グランプリ・横浜2019の興奮も冷めやらぬ中、4月26日(金)~28日(日)に日本時間の18時からミシックチャンピオンシップ ロンドン(以下、MCロンドン)が開催される。グランプリ横浜と同じモダン、そして何より『灯争大戦』を用いたドラフトによって行われる今回のMCを見逃す手はないだろう。Hareruya Pros/Hopesからも多数のプレイヤーが参加するのでぜひ応援していただけると幸いだ。放送ページはこちらから。
そんなMCロンドンを、皆さんにより楽しんでいただくために、MCの注目ポイントをまとめてきたので共にチェックしていこうと思う。
ロンドンマリガンとデッキリスト公開
MCロンドンではロンドンマリガンという新しいマリガン方法が採用されていている。ロンドンマリガンの詳細は以下。
あなたがN回目のマリガンを行うとき、あなたはカードを7枚引き、その後N枚のカードをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
また、モダンラウンドはデッキリストが公開された状態で対戦が行われる。正確にはメインボードは採用枚数まで公開され、サイドボードはどんなカードが採用されているかだけ公開されるのだそうだ。
このマリガン方法とデッキリスト公開が、ゲームに多大な影響を与えることは想像に容易いと思う。各デッキがどのような面で恩恵を受けるのか、詳細については各デッキの紹介で話そう。
注目のモダンデッキと今回の特別なルールが及ぼす影響
トロン
ロンドンマリガンの恩恵を強く受けるデッキの一つといえばこのトロンだ。それこそ初手4枚からでも問題なく勝てるほどに。極論、ウルザ土地3種、《解放された者、カーン》の4枚だけでブン回りを見せることが出来る。ロンドンマリガンではこういった手札の再現性が非常に高くなる。トロンにとって大事なのは枚数ではなく質なのだ。
今回の特別なルールはどちらもトロンにとって嬉しいものなのではないだろうか。
ドレッジ
このロンドンマリガンというシステムは基本的にコンボデッキに有利に働くと言われている。このドレッジというデッキも例に漏れずその恩恵を間違いなく受けるだろう。しかし、手放しに喜びにくいのが実状だ。
ドレッジは後述のイゼットフェニックスと違い、基本的に墓地を使わないサブプランを搭載していないオールインコンボデッキである。つまり、墓地対策に脆いのだ。
コンボデッキなのでトロンと同様に初手が少なくともスムーズにまわりやすいが、対策カードに脆く、ロンドンマリガンでは対策カードを引き込まれやすい。そのメリットとデメリット、どちらの方がゲームに影響を強く与えるのだろうか。
青白コントロール
青白コントロールは、特別なルールから受ける恩恵はまずまずといったところだ。コントロールにとって、対戦前にデッキリストが公開されることはメリットである。例えば、トロン相手に《廃墟の地》を探しにマリガン出来るし、コンボデッキ相手に、たくさんの《流刑への道》を抱えたまま負けることもなくなるだろう。
ロンドンマリガンから受ける恩恵は比較的少ない。相手のデッキを知っているため、不要なカードや《終末》といったカードを山札に戻すことが出来るのはメリットであるが、そもそもマリガンが少ないデッキであることも事実だからだ。
ロンドンマリガンの恩恵は受けづらいが、相手のデッキが公開されることによるメリットを享受しやすいデッキである青白コントロールは、果たしてMCロンドンでも活躍できるのだろうか。
イゼットフェニックス
直近の大会で常に高い使用率を誇っているイゼットフェニックス。そんなイゼットフェニックスは、残念ながら今回の特別なルールの恩恵は受けにくいだろう。元々、大量のドロー呪文が入っていることからキープしやすくマリガンが少ないため、ロンドンマリガンの恩恵を受けにくいのだ。また、攻めるデッキであることから相手のデッキを知ってもさほどやることが変わらないので、デッキリスト公開の恩恵も受けにくい。
今回の2つのルール変更が追い風とはならないものの、飛ぶ鳥を落とす勢いのこのデッキはどのような結果を残すのだろうか?
『灯争大戦』ドラフト
なんと、今回のドラフトラウンドは発売前の『灯争大戦』を用いて行われる。また、『灯争大戦』には史上最多、36種ものプレインズウォーカーが収録されている。まだ発売されていないので、ドラフトの環境については言及できないが、これだけたくさんのプレインズウォーカーが入り乱れる環境だ。パワフルなゲームになることは間違いないだろう。
参加者にとっては、練習の時間が取れなかったりと大変な面も多いと思うが、我々視聴者にとって、これほどまでに刺激的なドラフトラウンドはかつてなかったと思う。今回MCロンドンとプレリリースの日付が被っているので、プロがとっていた戦略を翌日のプレリリースで試すのも面白いのではないだろうか。
Hareruya Pros/Hopes大会参加選手一覧
今回参加するHareruya Pros | |
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齋藤 友晴 | 津村 健志 |
アーネ・ハーシェンビス | アレン・ウー |
イマニュエル・ゲルシェンソン | カルロス・ロマオ |
クリスティアン・カルカノ | クリスティアン・ハウク |
グレゴリー・オレンジ | グジェゴジュ・コヴァルスキ |
ケルヴィン・チュウ | ゴンサロ・ピント |
ジェイコブ・ナグロ | ジェレミー・デザーニ |
ジョン・ロルフ | セバスティアン・ポッツォ |
ドミトリー・ブタコフ | ハビエル・ドミンゲス |
パスカル・フィーレン | ピオトル・グロゴゥスキ |
ブランコ・ネランク | ブランドン・エアーズ |
ベン・ハル | ペトル・ソフーレク |
マルシオ・カルヴァリョ | ラファエル・レヴィ |
リー・シー・ティエン | ルイス・サルヴァット |
ルーカス・エスペル・ベルサウド |
今回参加するHareruya Hopes | |
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名出 和貴 | 難波 直也 |
アントニオ・デル・モラル・レオン | カスパー・ニールセン |
クリスティアン・オルティス・ロス | クリストフ・グレゴーア |
サム・ロルフ | ジョー・ソー |
ティエン・ヌウェン | トーマス・ヴァン・デル・パエルト |
ハオカン・ワン | パナギオーティース・パパドプーロス |
ファブリツィオ・アンテリ | マッティ・クイスマ |
ヨナタン・アンゲレスク |
注目の選手
ピオトル・グロゴゥスキ/Piotr Glogowski
Kanisterとしてマジック・オンライン上でその名を轟かせ、現在マジック・プロリーグのメンバーにも選出されている彼だが、その実績はモダンによるものも多い。
その実力は自ら「モダンこそ私がもっとも実力を発揮できるフォーマットだ」と自称するほど。この特殊ルールの中、彼のデッキ選択からも目が離せない。
クリスティアン・オルティス・ロス/Cristian Ortiz Ros
彼も先述のピオトルと同じく、マジック・オンラインでNaisircとしてその名を轟かせているプレイヤーだ。まずは百聞は一見に如かずということで、これを見てほしい。
Mm maybe I have the record? 🤟🤪 #Modern #Grinder #HareruyaHopes pic.twitter.com/6ZETEG6gcM
— Naisirc (@Naisirc) 2019年4月14日
普段マジック・オンラインをプレイされる方にはその凄まじさが伝わったことだろう。そうでない方に簡潔に説明すると、5回戦の競技リーグで5-0しても8個しかもらえないトークンを短期間で400個も集めたというのだ。リーグで5-0した数を表すトロフィーの数も2位と7個も差をつけて1位というやり込みよう。
その練習量もさることながら、勝率も高い数字を維持している。その証拠に、彼は今回のMCの権利をマジック・オンライン上のMCQ(ミシックチャンピオンシップ予選)を優勝することで獲得しているのだ。高い勝率にやり込む熱意。彼の戦績にも期待せざるを得ないだろう。
まとめ
いかがだっただろうか。この記事で、少しでもミシックチャンピオンシップの魅力が伝わったなら幸いである。新しいルールがゲームに与える影響やまだ見ぬプレインズウォーカーがゲームを掌握するドラフトを、それもプロの手によるプレイで見れるとあり、今から胸が高鳴って仕方ない。
ミシックチャンピオンシップの優勝者が決まるその瞬間、いつも言葉にならないような感動が心を満たす。今回は、その感動を一人でも多くの方に知っていただきたかったのだ。
再三になるがミシックチャンピオンシップ ロンドンは4月26日(金)~28日(日)18時から行われる。興味を持った方はぜひこちらの放送ページから、その結果をご自身の目で見届けてほしい。