みなさんこんにちは。
今月17日-18日にEternal Weekend Asia 2019が開催されます。日本国内で開催される大規模なエターナルフォーマットの祭典なので、皆さんも参加してみてはいかがでしょうか。
今回の連載ではSCGO Philadelphiaと、先週末に開催されたLegacy Challengeの結果を見ていきたいと思います。
SCGO Philadelphia
《レンと六番》の独壇場 再び多色の時代へ
2019年7月21日
- 1位 4C Delver
- 2位 4C Control
- 3位 Temur Delver
- 4位 Bomberman
- 5位 4C Control
- 6位 4C Control
- 7位 4C Control
- 8位 Izzet Delver
Baumeister/Soorani/Ingram
トップ8のデッキリストはこちら
チーム構築戦でおこなわれたSCGO Philadelphiaは、『モダンホライゾン』から加入した《レンと六番》を採用したデッキを選択したチームが多く勝ち残っていました。
墓地に落ちたフェッチランドを回収できる《レンと六番》の登場により、多色化が容易にできるようになりました。能力の性質上ミッドレンジデッキと相性が良く、4C Leovoldが復権し、Delver系もTemurカラーのバージョンに黒をタッチした4色が主流になりつつあります。《死儀礼のシャーマン》が禁止にされる前の環境を彷彿とさせますね。
SCGO Philadelphia デッキ紹介
「4C Control」「Bomberman」
4C Control
1 《冠雪の沼》
1 《Badlands》
1 《Bayou》
1 《Tropical Island》
1 《Underground Sea》
1 《Volcanic Island》
4 《沸騰する小湖》
4 《汚染された三角州》
1 《新緑の地下墓地》
1 《血染めのぬかるみ》
2 《不毛の大地》
-土地 (20)- 3 《悪意の大梟》
3 《瞬唱の魔道士》
2 《疫病を仕組むもの》
-クリーチャー (8)-
白以外の各色から優秀なカードを集めた多色のグッドスタッフデッキで、軽い除去やドロー呪文、《悪意の大梟》や《瞬唱の魔道士》などアドバンテージを取る手段が豊富です。Miracles、Stoneblade、Delver系などフェアデッキとのマッチアップに強い構成になっています。
コンボデッキに対してはクロックが遅く除去など不要牌も多くなるので、メイン戦では苦戦を強いられますが、SCGOのチーム戦のレガシーはDelver系やコントロールなどフェアデッキが多くなる傾向にあるため結果的に良い選択だったようです。
☆注目ポイント
《アーカムの天測儀》はキャストに氷雪マナが必要にはなりますが、色の合わないデュアルランドや《不毛の大地》からも多色スペルをキャストできるようになり、《血染めの月》にもある程度耐性ができました。
《レンと六番》はレガシーの環境を激変させたカードで、フェッチランドを再利用することで多色化のハードルが下がりました。手札も増えるので《渦まく知識》をより有効に使うこともできるようになります。[-1]能力はタフネス1のクリーチャーを主力としたDeath and Taxesにかなり効果的です。《レンと六番》デッキ同型戦では、先に《レンと六番》を出した方が有利になるので対処手段である《突然の衰微》は欠かせません。
Delver系やStonebladeなどの《真の名の宿敵》に対するアンサーとなる《疫病を仕組むもの》がメインから採用されていることから、フェアデッキとのマッチアップが多くなると想定していたことが分かります。コンボに対しても《巣穴からの総出》 プランを対策できるのもポイントです。
メインをフェアデッキに寄せている分、サイドのスロットの多くは追加のハンデスやカウンターなどコンボ対策に割かれています。《水流破》(《青霊破》)は多色デッキの天敵である《血染めの月》や同型戦の《レンと六番》、UR Delverの《戦慄衆の秘儀術師》、4C Punishing Fireの《ダク・フェイデン》など、脅威となる赤いカードが増えてきているので、サイドボードに必ず採用したいカードの1枚です。
Bomberman
1 《カラカス》
4 《魂の洞窟》
4 《裏切り者の都》
4 《古えの墳墓》
-土地 (20)- 3 《歩行バリスタ》
4 《僧院の導師》
4 《オーリオックの廃品回収者》
-クリーチャー (11)-
4 《ミシュラのガラクタ》
4 《水蓮の花びら》
4 《ウルザのガラクタ》
3 《オパールのモックス》
3 《ライオンの瞳のダイアモンド》
3 《神秘の炉》
4 《大いなる創造者、カーン》
-呪文 (29)-
3 《剣を鍬に》
1 《歩行バリスタ》
1 《ワームとぐろエンジン》
1 《自然の詠唱》
1 《解呪》
1 《排斥》
1 《トーモッドの墓所》
1 《ライオンの瞳のダイアモンド》
1 《罠の橋》
1 《マイコシンスの格子》
-サイドボード (15)-
プレイオフにまで勝ち残った8チームの中で、唯一の非青デッキはBombermanでした。《オーリオックの廃品回収者》+《ライオンの瞳のダイアモンド》のコンボによって無限マナを生成して《歩行バリスタ》でゲームを決めるデッキで、《大いなる創造者、カーン》によるシルバーバレット戦略も搭載されています。『基本セット2020』からも《神秘の炉》という収穫もあり、最近リリースされたセットによって強化されたデッキのひとつです。
このタイプのデッキ定番の1ターン目《虚空の杯》は、Delver系を始めとした多くの青いデッキにとって厄介となります。
☆注目ポイント
コンボ以外の勝ち手段として、メインから《僧院の導師》がフル搭載されています。0マナのアーテイファクトが多数採用されているので、大量のトークンを並べてプレッシャーをかけることができます。
《ライオンの瞳のダイアモンド》や《歩行バリスタ》をサーチできる《大いなる創造者、カーン》の恩恵でコンボパーツが揃いやすく、《マイコシンスの格子》で相手をロックする選択肢もあります。デッキ内の多くのカードが無色で占められているため、《神秘の炉》は強力なアドバンテージ源として活躍します。息切れ防止にもなるのでこのタイプのデッキにとって大きな収穫です。
ReanimatorやSneak and Showなどコンボ対策の《封じ込める僧侶》や置物対策の《解呪》、除去の《剣を鍬に》など、サイドボードの選択肢の豊富さを活かしてコンボを搭載したコントロールのように振舞うことができるのがこのデッキの特徴です。
Legacy Challenge
コンボデッキ多数、モダンの環境を支配するあのクリーチャーがレガシーでも大活躍
2019年7月28日
- 1位 UW Stoneblade
- 2位 Sneak and Show
- 3位 ANT
- 4位 4C Delver
- 5位 4C Delver
- 6位 Hogaak Depths
- 7位 Hogaak Depths
- 8位 Jund
トップ8のデッキリストはこちら
毎週MOで開催される大規模なイベントのLegacy Challengeは、誰でも気軽に参加できるので筆者もSCGOやSCG IQなど週末の大会に出ないときにはよくプレイするイベントです。
今大会では《レンと六番》を搭載したデッキが増加した影響なのか、《レンと六番》によるアドバンテージを無視できるSneak and ShowやANTなどコンボデッキが多くプレイオフにも数名勝ち残っていました。今大会で勝ち残ったデッキの中で印象に残ったのは、《甦る死滅都市、ホガーク》と《暗黒の深部》デッキのハイブリットバージョンです。《甦る死滅都市、ホガーク》の活躍はモダンに留まらないようです。
Legacy Challenge デッキ紹介
「Hogaak Depths」「UW Stoneblade」「4C Delver」
Hogaak Depths
1 《森》
2 《Bayou》
1 《ドライアドの東屋》
4 《新緑の地下墓地》
3 《カルニの庭》
1 《ボジューカの沼》
1 《セジーリのステップ》
4 《演劇の舞台》
1 《不毛の大地》
4 《暗黒の深部》
4 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
-土地 (27)- 4 《縫い師への供給者》
3 《エルフの開墾者》
4 《サテュロスの道探し》
4 《吸血鬼の呪詛術士》
4 《甦る死滅都市、ホガーク》
-クリーチャー (19)-
《甦る死滅都市、ホガーク》と《暗黒の深部》+《演劇の舞台》(《吸血鬼の呪詛術士》)のコンボをハイブリットしたデッキで、墓地を肥やして《甦る死滅都市、ホガーク》を高速展開する動きとマリッド・レイジでゲームを終わらせるふたつの異なるゲームプランを搭載しているため相手にとっては対策が困難となります。
《暗黒の深部》デッキに有効とされていた《悪魔の布告》系の除去も、《縫い師への供給者》や《サテュロスの道探し》といったクリーチャーが隣にいることが多いため従来のバージョンほど問題になることが少なく、墓地対策も《暗黒の深部》プランの前では意味を成しません。
☆注目ポイント
『基本セット2020』で登場した《エルフの開墾者》は、《縫い師への供給者》や《サテュロスの道探し》といった墓地を肥やすクリーチャーを複数採用しているので、簡単にサイズを上げることができます。土地をサーチできる起動型能力によって、《暗黒の深部》や《演劇の舞台》といったコンボパーツを揃えるのが主な役割です。タフネス2なので流行りの《レンと六番》にも耐性があり、クロックとしても優秀で《森の占術》に代わる土地サーチ手段として定着しつつあります。1マナとコストの軽いクリーチャーなので《甦る死滅都市、ホガーク》の「召集」要員としても最適です。
《甦る死滅都市、ホガーク》とマリッドレイジ・トークンは、伝説のクリーチャーであるため《カラカス》で対処されてしまうのが弱点です。主な対策手段である《真髄の針》や《森を護る者》はサイドに落とされているので、メインでのDeath and Taxesや青白とのマッチアップはやや不利が付きそうです。
《血染めの月》、《基本に帰れ》、《罠の橋》など置物を0マナで対処できる《活性の力》は、このタイプのデッキにとって嬉しいカードです。今後はサイドボードの定番カードとしてよく見かけることになりそうです。
UW Stoneblade
3 《平地》
2 《Tundra》
4 《溢れかえる岸辺》
3 《虹色の眺望》
1 《汚染された三角州》
2 《不毛の大地》
-土地 (20)- 4 《石鍛冶の神秘家》
3 《瞬唱の魔道士》
3 《真の名の宿敵》
1 《ヴェンディリオン三人衆》
-クリーチャー (11)-
4 《思案》
4 《剣を鍬に》
2 《呪文貫き》
1 《呪文嵌め》
1 《対抗呪文》
2 《議会の採決》
1 《否定の力》
1 《至高の評決》
4 《意志の力》
1 《梅澤の十手》
1 《殴打頭蓋》
1 《時を解す者、テフェリー》
2 《精神を刻む者、ジェイス》
-呪文 (29)-
2 《外科的摘出》
1 《封じ込める僧侶》
1 《エーテル宣誓会の法学者》
1 《宮殿の看守》
1 《青霊破》
1 《解呪》
1 《ドビンの拒否権》
1 《至高の評決》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《火と氷の剣》
1 《夢を引き裂く者、アショク》
1 《時を解す者、テフェリー》
-サイドボード (15)-
今大会見事に優勝を果たしたのはUW Stonebladeでした。優勝者のastrozombeeはスイスラウンドでも全勝しており、今大会無敗の優勝ということになります。
基本地形が多く採用されているため、《不毛の大地》や多色ミッドレンジをみて増加傾向にある《血染めの月》デッキにも強く、追放系の除去を採用しているため《暗黒の深部》とも相性が良い戦略なので今回のパフォーマンスも頷けます。
☆注目ポイント
Temur Delverの復権により《タルモゴイフ》が環境に増え、そのほか《グルマグのアンコウ》や《暗黒の深部》、《甦る死滅都市、ホガーク》といった脅威を対処できる《剣を鍬に》は最も安定した除去であるといえます。
クリーチャーデッキに対しては無類の強さを見せるUW Stonebladeですが、コンボデッキやコントロールに対してはやや不利が付くので、それらに対して強い《否定の力》は大きな収穫です。個人的にはサイドにも追加で採用したいカウンターです。
サイドに採用されている《夢を引き裂く者、アショク》は、DredgeやReanimatorに対する墓地対策としては遅いカードになりますが、シャッフルを封じつつ墓地も対策する能力はANTや《壌土からの生命》系デッキ、《レンと六番》を採用した多色ミッドレンジなど多くのマッチアップで活躍します。
大会レポート:4C Delver
4C Delver
2 《Volcanic Island》
1 《Badlands》
1 《Underground Sea》
4 《汚染された三角州》
4 《沸騰する小湖》
1 《焦熱島嶼域》
4 《不毛の大地》
-土地 (20)- 4 《秘密を掘り下げる者》
4 《タルモゴイフ》
2 《戦慄衆の秘儀術師》
2 《真の名の宿敵》
-クリーチャー (12)-
2 《外科的摘出》
2 《思考囲い》
2 《リリアナの勝利》
2 《冬の宝珠》
1 《トレストの使者、レオヴォルド》
1 《青霊破》
1 《赤霊破》
1 《紅蓮破》
1 《古えの遺恨》
-サイドボード (15)-
今大会には筆者も参加し、プレイオフまで勝ち残ることができました。使用デッキは4C Delverで、残念ながら準々決勝で同型に負けてしまいましたが、今大会ではコンボと多く当たったのでハンデスが使える4C Delverは良い選択だったと思います。
Legacy Challenge | |||
---|---|---|---|
Round 1 | Sneak and Show | 2-1 | |
Round 2 | Sneak and Show | 2-1 | |
Round 3 | ANT | 2-1 | |
Round 4 | Death and Taxes | 2-1 | |
Round 5 | ANT | 2-1 | |
Round 6 | Aggro Loam | 2-0 | |
Round 7 | UW Stoneblade(astrozombee) | 1-2 | |
QF | 4C Delver | 1-2 |
デッキについて
《レンと六番》のおかげで《不毛の大地》に耐性を付けると同時に、《突然の衰微》や《思考囲い》のために黒をタッチすることも容易となりました。《突然の衰微》は《基本に帰れ》、《血染めの月》、《虚空の杯》など致命的となる置物だったり、同型の《タルモゴイフ》や《レンと六番》を対処できる万能なカードで、《思考囲い》はコンボデッキに強いカードです。
《レンと六番》はDelver系にとって貴重なアドバンテージ源であり、フィニッシャーとしても活躍します。すぐに忠誠値が4になるので《稲妻》1枚で落とされることもなく、土地も伸びるので《目くらまし》や《呪文貫き》といったソフトカウンターを無力化できます。毎ターン《不毛の大地》を再利用することで、相手をロック状態に持ち込むことも可能です。
黒をタッチするもうひとつの理由として、《疫病を仕組むもの》にアクセスできることが挙げられます。今までDelver系が苦戦を強いられていたDeath and Taxes、Maverick、Elvesといったマッチアップの相性改善に貢献しています。また同型やStonebladeの《真の名の宿敵》を除去しつつ、相手に除去や地上クリーチャーとの交換を要求します。そういった理由から現在は4C DelverがベストなDelverの形であると思います。
20枚目の土地として採用されている《焦熱島嶼域》は、フラッド防止にもなり《レンと六番》とのシナジーもあるので直前に加えることにしました。ライフロスもあまり気にならず、中盤以降は有効牌を探せるので採用してよかったと思います。
《レンと六番》はコンボ相手には悠長すぎるため、Sneak and ShowやANTといったマッチアップではサイドの追加のカウンターやハンデスと入れ替わります。
デッキに変更を加えるのであれば、今後同型が増えることを見越して4位入賞をしていたhoveydwのように《グルマグのアンコウ》の採用が考えられます。《致命的な一押し》や《突然の衰微》が効かずサイズも火力の射程圏外なので、同型や4C Controlとのマッチアップでは除去されにくい信頼性の高いフィニッシャーとなります。
総括
現在のレガシーでは《レンと六番》の強さが特に際立っており、Delver系も含めて多くのフェアデッキが3色以上に多色化する傾向にあります。あの《死儀礼のシャーマン》がいたころの環境を彷彿とさせ少し強すぎる印象はありますが、混成マナの《死儀礼のシャーマン》とは違ってデッキ構築の段階である程度の制限がかかります。また、コンボデッキに対してはあまり意味をなさず、多色化の影響で最速1ターン目から《血染めの月》を出してくるプリズン系のデッキにも弱くなるため、全く死角がないわけではありません。
《レンと六番》の同型を避けたいという方にお勧めなデッキは、今回の連載でもご紹介したHogaak Depthsです。デッキリスト自体はまだまだ試行錯誤の段階ですが、その分現環境のデッキの中では伸びしろがあり、《甦る死滅都市、ホガーク》やマリット・レイジはDelver系にとって対処が難しい脅威です。《レンと六番》の影響でDeath and Taxesが減少傾向にあるのも、Hogaak Depthsの強さを後押ししています。
USA Legacy Express vol.156はこれで以上となります。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!