みなさんこんにちは。
来月にEternal Weekend Asia 2019が開催されますね。久々に日本国内で開催される大規模なエターナルフォーマットのイベントなので楽しみです。
今回の連載では、Legacy Format PlayoffとSCG Classic Pittsburgh、Legacy MCQ – グランプリ・シアトル2019の入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Format Playoff
安定のIzzet Delver
2019年6月23日
- 1位 Maverick
- 2位 Izzet Delver
- 3位 Dredge
- 4位 Sneak and Show
- 5位 Izzet Delver
- 6位 Death and Taxes
- 7位 Golgari Depths
- 8位 Izzet Delver
トップ8のデッキリストはこちら
《戦慄衆の秘儀術師》が登場して以来、コンスタントに結果を残し続けているIzzet Delverは、優勝こそ逃したもののトップ8に3名と安定したパフォーマンスを見せます。
また、優勝したMaverickも含めて、Death and TaxesやGolgari Depthsなど非青デッキも結果を残しています。これらのデッキはDelver系に強く、ポジション的にも良い立ち位置にあります。
Legacy Format Playoff デッキ紹介
「Izzet Delver」「Maverick」
Izzet Delver
1 《山》
3 《Volcanic Island》
4 《沸騰する小湖》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《汚染された三角州》
1 《霧深い雨林》
4 《不毛の大地》
-土地 (19)- 4 《秘密を掘り下げる者》
4 《戦慄衆の秘儀術師》
4 《若き紅蓮術士》
2 《真の名の宿敵》
-クリーチャー (14)-
《戦慄衆の秘儀術師》の登場でさらに強化されたIzzet Delverは、Miraclesなどコントロールデッキに対しても互角以上に渡り合えるようになりました。《渦まく知識》や《思案》といったドロースペルを再利用してアドバンテージを得られることから、2マナの《精神を刻む者、ジェイス》とも形容されています。
《戦慄衆の秘儀術師》の能力を最大限に活かすために、12枚ものキャントリップスペルが搭載されています。《若き紅蓮術士》も4枚採用されているため、高確率で3ターン目にこれらのカードとドロースペルで2アクションでき、アドバンテージが取りやすくなっています。
打ち消しが少なめなので、ハンデスにアクセスできるGrixis Delverと比べるとANTやSneak and Showといったコンボデッキに対してやや不利がでしたが、『モダンホライゾン』から《否定の力》を獲得し、若干相性が緩和されています。
☆注目ポイント
《否定の力》は《意志の力》と比べて制限はありますが、コンボとのマッチアップでは追加の《意志の力》として十分な性能です。《陰謀団式療法》で《意志の力》を指定されて、そのままコンボを決められてしまうことも少なくなりそうです。3マナなので素でキャストするのも比較的容易で、カウンターしたスペルが追放されるのでANTや《壌土からの生命》デッキ、《瞬唱の魔道士》を使うデッキなど多くのマッチアップで有効に働きます。
《マグマの陥没孔》は、軽いスペルを多用するこのデッキでは1マナでキャストすることも容易で、環境の多くのクリーチャーやプレインズウォーカーを処理できる優秀なスペルです。例を挙げると《グルマグのアンコウ》や《タルモゴイフ》、《聖遺の騎士》、《殴打頭蓋》の細菌トークン、エルドラージクリーチャー、《精神を刻む者、ジェイス》、《最後の望み、リリアナ》など受けが広く、このデッキを使用する際は必ず採用したいスペルです。
Maverick
1 《平地》
2 《Savannah》
1 《Bayou》
1 《Scrubland》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《新緑の地下墓地》
1 《湿地の干潟》
1 《ガイアの揺籃の地》
1 《地平線の梢》
1 《カラカス》
4 《不毛の大地》
-土地 (22)- 1 《ドライアドの東屋》
4 《ルーンの母》
4 《貴族の教主》
1 《極楽鳥》
4 《スレイベンの守護者、サリア》
2 《石鍛冶の神秘家》
1 《ガドック・ティーグ》
1 《クァーサルの群れ魔道士》
1 《スクリブのレインジャー》
1 《漁る軟泥》
4 《聖遺の騎士》
1 《秋の騎士》
1 《聖域の僧院長》
1 《不屈の追跡者》
-クリーチャー (27)-
2 《疫病を仕組むもの》
2 《窒息》
2 《虚空の杯》
1 《ガドック・ティーグ》
1 《溜め込み屋のアウフ》
1 《エーテル宣誓会の法学者》
1 《聖域の僧院長》
1 《議会の採決》
1 《Chains of Mephistopheles》
1 《野獣の擁護者、ビビアン》
-サイドボード (15)-
現在メタゲーム的に有利な立ち位置にあるMaverick。流行りのIzzet Delverに対しては《スレイベンの守護者、サリア》が強力で、《聖遺の騎士》もサイズがすぐに火力の射程圏外になるので相手にとって厄介な存在となります。
『モダンホライゾン』からの収穫もあり、今大会で見事に優勝を果たしました。黒をタッチしたバージョンですが、サイドの《虚空の杯》との相性の悪さを考慮したのか、《思考囲い》などハンデスの採用は見送られています。
☆注目ポイント
《疫病を仕組むもの》は、《若き紅蓮術士》や《僧院の導師》のトークン、《真の名の宿敵》、Elves、《悪意の大梟》、《ルーンの母》など幅広い相手に効果を発揮します。《仕組まれた疫病》と異なり自軍のクリーチャーには被害が及ぶことがなく、《ルーンの母》と組み合わされば相手は処理にかなり手こずります。除去はできませんが、《戦慄衆の秘儀術師》のパワーを下げることで能力を無力化することもできます。
《溜め込み屋のアウフ》は《ライオンの瞳のダイアモンド》や《水蓮の花びら》、《モックス・ダイアモンド》などを無効化してくれます。装備品との相性の悪さが気になりますが、《緑の太陽の頂点》でサーチ可能で、《ルーンの母》で守ることもできるので処理されにくい優秀なヘイトベアーです。
《野獣の擁護者、ビビアン》は、常在型能力のおかげで全体除去をケアしやすくなり、[-2]能力によってカードアドバンテージを得ることができます。[+1]能力も《聖遺の騎士》と相性が良く、戦闘中にサイズを上げることが可能になります。
SCG Classic Pittsburgh
《大いなる創造者、カーン》入りのMono Red Prisonがレガシークラシックを制する
2019年6月30日
- 1位 Mono Red Prison
- 2位 Izzet Delver
- 3位 ANT
- 4位 Bomberman
- 5位 Azorius Stoneblade
- 6位 Izzet Delver
- 7位 Miracles
- 8位 Rakdos Reanimator
Robert Beatty
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《虚空の杯》を搭載したMono Red Prisonは、Izzet Delverが多かった今大会では良い選択だったようです。
《大いなる創造者、カーン》+《マイコシンスの格子》によるロックを勝ち手段とした戦略は、今大会で優勝を果たしたMono Red Prisonにも採用されており、対策として《ハーキルの召還術》もサイドで見られるようになりました。
SCG Classic Pittsburgh デッキ紹介
「Azorius Stoneblade」「4C Leovold」
Azorius Stoneblade
旧環境でもStonebladeは安定した成績を残し続けており、『灯争大戦』と『モダンホライゾン』の影響でさらに強化されています。
2色デッキなので《不毛の大地》に耐性があり、《石鍛冶の神秘家》や《真の名の宿敵》といった軽い脅威や装備品を搭載しているのでDelver系にも強いデッキです。
☆注目ポイント
旧環境では追加のアドバンテージ源として《宮殿の看守》が採用されていましたが、《覆いを割く者、ナーセット》の登場により相対的に弱体化しているからか採用は見送られています。《覆いを割く者、ナーセット》はこのデッキにおいてもアドバンテージ源となり、常在型能力によりこのデッキが苦手としていたコンボデッキへの妨害も行なえます。
《否定の力》の登場により、ReanimatorやSneak and Show、ANTなどハンデスやカウンターなど妨害要素を搭載したコンボデッキとの相性が以前と比べると改善されています。
基本地形をサーチできる《虹色の眺望》のおかげで、《不毛の大地》を採用したデッキとのマッチアップで白マナのために《Tundra》を無理にサーチする必要がなくなり安定性が増しています。《Tundra》もわずか1枚の採用になり、《基本に帰れ》が使いやすくなっています。
4C Leovold
1 《沼》
2 《Volcanic Island》
2 《Underground Sea》
1 《Bayou》
1 《Badlands》
1 《Tropical Island》
4 《汚染された三角州》
3 《沸騰する小湖》
1 《血染めのぬかるみ》
3 《燃え柳の木立ち》
-土地 (21)- 3 《瞬唱の魔道士》
2 《悪意の大梟》
1 《疫病を仕組むもの》
1 《トレストの使者、レオヴォルド》
-クリーチャー (7)-
4C Leovoldは、《死儀礼のシャーマン》が禁止カードに指定されたことで、4色のマナ基盤を支えるのが困難となり、3色のGrixis Controlへとシフトしていきましたが、《レンと六番》の登場により復権してきました。
マナ基盤に難があるため《不毛の大地》や《血染めの月》を使うデッキ(主にLands、Prison) とのマッチアップは厳しくなりますが、デッキパワーが高くMiraclesやStoneblade、Grixisなどほかのフェアデッキに強いデッキです。
☆注目ポイント
《疫病を仕組むもの》は《仕組まれた疫病》と異なりクリーチャーなのでメインからでも無理なく入ります。《コラガンの命令》で再利用できるのも魅力です。
《トレストの使者、レオヴォルド》は、《覆いを割く者、ナーセット》が登場してから陰に隠れがちでしたが、《覆いを割く者、ナーセット》と異なりクロックとしても機能し、除去されてもアドバンテージを取ることが可能で、《コラガンの命令》で再利用もできます。《ダク・フェイデン》の[+2]能力との組み合わせも強力で、相手に手札を2枚捨てさせることができます。
《レンと六番》はフェッチランドを使い回すことができ、相手の《不毛の大地》の効果を薄くすることができます。《基本に帰れ》や《血染めの月》といった置物がキツイので、《突然の衰微》や《暗殺者の戦利品》といった対策カードをメイン、サイドともに多めに採用しています。これらの除去は相手の《レンと六番》も対策できるため、最低でも2枚は採っておきたいスペルです。
Legacy MCQ – グランプリ・シアトル2019
Temur Delverの復権
2019年6月22日
- 1位 Temur Delver
- 2位 Jeskai Delver
- 3位 Pox
- 4位 Eldrazi Stompy
- 5位 Merfolk
- 6位 Miracles
- 7位 Eldrazi Stompy
- 8位 Grixis Control
トップ8のデッキリストはこちら
グランプリ・シアトル2019で開催されたMCQを優勝したのは、《レンと六番》と《否定の力》を採用したTemur Delverでした。
Temur Delverに新セットのカードが採用されるのは久々で、かつてレガシーの代表的なデッキとして活躍していたデッキが再び結果を残したことは、多くのレガシーファンにとって嬉しい出来事でした。
Legacy MCQ – グランプリ・シアトル2019 デッキ紹介
Temur Delver
3 《Volcanic Island》
4 《溢れかえる岸辺》
3 《沸騰する小湖》
2 《汚染された三角州》
4 《不毛の大地》
-土地 (19)- 4 《秘密を掘り下げる者》
4 《敏捷なマングース》
1 《タルモゴイフ》
2 《真の名の宿敵》
-クリーチャー (11)-
Temur Delverは長い間これといった新戦力に恵まれず、ほかのデッキと比べるとデッキパワーの面で見劣りしていましたが、『モダンホライゾン』からの新カードにより状況が変わりつつあります。
《敏捷なマングース》や《タルモゴイフ》は、現環境のトップメタのIzzet Delverにとって処理しにくいクリーチャーで、「スレッショルド」後の《敏捷なマングース》によって相手の《戦慄衆の秘儀術師》を止めることができます。
☆注目ポイント
新戦力を獲得したTemur Delver。現在のレガシーの環境に合わせた調整が施されています。《タルモゴイフ》は《致命的な一押し》や《悪意の大梟》などで対策されやすいため、最近はメインに1-2枚の採用となり、除去耐性がある《真の名の宿敵》の方が優先される傾向にあります。
《不毛の大地》を使い回すだけでも十分に強力な《レンと六番》ですが、[-1]能力は《悪意の大梟》、《スレイベンの守護者、サリア》など厄介なクリーチャーを処理し、タフネス4のクリーチャーや忠誠度が4のプレインズウォーカーも《稲妻》との合わせ技で処理可能と非常に有用なプレインズウォーカーです。
ボーナストピック Izzet Delver サイドボードガイド
今回の連載でもご紹介したIzzet Delverは、筆者もよく使うデッキでLegacy Challengeでもトップ8に2回入賞しました。今回はおまけとして、それらの経験を踏まえた最新のリストとサイドボードガイドをみなさんにシェアしていきたいと思います。
1 《山》
3 《Volcanic Island》
4 《沸騰する小湖》
2 《虹色の眺望》
1 《溢れかえる岸辺》
1 《汚染された三角州》
4 《不毛の大地》
-土地 (19)- 4 《秘密を掘り下げる者》
1 《渋面の溶岩使い》
4 《戦慄衆の秘儀術師》
3 《若き紅蓮術士》
2 《真の名の宿敵》
-クリーチャー (14)-
《Volcanic Island》と《山》をサーチする《血染めのぬかるみ》や《乾燥台地》よりも、《山》と《島》をサーチできる《虹色の眺望》の方が同型など《不毛の大地》を使うデッキに対してマナ基盤がより安定します。
《否定の力》は、Sneak and Show、ANT、Reanimatorとのマッチアップで重宝するので2枚採用することにしました。《水流破》は採用していないリストも見られますが、Temur Delverや4C Leovoldなどで活躍している《レンと六番》や同型の《戦慄衆の秘儀術師》対策にもなるなど、現在は受けが広いスペルなので採用しています。
Mirror
vs. Mirror(先手)
vs. Mirror(後手)
ミラーマッチのサイド後は、Jundなど中速デッキのミラーマッチのように消耗戦になることが多く、カウンターよりも《戦慄衆の秘儀術師》などを除去できるスペルや軽い妨害をサイドインしていきます。しかし、《真の名の宿敵》を対策する必要があるので、アドバンテージの面で損をする可能性を考慮しても《意志の力》は数枚残しておきます。
Miracles
vs. Miracles(先手)
vs. Miracles(後手)
Miraclesとのマッチアップでカウンターしたいスペルは、《僧院の導師》以外非クリーチャースペルなので、《意志の力》を1枚《否定の力》に変更します。《稲妻》の枚数は減らしますが、《僧院の導師》を対策する必要があるので全部抜くことはありません。《マグマの陥没孔》は《僧院の導師》とプレインズウォーカーを対策可能で、マナコストも《相殺》に引っかかりにくく《稲妻》よりも使える場面が多いのでサイドインします。
Death and Taxes
vs. Death and Taxes(先手)
vs. Death and Taxes(後手)
サイド後は《削剥》や《無のロッド》など相手の《霊気の薬瓶》や装備品を対策する手段が増えるので、メイン戦より相性は良くなります。このマッチアップもDelver系の同型と同様に、《意志の力》などでカウンターするよりも、相手の脅威を処理する中速デッキのように振舞うことになります。
Sneak and Show
vs. Sneak and Show
Grixis Delverのときと比べると、ハンデスがない分不利になります。カウンター合戦ではSneak and Show側に分があることが多く、押し負けることも結構あります。サイド後は遅い《真の名の宿敵》や火力スペルなどが抜けて妨害が増える分、相性もある程度までは改善されます。《秘儀の職工》をサイドインしてくくることもあるので、念のため《稲妻》は数枚残しておきます。
ANT
vs. ANT
ハンデスがないので《外科的摘出》の使い勝手は落ちますが、主にANTの《炎の中の過去》プラン対策にサイドインします。《否定の力》でカウンターできれば、追放することも可能なので覚えておきたいところです。《無のロッド》は《ライオンの瞳のダイアモンド》と《水蓮の花びら》をシャットアウトするので、《冥府の教示者》からコンボを決められにくくなります。
Maverick
vs. Maverick(先手)
vs. Maverick(後手)
最近またよく見かけるようになったデッキで、Death and Taxesよりもクリーチャーのサイズが大きい分、火力が主な除去であるIzzet Delverにとっては苦手なマッチアップのひとつとなります。
サイド後は《疫病を仕組むもの》や《虚空の杯》も入れてくるので、さらに厳しくなります。基本的にDeath and Taxesと同様にカウンターを減らして、《削剥》など除去をサイドインします。《秘密を掘り下げる者》や《若き紅蓮術士》で横に並べて序盤からプレッシャーをかけていき、相手の脅威を《意志の力》や除去で対処しながら相手の耐性が整う前に押し切るプランになります。
総括
『灯争大戦』の新カードの《戦慄衆の秘儀術師》は、環境を代表する2マナ域の脅威として定着しています。
『モダンホライゾン』からも《否定の力》や《レンと六番》、《疫病を仕組むもの》など新戦力が多数登場し、多くのデッキが強化されました。全体的にフェアデッキが強化されていますが、ANTやSneak and Showといったコンボもまだまだ健在です。フェアデッキもMiracles、Stoneblade、Izzet Delver、Temur Delver、Death and Taxes、4C Leovold、Marverickなど、《死儀礼のシャーマン》禁止前の環境と比べると多種多様なデッキが活躍しています。
USA Legacy Express vol.155は以上となります。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!