神と挑戦者の読み合い: ヴィンテージ編

晴れる屋メディアチーム

 この神決定戦の醍醐味は、デッキの読み合いが発生するということにある。

 何せ対戦相手は1人。多くの対戦相手が駆る様々なデッキと戦う必要がある普段のトーナメントと違い、ただ1人に勝てばいいのであって、極端な話相手のデッキが75枚わかっているなら、それをガンメタすることすら正当化される。

 そんな状況で。はたして『神』は、『挑戦者』はいかなるデッキを持ち込むのか?

 ここでは互いのデッキについての2人の事前予想を聞いてみよう。

Q1.対戦相手が持ち込んでくるデッキは何だと思いますか?
また、その理由は?

鳥海 貴

鳥海

オースデッキ(《ドルイドの誓い》デッキ)の一点読みです。

高橋さんの場合、過去の神挑戦者決定戦、GPのサイドイベント、エターナルウィークエンドなどの戦歴を見ても、すべてオースデッキを使用して入賞されているうえに、それ以外の大会においてもオースデッキ以外のデッキを使用している姿を見た記憶がありません。

練習などで他のデッキを使うことはあるとは思いますが、ここで不慣れなデッキを持ち込んでくるというのは考えにくく、こちらとしてもこの状況でオースデッキ以外のデッキを想定し対策することは、時間と労力の無駄と判断しました。

高橋 研太

高橋

鳥海さんはParadoxical Stormを選択すると考えています。

私のデッキは99%オースであると鳥海さんは考えると思います。それを踏まえた場合、オースを相手にするよりはクリーチャーを使わないデッキにする方が合理的です。

非生物デッキはコンボかコントロールですが、コンボの方が1%の他のデッキに対しても速度で勝負できます。そのため、最も安定したコンボデッキを選択すると考えました。

Q2.それを踏まえてどのように考えてデッキ選択やカード選択をしましたか?

鳥海 貴

鳥海

グリセルシュートを選択しました。

相手の最速パターン(《禁忌の果樹園》+各種Moxから《ドルイドの誓い》)に対抗できるスピード、手札破壊による対カウンター&行動の妨害が可能な点、フィニッシュへのルートが明確で同じ黒系のコンボデッキであるTPSと比べて扱いやすい、というのが選択の理由です。

サイドボード後は、墓地対策とカウンター呪文(おそらく《トーモッドの墓所》+《狼狽の嵐》)が追加されることが予想される3本目のために、墓地に依存しない形への変形サイドボード(《虚空の力線》+《Helm of Obedience》のコンボと《グリセルブランド》をハードキャストするプラン)を用意しています。

4本目以降にもつれ込む場合にも、両方のプランを同時に対策することはカードの枚数的に難しいと思いますので、そこにつけ入る隙が生まれると考えています。

高橋 研太

高橋

私が使用するのはCacel Oathです。

オースの魅力はクリーチャーデッキに対しての圧倒的な強さです。今回はそれを失ってでも選択したのは、オースへの信頼をおいて他にありません。

構築の仕方によってどんなデッキにでも対応できるポテンシャルの高さを証明したいです。

リストとしてはほぼ変化ありませんが、《古えの遺恨》をメインに追加することでアーティファクトへの耐性を上げています。

Q3.自信のほどはいかがですか?

鳥海 貴

鳥海

神決定戦で使用する(完全な対人メタ)デッキという意味では、面白い仕上がりになっているのではないかと思います。

とはいえ、あくまで高橋さんがオースデッキを使うというのが大前提ですので、予想が外れていた場合は覚悟を決めるつもりです。

高橋 研太

高橋

コンボデッキは5割、コントロールは3割、生物系は2割と考えています。

練習で使用せずに本番で採用するカードもあるので自信はありませんが、期待通りに動くのか楽しみです。


 読み合いは《ドルイドの誓い》ありきの攻防に。

 挑戦者である高橋の《ドルイドの誓い》への愛情は本物だった。神・鳥海が自身のデッキを的中させてくるであろうことを承知の上で、それでもなお自身の経験と実績、そしてオースを信じて踏み込んだのだ。もちろん神がオースに対して相性が良いとされるコンボデッキを使用してくることを予想し、それ相応のチューンを施してきたとのことだが、この一戦は神への挑戦であると同時に、高橋とオースが自分自身の限界に挑戦する試合という意味合いも強いように思える。

 対して、高橋のデッキを一点読みし、それを的中させて万全の選択を行った鳥海。グリセルシュートという一見大胆に見えるデッキ選択もお見事だが、高橋のサイドボードカードまで正確に読み切り戦略を練る着眼点はさすがの一言に尽きる。鳥海にとってはこれが初の防衛線となるが、すでに神としての貫禄は十分だ。

 読み合いでは鳥海が大きくリードした格好となったが、高橋、そして彼の愛機はこの高き壁を乗り越えることができるのか。

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