Translated by Ryosuke Igarashi
(掲載日 2019/08/21)
はじめに
最近のセットには、これまでのセットと比べて影響力の大きなカードが本当にたくさん収録されている。レガシーというフォーマットを再訪し、吟味するにはいい頃合いではないだろうか。『灯争大戦』と『モダンホライゾン』、そして『基本セット2020』でさえ非常に強力なカードを数多く供給し、環境を見違えるほどに変えてしまったのだ。
『灯争大戦』の《覆いを割く者、ナーセット》、《時を解す者、テフェリー》に《大いなる創造者、カーン》、『モダンホライゾン』の《甦る死滅都市、ホガーク》と《レンと六番》、そして『基本セット2020』の《夏の帳》は最も重要なカードで、自身の存在を世に知らしめてきている。
特に《レンと六番》と《不毛の大地》、各種フェッチランドとの組み合わせは4Cデルバーやコントロールデッキを大幅に強化しているね。相手のマナ否定戦略と戦う助けになる土地を回収する能力に加えて、タフネス1のクリーチャーを狙い撃つ能力も持っているため、以前は強力だったデス&タックスやエルフといったデッキは肩身の狭い思いをさせられている。
より悠長になったこれらのアプローチに対抗するため、プレイヤーは2つの戦略を取っている。まずは、ストーム系やスニーク・ショーといったコンボデッキを使うこと。これは同じく『モダンホライゾン』からの新顔、《甦る死滅都市、ホガーク》に対しても強力なアプローチだ。そしてもう1つは《古えの墳墓》と《虚空の杯》の組み合わせに着目し、それを《三なる宝球》や《血染めの月》といったヘイトカードと組み合わせるというものになっている。
青白奇跡も未だに手堅い選択で、《レンと六番》と《不毛の大地》の組み合わせや《血染めの月》にも対抗できる十分なマナ基盤があり、新戦力の《覆いを割く者、ナーセット》も軽いキャントリップの多いこのフォーマットで非常に強力だ。
最近2~300人規模の大会へと参加してきたのだが、ANTと《死の影》はどちらもいい選択だと考えて調整を重ねていた。今もお勧めのデッキだから、2つとも紹介していこうと思う。
おすすめのデッキ
ANT
最終的にはANTに落ち着いた。《虚空の杯》を打ち破るのは困難なものの、先に述べた通り非常にポジションのいいデッキだ。このデッキは《夏の帳》に弱い一方で、自分自身も喜んで《夏の帳》を使っているというのはおかしな話だね。
こちらがそのリストだ。
1 《沼》
2 《Underground Sea》
1 《Bayou》
1 《Tropical Island》
1 《Volcanic Island》
4 《霧深い雨林》
4 《汚染された三角州》
-土地 (15)- -クリーチャー (0)-
思い返してみても、デッキには非常に満足している。敗北を喫したのは、《虚空の杯》デッキ相手に後手だった試合だけだね。ただ、2枚目の《仕組まれた爆薬》よりも《ハーキルの召還術》の方が良かった可能性はあるかもしれない。
全てのミッドレンジデッキ、特に《レンと六番》が入ったデッキは、一般的な青いデッキと同様に非常に相性のいい相手だ。他のコンボデッキに対しては厳しい戦いになるかもしれないが、サイドボード後は手札破壊呪文が7枚、《狼狽の嵐》が2枚、《夏の帳》が3枚と相手を大きく妨害する展開になりやすい。
概して、どんな時でもお勧めできるデッキになっている。非常に安定しているうえに柔軟で、レガシーのどのデッキとも張り合える速さを持っているよ。基本的に選択肢の多いデッキではあるが、デッキの神髄を知り、必要な技量を手に入れられたならかなり楽しんでプレイできるようになるだろう。
《死の影》
そしてこちらも、同様に素晴らしい選択だと思っていたデッキだ。
《夏の帳》はまさに天敵ともいえるカードだから、どのくらい採用されるものかが心配だったが、そこまでではなかった。緑であり、やや範囲が狭いカードであるため、恐れていたほどには採用されていなかったね。
また、《甦る死滅都市、ホガーク》デッキもどれほど存在するか未知数だった。だが、実際はそれなりの数存在したものの、勝ち組デッキにはなれないように思えたね。
実際に大会に持ち込むとしたら使っていただろうリストを紹介しよう。調整段階でかなりの成績を叩き出していたものだ。
3 《湿った墓》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《湿地の干潟》
2 《霧深い雨林》
1 《汚染された三角州》
1 《新緑の地下墓地》
4 《不毛の大地》
-土地 (18)- 4 《死の影》
3 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《通りの悪霊》
3 《グルマグのアンコウ》
-クリーチャー (14)-
4 《思案》
4 《思考囲い》
1 《致命的な一押し》
1 《呪文嵌め》
1 《頑固な否認》
4 《目くらまし》
4 《トーラックへの賛歌》
2 《四肢切断》
3 《意志の力》
-呪文 (28)-
2 《外科的摘出》
2 《リリアナの勝利》
2 《仕組まれた爆薬》
2 《最後の望み、リリアナ》
1 《疫病を仕組むもの》
1 《呪文嵌め》
1 《頑固な否認》
1 《意志の力》
1 《真髄の針》
-サイドボード (15)-
手札破壊呪文や打ち消し呪文といった妨害手段が濃く、加えてデルバー系よりもクロックが早いため、コンボデッキとの相性はすさまじく良い。また、《死の影》やデルバー系のデッキは《秘密を掘り下げる者》や《若き紅蓮術士》といったタフネスが1のクリーチャーを採用しているものだが、《レンと六番》偏重のメタゲームに適合するため、現在は採用したくないと思っている。
このデッキにとって最も厳しいデッキの1つ、デス&タックスが以前に比べ下火なのも嬉しいニュースだ。
最近加えた変更点としては《ヴリンの神童、ジェイス》で、このカードには非常に満足している。2枚から始めて、すぐさま3枚に増やしたくらいさ。
このデッキの最大の弱点として、相対的にデッキ内の脅威が少ないということが挙げられる。守るのも容易で、素早くゲームを終わらせてくれるため、たいていの場合は1枚見つけられれば十分だ。とはいえ、たった7枚だけでは間に合わないこともある。また、デッキの多くが黒のカードのため、《意志の力》のためのブルーカウントが少なくなってしまっているという弱点もある。《ヴリンの神童、ジェイス》はこれらの問題を解決し、ほぼ全てのマッチアップで活躍してくれたのだ。
おわりに
現在のメタゲームでは、この2つのデッキを心から勧めている。しかし、もし君が軽い白のクリーチャーを好んでいて、僕の青黒ベースのデッキではなくデス&タックスの愛好家だというなら、この新たなリストを試してみてほしい。
3 《カラカス》
4 《リシャーダの港》
4 《不毛の大地》
-土地 (24)- 3 《ルーンの与え手》
4 《戦隊の鷹》
4 《スレイベンの守護者、サリア》
3 《石鍛冶の神秘家》
3 《神聖なる魂の守り手》
2 《ちらつき鬼火》
2 《護衛募集員》
1 《聖域の僧院長》
-クリーチャー (22)-
2 《外科的摘出》
2 《議会の採決》
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
1 《封じ込める僧侶》
1 《レオニンの遺物囲い》
1 《ファイレクシアの破棄者》
1 《聖域の僧院長》
1 《大変動》
1 《真髄の針》
1 《光と影の剣》
-サイドボード (15)-
《レンと六番》に打ち勝つため、僕の友人が発明した《戦隊の鷹》と《美徳の力》入りのデス&タックスだ。いい発想に思えるし、実際友人はかなりの成績を残しているよ。