USA Standard Express vol.155 -帰ってきたフェロキドン-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

暴れ回るフェロキドン

ローテーションも来月に迫り、環境もいよいよ終盤に突入しましたが、ここにきて《暴れ回るフェロキドン》が禁止解除されました。このタイミングで禁止改定がおこなわれるのは珍しい出来事ですが、禁止リストに留まるほどの悪さをしないという意見が多数でした。

さて、今回の連載ではSCG Classics Dallasとマジックオンラインで開催されたStandard MCQの結果を見ていきたいと思います。

SCG Classics Dallas
やはり強かったKethis Combo

2019年8月31日

  • 1位 Kethis Combo
  • 2位 Boros Feather
  • 3位 Mono Red Aggro
  • 4位 Boros Feather
  • 5位 Kethis Combo
  • 6位 Esper Control
  • 7位 Orzhov Vampire
  • 8位 Sultai Midrange
Dylan Hand

Dylan Hand

StarCityGames.com

トップ8のデッキリストはこちら

MTGアリーナのMCQで結果を残したことで広まったKethis Comboは、現在スタンダードの環境トップに位置しており、今週末に開催される日本選手権2019でも人気が出ることが予想されます。

赤いデッキが多数上位に見られ、VampireやScapeshiftは少数でした(Scapeshiftにおいてはトップ16内にも不在)。《暴れ回るフェロキドン》が解禁された影響が早速出ているようです。

SCG Classics Dallas デッキ紹介

「Mono Red Aggro」「Boros Feather」

Mono Red Aggro

Mono Red Aggroは旧環境でもそこそこ活躍していたデッキでしたが、《風景の変容》デッキやVampireなどと比べると勝ち切れていなかった印象でした。《暴れ回るフェロキドン》が禁止解除されたことによって、これから上位で頻繁に見かけることになりそうです。

☆注目ポイント

暴れ回るフェロキドン

早速、解禁された《暴れ回るフェロキドン》がメインから採用されています。《聖堂の鐘憑き》《ケイヤの誓い》《ハイドロイド混成体》などのライフゲインを阻止できる優秀なクリーチャーです。《無頼な扇動者、ティボルト》も同様の効果を持っていますが、ScapeshiftやVampireに対して刺さる《暴れ回るフェロキドン》の方が優先されています。

ローテーション後は《ゴブリンの鎖回し》《稲妻の一撃》《魔術師の稲妻》など多くのパーツが落ちてしまうので、新環境でMono Red Aggroが使えるかは『エルドレインの王権』に収録されるカード次第です。《ゴブリンの鎖回し》が落ちることで、タフネス1のクリーチャーの評価にも影響が出そうです。

Boros Feather

旧環境でも結果を残していたBoros Featherは、優勝こそ逃したもののトップ4に2名と好成績を残していました。

《暴れ回るフェロキドン》のおかげで、ScapeshiftやVampireとの相性が改善しています。今後の動向に注目が集まるデッキのひとつです。

☆注目ポイント

暴れ回るフェロキドン高山の月

《軍勢の戦親分》の枠が《暴れ回るフェロキドン》に差し替えられています。追加のScapeshift対策として《血染めの太陽》もサイドに採用されていますが、Kethis Comboに相性が悪いScapeshiftは減少することが予想されるため、そこまで意識する必要はなさそうです。

ローテーション後は《アダントの先兵》《無謀な怒り》を失うのは痛いですが、《贖いし者、フェザー》《第10管区の軍団兵》などキーカードの多くは残るので、『エルドレインの王権』次第ではありますが新環境でも使えるデッキとなりそうです。

Standard MCQ
上位を支配するKethis Combo

2019年8月31日

  • 1位 Bant Ramp
  • 2位 Kethis Combo
  • 3位 Boros Feather
  • 4位 Esper Control
  • 5位 Kethis Combo
  • 6位 Kethis Combo
  • 7位 Mono Red
  • 8位 Kethis Combo

トップ8のデッキリストはこちら

MOで開催されたStandard MCQは、優勝こそ逃したもののプレイオフの半数がKethis Comboと上位を支配していました。《暴れ回るフェロキドン》の影響で、VampireやScapeshiftといった前環境のトップメタは上位に少数でした。

Standard MCQ デッキ紹介

「Kethis Combo」「Esper Control」

Kethis Combo

突如現れて瞬く間に環境を支配した《隠された手、ケシス》をキーカードとしたコンボデッキ。

《暴れ回るフェロキドン》の禁止が解除された環境でもその支配力は変わらず、今大会でもプレイオフの半数を占めました。

☆注目ポイント

神秘を操る者、ジェイス

追加の勝ち手段兼ドローエンジンとしてサイドに採用されていることが多かった《神秘を操る者、ジェイス》が、メインから採用されています。メインから対策カードが増加傾向にある現在では、コンボが決めやすくなるのでメイン採用も納得です。

クルーグの災い魔、トラクソス再鍛の黒き剣

《夢を引き裂く者、アショク》《漂流自我》といったカードが入るサイド後のゲームに備えて、非常にアグレッシブなサイドプランが用意されています。《クルーグの災い魔、トラクソス》は、「歴史的」スペルを多数搭載したこのデッキではアンタップさせることが容易で、《再鍛の黒き剣》が付けば速やかにゲームを終わらせることができます。

Esper Control

相性の悪かった《風景の変容》を使ったデッキや、Bant系のビッグマナが減少傾向にあるため、最近再評価されているEsper Control。

《覆いを割く者、ナーセット》をメインから採用できるデッキなので、Kethis Comboの《迷い子、フブルスプ》《時を解す者、テフェリー》《神秘を操る者、ジェイス》を妨害できることは大きく、復権してきているBoros Featherとの相性も悪くないので考慮に値するデッキです。

☆注目ポイント

永遠神の投入

Mono Red Aggroが増加することを想定していたようで、《永遠神の投入》がメインから採用されています。《ケイヤの怒り》がフル搭載されていることに加えて《軍団の最期》《永遠の終焉》も採られており、クリーチャーデッキとのマッチアップで確実に勝利をすることを意識していたのが分かります。今後はScapeshiftやVampireがメタの移行により減少することを考えると、《軍団の最期》はメインから減らしてもよさそうです。

戦慄衆の指揮夢を引き裂く者、アショク漂流自我

《戦慄衆の指揮》は、Kethis Combo相手には墓地対策としても機能します。サイドには《夢を引き裂く者、アショク》《漂流自我》といった追加の対策カードが採られています。最近の大会では上位に複数Kethis Comboがいるので、《夢を引き裂く者、アショク》《漂流自我》を追加してもよさそうです。

総括

暴れ回るフェロキドン贖いし者、フェザー隠された手、ケシス

《暴れ回るフェロキドン》やKethis Comboの影響で、旧環境で幅を利かせていたScapeshiftやVampireが減少し、Mono Red AggroBoros Featherといったデッキが復権してきています。

現環境トップメタであるKethis Comboは墓地に依存しているので、《夢を引き裂く者、アショク》《漂流自我》といったカードに弱いことは確かですが、Kethis Combo側も《クルーグの災い魔、トラクソス》のような軸をずらしたサイドプランを用意しています。多角的な攻めができるこのデッキの支配は、ローテーション落ちするまで続きそうです。

以上、USA Standard Express vol.155でした。

それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら