みなさんこんにちは。
来月リリースされる『モダンホライゾン』のカードが徐々に公開され始め、モダンはいま大盛り上がりです。
さて、今回の連載ではミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019と、『灯争大戦』後に開催されたイベントで入賞したデッキを見ていきたいと思います。
ミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019
Humansが世界を制する
2019年4月26-28日
- 1位 Humans
- 2位 Affinity
- 3位 Tron
- 4位 Tron
- 5位 Titan Shift
- 6位 Humans
- 7位 Humans
- 8位 Izzet Phoenix
Eli Loveman
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今大会では、試験的にロンドンマリガンが導入されたり、デッキリスト公開で試合がおこなわれたりと、通常の大会と大きく異なる形式で開催されました。
HumansやTronといった爆発力のあるデッキが予想通り多く勝ち残り、中でもHumansは優勝者も含めてプレイオフに3名というパフォーマンスを見せました。
ミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019 デッキ紹介
「Humans」
Humans
1 《島》
4 《古代の聖塔》
4 《魂の洞窟》
4 《地平線の梢》
4 《手付かずの領土》
1 《金属海の沿岸》
-土地 (19)- 4 《貴族の教主》
4 《教区の勇者》
4 《サリアの副官》
4 《翻弄する魔道士》
4 《幻影の像》
3 《スレイベンの守護者、サリア》
3 《帆凧の掠め盗り》
4 《反射魔道士》
4 《カマキリの乗り手》
2 《拘留代理人》
1 《民兵のラッパ手》
-クリーチャー (37)-
3 《減衰球》
2 《四肢切断》
1 《ガドック・ティーグ》
1 《民兵のラッパ手》
1 《拘留代理人》
1 《罪の収集者》
1 《イゼットの静電術師》
1 《つむじ風のならず者》
-サイドボード (15)-
一時期はAzorius ControlとBant Spiritに押され、メタのトップから姿を消していたHumans。《クラーク族の鉄工所》の退場によりメタが激変し、Izzet Phoenixが隆盛したことでBant Spiritやコントロールは依然と比べると数を減らしていました。
環境初期のIzzet Phoenixには《はらわた撃ち》が採用されていましたが、最近では同型やDredgeといったデッキを対策するために、代わりに《外科的摘出》がメインから採用されています。そのおかげで《スレイベンの守護者、サリア》や《教区の勇者》などのクリーチャーが生き残りやすくなり、Humansは徐々に復権の兆しを見せていました。
ロンドンマリガンの影響で爆発力のあるハンドをキープしやすく、デッキリスト公開によって《翻弄する魔道士》をより有効に使えるようになったのも、このデッキにとっては追い風でした。
☆注目ポイント
優勝者であるEli Loveman選手のリストで一番印象に残ったのは、《拘留代理人》がメインから採用されていたことです。《拘留代理人》は人間ではないものの、《罠の橋》や複数並んだ《弧光のフェニックス》、《恐血鬼》、《秘蔵の縫合体》、《氷の中の存在》など厄介なパーマネントを処理できる便利なクリーチャーです。
サイドの《減衰球》は、TronやAmulet Titanとのマッチアップでサイドインされるカードです。相手を減速させているうちに殴り切ってしまうのが理想の展開となります。
『灯争大戦』の影響でプレインズウォーカーを採用したデッキが増加傾向にあるので、《スレイベンの守護者、サリア》はメインからフルに採用してもよさそうです。それらを対策できる《拘留代理人》も、今後活躍する機会が増えそうです。
SCG Classics Syracuse
『灯争大戦』が環境に与えた影響
2019年5月18-19日
- 1位 Azorius Control
- 2位 Affinity
- 3位 Spirit
- 4位 Burn
- 5位 Dredge
- 6位 Azorius Control
- 7位 Humans
- 8位 Eldrazi Taxes
Jeremy Bertarioni
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『灯争大戦』はスタンダードだけでなくモダンにも影響を与えています。特に《覆いを割く者、ナーセット》や《大いなる創造者、カーン》は、Azorius ControlとTronをさらに強化しました。
SCG Classics Syracuse デッキ紹介
「Azorius Control」「Tron」
Azorius Control
2 《平地》
2 《神聖なる泉》
4 《溢れかえる岸辺》
1 《沸騰する小湖》
3 《天界の列柱》
2 《氷河の城砦》
4 《廃墟の地》
1 《爆発域》
-土地 (25)- 3 《瞬唱の魔道士》
1 《ヴェンディリオン三人衆》
-クリーチャー (4)-
4 《流刑への道》
1 《失脚》
1 《呪文嵌め》
1 《血清の幻視》
1 《外科的摘出》
2 《ドビンの拒否権》
1 《論理の結び目》
2 《謎めいた命令》
2 《至高の評決》
1 《神の怒り》
1 《ヒエログリフの輝き》
1 《拘留の宝球》
4 《覆いを割く者、ナーセット》
1 《時を解す者、テフェリー》
2 《精神を刻む者、ジェイス》
2 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (31)-
Azorius Controlは、《覆いを割く者、ナーセット》や《時を解す者、テフェリー》といった強力なプレインズウォーカーを獲得しました。
これだけでゲームに勝てるパワーはないものの、このデッキに不足しがちだった3マナ域を埋めるのに十分すぎる性能です。
☆注目ポイント
今大会見事に優勝を果たしたJeremy Bertarioni選手のリストには、《覆いを割く者、ナーセット》がメインからフル搭載されています。[-2]能力によってアドバンテージを稼ぎつつ、相手の追加のドローをシャットアウトします。《信仰無き物あさり》、《安堵の再会》、《彩色の星》、《彩色の宝球》、《ドミナリアの英雄、テフェリー》、《精神を刻む者、ジェイス》など様々なカードを妨害できるので、Izzet Phoenix、Dredge、Tron、同型など多くのマッチアップで活躍します。
また、《覆いを割く者、ナーセット》が場にある状態で相手のドローステップに《ヴェンディリオン三人衆》を出すと、相手はドローできないのでハンデススペルのように機能します。
《時を解す者、テフェリー》は、ミラーマッチにおいて相手のカウンターを無力化することで、フィニッシャーを通しやすくなります。この常在型能力は、「続唱」や「待機」なども封殺可能で、サイドの《呪文捕らえ》ともシナジーがあります。[+1]能力によって《至高の評決》などを相手ターンにもキャストできるので、速攻クリーチャーやミシュラランド対策にもなります。
《ドビンの拒否権》は、ミラーマッチやカウンターを採用した一部のコンボデッキ(Storm、Ad Nauseamなど)に対して、優秀な妨害スペルとして活躍します。
Tron
4 《ウルザの塔》
4 《ウルザの鉱山》
4 《ウルザの魔力炉》
1 《爆発域》
1 《幽霊街》
1 《ウギンの聖域》
-土地 (19)- 2 《スラーグ牙》
3 《ワームとぐろエンジン》
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
-クリーチャー (7)-
4 《森の占術》
4 《探検の地図》
4 《彩色の星》
4 《彩色の宝球》
2 《大祖始の遺産》
2 《忘却石》
4 《大いなる創造者、カーン》
4 《解放された者、カーン》
2 《精霊龍、ウギン》
-呪文 (34)-
『灯争大戦』から新戦力を獲得したのはAzorius Controlだけではありませんでした。環境トップメタの一角であるTronも《大いなる創造者、カーン》という強力なプレインズウォーカーを獲得しています。
《探検の地図》でサーチ可能なスイーパーである《爆発域》も地味ながら大きな収穫で、《石のような静寂》など厄介な置物を対策する手段が増加され、デッキの安定性がさらに向上しました。
☆注目ポイント
《大いなる創造者、カーン》は、主に《マイコシンスの格子》をサーチし相手をロック状態にすることを狙っていきます。《罠の橋》、《三なる宝球》、《世界のるつぼ》、《墓掘りの檻》、《魔女封じの宝珠》などを状況に応じてサーチしていくシルバーバレット戦略も採用しているため、1ゲーム目から様々なデッキに対応できるようになりました。
《爆発域》は、《探検の地図》や《森の占術》などでサーチしてくることができるスイーパーで、カウンターされる心配もなくアグロデッキ対策用も兼ねてメインからの採用となっています。
Modern Challenge #11870939
環境を変えるプレインズウォーカー
2019年5月18日
- 1位 Azorius Control
- 2位 Izzet Phoenix
- 3位 Golgari Midrange
- 4位 Burn
- 5位 Hollow One
- 6位 Tron
- 7位 Azorius Control
- 8位 Izzet Phoenix
トップ8のデッキリストはこちら
MOで毎週末に開催されるModern Challenge。毎週世界中のプレイヤーが参戦しているレベルの高いイベントです。
今回のModern Challengeでは、《覆いを割く者、ナーセット》や《時を解す者、テフェリー》のほかに、《夢を引き裂く者、アショク》や《崇高な工匠、サヒーリ》といったプレインズウォーカーも見られるなど、『灯争大戦』が環境に与えた影響は予想以上に大きかったことが分かります。
Modern Challenge #11870939 デッキ紹介
「Izzet Phoenix」
Izzet Phoenix
Humansの復権やTronの隆盛により、以前ほどの勢いはなくなったものの安定した成績を残し続けているIzzet Phoenix。
『灯争大戦』から新たに《崇高な工匠、サヒーリ》が採用されています。軽いスペルを連打するこのデッキと相性がよく、異なる軸の勝ち手段としてメインやサイドに1~2枚採用したリストが定着しているようです。
☆注目ポイント
《若き紅蓮術士》と比べると《崇高な工匠、サヒーリ》は初期忠誠値も5と高めなので除去されにくく、《紅蓮術士の昇天》と同様に追加の勝ち手段として機能します。[-2]能力で《弧光のフェニックス》や《弾けるドレイク》などをコピーして一気に畳みかけていきます。
今後プレインズウォーカーが環境に増えるのであれば、《漂流》の価値が上がることでしょう。《漂流》で相手のパーマネントをライブラリートップに戻した後、相手を対象に《思考掃き》を撃つことによって墓地に落とすという使い方もできるので、覚えておきたいところです。
総括
《覆いを割く者、ナーセット》を始めとした3マナのプレインズウォーカーや、《大いなる創造者、カーン》+《マイコシンスの格子》コンボなど、『灯争大戦』が環境にもたらしたものは大きいようです。
来月には『モダンホライゾン』のリリースが控えています。モダン版の《意志の力》としてコンボデッキの対策になりそうな《否定の力》や、レガシーでも一線級のカウンターとして活躍している《狼狽の嵐》、過去に多くのデッキに採用されていた《嘘か真か》など、環境を激変させる可能性のあるカードが多数見られます。
今週末にはSCGO Louisvilleがモダンで開催されるので、モダンファンの方はお見逃しなく。
USA Modern Express vol.28は以上になります。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!