みなさんこんにちは。
先週末は新セット『灯争大戦』のプレリリースが開催されましたが、お目当てのカードは手に入りましたか?Magic Online(以下:MO)ではすでに先行導入されており、『灯争大戦』入りのスタンダードがプレイできるようになっています。
今回の連載では、MOのスタンダードリーグで結果を残していたデッキを見ていきたいと思います。
Competitive Standard League 4/29 デッキ紹介
「Mono Red」「Dimir Control」「Esper Control」「Simic Nexus」
Mono Red
仮想敵が定まっておらず、試行錯誤の段階である環境初期は、自分から攻める戦略の方が勝ちやすい傾向にあります。
Mono Red Aggroは旧環境からトップメタの一角として活躍しており、『灯争大戦』から新戦力がさらに加わるので引き続き人気がでそうなデッキです。
今回リーグで結果を残したバージョンは、プレインズウォーカーが多く採用され、代わりに1マナ域のクリーチャーが抜けています。《実験の狂乱》をフル搭載しており、ミッドレンジ寄りの構成になっています。
☆注目ポイント
《炎の職工、チャンドラ》は[+1]能力でアドバンテージを得ることができ、常在型能力により攻撃されてもダメージが入るので、相手にとって厄介なプレインズウォーカーです。忠誠値も高めで、《実験の狂乱》とともに赤いデッキのアドバンテージ源として活躍が期待できそうです。
《主無き者、サルカン》は[-3]能力でトークンを生成し、[+1]能力によって自身をクリーチャーに変身させることができるので、実質5マナで4/4飛行2体分の働きをしてくれます。今後は赤いデッキ定番のフィニッシャーとして活躍するかもしれません。
サイドにも新カードが数種類見られます。《チャンドラの螺旋炎》はコストが軽くダメージを割り振ることができるので、Mono Blue TempoやMono White Aggroなどとのマッチアップで効率の良い除去として機能します。久々に登場した《無頼な扇動者、ティボルト》は、サイド後に白いデッキが投入してくる《黎明をもたらす者ライラ》などのライフゲインを阻止してくれます。[-2]能力によって自分を守ることができるので、構築戦でも使われそうなプレインズウォーカーとなりそうです。
Dimir Control
過去のスタンダードでも採用されていた《ボーラスの占い師》が再録され、各所で注目を集めている《永遠神ケフネト》という新戦力を獲得したことにより、スタンダードの青いデッキは更に強化されました。
《ボーラスの占い師》と《永遠神ケフネト》の能力を活かすために、環境の効率的なスペルが多数採用されているのが特徴です。
《永遠神ケフネト》との相性を考慮し、カウンターよりも《思考消去》や《概念の雨》のようなスペルが中心のタップアウトスタイルとなっています。
☆注目ポイント
《ボーラスの占い師》はスペルを加えつつ序盤を凌ぐブロッカーとして活躍します。これからの環境で多くのデッキから声がかかりそうです。《永遠神ケフネト》は軽いスペルを多用するこのデッキではアドバンテージエンジンとして機能し、相手のターンに《選択》などでドローしスペルが捲れれば、さらにアドバンテージを稼ぐことができます。スペックも4/5飛行とこのデッキのフィニッシャーを務めるのに十分な性能です。
《暴君の嘲笑》 は青黒の主要な除去の1枚として今後使われそうです。コントロールミラーのようにクリーチャーが少ないデッキとのマッチアップでも、自分の《ボーラスの占い師》をバウンスして使い回すといったこともできます。
メインからフル搭載されている《永遠神の投入》は、相手のクリーチャーを除去しながらライフゲインしつつ4/4が残る破格なスペルです。対象になるクリーチャーがいない場合はキャストができませんが、青いデッキが《ボーラスの占い師》を採用していることを考慮すると、手札で腐ることは少なくなりそうです。おまけのライブラリー破壊も、デッキに戻った相手の《永遠神ケフネト》などを落とせるなど地味ながら有用な効果と言えます。
Esper Control
3 《渇望の時》
2 《喪心》
1 《灯の燼滅》
1 《ドビンの拒否権》
4 《吸収》
2 《屈辱》
3 《薬術師の眼識》
3 《ケイヤの怒り》
3 《ヴラスカの侮辱》
2 《アズカンタの探索》
1 《時を解す者、テフェリー》
4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
1 《戦慄衆の将軍、リリアナ》
-呪文 (34)-
旧環境で安定した結果を残し続けていたEsper Controlは、『灯争大戦』からの新戦力に恵まれており新環境でも活躍しそうです。
環境初期はコントロールで勝つのが難しいとされていますが、《戦慄衆の将軍、リリアナ》と《時を解す者、テフェリー》いう新たなプレインズウォーカーに加え、《ドビンの拒否権》などデッキパワーは相変わらずの高さです。
☆注目ポイント
《戦慄衆の将軍、リリアナ》は『灯争大戦』のカードの中でも、そのカードパワーの高さから特に注目されているカードの1枚です。[-4]能力は処理が困難な《殺戮の暴君》などの呪禁クリーチャーを除去できます。忠誠度も高いので戦闘で落とされにくく、奥義の[-9]能力まで辿り着ければそのまま勝つことができるでしょう。
《時を解す者、テフェリー》は、このデッキが苦手とする《荒野の再生》を使うデッキとのマッチアップで、特に強さを発揮するプレインズウォーカーです。ソーサリータイミングでしかスペルをキャストできないため、《荒野の再生》デッキのプランをほとんどシャットアウトできます。相手の脅威をバウンスしつつドローできる[-3]能力は、自身を守りつつ相手の展開を遅らせることが可能です。
《灯の燼滅》は多くのプレインズウォーカーに有効な除去ですが、アグロデッキに対しては対象が限定されるのでメインでは1枚だけの採用になっています。《ドビンの拒否権》はコントロール同型やMono Blue Tempoとのマッチアップでは《否認》の上位交換となり、サイドに追加で2枚採られています。
Simic Nexus
『灯争大戦』から《伝承の収集者、タミヨウ》という新戦力を獲得し、さらに強化されたSimic Nexus。
このデッキが苦手としていたMono Blue Tempoに対しては、《爆発域》によって以前よりも押し切られることが少なくなりました。
☆注目ポイント
《伝承の収集者、タミヨウ》は《思考消去》や《強迫》、《最古再誕》などの妨害を無効化しつつデッキの安定性の向上に貢献してくれます。[+1]能力は《荒野の再生》など特定のキーカードを引き当てる必要のあるこのデッキにとって非常に有用で、《薬術師の眼識》が墓地に落ちれば「再活」することができます。墓地を肥やすことで《アズカンタの探索》も変身しやすくなるので、このデッキではデメリットが少なく運用できます。墓地のカードを回収する[-3]能力によって《根の罠》も使い回せるようになり、コンボまでの時間も稼ぎやすくなりました。
《爆発域》 は1マナ域を展開してくる単色のアグロに特に有効で、土地なのでカウンターされる心配もなく、《荒野の再生》によるマナブーストによって高コストのパーマネントも処理しやすくなります。このデッキに強いとされている《時を解す者、テフェリー》対策にもなり、《伝承の収集者、タミヨウ》と並んで新環境のNexusの強さを支えます。
サイドはカウンターや追加の勝ち手段である《つぶやく神秘家》のほかに、《世界を揺るがす者、ニッサ》も見られます。エンチャント対策に引っかからないマナブーストとして機能し、土地をクリーチャーに変える[+1]能力によりメインとは異なる角度から攻める手段となります。
総括
MOのリーグで結果を残していたデッキを一通り見ていきましたが、『灯争大戦』は全体的にカードパワーが高く既存のデッキの強化はもちろん、新たなデッキも開発されており非常に面白い環境になっているようです。
アメリカでは早速今週末に、SCGO Richmondが開催されます。日本国内でも、晴れる屋トーナメントセンターで『灯争大戦』環境初陣戦が開催されるので、スタンダード好きの方はお見逃しなく!
USA Standard Express vol.146は以上です。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!