みなさんこんにちは。
環境もいよいよ終盤を迎えますが、今週末にはHareruya Hopes選考会、来週末には『基本セット2020』環境名人戦があるので、まだまだこの環境でのスタンダードは続きます。
今回の連載では、先週末に開催されたSCGO Richmondの入賞デッキを見ていきたいと思います。
SCGO Richmond
勝ち続けるScapeshift
2019年8月17-18日
- 1位 Bant Scapeshift
- 2位 Bant Ramp
- 3位 Bant Scapeshift
- 4位 Mono Red Aggro
- 5位 Bant Ramp
- 6位 Bant Scapeshift
- 7位 Golos Nexus
- 8位 Mono Red Aggro
Miller/Miles/Lu
トップ8のデッキリストはこちら
チーム戦で開催されたSCGO Richmondは、予想通りBant ScapeshiftとOrzhov Vampireがトップで、次点でBant Ramp、Mono Red Aggroが続いていました。
Orzhov Vampireを選択したチームが多かったものの、プレイオフには不在でした。しかし、併催されていたSCG ClassicsではOrzhov Vampireがプレイオフの半数を占め優勝を果たしており、現環境のトップメタとしての強さを見せていました。
SCGO Richmond デッキ紹介
「Bant Scapeshift」「Bant Ramp」「Orzhov Vampire」「Mono Red Aggro」
Bant Scapeshift
今大会で見事、チームを優勝に導いたJames Lu選手のBant Scapeshiftは、メインはオーソドックスな形ながらサイド後は追加のスイーパーやカウンター、プレインズウォーカーが投入されてBant Controlに変形する構成でした。
☆注目ポイント
同型やVampireを意識しており、メインから《拘留代理人》や《時の一掃》のほかに《残骸の漂着》も採用されています。インスタントスピードで、同型のゾンビトークンやVampireのアタッカーを対策できるのは大きく、このカードをメインから採用していたリストが少ないためあまり警戒されていなかったと予想できます。
相手が《夢を引き裂く者、アショク》や《血染めの太陽》などで対策してくるサイド後は、《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《ドビンの拒否権》、ハンデスや打ち消し対策になる《夏の帳》などが投入されコントロール寄りにシフトしていきます。
《裏切りの工作員》は7マナと重いものの、同型やEsperなどとのマッチアップでは強力なコントロール奪取カードとして機能します。クリーチャースペルなので《ドビンの拒否権》に引っかからないのもこのカードの強みです。Scapeshiftとのマッチアップではサイドアウトされる傾向にありますが、Bant Rampとのマッチアップでは《不和のトロスターニ》によって奪ったパーマネントを取り返されてしまうことがあるので注意が必要です。
Bant Lamp
4 《繁殖池》
4 《神聖なる泉》
4 《寺院の庭》
4 《氷河の城砦》
2 《神秘の神殿》
2 《内陸の湾港》
-土地 (24)- 4 《ラノワールのエルフ》
4 《枝葉族のドルイド》
4 《楽園のドルイド》
4 《ハイドロイド混成体》
3 《大食のハイドラ》
4 《発現する浅瀬》
3 《拘留代理人》
2 《不和のトロスターニ》
-クリーチャー (28)-
2 《敬虔な命令》
2 《霊気の疾風》
2 《否認》
2 《時の一掃》
2 《不可解な終焉》
1 《拘留代理人》
1 《伝承の収集者、タミヨウ》
1 《人知を超えるもの、ウギン》
-サイドボード (15)-
現環境のTier1デッキであるScapeshiftとの相性の悪さから、一時は数を減らしていたBant Rampでしたが、Vampireの台頭によりメタに動きが見られ復権の兆しを見せています。
今大会ではScapeshiftとVampireの次に高い2日目進出率をマークし、プレイオフに2名の入賞者を出すという好成績でした。
軽い除去として機能する《大食のハイドラ》などの恩恵で、Vampireなどクリーチャーデッキに強くなったのも今大会の勝因です。
☆注目ポイント
Scapeshiftのゾンビトークンを対策するために、《拘留代理人》がメインから採用されています。新たに《発現する浅瀬》と《枝葉族のドルイド》が加わり、《世界を揺るがす者、ニッサ》や《ハイドロイド混成体》以外でアドバンテージが取れるようになりました。
《大食のハイドラ》は序盤は除去として機能し、マナが出る中盤以降はフィニッシャーとしても活躍するフレキシブルなクリーチャーです。Vampireなどアグロデッキとのマッチアップで特に強さを発揮します。
現環境のトップメタのVampireをかなり意識したのか、サイドには《時の一掃》のほかにも《不可解な終焉》や《敬虔な命令》など除去に多くのスペースが割かれています。
Orzhov Vampire
現環境のトップメタということで相当意識されていましたが、2日目進出率はScapeshiftに次いでトップで、プレイオフ進出は逃したもののトップ16に2チーム、Standard Classicsでは優勝も含めてプレイオフに半数と安定した成績を残していました。
リストにそれほど大きな変化は見られませんが、このデッキにとって厳しいマッチアップになるMono Red Aggroや同型に備えて、《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ》をメインから採用したリストが主流になりつつあります。
☆注目ポイント
《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ》は、絆魂・警戒持ちでアグロデッキとのマッチアップで活躍します。コストが重いのがネックとなりますが、《傲慢な血王、ソリン》の[-3]能力によって速い段階から展開することもできます。また覚えておきたい点として、あなたのターンであればいつでも能力を起動できるので、攻撃しつつ能力を起動してブロッカーを除去するという使い方も可能です。《薄暮の勇者》もフル搭載されておりロングゲームも戦える構成ですが、1マナ域を削ったことで若干《軍団の上陸》が変身しにくくなっています。
Scapeshiftと同型の両方で有効な除去として機能する《軍団の最期》が、メインとサイド合わせてフル搭載されています。《敬虔な命令》はソーサリーではありますが、同型やMono Rd Aggroに対して軽い優秀な除去で占術によってドローの質も上がります。
Mono Red Aggro
3 《溶岩コイル》
3 《血染めの太陽》
2 《乗っ取り》
1 《凶兆艦隊の向こう見ず》
1 《実験の狂乱》
1 《炎の侍祭、チャンドラ》
1 《無頼な扇動者、ティボルト》
-サイドボード (15)-
SCGO Worcesterでも優勝していたAaron Barich選手は、今大会でもMono Red Aggroを持ち込み見事チームをプレイオフに導いていました。
現環境のトップメタのVampireに速さで勝り、Scapeshiftに対しても《血染めの太陽》という対策カードを用意することによって環境の変化に対応しています。
☆注目ポイント
メインはSCGO Worcesterのリストと比べると《実験の狂乱》が増量されており、《炎の侍祭、チャンドラ》もメインから採用されているなど中速寄りに調整されています。除去耐性のない《チャンドラの吐火》の代わりとして3マナ域に採用されている《炎の侍祭、チャンドラ》は、毎ターンクロックを生成できるので《舞台照らし》や《批判家刺殺》の「絢爛」を達成し易くなっています。
《死者の原野》対策としてサイドに《血染めの太陽》が採用されています。キャントリップ付きで複数引いてきても無駄にならないのが魅力です。
ボーナストピック:《隠された手、ケシス》コンボ
《隠された手、ケシス》コンボ
4 《湿った墓》
3 《神聖なる泉》
2 《寺院の庭》
1 《神無き祭殿》
3 《氷河の城砦》
1 《水没した地下墓地》
3 《疾病の神殿》
3 《静寂の神殿》
1 《神秘の神殿》
-土地 (25)- 4 《精励する発掘者》
4 《迷い子、フブルスプ》
4 《万面相、ラザーヴ》
4 《隠された手、ケシス》
-クリーチャー (16)-
2 《祖神の使徒、テシャール》
2 《軍団の最期》
2 《漂流自我》
1 《狼の友、トルシミール》
1 《古呪》
1 《ウルザの殲滅破》
1 《不滅の太陽》
1 《夢を引き裂く者、アショク》
1 《伝承の収集者、タミヨウ》
1 《神秘を操る者、ジェイス》
-サイドボード (15)-
最後にMTGアリーナで開催されたMCQで結果を残し、話題となったコンボデッキをご紹介していきたいと思います。
《隠された手、ケシス》+《精励する発掘者》をキーとするコンボデッキで、《隠された手、ケシス》と《精励する発掘者》が戦場に揃った状態で伝説のスペルをキャストして墓地を肥やし、《モックス・アンバー》が2枚以上手札か戦場に揃えばコンボをスタートすることができます。
《隠された手、ケシス》の能力を起動して、墓地から《モックス・アンバー》をキャストすることで《精励する発掘者》の能力が発動するのでこれで自分のライブラリーを削り墓地を肥やしていきます。《モックス・アンバー》解決後にマナを捻出します(レジェンド・ルールによってふたたび墓地に落ちる)。これを続けることによって、生み出したマナを使って《ケイヤの誓い》を使い回したり、《精励する発掘者》で相手のライブラリーを削り切ることによって勝利します。
☆注目ポイント
このデッキのキーパーツである《隠された手、ケシス》はタフネスが4と固く、伝説のクリーチャーなのでVampireの主要な除去である《喪心》に引っかからないブロッカーとして優秀です。
《精励する発掘者》の他に《夢を引き裂く者、アショク》や《伝承の収集者、タミヨウ》などで墓地を肥やすことができ、《万面相、ラザーヴ》で《精励する発掘者》や《隠された手、ケシス》など、そのときに必要なコンボパーツに変身することができます。
《夢を引き裂く者、アショク》は同型やScapeshift対策にもなり、メインの妨害要素に貧しいBant Scapeshiftはこのデッキにとって有利なマッチアップになります。《ウルザの殲滅破》は《隠された手、ケシス》で再利用可能なスイーパーです。デッキ内のほとんどが伝説のカードで占められているこのデッキでは、一方的なスイーパーとして機能します。先週末に結果を残して以来話題になっているデッキで、プレイの難易度は高めですがほかと違うデッキを使ってみたいという方にお勧めです。
総括
スタンダード環境も終盤に突入しようとしていますが、ボーナストピックでご紹介した《隠された手、ケシス》コンボのように、まだまだイノベーションの余地のある環境だということが証明されました。
有力な対策としては、Bant Scapeshift対策として多くのデッキに採用されている《夢を引き裂く者、アショク》や、同じターンに複数のスペルをキャストすることを制限する《減衰球》や墓地対策の《墓掘りの檻》などが挙げられます。
USA Standard Express vol.154は以上です。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!