決勝戦:樋口 裕馬(ソプターコンボ) vs. 馬場 康典(バーン)
晴れる屋メディアチーム
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By Ken’ichiro Omori
注目セット『モダンホライゾン』が発売されて初めての「関西帝王戦モダン」。決勝戦に残ったのはふたつの対照的なデッキだった。
樋口の使用する「ソプターコンボ」は、『モダンホライゾン』の恩恵を大きく受けたデッキだ。13枚、実にメインボードの5分の1以上が『モダンホライゾン』の新規カードで構成されている。
デッキの核となる「ソプターコンボ」こそ以前からモダン環境に存在していたものの、『モダンホライゾン』によって新しく生まれたデッキと言ってもよいかもしれない。
一方馬場の使用する「バーン」には『モダンホライゾン』からの採用カードはなし。新セットの恩恵を受けられなかったようにも見えるかもしれないが、これまでモダン環境で長く活躍してきたデッキタイプであり、新規カードが易々と割って入る隙のないほど完成されたデッキであるとも言えよう。
帝王の座に就くのは新たな風か、伝統の技か。
先手の樋口は《冠雪の平地》から《アーカムの天測儀》。『モダンホライゾン』より収録されたばかりのこのカードのテキストを馬場が確認するところからゲームは開始する。
馬場は《聖なる鋳造所》から《ゴブリンの先達》を呼び出す、「バーン」としてはベストなスタート。このゴブリンの攻撃で《冠雪の島》が樋口の手札へと加わる。
2ターン目の樋口はその《冠雪の島》を置くと2枚目の《アーカムの天測儀》、《黄鉄の呪文爆弾》を設置。
馬場は《ゴブリンの先達》で攻撃後に《批判家刺殺》、さらに《裂け目の稲妻》を「待機」する。
樋口はデッキのキーカードでもある《飛行機械の鋳造所》を用意。《弱者の剣》とのコンボはもちろん強力だが、「バーン」相手にはライフ回復とブロッカーを用意するだけでも十分な働きを見せそうだ。
《裂け目の稲妻》の「待機」が明け樋口のライフは10に。馬場は《ゴブリンの先達》での攻撃を継続するが、これには《黄鉄の呪文爆弾》が起動される。クリーチャーでの継続的なダメージを阻まれた馬場は《樹木茂る山麓》を置いてターンを返す。
4ターン目を迎えた樋口は《虹色の眺望》から《冠雪の島》を戦場へ加えると、4マナから《最高工匠卿、ウルザ》を呼び出す。
おそらくこのカードに初めて対面するのであろう馬場。テキスト確認し対処法を模索するが、ここは対応なくウルザは戦場へ。そして、その能力により《飛行機械の鋳造所》と《アーカムの天測儀》からマナが生み出され、唱えられたのは《弱者の剣》。
《弱者の剣》からマナを生み出し、そのマナで《飛行機械の鋳造所》を起動。生贄に捧げられた《弱者の剣》は飛行機械トークンが生成された事により墓地から戦場へと戻り、またマナを生み《飛行機械の鋳造所》の能力により生贄に捧げられ……。
そう、クリーチャーとライフとマナを好きなだけ獲得できてしまう無限ループが、4ターン目にして完成してしまったのだ!
樋口 1-0 馬場
先手となった馬場は《僧院の速槍》からスタート。樋口は《溢れかえる岸辺》、《オパールのモックス》、《ミシュラのガラクタ》と3つのパーマネントを展開する。
馬場は《僧院の速槍》で攻撃すると、次なる戦力は《大歓楽の幻霊》。
樋口は4点のダメージを受けながら《アーカムの天測儀》、《ゴブリンの技師》と展開。《ゴブリンの技師》により《飛行機械の鋳造所》が樋口のライブラリーから墓地へと送られる。
樋口がコンボを揃えるチャンスをみすみす見逃すわけにはいかない馬場は、この《ゴブリンの技師》へ《稲妻》を撃ち込み攻撃。樋口のライフは早くも9へと落ち込む。さらに追い打ちをかけるべく、馬場は2枚目の《大歓楽の幻霊》を戦場へ送り出す。
ひとまず《ミシュラのガラクタ》を起動してみる樋口だったが、馬場の《ボロスの魔除け》を含めた攻撃を耐えきることはできなかった。
樋口 1-1 馬場
両者それぞれの4ターンキルを経て迎えた第3ゲーム。マリガンスタートとなった樋口が《沸騰する小湖》を置くのみ、馬場が《裂け目の稲妻》を「待機」と静かな立ち上がりとなった。
しかし2ターン目に樋口は《飛行機械の鋳造所》、馬場は《大歓楽の幻霊》と両者しっかりと脅威を展開。
そして樋口は、3ターン目に《大歓楽の幻霊》からダメージを受けつつも《弱者の剣》を設置。1ゲーム目の勝利を呼び込んだ「ソプターコンボ」を完成させる。
だが樋口は3枚目の土地を置けない。馬場は《大歓楽の幻霊》で攻撃すると戦闘後に《批判家刺殺》。フェッチランドの起動やギルドランドのアンタップに払ったライフも併せて樋口のライフは3ターン目にして6まで落ち込む。
そして馬場は2ゲーム目と同じく、2枚目の《大歓楽の幻霊》を戦場に追加する。
こうなってしまっては気軽に呪文を唱えることはできない樋口。土地を置くこともできず、ノーアクションでターンを渡すこととなる。
ライフ6の樋口は現在戦場にクリーチャーはなし。対して馬場の戦場には2体の《大歓楽の幻霊》、手札には《溶岩の撃ち込み》と《ボロスの魔除け》。
一見すると簡単にゲームを決めてしまえそうだが、《飛行機械の鋳造所》がギリギリのところで樋口の命を繋いでいる。馬場はひとまず攻撃へ。予定通り樋口の《飛行機械の鋳造所》が2度起動され生み出された飛行機械がそれぞれ《大歓楽の幻霊》をブロック。
この戦闘により《弱者の剣》を装備する飛行機械にブロックされた《大歓楽の幻霊》ともう一方の《大歓楽の幻霊》をブロックした1/1の飛行機械が倒され、《飛行機械の鋳造所》の能力により樋口のライフは8へと増加。
馬場は《溶岩の撃ち込み》で樋口のライフを5へ落すと、このゲーム3枚目となる《大歓楽の幻霊》を戦場へ。
樋口は続くターンも土地を引けず。「ソプターコンボ」に全てをの望み託しターンを返すしかない。
ここでもう1枚火力を引ければほぼ勝利が確実となる馬場。だがそれは叶わず。そして、《飛行機械の鋳造所》と《弱者の剣》が作り出す飛行機械を乗り越えられない馬場の攻勢は、ついに止まってしまう。
樋口は馬場のターン終了時に《飛行機械の鋳造所》を2度起動。少しずつ、だが確実に馬場の火力の射程圏外へと逃れてゆく。このまま完全な射程外へ逃げられる前にゲームを決めたい馬場。だがこのターンも攻撃はできず、《樹木茂る山麓》を置いてターンを返す。
樋口はこのターン終了時にも《飛行機械の鋳造所》を2度起動しライフは9、飛行機械の数は5体となった。
そしてついに樋口が攻勢に出る。ここまでは馬場の攻めを樋口が凌ぐ展開ではあったが、フェッチランドやギルドランド、そして自らの《大歓楽の幻霊》からのダメージにより、馬場のライフも12まで減少していたのだ。
樋口は慎重に3体の飛行機械を攻撃に送り出しこれで馬場のライフは8。《大歓楽の幻霊》の能力が、今度は馬場自身へと重くのしかかる。
自ターンを迎えカードをドローする馬場。だが過去にモダン環境で禁止カードにも指定されていたこの強力なる「ソプターコンボ」を打ち崩す術はなく、自らの敗北を受け入れることとなった。
樋口 2-1 馬場
「第6期関西帝王戦モダン」優勝は樋口 裕馬!おめでとう!!