、マナ基盤が改善され白マナ拘束の強い《残骸の漂着》や《浄化の輝き》といったスペルも必要な時にキャストしやすくなります。
3マナの確定カウンターの選択肢も増えました。《吸収》は『インベイジョン』がスタンダードリーガルだった頃、コントロールデッキの定番カウンターとして活躍していた実績があるスペルで、《悪意ある妨害》の代わりに青白系デッキの確定カウンターとして使われることが予想されます。ライフゲインはショックランドによって失ったライフを回復する手段にもなり、相手のアクションを妨害しつつ時間を稼ぐのでコントロールにマッチしたスペルです。
ドロースペルの選択肢も豊富になります。《予知覚》は《ジェイスの創意》 と同様の効果ですが、ソーサリータイミングでキャストした際は、占術によるドロー操作によって間接的な追加のアドバンテージも得られるため、ドロースペルとしてはかなり優秀な部類に入ります。
『ラヴニカの献身』デッキ紹介
今回は新セットの『ラヴニカの献身』を使ったデッキを考えていきたいと思います。新たにAzorius、Simic、Gruul、Rakdos、Orzhovが加入するに際し、ショックランドが再録されるので、3色以上のデッキが生まれるのはもちろん、現環境のデッキだとJeskai Controlのマナ基盤はいまより安定性が向上します。
Esper Control
2 《平地》
4 《神無き祭殿》
4 《神聖なる泉》
4 《湿った墓》
4 《水没した地下墓地》
4 《氷河の城砦》
2 《孤立した礼拝堂》
-土地 (27)- 1 《変遷の龍、クロミウム》
-クリーチャー (1)-
2 《本質の散乱》
1 《否認》
4 《吸収》
4 《屈辱》
2 《薬術師の眼識》
2 《ケイヤの怒り》
1 《残骸の漂着》
2 《予知覚》
1 《昇華+消耗》
3 《封じ込め》
2 《アズカンタの探索》
2 《イクサランの束縛》
4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (32)-
4マナのスイーパーである《ケイヤの怒り》やクリーチャーかエンチャントを破壊できる《屈辱》、《昇華+消耗》など強力なカードが多く登場するので、Esper Controlも次の環境で活躍しそうです。
《ケイヤの怒り》は色拘束が強いので4ターン目にキャストするにはマナ基盤的に少し厳しくなりそうですが、コントロールにとって念願の4マナのスイーパーです。《屈辱》は《アズカンタの探索》、《実験の狂乱》、 《イクサランの束縛》、各種「英雄譚」など環境にはエンチャントが多数存在するのでメインから無理なく入る優秀な除去です。
《昇華》は《弧光のフェニックス》や「再活」スペル対策になり、キャントリップなので腐りにくく、《消耗》はコントロールにとって厄介な脅威である《殺戮の暴君》対策になります。少し重いのが気になりますが、ほかの布告系の除去と異なりパワーが一番高いクリーチャーを処理できるので《ラノワールのエルフ》などが隣にいても問題なく、ライフゲインも嬉しい追加効果です。
Rakdos Midrange
7 《沼》
4 《血の墓所》
4 《竜髑髏の山頂》
2 《愚蒙の記念像》
-土地 (25)- 4 《リックス・マーディの歓楽者》
4 《真夜中の死神》
3 《疫病造り師》
3 《貪欲なチュパカブラ》
4 《再燃するフェニックス》
4 《包囲攻撃の司令官》
-クリーチャー (22)-
《リックス・マーディの歓楽者》はRakdosの有力な新カードとして注目を集めています。Rakdosの新キーワードである「絢爛」は、このターンに相手のライフが失ったことを条件にコストが軽くなったり追加の能力を得られます。クリーチャーや火力が充実しているので、相手のライフを削るのはRakdosというギルドの得意分野です。ギルドの性質上手札を使い切ることも容易で、最高で3枚ドローできるので上手く使うことでアドバンテージを得られます。
《魔性》はクリーチャー、プレインズウォーカー、アーテイファクトに触れる優秀な除去です。《英雄の破滅》を彷彿とさせるインスタント除去で色拘束が強くなりますが、Rakdos、Jund、Grixisなど様々なデッキで活躍が予想されます。3マナで色拘束の強さからアグロよりもミッドレンジやコントロール向けのスペルです。
Gruul Aggro
3 《山》
4 《踏み鳴らされる地》
4 《根縛りの岩山》
-土地 (24)- 4 《ラノワールのエルフ》
4 《生皮収集家》
4 《成長室の守護者》
4 《クロールの銛撃ち》
2 《茨の副官》
4 《グルールの呪文砕き》
4 《軍勢の戦親分》
4 《無効皮のフェロックス》
2 《原初の飢え、ガルタ》
-クリーチャー (32)-
-呪文 (4)-
アグレッシブな戦略を得意とするGruulは、《グルールの呪文砕き》を始めとした優秀なクリーチャーとサイズの強化か速攻を与える「暴動」というGruulらしいキーワードで相手をビートダウンしていきます。クリーチャーに「暴動」を与える《野生の律動》は、《ヤヴィマヤの火》を彷彿とさせるエンチャントで、コストパフォーマンスに優れる《無効皮のフェロックス》などが存在するのでかつてのFiresのようなアグロデッキを組むこともできそうです。
総括
現環境も終盤を迎えますが、Golgari Midrange、Jeskai Control、Boros Aggro、Selesnya、Izzetなど様々なデッキが活躍できる面白い環境でした。
新セットの『ラヴニカの献身』は、《吸収》の再録や《ヤヴィマヤの火》を想起させる《野生の律動》、優秀な除去である《魔性》、《屈辱》、《ケイヤの怒り》など全体的にカードパワーが高くより面白い環境になりそうです。
以上USA Standard Express vol.138でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!