Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2019/01/17)
はじめに
みんなのモチベーションが上がってる季節がやってきたね。なにせ『ラヴニカの献身』のカードが全部公開されたんだから!第1回ミシックチャンピオンシップもとうとう来月に迫っているし、『ラヴニカの献身』への期待感は最高潮を迎えているね。10月に『ラヴニカのギルド』が発売されてから、スタンダードの中心には5種のショックランド(《草むした墓》に代表されるライフを支払うことでアンタップ状態で場に出る土地)があった。そして今回、ようやく全種のショックランドが揃う。もはや可能性は無限大だ!
マジックプレイヤーたるもの、友達と新しいカードやメカニズムについてあれこれ話すのが大好きだ。 新セットがまだ発売されていなければ、スタンダードがどうなっていくのかはわからない。実際に新しいカードがどういう働きをするのか、まだ誰も見たことがないんだからね。
『ラヴニカの献身』の全カードリストを見てみたところ、ショックランドに限らず、スタンダードに影響をもたらすセットなんじゃないかと思った。そこで今回は、メタゲームに影響を及ぼしそうなカードを順位付けし、1位から10位まで紹介していく。
みんなランキングが早くみたいだろうから、早速『ラヴニカの献身』構築注目カードランキング、トップ10を見ていこう。
構築注目カードランキング
10位:《大判事、ドビン》
注目カードランキング、まずは《大判事、ドビン》だ。3マナのプレインズウォーカーであり、アグレッシブでテンポを重視するデッキに最適のカードだろう。このカードは少し特徴的なカードだ。たったの3マナでありながら、「-1」能力でトークンを生成して自分自身を守ることができる。また、「-7」の奥義によってカードアドバンテージ差をつけることも可能だ。
スタンダードでアグレッシブなアゾリウスデッキが頭角を現さない可能性はあるが、少なくともスタンダードで最大の支配力を持つカードの1枚である《ドミナリアの英雄、テフェリー》と合わせて使われると思う。《大判事、ドビン》は構築で活躍するだろうね。
9位:《リックス・マーディの歓楽者》
評価に苦労している1枚。恐ろしいほど強くも見えるし、構築レベルには若干及ばないようにも見える。一見したところでは、《リックス・マーディの歓楽者》は2マナ2/2という標準的なマナレシオであり、手札交換ができるカードだ。
しかしこのカードが本領を発揮するのは、手札がない状態で「絢爛」で唱えたときだ。3ドローしながら、2/2というサイズのクリーチャーが戦場に出る。(2)(黒)(赤)の4マナでこんなことができるカードは聞いたことがない。ラクドスアグロに居場所を見つけると予想しているよ。モダンで《騒乱の歓楽者》を活用するデッキで《リックス・マーディの歓楽者》が何枚か使われてもそんなにおかしくないだろうね。
8位:《魔性》
マナコストに目をつぶれば、さまざまな脅威に対処できる柔軟性を持っている。(黒)(黒)(赤)のインスタントタイミングで、問題となる大抵のパーマネントに対処できるので、決して軽視できないカードだ。
グリクシスコントロールやラクドスミッドレンジで使われるだろう。《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《パルン、ニヴ=ミゼット》、《黎明をもたらす者ライラ》のようなカードをインスタントタイミングで除去できることには大きな意味がある。アグレッシブなラクドスであれば、サイドボードに《魔性》を採用しても良いかもしれない。あくまでもメインデッキは相手のライフを積極的に狙っていくような構築にしておこう。
7位:《グルールの呪文砕き》
攻撃的、かつ汎用性のあるクリーチャー。速攻持ちの3/3としてプレイし、相手の《残骸の漂着》を封じる場面も多いだろう。コントロールデッキに対して本質的に強いカードだ。アグレッシブなデッキと対戦するなら、4/4として出すことも多くなると思う。そうすれば、《稲妻の一撃》のような3点ダメージを与える呪文で除去されなくなるからね。これから数か月は《ラノワールのエルフ》から《グルールの呪文砕き》を展開するという状況を何度も目にすることになるんじゃないかな。
6位:《荒廃ワーム》
《荒廃ワーム》は神話レアに見合った実力を持っているね。速攻持ちの4/5だし、戦場に出ればクリーチャーと格闘、あるいは《水没遺跡、アズカンタ》や《一番砦、アダント》のような厄介な土地を破壊できる。文句のつけようがない能力だ。
同じ6マナ域のライバルとして《殺戮の暴君》がいるから、《荒廃ワーム》の立ち位置は厳しいかもしれない。でも、環境にアグレッシブなデッキが増えていけば、《グルールの呪文砕き》 や《ラノワールのエルフ》と合わせて、この神話レアの巨大なワームが活躍するだろう。
5位:《成長のらせん》
《成長のらせん》が注目カードのトップ10にランクインするのは、みんなにも納得してもらえると思う。類似の効果を持つ《探検》は当時のスタンダードでも活躍したし、モダンでも使用されているカードだ。
《成長のらせん》はターボフォグにピッタリのカードだろう。ドローしながらも、《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《運命のきずな》に向けてマナ加速できるからね。これがいかに凄いことかはすぐに証明されるはずさ。
4位:《恐怖の劇場》
赤のデッキにとっては、カードアドバンテージを生み出せるカードは喉から手が出るほど欲しいものだ。そして《恐怖の劇場》はそれができる。しかも3マナであり、赤のデッキにとっても十分に払えるマナコストだ。仮にここまでの説明でも満足できないのであれば、起動型能力を見て欲しい。ゲーム終盤にマナが余ったとしても使い道ができるし、最後の一押しとしても使える。
アグレッシブなラクドスデッキを支えるカードになるのではないかと思っているよ。赤のデッキにはすでに《実験の狂乱》があるからといって、このカードを侮ってはいけない。《恐怖の劇場》は本物だ。
3位:《批判家刺殺》
《批判家刺殺》を高く評価したのは、スタンダードでもモダンでも活躍が期待できるからだ。スタンダードでいえば《実験の狂乱》と相性がとても良い。モダンであれば、バーンが採用してきた《裂け目の稲妻》のところに《批判家刺殺》が採用されてもおかしくないだろう。どんなフォーマットであれ、このカードが活躍する日はそう遠くないと思うよ。
2位:《騒乱の落とし子》
《騒乱の落とし子》は注目カードの1位になってもまったくおかしくないカードだ。4/4というサイズでありながら、飛行や強力なメリットを持つカードを3ターン目に唱えられるのは、スタンダードでは早々お目にかかれない。《騒乱の落とし子》は相手に大きなプレッシャーをかけるだけでなく、タフネスが4もあるため、除去するのが格段に難しくなっている。黒をベースとしたアグレッシブなデッキを組むのであれば、4枚採用され続けるカードなのではないかと期待しているよ。
1位:《吸収》
そして堂々の第1位は、根強いファンも多い《吸収》だ。残念ながら、《吸収》が初めて収録された『インベイジョン』のころ、僕はこのカードをプレイするという贅沢を味わうことができなかった。各所の意見を見る限りでは、当時も《吸収》は驚くほど強かったようだし、今回も環境屈指のカードになるだろう、という見方のようだ。何のデメリットもなしに3点のライフを回復できるのは、勝敗を分ける可能性すらある。
唯一不安が残るとすれば、コントロールデッキが環境を大きく支配している場合だ。もしメタゲームがコントロール中心になっていけば、《吸収》よりも《悪意ある妨害》の方が活躍が見込める。
その他の注目カード
『ラヴニカの献身』は強いカードが多いから、このランキングを作るのは大変だった。惜しくもランキングには入らなかったけど、スタンダードで大きな存在感を見せつける可能性が高いものを何枚か紹介しよう。ここのカードたちにランキングは付けていないから、並び順に意味はない。
おわりに
新環境のスタンダードはどうなっていくのだろうか。2色土地はこれですべて出揃ったから、もはや自分がやりたいことを何でもできるようになった。クリーブランドで開催されるミシックチャンピオンシップでどんなデッキたちが出てくるのか、今から期待しておこう。
ブランドン・エアーズ@Ayersrares