本日7月12日(金)、ついに最新セット『基本セット2020』が発売されました!
今回のセットは《目覚めた猛火、チャンドラ》や《空の踊り手、ムー・ヤンリン》といった強力なプレインズウォーカーだけでなく、《乱動の座、オムナス》、《傲慢な血王、ソリン》など部族にも新戦力が登場!!
また、《神聖の力線》、《虚空の力線》などの「力戦」サイクルや《鋼の監視者》などスタンダード以外でも活躍しているカードが再録されています!
魅力的なカードが揃った『基本セット2020』を見ると、どのカードやデッキが強いのか、どのカードを買えばいいのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?
そこで各構築フォーマットを代表する実力者である第13期「神」のみなさんに、「『基本セット2020』で注目するカード トップ3!」を聞いてみました!
■ 「神」とは?
晴れる屋が主催している、「神決定戦」という大会の暫定王者。
スタンダード・フロンティア・モダン・ヴィンテージ・レガシー・リミテッドの6フォーマットそれぞれで行われており、予選大会 (挑戦者決定戦) と決勝大会 (神決定戦) を勝ち抜いた者だけが「神」になることができる。
各フォーマットを熟知した者ならではの視点から、鋭い意見が飛び交いました。「神」の目には何が映り、彼らは何を考えたのでしょうか。
◆第13期スタンダード神 高橋 優太
『基本セット2020』カードセット全体の印象
スタンダードにしては優秀なサイドカードの収録が目立ちます。どれも2マナ以下で使いやすく、サイドボードでよく使うことでしょう。
最近は《強迫》、《否認》、《ショック》など低コストの基本的なスペルが常連になっており、対策が多く1つのデッキが強くなり過ぎないようにしているのが好印象です。
『時のらせん』から久しぶりに帰ってきた《解呪》もようやく復活。ベータ版を持っているので早く使いたいです♪
『基本セット2020』スタンダード注目カードトップ3!
1位《空の踊り手、ムー・ヤンリン》
3マナで自身を守る能力があり、忠誠度アップも[+2]と大きく、次のターンには4/4飛行を出せます。4/4飛行は5マナ相当のスペックなので破格。しかも、[-8]能力はゲームに勝ちと言っても差し支えない性能。素晴らしい!《覆いを割く者、ナーセット》と共に、青の強さを支えてくれそうです。
2位《発現する浅瀬》
シールドで使ってみましたが、エレメンタルがいれば継続してアドバンテージを取り続けます。スタンダードに意外とエレメンタルは多いです。マナブーストから《風の騎兵》に繋げても良く、「騎兵」シリーズも全部エレメンタル!
3位 占術土地各種
『テーロス』からの再録。序盤の事故防止・後半のマナフラッド防止と、デッキを円滑に回してくれるカードで大好きです。マリガンルールが変わることもあり、デッキの安定性のためには必須になるでしょう。ローテーション落ちするまではずっと使うでしょうし、発売日に4枚揃えましょう。
◆第13期フロンティア神 中道 大輔
『基本セット2020』フロンティア注目カードトップ3!
1位《戦慄の存在》
《沼》限定の「上陸」能力持ちクリーチャー。普通に使用しても黒コントロールが組めそうですが、すべての土地に沼タイプを追加可能な《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》との相性の良さは抜群で、《汚染された三角州》といったフェッチランドで2回誘発させることが可能となります。
極め付けは、《風景の変容》から《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を1枚持ってくるだけで、戦場に出した土地の枚数分だけ誘発させることができるため、モダンで活躍している《風景の変容》コンボデッキを思わせるような動きがフロンティアでも可能です。
コンボパーツがクリーチャーとソーサリーなので、《白日の下に》でサーチ可能なこともあり、新たなコンボデッキ誕生を期待しています。
2位《鋼の監視者》
新規カードではないですが、すでにモダンの《硬化した鱗》親和でも活躍していますので、フロンティア環境でも活躍が期待できます。
フロンティア環境では《搭載歩行機械》、《歩行バリスタ》といった一級品はもちろんのこと、《庁舎の歩哨》、《ボーマットの急使》といった1マナクリーチャーもありますので、親和のような構成もできるかもしれません。
3位《帰寂からの帰還》
何か怪しそうなコンボ臭がするカード。最終的に生け贄に捧げる「英雄譚」や、《テラリオン》などの能動的に生け贄にできるカード達との相性は良く、特にフェッチランドを戻すことで最大2マナの加速が可能となります。
普通に使用しても、除去対策やプレインズウォーカーの使い回しなど2マナでやれることとしては破格といえます。白系デッキで2マナ構えられてる時は注意が必要かもしれません。
◆第13期モダン神 高橋 優太
『基本セット2020』カードセット全体の印象
MTGアリーナで増えたプレイヤーをモダンに誘うためか、モダンで優秀なサイドカード達の再録が目立ちますね。《神聖の力線》、《虚空の力線》、《墓掘りの檻》なんかは値段が落ち着きましたし、どんなデッキのサイドボードにも入る可能性があるので、この機会に4枚揃えておきましょう。
『基本セット2020』モダン注目カードトップ3!
1位《傲慢な血王、ソリン》
[-3]能力でマナコストを踏み倒せます。気になってモダンで使える吸血鬼を調べてみました。弱いと思ったものは除外して、実用的なものは以下です。
黒単で3ターン目に《ニルカーナの亡霊》を出せば次のターンにマナが倍!《疫病の女王、ガルザ・ゾル》を3ターン目に走らせるのも楽しそうです。ソリン以外で出す手段がないとデッキが重過ぎるので、リアニメイト戦略と組み合わせると良いかも。
スタンダードで使うならこの2種がおススメです。
2位《幽体の船乗り》
『モダンホライゾン』で収録された忍者たちと相性が良く、なおかつスピリットなので部族シナジーも受けます。瞬速でマナを構えやすく非常に好きなデザインです。
3位《エルフの開墾者》
フェッチランドを3回使えば1マナ3/4。能力で《廃墟の地》を探したり、ウルザトロンを揃えたりもできそうです。《召喚の調べ》などでもサーチしやすい。
◆第13期レガシー神・幸正 智哉
『基本セット2020』レガシー注目カードトップ3!
1位《空の踊り手、ムー・ヤンリン》
まずイラストが素晴らしいですね。アーティストのG-Host Lee氏は『イクサランの相克』からの新しい方ですが、《戦慄衆の秘儀術師》や《拘留代理人》などの人気カードを描かれていて、今後も期待大です。
能力としては、出てすぐにはさほど盤面に影響を与えませんが、[-8]能力はとても強力で、コントロール戦においては一気に勝利に近づくことができます。
モダン、レガシー環境での採用はこれから要検討ですが、《稲妻》で落ちないのもポイントが高いです。
2位《夏の帳》
スタンダードからレガシーのコンボデッキにおいて幅広く採用されるのではないかと思います。
スタンダードであれば《否認》、《灯の燼滅》、《屈辱》を実質1マナで打ち消せるというのが非常に大きなメリットです。しかも、1ドローまで付いているため、対戦相手だけが一方的にハンドアドバンテージを失うことになります。
レガシーにおいてはストームデッキのサイドボードで使用されるのではないでしょうか。《ザンティッドの大群》と異なり、コンボを決める瞬間まで手札に持っておけること、手札が減らないことがデッキの強化につながるのではないかと見ています。
3位《朽ちゆくレギサウルス》
3マナ7/6・・・!!?最初見たときはコラかと思いました。
マナ加速から1、2ターン目に着地してしまうとデッキのカラーによっては除去が非常に困難で、これだけで決まってしまうゲームも多発するのではないでしょうか。
特にレガシーにおいてはティムールカラーが流行していますが、《稲妻》はおろか《四肢切断》ですら落とせないサイズなので、対処に困りそうです。
ビートダウンデッキだけでなく、コンボデッキのサブプランとしても非常に強力なカードだと思います。とりあえず1人100枚は買っておきましょう。
◆第13期ヴィンテージ神・鳥海 貴
『基本セット2020』カードセット全体の印象
『基本セット』の名にふさわしく、マジックの基本的なカードをきっちりと押さえている一方で、『基本セット』としては珍しい楔3色のレジェンドサイクルや、マナコストの種類を参照するといった、これまでになかったメカニズムのカードの収録、常盤木能力から外れていた「プロテクション」を復活させるなど、かなり挑戦的なセットだと感じました。
情報が出揃う前は、『基本セット』なのでそこまで大きな期待はしていなかったのですが、ヴィンテージの環境にも影響を与えそうなカードもあり、『灯争大戦』、『モダンホライゾン』に続き、またまた大きな変化にさらされることになりそうです。
『基本セット2020』ヴィンテージ注目カードトップ3!
1位《神秘の炉》
《実験の狂乱》、《ボーラスの城塞》に続く、《未来予知》型の能力を持ったアーティファクトです(開発部はこのタイプの能力がよほど気に入ったのでしょうか)。
今回の《神秘の炉》は、プレイ可能なカードがアーティファクト(であれば有色も可)、もしくは土地以外の無色のカードのみと制限付きですが、MUDに代表される無色のデッキには全く制限がないも同義です。
そもそも初動で手札の大半を使い切ることすらあるこのタイプのデッキにとっては、後続のカードを大量にもたらしてくれる可能性があるこのカードは、ある意味待ち望んでいたといっても過言ではないでしょう。
また起動型能力も一見地味ではありますが、重ね引いた際に無駄カードになってしまうことがなく、この能力単体でも不要なカードをはじいて次のカードにアクセスすることができるため、いぶし銀の活躍が期待できます。
なお、《鋳造所の検査官》+《師範の占い独楽》+《神秘の炉》でライブラリーをすべて掘りきることができるので、それを軸にしたデッキが作られる可能性も十分に考えられると思われます。
ちなみに、天敵ともいえる《墓掘りの檻》が再録されているのは、開発部からの気の利いたジョークだと思うことにしましょう。
2位《朽ちゆくレギサウルス》
3マナ7/6という化け物じみたスタッツは、ヴィンテージにおいても大きな武器になります。
ヴィンテージ環境の場合、4/5サイズの《タルモゴイフ》というのが、クリーチャー戦における1つの基準になるといわれているのですが、それを軽く上回る7/6というサイズはさすがに脅威と言わざるを得ません。
それだけの性能を持つ以上、相当なデメリットがあってしかるべきなのですが、アップキープに手札を1枚捨てるだけで済むのならば安いものかもしれません。この手のデメリットにありがちな「そうしなかった場合、生贄に捧げる」の1文が見当たらないのは、何かの誤植かと思ったほどです(維持することを自分から放棄することもできないので、そこは注意が必要です)。
なお、アップキープに手札を1枚捨てるというデメリットも、普通に運用するだけではディスアドバンテージですが、サバイバルのようなデッキの場合は逆にメリットになりえます。
場に出た次のターンに、1/1の《日を浴びるルートワラ》がお供で出てくる程度ならかわいいものですが、《不可思議》を捨てられていきなり7/6の恐竜が空を飛んでくるというのは悪夢としかいえないでしょう。
3位《多用途の鍵》
古式ゆかしき《通電式キー》のほぼ上位互換版です。
もちろん基本的な使用方法は《通電式キー》同様で、2マナ以上出せるアーティファクトマナとの組み合わせでのマナブーストや《Time Vault》と組み合わせての無限ターンなどなど。
自分自身を対象にとれなくなったものの、マナバーンが存在しない現在であれば全く気にならないはずです(かつては、自身を対象にして能力を起動することで、余分に出過ぎたマナを消化するという小技がありました)。
インクの染み程度の能力に見えるアンブロッカブル付与能力も、前述の《Time Vault》とのコンボで無限ターンは成立させたものの、相手の盤面にはクリーチャーが並んでいて突破できる見込みがない、といった状況を打開できる…かもしれません。
いかがだったでしょうか。「神」ならではの柔軟な発想と鋭い着眼点から、各フォーマットの『基本セット2020』の注目カードをレビューしてもらいました。
目を引くような強いカードが多く、どんなデッキを組むか考えるのが楽しいですね!
果たしてどんなデッキが活躍するのか、今後の各フォーマットの大会結果をお楽しみに!!