みなさんこんにちは。
『モダンホライゾン』がリリースされ、モダンはまた新たな環境となりましたね。
Magic Online(以下:MO)では、リアルに先行して『モダンホライゾン』のカードが使えたので、リーグやModern Challengeの結果も一足早く出ていました。今回の連載では、『モダンホライゾン』加入後に行われたModern Challengeの大会結果を見ていきたいと思います。
Modern Challenge #11885863
環境を変えた否定の力
2019年6月9日
- 1位 UW Control
- 2位 Hogaak Bridgevine
- 3位 Eldrazi Tron
- 4位 Hogaak Bridgevine
- 5位 Mono Red Phoenix
- 6位 Humans
- 7位 Hogaak Bridgevine
- 8位 Esper Death’s Shadow
トップ8のデッキリストはこちら
今回のModern Challengeは、『モダンホライゾン』が先行して使える注目イベントのひとつでした。
『モダンホライゾン』のカードを軸にしたデッキが多数入賞しており、特に《狂気の祭壇》、《甦る死滅都市、ホガーク》、《屍肉喰らい》を得たことで大幅に強化されたBridgevineは、優勝こそ逃したもののプレイオフに3名とデッキパワーの高さを見せつけました。
今大会を制したのは、UW Controlでした。新たに加わった《否定の力》の恩恵で、以前よりもコンボデッキと渡り合えるようになっているようです。
Modern Challenge #11885863 デッキ紹介
「UW Control」「Humans」「Esper Death’s Shadow」
UW Control
2 《平地》
2 《神聖なる泉》
4 《溢れかえる岸辺》
1 《汚染された三角州》
2 《天界の列柱》
2 《氷河の城砦》
4 《廃墟の地》
1 《爆発域》
-土地 (25)- 4 《瞬唱の魔道士》
2 《ヴェンディリオン三人衆》
-クリーチャー (6)-
4 《流刑への道》
2 《外科的摘出》
1 《失脚》
1 《呪文貫き》
1 《ドビンの拒否権》
1 《論理の結び目》
2 《否定の力》
2 《至高の評決》
2 《謎めいた命令》
1 《嘘か真か》
1 《拘留の宝球》
3 《覆いを割く者、ナーセット》
1 《時を解す者、テフェリー》
2 《精神を刻む者、ジェイス》
1 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (29)-
2 《修復の天使》
1 《黎明をもたらす者ライラ》
1 《儀礼的拒否》
1 《ドビンの拒否権》
1 《天界の粛清》
1 《軽蔑的な一撃》
1 《ハーキルの召還術》
1 《機を見た援軍》
1 《神の怒り》
1 《石のような静寂》
1 《時を解す者、テフェリー》
-サイドボード (15)-
《安らかなる眠り》にアクセスできるので、Hogaak Bridgevineなど墓地コンボがトップメタの現環境では、UW Controlは有力な選択肢となります。
《否定の力》は様々なマッチアップとの相性を変化させたカードです。特にコンボデッキとの相性が改善され、今大会のパフォーマンスの原動力になったことが予想されます。
☆注目ポイント
《否定の力》は、コントロール念願のマナを支払わずにキャストできるカウンターです。1~2ターン目の《アロサウルス乗り》コンボのアクションや《信仰無き物あさり》、《精力の護符》などを妨害しやすくなり、プレインズウォーカーもタップアウトで出しやすくなりました。レガシーのように、《精神を刻む者、ジェイス》でアドバンテージを稼ぎつつ守ることができるようになり、前評判通りコントロールデッキの強化に貢献しています。
《ヒエログリフの輝き》などが採用されていた枠には、《嘘か真か》が代わりに採用されています。《謎めいた命令》を構えながら、相手が何もアクションを起こさななければ無駄なく動けます。スペルが墓地に落ちるので《瞬唱の魔道士》とも相性が良く、中盤以降は《嘘か真か》をフラッシュバックすることでさらにアドバンテージを稼げます。
Humans
環境のトップメタの一角として、大きな大会では必ずと言って良いほど見かけるHumans。ミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019でも優勝するなど元から強かったデッキですが、このデッキも《イーオスのレインジャー長》という新戦力を獲得しました。
マナ基盤の関係で《石のような静寂》が使えず、Affinityなどに苦戦することもありましたが、『モダンホライゾン』から《溜め込み屋のアウフ》が加入したことで対応力が増しました。
☆注目ポイント
《イーオスのレインジャー長》でサーチできる1マナ域は《教区の勇者》と《貴族の教主》の2種類のみですが、確実にアドバンテージを稼ぐことができます。コントロールに対しては、相手のアップキープに能力を起動することで《神の怒り》などのスイーパー対策になったり、《瞬唱の魔道士》に対応して起動することで、スペルをフラッシュバックされることを防げます。《幻影の像》でコピーすれば、数ターンに渡って相手の行動を制限できるので、相手が除去やスイーパーをキャストする猶予を与えずに殴り切りやすくなりました。
《溜め込み屋のアウフ》は、《霊気の薬瓶》との相性の悪さは気になりますが、AffinityやTronとのマッチアップの相性改善に貢献しています。
Esper Death’s Shadow
1 《島》
1 《沼》
2 《神無き祭殿》
2 《湿った墓》
1 《神聖なる泉》
4 《汚染された三角州》
3 《溢れかえる岸辺》
3 《湿地の干潟》
1 《無声開拓地》
-土地 (19)- 4 《死の影》
3 《瞬唱の魔道士》
2 《ヴリンの神童、ジェイス》
3 《イーオスのレインジャー長》
2 《通りの悪霊》
2 《グルマグのアンコウ》
-クリーチャー (16)-
4 《思考掃き》
3 《致命的な一押し》
3 《流刑への道》
3 《頑固な否認》
2 《コジレックの審問》
2 《発掘》
1 《未練ある魂》
1 《四肢切断》
2 《時を解す者、テフェリー》
-呪文 (25)-
Death’s Shadow系のデッキは、Grixisカラーが主流でしたが、今大会ではEsperカラーのバージョンが結果を残していました。
先ほどご紹介した《イーオスのレインジャー長》は、Death’s Shadowでも使われています。《死の影》 という強力なフィニッシャーをサーチしてこれるので、Humans以上の活躍を期待できそうです。
Esperにすることで、《未練ある魂》や《時を解す者、テフェリー》といったカードにアクセスできるようになり、苦手だったコントロールとの相性が緩和されています。白を採用したおかげで優秀なサイドボードカードにアクセスできるのも、このバージョンの強みになります。
☆注目ポイント
《ヴリンの神童、ジェイス》、《未練ある魂》、《イーオスのレインジャー長》といったアドバンテージを稼げるカードに恵まれているところが、ほかのバージョンと異なっています。《時を解す者、テフェリー》の[+1]能力によって、《未練ある魂》をインスタントタイミングでも使えるようになるので、隙を作らずに展開できるようになります。ハンデスも相手のドローステップにキャストできるようになるので腐りにくく、このデッキにマッチしたプレインズウォーカーといえます。
再録された《発掘》は《瞬唱の魔道士》との相性が良く、墓地対策されても「サイクリング」付きなので無駄になることはありません。《イーオスのレインジャー長》をリアニメイトして《死の影》 をサーチするという動きは非常に強力です。
《ケイヤの手管》はクリーチャー除去、墓地対策、Burn対策が1枚にパッケージされた便利なスペルで、Esperを使うのなら必ず1枚入れておきたいカードです。
Modern Challenge #11892017
墓地コンボが支配する環境
2019年6月16日
- 1位 Hogaak Bridgevine
- 2位 Hogaak Bridgevine
- 3位 Hogaak Bridgevine
- 4位 Mono Phoenix
- 5位 UW Control
- 6位 Mono Phoenix
- 7位 Dredge
- 8位 Hogaak Bridgevine
トップ8のデッキリストはこちら
《甦る死滅都市、ホガーク》の加入によって、Bridgevineは大幅に強化されました。今大会で5位に入賞したUW Controlはメインから《外科的摘出》を2枚、サイドに《安らかなる眠り》を4枚採っていましたが、それらの対策ですら間に合わないほどの速さと粘り強さを持ったデッキになりました。
前回もプレイオフに3名の入賞者を輩出していたHogaak Bridgevineは、今大会でもプレイオフの半数を占め、決勝戦ではHogaak Bridgevineのミラーマッチと高いポテンシャルを見せます。
Modern Challenge #11892017 デッキ紹介
Hogaak Bridgevine
3 《血の墓所》
2 《神無き祭殿》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《汚染された三角州》
4 《黒割れの崖》
-土地 (18)- 4 《屍肉喰らい》
4 《墓所這い》
4 《傲慢な新生子》
4 《縫い師への供給者》
4 《恐血鬼》
4 《復讐蔦》
4 《甦る死滅都市、ホガーク》
-クリーチャー (28)-
Bridgevineは《甦る死滅都市、ホガーク》、《屍肉喰らい》、《狂気の祭壇》という大きな新戦力を獲得しました。
《信仰無き物あさり》、《縫い師への供給者》、《傲慢な新生子》といったカードで墓地を肥やし、《復讐蔦》や《甦る死滅都市、ホガーク》を高速展開していきます。爆発力があるデッキで、2ターン目から合計パワーが10点以上のクロックを展開することも稀ではありません。先手ならば、《安らかなる眠り》や《大祖始の遺産》といったサイドボードカードを設置、起動される前にクロックを展開できるのもこのデッキの強みのひとつです。
☆注目ポイント
《狂気の祭壇》と《屍肉喰らい》は、起動コストにマナのかからない生け贄台です。特に《狂気の祭壇》は《甦る死滅都市、ホガーク》との組み合わせが強力で、相手を対象に取ることでライブラリーアウトも狙うことができます。
《屍肉喰らい》はゾンビなので《墓所這い》ともシナジーがあり、《狂気の祭壇》を引けなかった場合でも《墓所這い》と《黄泉からの橋》によって継続的に攻めることができます。
墓地を完全にシャットアウトしてくる《虚空の力線》や《安らかなる眠り》の対策用に、サイドには《薄れ馬》を忍ばせてあります。さらに、《墓掘りの檻》や《罠の橋》対策として《鋳塊かじり》も採用されており、どちらもエレメンタルなので《炎族の先触れ》でサーチすることが可能です。
総括
『モダンホライゾン』が環境に与えた影響は大きく、特に《否定の力》を得たUW Controlや《甦る死滅都市、ホガーク》によって一段と強くなったHogaak Bridgevineが結果を残しています。
Hogaak Bridgevineは、《復讐蔦》からの高速ビートダウンや《墓所這い》+《屍肉喰らい》+《黄泉からの橋》による中速アグロプラン、《狂気の祭壇》によるライブラリーアウトと多角的な攻めができ、対策も困難なので来週末に開催されるグランプリ・ダラス2019やSCGO Pittsburghでも人気が出ることが予想されます。
以上、USA Modern Express vol.29でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!