はじめに
みなさんこんにちは。
いよいよ今月末には、待ちに待った新セットである『エルドレインの王権』のプレリリースが開催されます。
ローテーションも近いので、今回の連載では『ラヴニカのギルド』から『基本セット2020』までのセットのみが使える「スタンダード2020」で競われたTwitch Rivalsの結果を見ていきたいと思います。
Twitch Rivals
Rakdos Aristocratsが新環境の前哨戦を制する
2019年09月18日
- 1位 Rakdos Aristocrats
- 2位 Rakdos Midrange
- 3位 Gruul Midrange
- 4位 Simic Ramp
- 5位 Boros Feather
- 6位 Yarok Control
- 7位 Golos Gates
- 8位 Jeskai Control
トップ8のデッキリストはこちら
MTGアリーナで開催されたTwitch Rivalsは、『ラヴニカのギルド』から『基本セット2020』までのセットのみが使える「スタンダード2020」という特殊なフォーマットで行われました。優勝を果たしたのは、《永遠神バントゥ》や《忘れられた神々の僧侶》などでアドバンテージを稼ぐシナジーに重点を置いたRakdosでした。
『エルドレインの王権』が入っていないとはいえ、今大会の結果はローテーション後のスタンダード環境を考える際にとても参考になると思います。
Twitch Rivals デッキ紹介
「Rakdos Aristocrats」「Simic Ramp」「Jeskai Control」
Rakdos Aristocrats
ストリーマーでデッキビルダーでもあるJeff Hoogland選手は、今大会でも個性的なRakdos Aristocratsを使用し見事に優勝を果たしました。
《永遠神バントゥ》や《忘れられた神々の僧侶》など、パーマネントを生け贄に捧げることでアドバンテージが得られるカードを多数採用したシナジー重視の構成で、現代版のAristocratsと呼ばれるデッキです。アグロデッキのように振る舞いつつ、盤面が止まってしまってもダメージを与える手段が豊富にあるため、新環境で注目のデッキの一つとなりそうです。
☆注目ポイント
《忘れられた神々の僧侶》や《永遠神バントゥ》といった自軍のクリーチャーを生け贄に捧げる能力を持つクリーチャーを軸にしたデッキで、カード単体のカードパワーよりもシナジーを重視した構成です。
特に《波乱の悪魔》はパーマネントが生け贄に捧げられる度にダメージを与えてくれるので、これらのクリーチャーとの相性は抜群です。
また、《忘れられた神々の僧侶》や《永遠神バントゥ》のおかげで、《不気味な修練者》、《戦慄衆の解体者》などの「死亡したとき」に誘発する能力を持ったクリーチャーが使いやすくなっており、《炎の侍祭、チャンドラ》の[0]能力で生成されたトークンも無駄なくアドバンテージへと変換することができます。
『エルドレインの王権』からの新カードで、このデッキの新たなサクリ台として使えそうな《Witch’s Oven》というカードが確認できます。1マナと軽く、クリーチャーを生け贄に捧げる度に「食物・トークン」が生み出されるので、こちらはライフを回復しつつ《波乱の悪魔》によって相手のライフを削ることができます。
Simic Ramp
世界選手権を2度制覇した経験がありMPLのメンバーであるShahar Shenhar選手は、今大会ではマナ加速から《世界を揺るがす者、ニッサ》を出し、大量のマナから《ハイドロイド混成体》でアドバンテージを稼ぐSimic Rampを使用して結果を残しました。
Simic Rampは《ラノワールのエルフ》や《内陸の湾港》など、マナ基盤の一部をローテーションによって失ってしまうので安定性や初速はやや落ちるものの、《世界を揺るがす者、ニッサ》、《ハイドロイド混成体》、《集団強制》といった強力なスペルは健在なのでローテーション後の環境でも活躍することが予想されます。
☆注目ポイント
《ラノワールのエルフ》が抜けた穴を埋めるためにマナ加速として《培養ドルイド》が増量され、ランプスペル兼キャントリップにもなる《成長のらせん》を採用することによって安定性の向上を図っています。
《夏の帳》はデッキ内の脅威を確実に通すことを可能にすると同時に、RakdosやEsperのハンデスや黒い除去対策にもなるのでサイドに4枚採用されています。
『エルドレインの王権』からマナクリーチャーの《Gilded Goose》や《Maraleaf Pixie》、3マナプレインズウォーカーの《Oko, Thief of Crowns》などがプレビューから確認できるので、新環境でも人気となりそうなデッキです。
《ラノワールのエルフ》に代わる1マナのマナクリーチャーとして、《金のガチョウ》は多くの緑デッキで採用されることが予想されます。単体では燃料供給が大変ですが、《Oko, Thief of Crowns》の[+2]能力によって「食物・トークン」を補給すれば《極楽鳥》のように機能するようになります。
Jeskai Control
2 《溶岩コイル》
2 《裁きの一撃》
1 《ドビンの拒否権》
4 《轟音のクラリオン》
2 《薬術師の眼識》
2 《発展/発破》
4 《発見/発散》
4 《覆いを割く者、ナーセット》
4 《時を解す者、テフェリー》
2 《イゼット副長、ラル》
1 《目覚めた猛火、チャンドラ》
-呪文 (30)-
Mythic Invitational優勝経験がありMPLメンバーであるAndrea Mengucci選手は、今大会では《イゼット副長、ラル》や《時を解す者、テフェリー》などプレインズウォーカーを多数搭載したJeskai Controlを選択していました。
スタンダード環境を定義している《時を解す者、テフェリー》は、新環境でも環境最高のカードの1枚としてよく見かけることになりそうです。
『基本セット2020』で再録された《天啓の神殿》と《凱旋の神殿》のおかげでマナ基盤が安定しています。
☆注目ポイント
2マナ域の除去は、ローテーション落ちする《稲妻の一撃》に代わって《溶岩コイル》が採用されています。インスタントの《稲妻の一撃》と比べるとやや使いにくくはなりますが、タフネス4のクリーチャーを処理することができるので除去としての性能は決して見劣りしません。
序盤の立ち上がりを支えるドロースペルとして《発見/発散》が採用されていますが、『エルドレインの王権』で《選択》が再録されることが決まったので、占術ランドと合わせて安定した動きが期待できます。
メインとサイドにそれぞれ1枚ずつ採用されている《目覚めた猛火、チャンドラ》は、コントロールに対しては[+2]能力でクロックを刻む打ち消されない脅威として活躍してくれ、クリーチャーデッキ相手にはスイーパーとなる[-3]能力が役に立ちます。このようにマッチアップを問わず活躍が見込めるので、新環境でも赤を使った中速デッキやコントロールデッキのフィニッシャーとして多くのデッキで使われそうです。
ボーナストピック
最後に、『エルドレインの王権』の新カードによって強化されそうなデッキを一つご紹介していきたいと思います。
Simic Flash
6 《森》
4 《繁殖池》
4 《神秘の神殿》
1 《Castle Vantress》
-土地 (23)- 4 《幽体の船乗り》
4 《塩水生まれの殺し屋》
4 《Wildborn Preserver》
4 《Brazen Borrower》
4 《エリマキ神秘家》
4 《夜群れの伏兵》
-クリーチャー (24)-
「フェアリー・クリーチャー」をフィーチャーしたエキスパンションということもあり、『エルドレインの王権』には優秀な瞬速持ちのクリーチャーが登場します。
現環境で活躍するSimic Flashの主軸である《エリマキ神秘家》や《塩水生まれの殺し屋》、《夜群れの伏兵》といった優秀な瞬速クリーチャーはローテーション後にも健在なことから、新環境で要注目のデッキの一つとなりそうです。
☆注目ポイント
『エルドレインの王権』から《Wildborn Preserver》、《Brazen Borrower》という優秀な瞬速クリーチャーを獲得したことにより、《塩水生まれの殺し屋》をより生かしやすくなりました。《僻境生まれの保護者》はクリーチャーをインスタントスピードで出せるこのデッキでは隙を作らずに強化しやすく、飛行も止められる優秀な瞬速クリーチャーです。
クリーチャー – フェアリー・ローグ
瞬速
飛行
《Brazen Borrower》は、飛行を持つクリーチャーのみをブロックできる。
《Petty Theft》
インスタント – 出来事
対戦相手のコントロールする土地でないパーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。(その後、このカードを追放する。あなたは後で追放領域からこのクリーチャーを唱えてもよい。)
《Brazen Borrower》は純粋なスペックもさることながら、「出来事」でキャストすることによって厄介なパーマネントをバウンスすることができる非常にフレキシブルなクリーチャーです。
《Mystical Dispute》は青いデッキに対して実に優秀で、特にこのデッキの天敵である《時を解す者、テフェリー》をわずか1マナでカウンターできる点が好印象です。非青のデッキに対しては1マナ重い《マナ漏出》にすぎませんが、それを加味しても十分にメインに採用される可能性があるスペルだと思います。
《Castle Vantress》も常にマナを構えておくこのデッキにうってつけの1枚で、余ったマナを有効活用しつつマナフラッドを防いでくれます。
総括
『エルドレインの王権』からはマナクリーチャーの《Gilded Goose》や、3マナのプレインズウォーカーの《Oko, Thief of Crowns》などが確認されるため、Bantなど緑をベースにしたミッドレンジは引き続き活躍することが予想されます。
《時を解す者、テフェリー》や《変容するケラトプス》、《夏の帳》など厄介なカードが残りますが、優秀な瞬速クリーチャーの登場によりSimic Flashのようなクロックパーミッション系のデッキも見られるかもしれません。9月27日(金)には『エルドレインの王権』のプレリリースが開催され、MTGアリーナでもプレイできるようになるので楽しみです。
以上、USA Standard Express vol.156でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!