Translated by Ryosuke Igarashi
(掲載日 2019/05/08)
はじめに
こんにちは、ティエン・ヌウェン/Thien Nguyenと申します。
先日のミシックチャンピオンシップ・ロンドンでタイタンシフトを使用し、構築ラウンドで8-1-1、総合順位5位で終えることができました。このデッキをもう5年は使っていますね。モダンのグランプリで、タイタンシフトを使ってトップ8に入ったのは私が初めてですし、続くプロツアー『ゲートウォッチの誓い』でもモダンラウンドで8-2と好成績を残すことができました。
タイタンシフトとは
2 《森》
4 《燃えがらの林間地》
4 《踏み鳴らされる地》
4 《樹木茂る山麓》
3 《吹きさらしの荒野》
4 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》
-土地 (27)- 4 《桜族の長老》
4 《原始のタイタン》
-クリーチャー (8)-
3 《稲妻》
4 《遥か見》
4 《明日への探索》
4 《風景の変容》
3 《ムウォンヴーリーの酸苔》
1 《仕組まれた爆薬》
3 《大祖始の遺産》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》
-呪文 (25)-
このデッキの核となる部分はプロツアー『ゲートウォッチの誓い』以降変わっていません。デッキ名からも分かる通り、《原始のタイタン》と《風景の変容》はそれぞれ4枚ずつ採用しています。また、《差し戻し》の代わりに《召喚士の契約》が2枚採用されるようになり、デッキの一貫性がより強まりました。これら10枚のカードが、勝ち手段の核となっています。
マナ加速の軸になるのは4枚ずつ入った《桜族の長老》と《明日への探索》ですね。土地はほとんど一般的な27枚です。多くの緑マナを必要とする一方、《山》をなるべく採用しなければいけませんからね。これらに4枚の《遥か見》を加え、序盤のマナ加速の動きを強化しています。一貫性を高めつつ、動きを安定させてくれるスロットです。
その他の枠にマナ加速呪文であり、その中でもより役に立つカードを探していました。以前に《ウッド・エルフ》や《成長の発作》を試したこともありましたが、今大会ではその枠に《ムウォンヴーリーの酸苔》を採用しました。トロンを持ち込むプレイヤーは非常に多いだろうと予想しており、《ムウォンヴーリーの酸苔》はウルザ土地を破壊しつつも自分のプランの助けになる、素晴らしいカードです。また、こちらより早いコンボデッキを1ターン減速させることもできます。その1ターンで、こちらが勝つには十分ですね。
《稲妻》はモダンでも屈指の強力なカードです。序盤のクリーチャーを除去し、[-3]能力から入った《解放された者、カーン》を退場させ、相手のライフを20から17に削ることもできます。このどれもが、メインデッキに採用する理由になりますね。
ですが、メインデッキの4枚目の《稲妻》は《反逆の先導者、チャンドラ》へと変更しました。《氷の中の存在》や《弾けるドレイク》への対抗策がメインデッキに必要でしたし、《血染めの月》を置かれたり、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を《外科的摘出》されたりした後の勝ち手段にもなります。
《仕組まれた爆薬》は、モダンに多く存在する軽いパーマネントをすべて対処することができ、非常に魅力的です。デッキリスト公開、そしてロンドンマリガンによって、利便性が高まっていますね。
また、最終的に《大祖始の遺産》を採用することになりました。ドレッジやイゼットフェニックスは環境で上位のデッキですが、《大祖始の遺産》を引き込み相手を減速させれば、こちらゲームプランを完遂しやすくなります。
サイドボードガイド
トロン:有利
対トロン(先手)
対トロン(後手)
最も相性のいいマッチアップのひとつです。マナ加速呪文によって、少しばかりの妨害を交えつつも4ターン目には勝利できることでしょう。相手が3ターン目に《解放された者、カーン》を出してきても、《稲妻》で除去することができます。
サイドボードからは《難題の予見者》をサイドインしてきますが、それに対して《反逆の先導者、チャンドラ》は完璧な解答ですね。《古えの遺恨》は《ワームとぐろエンジン》に加え、先手であれば《探検の地図》を割ることもできます。
《不屈の追跡者》はカードアドバンテージ源でありながらも、相手に対処を迫る大きな脅威となります。《減衰球》はウルザ土地が追加のマナを生み出せなくなるため、重要な役割を果たします。《再利用の賢者》は先手ではいいカードですが、後手では少し遅いですね。《解放された者、カーン》のために《稲妻》が欲しいところです。
ドレッジ:微有利
対ドレッジ
一時的な除去は、相手のクリーチャーを完全に追放できる《神々の憤怒》に入れ替えましょう。《大祖始の遺産》は何ターンか時間を稼いでくれます。《強情なベイロス》は相手のクリーチャーをどれでもブロックできますし、《燃焼》に対して1ターンは稼げるでしょう。
イゼットフェニックス:互角
対イゼットフェニックス
相手が序盤から《弧光のフェニックス》や《氷の中の存在》で攻め込んでくるかどうかにかかっています。サイドボード後は《血染めの月》、《外科的摘出》をケアして脅威を分散させつつも、より多くの解答をサイドインしましょう。《仕組まれた爆薬》は《氷の中の存在》や《紅蓮術士の昇天》に有効なカードです。
《大祖始の遺産》は《信仰無き物あさり》の「フラッシュバック」や《弧光のフェニックス》、《紅蓮術士の昇天》に加え、サイドインされる《瞬唱の魔道士》にも強力ですね。《反逆の先導者、チャンドラ》は《氷の中の存在》や《弾けるドレイク》を除去できるうえに、《血染めの月》を置かれたときの勝ち手段にもなります。
同様に、《不屈の追跡者》も《血染めの月》を置かれた後の勝ち手段になります。《龍王アタルカ》は着地と同時に相手のクリーチャーを除去しつつ、《目覚めた恐怖》をブロックすることもできますし、《再利用の賢者》は《血染めの月》を破壊できますね。
5色人間:有利
対5色人間
このマッチアップでは、長期戦へ持ち込みます。勝ち手段・マナ加速呪文はどちらも引きすぎてしまうとその間に蹂躙され、なす術なくやられてしまうことでしょう。《翻弄する魔道士》で全てを指定されないよう、種類を散らした除去をサイドインします。《強情なベイロス》は時間稼ぎになる上に、コンバットで打ち取られづらいクリーチャーですね。
グリクシス《死の影》:不利
対グリクシス《死の影》
序盤に《大祖始の遺産》を引き込むことができれば、《グルマグのアンコウ》の着地が遅れることになります。かなり重要ですね。また、《死の影》を《仕組まれた爆薬》で除去できても嬉しいです。《原始のタイタン》か《風景の変容》まで時間稼ぎできるように祈りましょう……。
まとめ
今回のデッキ選択はかなりうまくいきました。当たったのはトロンが3回、あとは白黒エルドラージ、赤単エルドラージや黒緑ミッドレンジ、青白/エスパーコントロールに5色人間と鱗親和がそれぞれ1回ずつでした。
その内、鱗親和に負け、5色人間とはIDしています。トップ8では《実験の狂乱》を採用した親和に負けてしまいました。まとめてみると、ポジションは非常によかったのではないでしょうか。負けたのはアーティファクトデッキに序盤から攻め立てられたときのみでした。
この大会でここまでの成績を残せて、非常に運が良かったと思います。実際のところ、運に恵まれた場面も何度かありましたしね。本当に力を注いできたデッキをマジック最高峰の舞台に持ち込むことができて、気持ちが高ぶりました。モダンをプレイするなら、タイタンシフトは今後もいい選択であり続けるでしょう。