Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2019/06/14)
はじめに
気が付けば『モダンホライゾン』の発売が目の前まで迫っています。数週間に渡って数々のプレビューがなされ、とうとう収録カードの全貌が明らかになったのです!これだけ素晴らしいカードたちがモダンの環境に参入してくるのですから、このセットにかかる期待も大きいことでしょう。
次回のミシックチャンピオンシップは構築ラウンドがモダン、そしてドラフトラウンドが『モダンホライゾン』で行われますから、今回は私が一番試したいカードたち、そしてそれらがモダンにどんな影響を与えていくのかをお話ししましょう!
このカードに注目!
《焦熱島嶼域》 / 《育成泥炭地》 / 《無声開拓地》 / 《灼陽大峡谷》 / 《冠水樹林帯》
元々は白緑の《地平線の梢》だけであり、他の色にも同様の効果を持った土地が来るのかはわかりませんでした。ですが、実際に登場したことでモダンには大きな影響が出るはずです。
バーンは絶対に《灼陽大峡谷》に関心を寄せることでしょう。イゼットフェニックスやグリクシス《死の影》は《焦熱島嶼域》の可能性に期待を抱いているでしょうし、ドレッジも1枚か2枚なら使うかもしれません。黒緑系のデッキなら喜んで《育成泥炭地》をマナベースに加えると思われます。感染、《発明品の唸り》プリズン、バントスピリットはいずれも《冠水樹林帯》の登場に胸を躍らせ、白黒エルドラージはとうとう《地平線の梢》を《無声開拓地》と入れ替えられるようになりました。
これらの土地は間違いなく多用されていくことでしょうし、しばらく活躍できていなかったデッキの躍進に一役買うことに疑いはありません。
《レンと六番》
実際に使ったわけではありませんが、実に驚くべきカードだと思います。レガシーの土地単に入れるカードとしてすでに多くのプレイヤーに期待されていますが、モダンでも十分に使われるポテンシャルを持っているでしょう。
サイクリング土地(《隔離されたステップ》、《孤立した砂州》、《やせた原野》、《忘れられた洞窟》、《平穏な茂み》)がモダンで使えるようになったことで、《レンと六番》、《壌土からの生命》、《突撃の地鳴り》を中心とした構築ができるかもしれません。かつてのアグロロームを彷彿とさせるようなデッキですね。
《反体制魔道士、ケス》
プレビューされた際、非常に興奮したクリーチャーです。カードパワーは高く、モダンでも確実に使われるでしょうね。
ただ、グリクシス《死の影》に居場所を見つけるようなカードではないと思います。《瞬唱の魔道士》、《稲妻》、《致命的な一押し》、《コラガンの命令》などを採用したミッドレンジ/コントロールデッキで使う可能性の方が高いでしょう。唯一の懸念点は、効果が自分のターンにしか及ばないことですね。相手のターンに墓地から打ち消し呪文を唱えることができないため、《瞬唱の魔道士》にはかないません。ですが、除去、手札破壊、キャントリップが豊富にありますから、毎ターン再利用することでカードアドバンテージを得ることができるでしょう。また、モダンにおいては《稲妻》で除去されないタフネス4には大きな意味があります。
《不確定な船乗り》
一番わかりやすく使われそうなデッキは5色人間ですね。クリーチャーで盤面を埋め尽くしていく戦略と非常に噛み合っています。単体除去を弱体化させる軽量クリーチャーですから、5色人間、スピリット、マーフォーク……はてはスリヴァーまで、引く手あまたでしょう。このカードの存在によって、5色人間は黒の採用をやめることになるのか、あるいは《帆凧の掠め盗り》がそれを許さないのか。非常に楽しみです。ここで列挙したデッキたちが《不確定な船乗り》を広く採用することになれば、《神の怒り》系の全体除去を使うデッキが数を増やすかもしれませんね。
《虹色の眺望》
エターナルフォーマットでどれだけ良いカードなのか、評価が難しい土地です。というのも、一般的にエターナルフォーマットのデッキは基本でない土地を多く使いますし、フェッチランドから多色土地をサーチするからです。
とはいえ、レガシーの奇跡のようなデッキは5枚目以降の《溢れかえる岸辺》として関心を寄せ、《不毛の大地》への耐性を高めようとするかもしれません。モダンの観点で見れば、《荒地》をサーチできるというのが最も魅力的ですね。昨年にグジェゴジュ・コヴァルスキ/Grzegorz Kowalskiが世に送り出した赤緑エルドラージのような、エルドラージ戦略をさらに見かけるようになる可能性もあります。ロンドンマリガンが本採用されたこと、赤単エルドラージが結果を出してきたことを考えると、エルドラージデッキが今後躍り出てくるかもしれません!
《イーオスのレインジャー長》
エメリアコントロールはあまりモダンで日の目を見るようなデッキではありませんでしたが、《イーオスのレインジャー長》という素晴らしい新戦力を手にしました。《イーオスのレインジャー》よりもサーチできる数は1枚減ってしまいましたが、《砂の殉教者》に1ターン早くアクセスできるためゲームに大きな影響を与えることでしょう。旧レインジャーを1~2枚採用しつつも、この新しいレインジャーはエメリアコントロールにあっさりと4枚採用されるようになると思います。
《イーオスのレインジャー長》と共に、もう1枚。《ルーンの与え手》も嬉しい新戦力かもしれませんね。リメイク元となっている《ルーンの母》ほどではありませんが、1マナのクリーチャーをサーチできる手段が豊富なデッキならば採用されるのではないでしょうか。
《否定の力》 / 《活性の力》
「力」サイクルが収録されますが、モダンに影響を与える確率が最も高いのはこの2枚でしょう。《否定の力》は、(1ターン目の《霊気の薬瓶》を打ち消せるのは大きいといえども)5色人間にはあまり効かないでしょうが、モダンで屈指の人気を誇るデッキの大多数に強いと思っています。そういったデッキでは、しばしばゲームを決定づけるような、鍵となる非クリーチャー呪文を採用していますからね。
具体的には《解放された者、カーン》、《大いなる創造者、カーン》、《安堵の再会》、《硬化した鱗》、《発明品の唸り》、《精神を刻む者、ジェイス》、《新生化》などが該当します。ご覧の通り、これらのカードはモダンのトップデッキにおいて、最強の呪文の一角を担うものです。
《否定の力》は主にテンポデッキで使われ、青いデッキが立ち位置を良くするのではないかと予想しています。一方《活性の力》は、《大いなる創造者、カーン》と《マイコシンスの格子》のコンボの前では代替コストが機能しないものの、あらゆるアーティファクト系のデッキに強力なカードです。緑を含んだ3色のデッキにとって、《血染めの月》のようなカードと対面した際、頼れる解答となることでしょう。
おわりに
今回は『モダンホライゾン』で最も期待を寄せているカードを、部分的にですがご紹介しました。早く新しいカードを使ってミシックチャンピオンシップ・バルセロナ2019に向けた調整を行いたいですし、それまでにモダンがどう変化していくのか楽しみで仕方ありません。『灯争大戦』の発売から環境は大きく変わりました。『モダンホライゾン』が再び環境を揺るがしてくれることも間違いないでしょう!
ここまで読んでいただきありがとうございました!また次回!
クリスティアン・カルカノ (Twitter)