はじめに
みなさんこんにちは。
ローテーションも来月に迫り、環境もいよいよ終盤に突入しましたが、ここにきて《暴れ回るフェロキドン》が禁止解除されました。このタイミングで禁止改定がおこなわれるのは珍しい出来事ですが、禁止リストに留まるほどの悪さをしないという意見が多数でした。
さて、今回の連載ではSCG Classics Dallasとマジックオンラインで開催されたStandard MCQの結果を見ていきたいと思います。
SCG Classics Dallas
やはり強かったKethis Combo
2019年8月31日
- 1位 Kethis Combo
- 2位 Boros Feather
- 3位 Mono Red Aggro
- 4位 Boros Feather
- 5位 Kethis Combo
- 6位 Esper Control
- 7位 Orzhov Vampire
- 8位 Sultai Midrange
Dylan Hand
トップ8のデッキリストはこちら
MTGアリーナのMCQで結果を残したことで広まったKethis Comboは、現在スタンダードの環境トップに位置しており、今週末に開催される日本選手権2019でも人気が出ることが予想されます。
赤いデッキが多数上位に見られ、VampireやScapeshiftは少数でした(Scapeshiftにおいてはトップ16内にも不在)。《暴れ回るフェロキドン》が解禁された影響が早速出ているようです。
SCG Classics Dallas デッキ紹介
「Mono Red Aggro」「Boros Feather」
Mono Red Aggro
-土地 (20)- 4 《ギトゥの溶岩走り》
4 《狂信的扇動者》
4 《遁走する蒸気族》
4 《ヴィーアシーノの紅蓮術師》
4 《ゴブリンの鎖回し》
2 《暴れ回るフェロキドン》
-クリーチャー (22)-
3 《軍勢の戦親分》
3 《溶岩コイル》
2 《暴れ回るフェロキドン》
2 《丸焼き》
1 《無頼な扇動者、ティボルト》
1 《炎の職工、チャンドラ》
-サイドボード (15)-
Mono Red Aggroは旧環境でもそこそこ活躍していたデッキでしたが、《風景の変容》デッキやVampireなどと比べると勝ち切れていなかった印象でした。《暴れ回るフェロキドン》が禁止解除されたことによって、これから上位で頻繁に見かけることになりそうです。
☆注目ポイント
早速、解禁された《暴れ回るフェロキドン》がメインから採用されています。《聖堂の鐘憑き》や《ケイヤの誓い》、《ハイドロイド混成体》などのライフゲインを阻止できる優秀なクリーチャーです。《無頼な扇動者、ティボルト》も同様の効果を持っていますが、ScapeshiftやVampireに対して刺さる《暴れ回るフェロキドン》の方が優先されています。
ローテーション後は《ゴブリンの鎖回し》や《稲妻の一撃》、《魔術師の稲妻》など多くのパーツが落ちてしまうので、新環境でMono Red Aggroが使えるかは『エルドレインの王権』に収録されるカード次第です。《ゴブリンの鎖回し》が落ちることで、タフネス1のクリーチャーの評価にも影響が出そうです。
Boros Feather
4 《山》
4 《聖なる鋳造所》
4 《断崖の避難所》
4 《凱旋の神殿》
-土地 (22)- 4 《アダントの先兵》
4 《第10管区の軍団兵》
4 《戦慄衆の秘儀術師》
4 《贖いし者、フェザー》
4 《暴れ回るフェロキドン》
-クリーチャー (20)-
2 《啓蒙》
2 《丸焼き》
2 《溶岩コイル》
2 《血染めの太陽》
1 《両手撃ち》
1 《裁きの一撃》
1 《不可解な終焉》
1 《牢獄領域》
1 《黒き剣のギデオン》
-サイドボード (15)-
旧環境でも結果を残していたBoros Featherは、優勝こそ逃したもののトップ4に2名と好成績を残していました。
《暴れ回るフェロキドン》のおかげで、ScapeshiftやVampireとの相性が改善しています。今後の動向に注目が集まるデッキのひとつです。
☆注目ポイント
《軍勢の戦親分》の枠が《暴れ回るフェロキドン》に差し替えられています。追加のScapeshift対策として《血染めの太陽》もサイドに採用されていますが、Kethis Comboに相性が悪いScapeshiftは減少することが予想されるため、そこまで意識する必要はなさそうです。
ローテーション後は《アダントの先兵》や《無謀な怒り》を失うのは痛いですが、《贖いし者、フェザー》や《第10管区の軍団兵》などキーカードの多くは残るので、『エルドレインの王権』次第ではありますが新環境でも使えるデッキとなりそうです。
Standard MCQ
上位を支配するKethis Combo
2019年8月31日
- 1位 Bant Ramp
- 2位 Kethis Combo
- 3位 Boros Feather
- 4位 Esper Control
- 5位 Kethis Combo
- 6位 Kethis Combo
- 7位 Mono Red
- 8位 Kethis Combo
トップ8のデッキリストはこちら
MOで開催されたStandard MCQは、優勝こそ逃したもののプレイオフの半数がKethis Comboと上位を支配していました。《暴れ回るフェロキドン》の影響で、VampireやScapeshiftといった前環境のトップメタは上位に少数でした。
Standard MCQ デッキ紹介
「Kethis Combo」「Esper Control」
Kethis Combo
3 《繁殖池》
3 《神聖なる泉》
3 《湿った墓》
2 《神無き祭殿》
2 《草むした墓》
2 《寺院の庭》
3 《氷河の城砦》
1 《水没した地下墓地》
1 《森林の墓地》
2 《静寂の神殿》
1 《疾病の神殿》
1 《神秘の神殿》
-土地 (25)- 4 《精励する発掘者》
4 《迷い子、フブルスプ》
4 《万面相、ラザーヴ》
4 《隠された手、ケシス》
-クリーチャー (16)-
2 《軍団の最期》
2 《ウルザの殲滅破》
2 《夢を引き裂く者、アショク》
1 《黎明をもたらす者ライラ》
1 《暗殺者の戦利品》
1 《漂流自我》
1 《再鍛の黒き剣》
1 《ボーラスの城塞》
1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》
-サイドボード (15)-
突如現れて瞬く間に環境を支配した《隠された手、ケシス》をキーカードとしたコンボデッキ。
《暴れ回るフェロキドン》の禁止が解除された環境でもその支配力は変わらず、今大会でもプレイオフの半数を占めました。
☆注目ポイント
追加の勝ち手段兼ドローエンジンとしてサイドに採用されていることが多かった《神秘を操る者、ジェイス》が、メインから採用されています。メインから対策カードが増加傾向にある現在では、コンボが決めやすくなるのでメイン採用も納得です。
《夢を引き裂く者、アショク》や《漂流自我》といったカードが入るサイド後のゲームに備えて、非常にアグレッシブなサイドプランが用意されています。《クルーグの災い魔、トラクソス》は、「歴史的」スペルを多数搭載したこのデッキではアンタップさせることが容易で、《再鍛の黒き剣》が付けば速やかにゲームを終わらせることができます。
Esper Control
1 《沼》
4 《神無き祭殿》
4 《神聖なる泉》
4 《湿った墓》
4 《水没した地下墓地》
3 《氷河の城砦》
3 《孤立した礼拝堂》
1 《静寂の神殿》
-土地 (25)- -クリーチャー (0)-
2 《軍団の最期》
1 《ドビンの拒否権》
1 《永遠の終焉》
1 《暴君の嘲笑》
1 《古呪》
2 《吸収》
4 《ケイヤの怒り》
1 《永遠神の投入》
1 《戦慄衆の指揮》
1 《アズカンタの探索》
3 《ケイヤの誓い》
3 《覆いを割く者、ナーセット》
3 《時を解す者、テフェリー》
4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
2 《人知を超えるもの、ウギン》
1 《戦慄衆の将軍、リリアナ》
-呪文 (35)-
2 《強迫》
2 《ドビンの拒否権》
2 《肉儀場の叫び》
2 《屈辱》
2 《夢を引き裂く者、アショク》
2 《はぐれ影魔道士、ダブリエル》
1 《漂流自我》
-サイドボード (15)-
相性の悪かった《風景の変容》を使ったデッキや、Bant系のビッグマナが減少傾向にあるため、最近再評価されているEsper Control。
《覆いを割く者、ナーセット》をメインから採用できるデッキなので、Kethis Comboの《迷い子、フブルスプ》や《時を解す者、テフェリー》、《神秘を操る者、ジェイス》を妨害できることは大きく、復権してきているBoros Featherとの相性も悪くないので考慮に値するデッキです。
☆注目ポイント
Mono Red Aggroが増加することを想定していたようで、《永遠神の投入》がメインから採用されています。《ケイヤの怒り》がフル搭載されていることに加えて《軍団の最期》、《永遠の終焉》も採られており、クリーチャーデッキとのマッチアップで確実に勝利をすることを意識していたのが分かります。今後はScapeshiftやVampireがメタの移行により減少することを考えると、《軍団の最期》はメインから減らしてもよさそうです。
《戦慄衆の指揮》は、Kethis Combo相手には墓地対策としても機能します。サイドには《夢を引き裂く者、アショク》や《漂流自我》といった追加の対策カードが採られています。最近の大会では上位に複数Kethis Comboがいるので、《夢を引き裂く者、アショク》と《漂流自我》を追加してもよさそうです。
総括
《暴れ回るフェロキドン》やKethis Comboの影響で、旧環境で幅を利かせていたScapeshiftやVampireが減少し、Mono Red AggroやBoros Featherといったデッキが復権してきています。
現環境トップメタであるKethis Comboは墓地に依存しているので、《夢を引き裂く者、アショク》や《漂流自我》といったカードに弱いことは確かですが、Kethis Combo側も《クルーグの災い魔、トラクソス》のような軸をずらしたサイドプランを用意しています。多角的な攻めができるこのデッキの支配は、ローテーション落ちするまで続きそうです。
以上、USA Standard Express vol.155でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!