ラクドス カードレビュー

John Rolf

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2019/01/11)

新たなラクドス教団信者たち

血の墓所

『ラヴニカの献身』の新しいカードが続々と公開されていますね。僕の好きな2色にとっても素晴らしいセットになりそうな予感がしています。その僕が好きな色とは、赤と黒です。

そこで今回は、僕が新環境で活躍するのではないかと思っている赤と黒のカードを何枚かご紹介しようと思います。記事の最後にはサンプルのデッキリストもご用意しましたので、ぜひ参考にしてみて下さい。僕がこの記事を執筆している時点では、すべての新カードが判明していません。もしかしたらもっと良いカードがあるかもしれないですね!楽しみな気持ちもありますが、今は現時点で公開されているものを見ていきましょう!

《批判家刺殺》

批判家刺殺

このカードがお呼ばれするようなデッキでは、大体《稲妻》として使えるでしょうから、秀逸なカードですね。1マナで3点ダメージを与えられるカードが増えたので、《実験の狂乱》を使う赤系のデッキにとっては朗報でしょう。ただ、それ以外の赤のデッキでも使われる可能性があるのではないかと僕は思っています。

稲妻の一撃魔術師の稲妻危険因子
剣呑な交渉ショックヴィーアシーノの紅蓮術師

《批判家刺殺》を採用するのは、アグレッシブなデッキだと思われます。そのため、ソーサリーであることや、3マナで唱えなくてはいけないタイミングもあること、こういったことが問題にならないのではないかと期待しています。このカードの登場によって、赤黒バーンというアーキタイプさえ現実味を帯びてきました。《稲妻の一撃》《魔術師の稲妻》《批判家刺殺》《危険因子》《剣呑な交渉》《ショック》《ヴィーアシーノの紅蓮術師》これだけの火力呪文が今のスタンダードにはありますからね。

《どぶ骨》

どぶ骨

《戦慄の放浪者》に似ていますね。黒のアグロデッキにおける1マナ域として可能性を感じます。墓地から手札に戻せるため、このカードを採用するデッキには持久力がもたらされますね。生け贄となるクリーチャーが必要なカードが登場した場合には、このカードの存在を思い出すと良いでしょう。また、次にご紹介するカード、《火刃の芸術家》とも良いコンボを形成します。

《どぶ骨》は、《野茂み歩き》やゴルガリミッドレンジというデッキ自体に対してもあまり活躍が期待できないため、不安な部分もあります。ただ、今までにも似たようなカードたちは活躍してきた実績があるので、僕はこのカードも活躍するだろうと楽観的に考えています。さらに、過去の類似カードにありがちだった「ブロックできない」というテキストが《どぶ骨》にはありません。これはアグレッシブなデッキと戦う際には大きな違いになります。

《火刃の芸術家》

火刃の芸術家

このカードの評価はいまだに悩んでいます。歴史的に見れば、2マナ2/2の速攻持ちは軽視できないでしょう。しかし残念なことに、現代のマジックにおけるカードパワーや充実したカードプールを鑑みると、《火刃の芸術家》は、若干ですがカードパワー不足な気がするのです。

ただ、《どぶ骨》など、良いシナジーを形成できることもあり、注目すべき点はあります。しかし、僕の印象としては「パッとしない構築カード」です。ゲーム終盤になって活躍する展開もあると思いますが、極端に苦手とするカードも多く、存在感がまったくない空気のようなカードになってしまうことも容易に想像できます。純粋なラクドスアグロで少し使われる可能性もありますが、僕はそうなる未来を想像できません。

《リックス・マーディの歓楽者》

リックス・マーディの歓楽者
僕が1番期待しているカードです。テキストを見る限りでは、このカードがもらたす柔軟性は目を見張るものがあります。「絢爛」で唱えれば3ドロー、手札がないときに2マナで唱えれば1ドロー、2ターン目に単純なクロックとしても出せる。この柔軟性こそが、僕が1番期待を寄せる理由なのです。こういったカードが大好きなのは、軽量のアグロデッキに手札を整える能力を与えてくれるからです。アグロデッキがカードアドバンテージを生む場合、そういったデッキに対して1対1交換を持ち込むのはあまり魅力的なプランになりません。

危険因子弧光のフェニックス

また、《リックス・マーディの歓楽者》《危険因子》《弧光のフェニックス》のような墓地を利用するカードを合わせて使うと、より効果的です。ほかにも、手札を循環させる能力は、用途が狭いカードを必要に応じてドローに変えられるようになるので、そういったカードを採用しやすくなるといった効果も見込めます。僕が今構想しているのは、赤をメインカラーにして《リックス・マーディの歓楽者》を採用し、その「絢爛」コストのために《竜髑髏の山頂》《血の墓所》を入れて黒をタッチしたデッキです。今からこのカードを使うのが楽しみです!

《災いの歌姫、ジュディス》

災いの歌姫、ジュディス

クリーチャーを主体としたラクドスデッキで2~3枚採用されると思います。このカードを使ったデッキを構築するときは、マナコストの軽いクリーチャーを入れるようにしましょう。《災いの歌姫、ジュディス》が戦場に出れば、それ以前に戦場に出ていたクリーチャーたちは相手にとって大きなプレッシャーとなります。もし《災いの歌姫、ジュディス》よりも先に展開しているクリーチャーの数が少ないと、彼女の能力も上手く使えなくなってしまいます。

《災いの歌姫、ジュディス》のクリーチャーを全体強化する能力はとりわけ破壊力が高いですね。この能力により大ダメージを与えておけば、仮にクリーチャーがブロックされる展開になっても、クリーチャーが死亡したときに1点を与える能力で押し切ることができるはずです。デッキの構築が上手くできていれば、《災いの歌姫、ジュディス》は3ターン目に出しても強いでしょうし、終盤にトップデッキしても活躍するでしょう。

《魔性》

魔性

大抵のデッキであれば、採用してもせいぜい2枚といったところかなと思いますが、僕の見立てが間違っているかもしれないです。ダメージを与えられない3マナの除去を採用してしまうと、非常に前のめりなデッキにおいては敗因になる可能性が高いでしょう。

《魔性》のもうひとつの問題点は、《実験の狂乱》と上手く噛み合わないことです。噛み合わない理由としては、2つあります。まず、《実験の狂乱》デッキは赤をメインにしていることが多いですが、《魔性》のマナコストには(黒)(黒)が入ってしまっています。2つ目の理由は、受け身のカードであるため、相手にプレッシャーをかけることができない点です。

《魔性》が入るとすれば、グリクシスコントロールや黒赤系のミッドレンジでしょう。《ドミナリアの英雄、テフェリー》への明確な回答があるのはとてもありがたいですね。少なくとも、《魔性》は多くのデッキのサイドボードを強化することでしょう。何枚か採用してみて、状況的に腐ってしまっているなと思えば《リックス・マーディの歓楽者》で手札から捨ててしまう。そのような形もありかなと思っています。

《騒乱の落とし子》

騒乱の落とし子

おお!これは強いカードですね!3ターン目に唱えられれば、ただただ素晴らしいです。もし3ターン目に唱えられないと、インパクトは下がってしまいますが、このカードを使ったデッキはすぐに出てくるはずです。《騒乱の落とし子》の4/4というサイズは脅威的ですし、小型クリーチャーを上手く生かせるという点でも優秀です。黒単色であるという点も見逃せないですね。

《騒乱の落とし子》を唱える際には、可能な限り攻撃的に動くことになるでしょう。この類のカードは、適切なタイミングで唱えることが肝になります。《騒乱の落とし子》を除去しないと相手にとっては最悪の展開になりますが、小型のクリーチャーを対処しつつ、このデーモンにも対処するのは相手にとって骨が折れることでしょう。

宴の始まり

『ラヴニカの献身』Early Access Streamer Eventの開催が決定!みなさんの好きな配信者が『ラヴニカの献身』をMTGアリーナでいち早くプレイ!その瞬間を見逃すな!日本時間1月16日の25時から放送開始!

僕は1月16日、みなさんより一足早くMTGアリーナで「ラヴニカの献身」を使った配信をすることになっています。そこで使おうと思っているデッキが以下のものです。

  • ジョン・ロルフ
  • 「Rakdos Aggro」
  • MTGアリーナ:Early Access Streaming Event
  • (1月16日に開始予定)

《魔術師の稲妻》を採用している《実験の狂乱》デッキに《批判家刺殺》《リックス・マーディの歓楽者》を入れてみてみるのも面白そうですね!ラクドスのデッキで良いアイディアがあれば、TwitterTwitchでぜひ教えてくださいね!

ジョン・ロルフ@JRolfMTG

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John Rolf アメリカ出身のプロプレイヤー。2017-2018シーズン、《熱烈の神ハゾレト》を相棒にプロツアー『イクサラン』トップ8入賞。それだけには留まらず、グランプリ・プロツアーともに安定した成績を残し続け、ブロンズ・レベルからプラチナレベルまで登り詰めるとともに、自身初の世界選手権出場を成し遂げた。同郷の親友であり、チームメイトでもあるブランドン・エアーズと共に、2018年10月Hareruya Prosに加入。 John Rolfの記事はこちら