グランプリ・京都トップ8入賞レポート ~相棒、スゥルタイミッドレンジと共に~

Petr Sochurek

Petr Sochurek

Translated by Ryosuke Igarashi

原文はこちら
(掲載日 2019/04/01)

はじめに

皆さん、こんにちは!

僕は今、東京に滞在していて、とても楽しい時間を過ごしています。ですが、今回の記事は他の都市、前回のグランプリが行われた京都での話になります。当初は東京で一緒に暮らしている友人、オオカワ ユウスケと夜行バスを取る予定でしたが、席を取るまでに非常に時間がかかってしまい、そのころにはすでに新幹線とほぼ同じ値段になってしまいました。新幹線なら4倍近く早く京都につけるので、こうなってしまえば迷うことはありませんでしたね。

京都で多少観光をしたかったので、木曜日には東京を発ち、京都で一番有名な庭園である伏見稲荷大社に行きました。日本で最も多くの鳥居がある場所で、本当に素晴らしい場所ですね。

デッキ選択

さて、デッキ選択の話に移りましょう。とはいっても、ほとんど苦労しませんでしたけどね。

僕がこの大会で使うデッキはずっと前から決まってました……スゥルタイミッドレンジです。ミシックチャンピオンシップの練習でたくさん使っていただけでなく、ずば抜けて強力なデッキだと思っていましたから、他のデッキを使おうなんて全く思いませんでしたね。参考までに、これはミシックチャンピオンシップで使ったリストです。

このリストは素晴らしかったですし、あまり変えようとも思いませんでした。オメガ・スゥルタイも2日ほど試してみましたが、すぐさま諦めることになりましたね。

野茂み歩き

エスパーコントロールや《荒野の再生》デッキに対しては、明らかにオメガの方が有利なのですが、これは1ゲーム目のみの話です。《野茂み歩き》型にしろ、サイドボード後はデッキを最適化できるので、そこまで大きな違いにはなりません。ですが、「探検」パッケージを抜くことで、アグロデッキ相手への勝率は恐ろしいまでに下がってしまうのです。相性がよかったマッチアップが、本当に絶望的にまでなりますね。

また、オメガ・スゥルタイはミラーマッチでも優れていますが、皆さんが思っているほどではありません。以前まで《野茂み歩き》はミラーマッチで弱かったため、オメガの方がミラーで有利だと思っているのでしょうが、今は《ハイドロイド混成体》がいるので話が変わっているのです。確かに、依然として《野茂み歩き》はサイドアウトするカードです(僕は後手だと1枚残しておきますが)。とはいえ以前とはゲームの展開が異なるため、実はそれほど悪いカードでもないのです。

前環境のゴルガリミッドレンジのミラーマッチは、リソースを交換し、小さなアドバンテージを得る……といったもので、《野茂み歩き》は特に何もしませんでした。しかし、今やどちらのプレイヤーも手札がなくならないため、ダメージレースを覆せる、軽くて大きなクリーチャーの価値が非常に高くなる場合があるのです。《最終》を耐えうる上に、《殺戮の暴君》をブロックできる可能性もありますしね。

暗殺者の戦利品ビビアン・リード打ち壊すブロントドン

何度も晴れる屋トーナメントセンターの大会に出てきて、《運命のきずな》デッキやエスパーコントロールと頻繁に当たりました。そのため、これらへのちょっとした対策として、2枚の《暗殺者の戦利品》、4枚の《ビビアン・リード》と1枚の《打ち壊すブロントドン》をデッキに加えることにしました。

《暗殺者の戦利品》を使うか使わないか、というのは最も難しい選択でしたね。クリーチャーデッキに対しては明らかに超劣化版の《喪心》なうえに、ミラーマッチにおいては本当にひどいカードです。もっとも、そこまでスゥルタイがいるとは思っていませんでしたが……。しかし、《運命のきずな》デッキやコントロールデッキに対しては、腐ることのない最良の1枚なのです。

結局、この判断は明らかに間違っていましたね。メタゲームはアグロデッキ一色でしたし、トップ8では《暗殺者の戦利品》のために敗北してしまいました。僕と対戦相手はどちらも土地が詰まっていたのですが、負けないためには相手の雑多なクリーチャーに《暗殺者の戦利品》を打たなくてはならなかったのです。結果、彼の欲しがっていた土地を献上することになってしまいました。

これが最終的に落ち着いたリストです。

ビビアン・リード

《暗殺者の戦利品》は置いておいて、自分のリストは非常に気に入っています。特に4枚の《ビビアン・リード》ですね。「伝説」だと分かってはいますが、単に強力なのでその価値はあると思っていますし、現在は3枚目の《採取/最終》より優れているでしょう。対白単以外では《ビビアン・リード》はいつでも素晴らしいカードですが、《採取/最終》は赤単や青単、《運命のきずな》デッキのどれに対してもそこまで強くないですからね。

京都の地にて

1日目

弾けるドレイク黎明をもたらす者ライラ

大会を通して、僕は非常に運が良かったですね。最初の対戦相手は、非常に相性のいいマッチアップである、旧式のイゼットドレイクを使っていましたし、次の対戦相手は《黎明をもたらす者ライラ》をメインに多く積んでいました。最初のゲームで僕は《ドミナリアの英雄、テフェリー》への回答を持ち合わせていなかったため、相手が5マナをタップするのを見て負けたかと思いました。ですが、彼は《テフェリー》ではなく、《ビビアン・リード》で対処可能な《黎明をもたらす者ライラ》をプレイしてきたのです。そのおかげで、容易にこのゲームに勝つことができました。

喪心人質取り

相手がサイドインしうるクリーチャーへの対処法が必要なので、エスパーコントロールに対するサイドボードというのは非常にやりづらいものです。大抵は4枚の《正気泥棒》と最大で3枚の《人質取り》を入れてくるので、《喪心》ですら何枚か残すようにしています。ですが、僕の対戦相手は不慣れなようで、あまり多くのカードをサイドインしているようにも見えませんでした。

そのため、このマッチアップではあまりいいカードではないものの、《黎明をもたらす者ライラ》を残しているだろう……と予測しました。そして、《喪心》ではなく《人質取り》をメインに残したのです。実際、2ゲーム目は相手の《黎明をもたらす者ライラ》を奪うことで勝利しました。得られた相手の情報に応じて、サイドボードプランを微調整するのは大事なことです。一般のリストから、多くのカードが違っている可能性もありますし、軽率な判断を下してしまうと、簡単に起こりえなかった負けに繋がってしまいます。

再燃するフェニックス

6ラウンド目は、非常に腕の立つ赤単とのフィーチャーマッチでした。3ゲーム目は非常に接戦だったのですが、カギとなるターンで《喪心》を引き込んだことで勝利することができましたね。相手は僕のデッキに対して強力な《再燃するフェニックス》を4枚採用していた一方、こちらはサイドボードを含めても《ヴラスカの侮辱》を2枚しか採用していなかったため、勝つためにはかなりの運が必要でした。

マーフォークの枝渡り人質取りハイドロイド混成体

しかし、間違いなく3ゲーム目にはミスをしてしまいましたね……。最後の数ターンの内の1ターンに、《野茂み歩き》がいる状態で《マーフォークの枝渡り》《人質取り》をプレイするか、それとも(X)=4で《ハイドロイド混成体》を唱えるか、という選択肢がありました。相手の手札は先程引いた1枚のカードのみで、これが3点火力でなければ、《人質取り》をプレイするのが最もいい選択です。

ですが思い返してみると、手札がまさにその3点火力である可能性は非常に高かったですね。《実験の狂乱》のことを考えると、土地ならプレイしていましたし、《溶岩コイル》なら《野茂み歩き》を除去しているでしょうから、現実的に考えると、《ショック》や3点火力、《争闘/壮大》以外はあり得ないのです。今でもミスプレイだったのかどうか確信は持てませんが、いずれにせよ勝てて良かったですね 😛

藤田 剛史 対 ペトル・ソフーレク

藤田 剛史 対 ペトル・ソフーレク

青単を駆る藤田 剛史選手と戦ったりもしましたが、続く3試合は比較的楽に勝利し、9-0。1位で初日を終えることができました。

9-0はどう見ても素晴らしい成績ですが、少し心配してもいました。以前のミシックチャンピオンシップで起こった出来事がまた繰り返すのではないかと……。その時は興奮しすぎてよく眠れず、2日目はもはやゾンビみたいになっていて、結果もボロボロでした。今回も確かにあまり眠れませんでしたが、ありがたいことに慣れてるデッキだったので、手なりでもそれなりのプレイができましたね。

2日目

さて、2日目の幕開けは本当にひどいものでした。熊谷 陸選手の操るティムール《荒野の再生》に仕方のないような敗北を喫したのです。1ゲーム目は《暗殺者の戦利品》を2枚とも引いたにもかかわらず、土地をひどいくらい引きすぎて、カードアドバンテージで差がついてしまいました。2ゲーム目は4枚《ビビアン・リード》を引きましたが、5枚目の土地が間に合わずに、《水没遺跡、アズカンタ》に負けてしまいました。

ハイドロイド混成体

歴史は繰り返す……なんて心配し始めましたが、運よく残りの試合は問題なく進めることができました。その後4連勝し、原根 健太選手と共に1番テーブルについて、ID(合意のうえでの引き分け)をすることができたのです。

そこにいたるまでのマルドゥ・アグロとのマッチでは、とても下手なプレイをしてしまいました。あまり見かけないカードが多い珍しいデッキだったこともあって、全くもって理想のプレイはできませんでしたが、幸いにも《ハイドロイド混成体》の力で接戦を制することができましたよ。

最近のパフォーマンスには非常にわくわくしています。日本のグランプリの直近3つで、11位(13-2)9位(13-2)、そして今回はトップ8。日本でなぜ成績がいいのか不思議に思っていましたが、異なる雰囲気でマジックをすること、そして人々がより真剣に取り組んでいるという事実により、僕は通常よりも真摯に練習に打ち込みますし、より注意深くプレイするようになっているのだと思います。今後も他のグランプリとは一線を画す、素晴らしき日本のグランプリに参加し続けたいです。

Bae, Daekyeung

ベ・デギョン

トップ8では、ツイてないドローが続いて後に優勝したグルールアグロに負けてしまいましたが、すでにお伝えした通り、自分のデッキ選択以外に責めるようなところはありません。当然の敗北でしたね。ベ・デギョン/Bae, Daekyeung選手、本当におめでとうございます!

帰路

ほんのちょっと、自分の成績を祝おうかなんて思いましたが、完全に疲れていましたし、可能な限りすぐに東京に帰ることにしました。友人のユウスケはまだ京都を満喫していたので、1人だと違う方面の新幹線に乗ってしまわないか少し心配でしたが、幸運なことに齋藤 友晴もすぐ帰ろうとしていたので、一緒に帰ることができました。

予定はちょっと変わったものの、名古屋では友晴のYoutubeの友人と夕食を食べたり、ちょっと歩いたりして楽しい時間を過ごせましたね。日本の都市は、どこも異なる雰囲気・慣習を持っていて素晴らしいと思います。いくらでも楽しめるように思える、この素晴らしい国をもっと知りたくてたまりません!

マジックはよりよくなっていっていますし、これからの大会で戦うのが待ちきれませんね!

読んでくれてありがとうございます。

ペトル・ソフーレク

この記事内で掲載されたカード

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Petr Sochurek

Petr Sochurek 緻密な環境分析と正確無比なプレイングに裏付けられた実力は、"ヨーロッパで3本の指に入る"と称される新鋭。 【グランプリ・パリ2016】では、「グリクシスコントロール」を操り見事に優勝を勝ち取る。 世界が注目する、トッププレイヤーの1人。 Petr Sochurekの記事はこちら