みなさんこんにちは。
今週末にはいよいよ待ちに待った新セット『ラヴニカの献身』が発売され、アメリカでは早速SCGO Indianapolisというスタンダードの大型イベントが開催されます。元々はチーム構築戦の予定でしたが、新セットリリース直後ということで個人戦のスタンダードに変更されました。
Magic Online(以下MO)ではすでに『ラヴニカの献身』が一足先に使えるようになっており、リーグ戦の結果も出ているので今回の連載では新カードを使ったデッキを見ていきたいと思います。
Competitive Standard Constructed League デッキ紹介
「Selesnya Tokens」「Mono Red」「Esper Control」「Sultai Midrange」「Golgari Midrange」
Selesnya Tokens
4 《森》
4 《寺院の庭》
4 《陽花弁の木立ち》
-土地 (21)- 4 《成長室の守護者》
4 《培養ドルイド》
3 《協約の魂、イマーラ》
3 《不和のトロスターニ》
3 《敬慕されるロクソドン》
-クリーチャー (17)-
旧環境でもトップメタの一角として活躍していたSelesnya Tokens。構成に大きな変化は見られず『ラヴニカの献身』から新カードを採用したアップデートバージョンです。
「絆魂」持ちのトークンを生成する手段が豊富なので、環境初期に流行る傾向にあるアグロデッキに強いデッキです。資産的にも《培養ドルイド》と《成長室の守護者》を足すだけで組めるので新環境でも人気が出そうなデッキです。
☆注目ポイント
《培養ドルイド》はプレビュー段階でも注目されていたカードです。序盤はマナクリーチャーとして《暴君への敵対者、アジャニ》などを早い段階から展開し、マナが余る中盤以降は「順応」することで《大集団の行進》によって大量のトークンを並べることができます。このデッキはクリーチャーに「+1/+1」カウンターを乗せる手段がいくつかあるので、「順応」することなく能力を活用できるのもこのデッキの強みです。
《成長室の守護者》は、過去のスタンダードで猛威を振るった《戦隊の鷹》のようだと評価されているクリーチャーです。このデッキでは《暴君への敵対者、アジャニ》や《敬慕されるロクソドン》などでカウンターを乗せてアドバンテージを稼ぐことができます。「順応」の起動コストも低めで使いやすく、新環境では緑デッキの主力クリーチャーとして活躍が期待できそうです。
サイドの《不敗の陣形》は、《ケイヤの怒り》などスイーパー対策になると同時にソーサリースピードでキャストすることによって自軍のクリーチャーの全体強化スペルとなり、《成長室の守護者》や《培養ドルイド》とも相性が良く地味ながら優秀なスペルです。
Mono Red
アメリカのプロ選手で、赤いアグロデッキを得意とするMax McVetyも早速『ラヴニカの献身』のカードを採用したMono Redで結果を残しています。
『ラヴニカの献身』から優秀な火力スペルが複数登場し、現環境のスタンダードはBurnが組めるほど直接火力に恵まれています。
条件付きですが《魔術師の稲妻》と《批判家刺殺》という1マナ3点ダメージの火力が2種類存在し、息切れ防止として《実験の狂乱》が採用されているので歴代のスタンダードの赤いデッキの中でもかなり強力な方に入りそうです。
☆注目ポイント
速攻クリーチャーや火力スペルを多数搭載したMono Redは、「絢爛」を達成させることが容易で《舞台照らし》や《批判家刺殺》をほぼ1マナスペルとして扱えます。《批判家刺殺》はプレビュー段階から優秀な火力スペルとして注目されていたカードで、あの《稲妻》と似た優秀な火力となります。
もう1枚の「絢爛」スペルである《舞台照らし》は、このデッキにおいてはほぼ1マナの2ドロースペルとして機能し、アドバンテージ源として優秀なスペルです。SCGのライターで強豪プレイヤーのRoss MerriamやBen Friedmanも《物読み》のようなスペルと評価しています。
デッキを組むコストもそれほどかからず、新環境ではマナ基盤も含めて未だ試行錯誤段階のデッキが多く、ショックランドが流行ることを考えれば火力スペルが多いBurn寄りの赤単はお勧めのデッキの一つです。
Esper Control
1 《平地》
1 《沼》
4 《神無き祭殿》
4 《神聖なる泉》
4 《水没した地下墓地》
4 《氷河の城砦》
4 《孤立した礼拝堂》
1 《廃墟の地》
-土地 (25)- 1 《変遷の龍、クロミウム》
-クリーチャー (1)-
2 《活力回復》
4 《吸収》
2 《屈辱》
3 《薬術師の眼識》
3 《ケイヤの怒り》
3 《ヴラスカの侮辱》
2 《スフィンクスの眼識》
1 《残骸の漂着》
1 《昇華+消耗》
4 《万全+番人》
2 《アズカンタの探索》
2 《最古再誕》
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (34)-
コントロールデッキは旧環境ではJeskai Controlが安定した成績を残していました。ショックランドが揃い、念願の4マナのスイーパー《ケイヤの怒り》も登場したことで新環境ではEsper Controlも有力な選択肢となりそうです。
『インベイジョン』からの再録カード《吸収》によってコントロールデッキは更に強化されました。ドロースペル、カウンター、除去、フィニッシャー、マナ基盤に恵まれておりコントロールはかなり強化されているようです。
☆注目ポイント
《ケイヤの怒り》は色拘束が強いスペルですが、アグロデッキ用に現環境では必須となりそうです。白い4マナのスイーパーは《至高の評決》以来で、デッキの構成次第ではライフゲインも無視できない要素です。コントロールにとって苦戦を強いられた《殺戮の暴君》も前環境ほど脅威ではなくなりました。4ターン目に《ケイヤの怒り》で更地にした後に、《ドミナリアの英雄、テフェリー》に繋げる動きが強力でEsper Controlを選択する明確な理由の一つとなります。
《吸収》は歴代の3マナ確定カウンターの中でもトップクラスに入る性能で、ライフを高い水準に保ったまま中盤以降のゲームを迎えたいコントロールの方向性にマッチしています。赤いデッキに対して《苦悩火》の射程圏外にまで押し上げたり、ショックランドによって失ったライフを回復させたりと、今後のコントロールにとって必須のスペルとなりそうです。
《万全+番人》は、《アゾリウスの魔除け》のようなフレキシブルさはありませんが、アグロデッキとのマッチアップでは時間稼ぎになり、それ以外のデッキとのマッチアップでも勝ち手段を確保できるのでメインからフルに採用されています。サイドの《拘留代理人》は《拘留の宝球》と似て非なるもので、エンチャントではなくクリーチャーなので当然除去されやすく、メインには不向きなカードです。サイド後のゲームでは、相手の除去が少なくなっているので追加の除去として機能します。トークン系のデッキに対しては特に有効です。
Sultai Midrange
4 《繁殖池》
4 《草むした墓》
3 《湿った墓》
4 《内陸の湾港》
2 《水没した地下墓地》
-土地 (22)- 4 《ラノワールのエルフ》
4 《成長室の守護者》
4 《培養ドルイド》
3 《マーフォークの枝渡り》
4 《翡翠光のレインジャー》
3 《楽園党の議長、ゼガーナ》
2 《人質取り》
2 《生体性軟泥》
2 《殺戮の暴君》
-クリーチャー (28)-
前環境でもトップメタの一角として活躍していたGolgari Midrangeは、ショックランドとM10ランドが揃ったことで、デッキパワー向上のために難なく色を足すことが可能になりました。
「+1/+1」カウンターを活用する戦略にシフトした構成で、Golgari Midrangeをベースに《ハダーナの登臨》、《楽園党の議長、ゼガーナ》、《人質取り》やサイドのカウンターのために青をタッチした構成です。
☆注目ポイント
《ハダーナの登臨》は、《培養ドルイド》と《成長室の守護者》など「順応」を持つクリーチャーとシナジーがあります。《オラーズカの翼神殿》に変身後は、クリーチャーを強化しつつ回避能力も付けられるのでエンドカードとしても機能します。
《楽園党の議長、ゼガーナ》は、「順応」、「探検」持ちのクリーチャーを複数採用しているこのデッキではほぼ確実にアドバンテージを取ることが可能で、トランプルを付与する能力も回避能力持ちのクリーチャーが少なめのこのデッキでは重要です。
《生体性軟泥》はこのデッキのフィニッシャーで、中盤以降余ったマナの使い道となりフラッド防止にもなります。《否認》と《軽蔑的な一撃》の2種類のカウンターは、《ケイヤの怒り》や《絶滅の星》などを使うコントロールとのマッチアップで必須となります。
Golgari Midrange
2 《沼》
1 《島》
4 《繁殖池》
4 《草むした墓》
2 《湿った墓》
4 《森林の墓地》
1 《水没した地下墓地》
2 《愚蒙の記念像》
-土地 (24)- 4 《ラノワールのエルフ》
4 《マーフォークの枝渡り》
4 《野茂み歩き》
3 《ハイドロイド混成体》
1 《探求者の従者》
4 《翡翠光のレインジャー》
2 《真夜中の死神》
2 《貪欲なチュパカブラ》
2 《殺戮の暴君》
-クリーチャー (26)-
先ほどのバージョンと異なり、TheHissingQuagmireのリストは旧環境のGolgari Midrangeのマイナーチェンジ版となっています。
《ハイドロイド混成体》と《否認》のために青をタッチしており、そのほかのカードは旧環境のGolgari Midrangeと変わらない構成です。
☆注目ポイント
《ハイドロイド混成体》はX=2プレイしてもキャントリップ付きの回避能力持ちのクリーチャーとして機能し、土地を引き込めればその後の動きがスムーズになります。このクリーチャーが真価を発揮するのはマナが余る中盤以降のゲームで、《採取+最終》や《愚蒙の記念像》などで使い回すことで膨大なカード、ライフアドバンテージを稼ぎ出すことができます。《培養ドルイド》との組む合わせも強力なので、様々な緑色のデッキで見られそうなクリーチャーです。
サイドの《肉儀場の叫び》は、《黄金の死》から入れ替わったマイナス修正のスイーパーです。《弧光のフェニックス》など墓地から復活してくるクリーチャーが存在する現環境では、追放は極めて重要となります。
青タッチしたことでハンデス以外にもカウンターを使えるようになり、サイド後のコントロールとの相性が改善されています。旧環境から完成された強さのGolgari Midrangeは色を足すことで選択肢が広がり、新環境でも引き続き安定したパフォーマンスが期待できそうです。
総括
MOの結果を一通り見ていきましたが、《培養ドルイド》と《成長室の守護者》は旧環境でも猛威を振るっていたGolgari MidrangeやSelesnya Tokensを含めた多くの緑デッキで採用されていました。特に《培養ドルイド》は、クリーチャーにカウンターを乗せる手段が豊富なので、今後も緑デッキの主力として使われることが予想されるため、今の内に集めておいた方がよさそうです。
ショックランドもすべて揃い、現環境のスタンダードのマナ基盤は3色以上のデッキも無理なく組むことが可能になりました。『ラヴニカへの回帰』ブロックのスタンダードがそうであったように、多種多様なデッキが存在する面白い環境となることが予想されます。
USA Standard Express vol.139は以上となります。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!