みなさんこんにちは。
『灯争大戦』がリリースされてしばらく経ちますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
今回の連載では、SCGO SyracuseとSCG Classics Louisvilleの入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCGO Syracuse
環境を牽引するプレインズウォーカー、《時を解す者、テフェリー》
2019年5月19日
- 1位 Jeskai Super Friends
- 2位 Esper Super Friends
- 3位 Jeskai Super Friends
- 4位 Mono Red Aggro
- 5位 Mono Red Aggro
- 6位 Mono Red Aggro
- 7位 Jeskai Super Friends
- 8位 Esper Midrange
Zan Syed
トップ8のデッキリストはこちら
様々なフォーマットで現在活躍中の《時を解す者、テフェリー》。今大会では、プレイオフに入賞していた半数のデッキで採用されており、環境最高のプレインズウォーカーとしての名を欲しいままにしていました。
[-3]能力は非常に使いやすく、相手はバウンスされたカードを再キャストするか、《時を解す者、テフェリー》を処理するのにターンを費やすことになるので、その後の脅威を展開しやすくなります。
SCGO Richmondで猛威を振るったMono Red Aggroは、今大会でも最も人気のあったデッキで安定した成績を残していました。
SCGO Syracuse デッキ紹介
「Jeskai Super Friends」「Esper Super Friends」「Mono Red Aggro」「Esper Midrange」
Jeskai Super Friends
4 《聖なる鋳造所》
4 《神聖なる泉》
4 《次元間の標》
3 《硫黄の滝》
3 《氷河の城砦》
1 《断崖の避難所》
2 《総動員地区》
-土地 (25)- -クリーチャー (0)-
4 《選択》
3 《呪文貫き》
1 《稲妻の一撃》
3 《轟音のクラリオン》
2 《モックス・アンバー》
4 《時を解す者、テフェリー》
4 《覆いを割く者、ナーセット》
3 《崇高な工匠、サヒーリ》
2 《ウルザの後継、カーン》
4 《主無き者、サルカン》
1 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (35)-
SCG Tourで活躍している強豪チームのTeam Lotus Boxのメンバー(Zan Syed、Abe Corrigan、Evan Whitehouse)が今大会持ち込んだデッキで、Jeskaiカラーのプレインズウォーカーを多数搭載したデッキです。Super Friendsと一般的なコントロールデッキとの違いは、採用されているプレインズウォーカーの数にあります。基本的にSuper Friendsは、プレインズウォーカーからカードアドバンテージを得るため、《薬術師の眼識》などのドロースペルは不採用となっています。
《時を解す者、テフェリー》が支配する環境に合わせた調整が施されており、《ショック》や《呪文貫き》といった軽い妨害や、サイドの《軍勢の戦親分》などプレインズウォーカーに触りやすい構成となっています。
このバージョンがEsper Midrangeなどほかのミッドレンジに強い理由として、《主無き者、サルカン》によるプレッシャーがあります。軽い除去も多数採用しているので、Mono Red Aggroにも強く今大会でベストな選択肢のひとつでした。
☆注目ポイント
このデッキのフィニッシャーである《主無き者、サルカン》は、[+1]能力により自軍のプレインズウォーカーをクリーチャー化し、一気にゲームを終わらせるほどのインパクトがあります。
メイン、サイドも含めてデッキ内のほとんどのスペルが非クリーチャーで占められており、《選択》や《ショック》、《モックス・アンバー》など軽いスペルが多いので《崇高な工匠、サヒーリ》との相性は抜群です。トークンはアーティファクト・クリーチャーなので《ウルザの後継、カーン》の[-2]能力ともシナジーがあります。
《ショック》は、《第1管区の勇士》や《正気泥棒》といった脅威を1マナで対処でき、プレインズウォーカーを落とす手段としても機能する腐りにくい優秀な除去です。
《軍勢の戦親分》は3マナと軽く、《時を解す者、テフェリー》でバウンスされても返しのターンで処理することできます。環境にある多くのプレインズウォーカーは、マイナス能力を使用すると忠誠値が1まで下がるので、Super Friends系のミッドレンジにとって脅威となります。このデッキと対戦する際は、サイドボード後に除去を減らしすぎないように注意していきたいところです。
Esper Super Friends
2 《喪心》
2 《古呪》
1 《渇望の時》
4 《ケイヤの怒り》
3 《ケイヤの誓い》
4 《時を解す者、テフェリー》
4 《覆いを割く者、ナーセット》
2 《支配の片腕、ドビン》
3 《謎めいた指導者、カズミナ》
4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
1 《人知を超えるもの、ウギン》
1 《戦慄衆の将軍、リリアナ》
-呪文 (35)-
2 《渇望の時》
2 《肉儀場の叫び》
2 《永遠神の投入》
2 《戦慄衆の指揮》
1 《呪文貫き》
1 《古呪》
1 《ドビンの拒否権》
1 《ヨーグモスの不義提案》
1 《イクサランの束縛》
-サイドボード (15)-
Esper版のSuper Friends。赤の代わりに黒を使うメリットとしては、ハンデスと《古呪》という一発逆転できるスペルにアクセス可能なことです。
構成は重くなるもののデッキパワーが高めで、特に今大会で決勝戦にまで勝ち残ったOliver Tomajko選手はテフェリー8枚体制でデッキパワーを重視しています。
☆注目ポイント
《ケイヤの誓い》は、Jeskaiバージョンの《ショック》や《稲妻の一撃》と比べると少し重くなるのが難点ですが、ライフゲインによってアグロデッキとのマッチアップでは、5マナ以上のプレインズウォーカーを展開するまでの時間を稼ぎやすくなります。
相手のプレインズウォーカーを一掃しつつ、自軍のプレインズウォーカーの忠誠値も上げられる《古呪》は、同型やほかのプレインズウォーカーを多用するミッドレンジとのマッチアップで切り札になります。
《謎めいた指導者、カズミナ》や《支配の片腕、ドビン》といった妨害系のプレインズウォーカーが多数採用されており、メインの《古呪》も含めてコントロールやミッドレンジとのマッチアップを意識していたことが分かります。サイドに採用されている《ヨーグモスの不義提案》や《戦慄衆の指揮》など、1枚で戦況を一変させるパワーカードにアクセスできるのが黒を使う理由となります。
Mono Red Aggro
《実験の狂乱》と《炎の職工、チャンドラ》を多数搭載したバージョンのMono Red Aggroで、序盤の猛攻を凌がれても息切れしにくい構成となっています。
《批判家刺殺》などの火力が減り、Big Red寄りに調整され同型にも強い構成になっています。
☆注目ポイント
現環境のMono Red Aggroは、《実験の狂乱》、《炎の職工、チャンドラ》、《危険因子》といったアドバンテージ獲得手段の選択肢が豊富なため、どのバージョンが優れているのか話題になっていましたが、このリストではすべて使ってしまおうという結論に落ち着いたようです。《実験の狂乱》と《炎の職工、チャンドラ》は、一度に複数枚引いてもあまり嬉しくないカードなので、枚数を散らして両方採用することは理に適っています。
《時を解す者、テフェリー》の影響を受けにくく、《実験の狂乱》と《炎の職工、チャンドラ》によって中盤以降も息切れすることが少ないので、ミッドレンジやコントロールとも互角以上に渡り合えます。
Esper Midrange
4 《神聖なる泉》
4 《神無き祭殿》
4 《湿った墓》
4 《孤立した礼拝堂》
4 《氷河の城砦》
4 《水没した地下墓地》
-土地 (25)- 4 《第1管区の勇士》
4 《正気泥棒》
4 《聖堂の鐘憑き》
-クリーチャー (12)-
4 《思考消去》
2 《灯の燼滅》
1 《屈辱》
1 《ケイヤの誓い》
4 《時を解す者、テフェリー》
2 《復讐に燃えた血王、ソリン》
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
2 《戦慄衆の将軍、リリアナ》
-呪文 (23)-
SCGO Syracuseには筆者も参加してきました。Hareruya Hopes所属選手の大木樹彦さんが群馬で開催されたMCQを優勝していたリストを使用し、なんとトップ8に入賞することができました。
仕事が忙しくリアルでスタンダードをプレイする機会がなかったので、大会前日まで使うデッキが決まらないという状況でした。そんな時に大木樹彦さんのEsper Midrangeの記事に目を通し、自分のプレイスタイルに合っていたのと、アメリカでは広く知られていなかったリストということもあり使用することに決めました。
カード選択、各マッチでのサイドボードガイドなどは、ご本人の記事にて詳しい説明がされています。 今大会の好成績にも繋がりました。
ラウンド | 対戦相手 | 対戦結果 |
---|---|---|
1回戦 | Mono Red Aggro | 2-1 |
2回戦 | Mono Red Aggro | 2-1 |
3回戦 | Grixis Control | 2-0 |
4回戦 | Sultai Midrange | 1-0 |
5回戦 | Selesnya Tokens | 2-1 |
6回戦 | Mono White Aggro | 1-1-1 |
7回戦 | Mono Red Aggro | 2-0 |
8回戦 | Jeskai Super Friends | 2-1 |
9回戦 | Five-Color Dreadhorde | 2-0 |
ラウンド | 対戦相手 | 対戦結果 |
---|---|---|
10回戦 | Jeskai Super Friends | 0-2 |
11回戦 | Simic Nexus | 1-2 |
12回戦 | Mono Red Aggro | 2-0 |
13回戦 | Five-Color Dreadhorde | 2-1 |
14回戦 | Mono Red Aggro | 0-2 |
15回戦 | Four-Color Dreadhorde | 2-1 |
準々決勝 | Jeskai Super Friends | 0-2 |
初日は相性が良いMono Red Aggroに4回もあたり、練習不足によるミスもありましたがデッキの強さに助けられ、8-0-1で終えることができました。
2日目は流石に相手も強く険しい道のりでしたが、スイスラウンドの最終戦をなんとか勝利し、幸運にもトップ8に入賞することができました。準々決勝では、Zan Syed選手相手にデッキの相性とマリガンによって残念ながらトップ8で敗退となりましたが、久々に結果を残すことができたことと、友人を始めとした多くの方からのサポートはとても嬉しく思います。
メインに4枚の《聖堂の鐘憑き》と《暴君の嘲笑》は、合計5回当たったMono Red Aggroとのマッチアップで大活躍でした。Mono Red Aggroに対してタフネス4は堅く、《聖堂の鐘憑き》を《暴君の嘲笑》でバウンスして使い回す動きがとにかく強かったです。
サイドの《肉儀場の叫び》と《ケイヤの怒り》も相手に読まれていなかったこともあり、サイド後のゲームを有利に進めることができました。
《古呪》は、Four-Color Dreadhordeとのマッチアップで、《戦慄衆の指揮》によってプレインズウォーカーをリアニメイトした返しのターンに相手のプレインズウォーカーを一掃し、《戦慄衆の将軍、リリアナ》の奥義を決める動きが強く、Jeskai Super Friendsなどプレインズウォーカーデッキ相手にとても活躍しました。Super Friends系のミッドレンジが流行っている現在では、メインから採用していきたいスペルです。
SCG Classics Louisville
多色の時代、《戦慄衆の指揮》が圧倒的なパワーを見せる
2019年5月26日
- 1位 Five-Color Dreadhorde
- 2位 Jeskai Super Friends
- 3位 Mono Red Aggro
- 4位 Jeskai Super Friends
- 5位 Bant Ramp
- 6位 Mono-Green Super Friends
- 7位 Mono red Aggro
- 8位 Jeskai Super Friends
Robert Hayes
トップ8のデッキリストはこちら
SCGO Syracuseでも優勝を果たしたJeskai Super Friendsがプレイオフに3名と、Mono Red Aggroと並んで安定した成績を残していました。
優勝は5色の《戦慄衆の指揮》を使ったミッドレンジでした。現在のようにショックランドやM10ランドといった土地に恵まれた環境では、3-4色のグッドスタッフミッドレンジが流行る傾向にあります。(例:『タルキール覇王譚』ブロック+『戦乱のゼンディカー』ブロック、『ラヴニカへの回帰』ブロック)
SCG Classics Louisville デッキ紹介
「Five-Color Dreadhorde」
Five-Color Dreadhorde
4 《草むした墓》
2 《繁殖池》
2 《寺院の庭》
2 《湿った墓》
1 《神無き祭殿》
1 《踏み鳴らされる地》
4 《次元間の標》
4 《森林の墓地》
2 《内陸の湾港》
1 《孤立した礼拝堂》
1 《根縛りの岩山》
1 《水没した地下墓地》
-土地 (26)- 4 《マーフォークの枝渡り》
4 《野茂み歩き》
3 《楽園のドルイド》
4 《翡翠光のレインジャー》
1 《不和のトロスターニ》
-クリーチャー (16)-
4 《時を解す者、テフェリー》
4 《伝承の収集者、タミヨウ》
3 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》
1 《復讐に燃えた血王、ソリン》
2 《龍神、ニコル・ボーラス》
-呪文 (18)-
2 《打ち壊すブロントドン》
2 《虐殺少女》
2 《永遠の終焉》
2 《古呪》
1 《不和のトロスターニ》
1 《暗殺者の戦利品》
1 《喪心》
1 《覆いを割く者、ナーセット》
-サイドボード (15)-
5色の《戦慄衆の指揮》デッキ。各色から強力なプレインズウォーカーやスペルを集めただけありデッキパワーが高く、ほかのSuper Friends系に強い構成になります。
アグロデッキとの相性を考慮し、《翡翠光のレインジャー》や《マーフォークの枝渡り》といった「探検」クリーチャーと《野茂み歩き》が採用されています。Sultai Midrangeのように「探検」クリーチャーや強化された《野茂み歩き》によるビートダウンで勝つこともできるので、《戦慄衆の指揮》が通ることに依存していないのもこのバージョンの強みです。
☆注目ポイント
《野茂み歩き》や《次元間の標》によるライフゲインは、アグロデッキとのマッチアップで時間を稼ぐことに貢献すると同時に、《戦慄衆の指揮》でより多くのクリーチャーやプレインズウォーカーをリアニメイトすることを可能にします。
《楽園のドルイド》は出した返しのターンで《時を解す者、テフェリー》でバウンスされてテンポを失う心配もなく、マナ基盤として信頼性が高いマナクリーチャーです。
《時を解す者、テフェリー》を始めとした3マナプレインズウォーカーの増加に伴い、《ゴルガリの女王、ヴラスカ》の相対的な強さも増しました。[-3]能力で処理したあと、余った土地などをドローとライフに変換できるので長期的なアドバンテージにも繋がります。《復讐に燃えた血王、ソリン》 は、墓地に落ちた「探検」クリーチャーなどをリアニメイトでき、常在型能力により特にアグロデッキとのマッチアップで輝きます。
《伝承の収集者、タミヨウ》はこのデッキで最も重要なプレインズウォーカーです。[+1]能力で墓地を肥やしつつ、このデッキのキーカードである《戦慄衆の指揮》を探します。《戦慄衆の指揮》で自身を含めリアニメイトした直後に、[-3]能力で墓地に落ちた《戦慄衆の指揮》を回収し相手の心を折りましょう。
《ドミナリアの英雄、テフェリー》の枠には《龍神、ニコル・ボーラス》が採用されています。ほかのプレインズウォーカーの忠誠度能力を持ち、プレインズウォーカーにも触れる強力なカードですが、その分色拘束が強く《楽園のドルイド》や《次元間の標》を搭載したこのデッキでも安定して5ターン目に出すのは難しそうです。
総括
今回はふたつのSCGイベントの結果を見ていきました。『灯争大戦』が環境に与えた影響は大きく、定番のMono Red AggroやEsperに加えてJeskai Super Friendsや《戦慄衆の指揮》を軸にした多色のプレインズウォーカーミッドレンジ、Selesnya TokensやGruul Aggro、Azorius Aggroなど様々なデッキが存在する面白い環境です。
来週末にはSCG Invitationalが開催されます。スタンダードとモダンの2フォーマットで競われ、参加できるのは各地の予選を勝ち抜いたプレイヤーやSCG Tourで優秀な成績を残していたプレイヤーなのでレベルの高い大会となります。
以上USA Standard Express vol.148でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!