USA Standard Express vol.151 -新環境!部族の訪れ!-

Kenta Hiroki

みなさんこんにちは。

明日にはいよいよ『基本セット2020』がリリースされますね。日本では『基本セット2020』環境初陣戦、アメリカではSCGO Worcesterが今週末に開催されます。

Magic Onlineでは、すでに新環境のリーグの結果が出ているので、今回の連載では『基本セット2020』のカードを使った新デッキを見ていきたいと思います。

Standard League 2019/07/08 デッキ紹介

「Simic Flash」「Temur Elemental」「Orzhov Vampire」「Azorius Spirit」

Simic Flash

『基本セット2020』注目のスピリットである《幽体の船乗り》《夜群れの伏兵》《塩水生まれの殺し屋》といった、優秀な瞬速持ちのクリーチャーの加入によって実現に至ったアーキタイプ。

このタイプのデッキが活躍できるかは、旧環境でも幅を利かせていた《時を解す者、テフェリー》の使用率にもよりますが、瞬速クリーチャーにより隙が小さくEsper ControlやSimic Nexusといったデッキに強そうなデッキです。

☆注目ポイント

幽体の船乗り塩水生まれの殺し屋夜群れの伏兵

《幽体の船乗り》は1マナで飛行、瞬速持ちというスペックで、マナが余る中盤以降はアドバンテージ源となる優秀なクリーチャーです。《夜群れの伏兵》《塩水生まれの殺し屋》も共に瞬速持ちで、相手のターンにスペルをキャストすることが多いこのタイプのデッキと相性が良く、主力のクリーチャーとなります。特に《夜群れの伏兵》は、4/4というサイズによりアグロデッキとのマッチアップでは、サプライズブロッカーとして活躍します。

空の踊り手、ムー・ヤンリン

《空の踊り手、ムー・ヤンリン》は初期忠誠値は低いものの3マナと軽く、クリーチャーを弱体化させることで、アグロデッキに対してダメージレースで優位に立ちやすくしてくれます。次のターンまで生き残ればマナを使わずに4/4飛行を生成できるので、クロックパーミッションであるこのデッキにフィットしたプレインズウォーカーです。このデッキのほかに、Mono Blue Tempoなどでも採用されている注目のカードです。

変容するケラトプス霊気の疾風

カウンターされずプロテクション(青)を持つ《変容するケラトプス》は、《時を解す者、テフェリー》を使ったデッキや復権の兆しを見せるMono Blue Tempoなどに有力な脅威で、メタ次第ではメイン採用も考慮に値するクリーチャーです。

《霊気の疾風》は、《目覚めた猛火、チャンドラ》など打ち消されないスペルも対処可能で、《世界を揺るがす者、ニッサ》《荒野の再生》《伝承の収集者、タミヨウ》《実験の狂乱》《炎の職工、チャンドラ》など、現環境には様々な赤と緑の脅威が存在するので、青を使う場合は必ず採用したいスペルです。

Temur Elemental

『基本セット2020』から新戦力を多数獲得したことで、Temurカラーのミッドレンジも見られるようになりました。

環境の新たなアドバンテージ源として注目を集めている《発現する浅瀬》を採用したミッドレンジは、SultaiやBantなどバリエーションが豊富です。Temurバージョンは、エレメンタルである《乱動の座、オムナス》やエレメンタルとシナジーもある《目覚めた猛火、チャンドラ》などにアクセスできるのが強みで、エレメンタルを軸にした構成となっています。

☆注目ポイント

発現する浅瀬枝葉族のドルイド乱動の座、オムナス

《発現する浅瀬》はプレビューの段階から話題になっていたカードで、このクリーチャーとエレメンタルを軸にしたデッキ案が各所で投稿されています。マナクリーチャー兼エレメンタルでもある《枝葉族のドルイド》は、このデッキの方向性にフィットしており、《乱動の座、オムナス》土地をエレメンタルへと変換する《世界を揺るがす者、ニッサ》との組み合わせも強く、このデッキの主力として活躍します。

這い絡む火跡目覚めた猛火、チャンドラ

エレメンタルロードである《這い絡む火跡》は、2マナと軽く自身を強化する起動能力を持つので、余ったマナを有効に使う手段となります。

《目覚めた猛火、チャンドラ》もエレメンタルとシナジーがあります。6マナと重いですがカウンターされず、継続的にダメージを与える[+2]能力はコントロールやミッドレンジに対して特に有効です。スイーパーや除去としても機能し、忠誠度も高いので非常に強力なカードです。[-3]能力はこのデッキのクリーチャーのほとんどがエレメンタルなので、相手側だけ一方的なスイーパーとして機能し、サイドに採用されている《切り裂き顎の猛竜》との組み合わせでさらにアドバンテージを稼ぐことができます。

Orzhov Vampire

ロードである《軍団の副官》や「昇殿」を満たすことでカードアドバンテージ源となる《黄昏の預言者》など、吸血鬼デッキは『イクサラン』ブロックから存在していましたが、『基本セット2020』によって大幅に強化されリーグでも結果を残していました。

《漆黒軍の騎士》《凶月の吸血鬼》といった優秀な1マナ域や《傲慢な血王、ソリン》が主な収穫で、全体的な性能の底上げに貢献しています。

☆注目ポイント

漆黒軍の騎士凶月の吸血鬼

《漆黒軍の騎士》《凶月の吸血鬼》といった吸血鬼クリーチャーを獲得し、「昇殿」の条件を満たしやすくなりました。《漆黒軍の騎士》起動型能力が強力でいつ引いても嬉しいクリーチャーです。《凶月の吸血鬼》も接死、絆魂持ちなのでアグロデッキに対して強いクリーチャーです。

傲慢な血王、ソリン

吸血鬼とシナジーのある《傲慢な血王、ソリン》は、3マナと軽く、[+1]能力で自軍の吸血鬼を強化する能力と除去を持つので、ほかのアグロに対して強いプレインズウォーカーとなっています。[-3]能力によって、《黄昏の預言者》《薄暮の勇者》といった吸血鬼のコストを踏み倒せるため、4~5マナ域が多めに採用されています。

薄暮の勇者Call to the Feast

特に《漆黒軍の騎士》《凶月の吸血鬼》といった軽い吸血鬼の恩恵で、《薄暮の勇者》は強力なアドバンテージ源となりそうです。先ほどの《傲慢な血王、ソリン》を利用することによって、3ターン目から大量ドローすることができます。《凶月の吸血鬼》《饗宴への召集》など絆魂持ちのクリーチャーが多数採用されているので、ライフロスもあまり気になりません。

Azorius Spirit

軽い飛行クリーチャーでクロックをかけつつ、カウンターやバウンスでバックアップしていくクロックパーミッション系のデッキ。

《幽体の船乗り》を始めとした優秀なスピリットクリーチャーが複数登場したことで誕生したアーキタイプで、《至高の幻影》《順風》《天穹の鷲》と全体強化も充実しています。

☆注目ポイント

天穹の鷲

《天穹の鷲》は、飛行クリーチャーを主体とするこのデッキでは《至高の幻影》と同様にロードとして機能します。全体強化が多く採用されており、このタイプのデッキにとって問題となる《ゴブリンの鎖回し》にも耐性がつきます。

絞首された処刑人翼ある言葉

《絞首された処刑人》は、3マナで1/1の飛行トークンが出るのでロードなど全体強化と相性が良く、クリーチャーを追放する起動型能力は除去の少ないこのデッキでは重宝します。《翼ある言葉》は飛行クリーチャーを多数採用しているこのデッキでは、ほぼ2マナ2ドローで手軽にアドバンテージが稼げます。

ドビンの拒否権覆いを割く者、ナーセット時を解す者、テフェリー黎明をもたらす者ライラ

サイド後は、《ドビンの拒否権》《覆いを割く者、ナーセット》《時を解す者、テフェリー》、追加のフィニッシャーである《黎明をもたらす者ライラ》が追加され、コントロール寄りにシフトしていきます。赤いデッキの多くがサイドに《丸焼き》を採っているので、《黎明をもたらす者ライラ》をプレイする際は、《順風》を先に置いておくなどして対策しておいた方がよさそうです。

総括

天穹の鷲乱動の座、オムナス傲慢な血王、ソリン

『基本セット2020』は部族シナジーに力をいれており、Azorius SpiritやTemur Elemental、Orzhov Vampireといった部族デッキの活躍が目立ちます。

発現する浅瀬

特に《発現する浅瀬》は、エレメンタルの部族シナジーを抜きにしても、ミッドレンジのアドバンテージ源として使える優秀なクリーチャーで、今後よく見かけるクリーチャーとなりそうです。今週末に開催されるスタンダードの大会ではまだまだ新環境ということもあり、旧環境で猛威を振るったEsper HeroesやSimic Nexusなどもそれなりに見られそうです。

USA Standard Express vol.151は以上となります。

それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら