はじめに
みなさんこんにちは。
今週末には新セットである『エルドレインの王権』がリリースされます。Magic Online(以下:MO)やMTGアリーナでは、すでに新環境のスタンダードが実装されています。
今回の連載では、そんなMOのStandard Leagueの結果から新環境のスタンダードを解析していきたいと思います。
Standard League 9/30 デッキ紹介
「Esper Stax」「Mono Black Aggro」「Jeskai Superfriends」「Simic Ramp」
Esper Stax
ローテーションによって失ったカードの多いエスパーですが、旧環境を牽引していた《時を解す者、テフェリー》やスイーパーの《ケイヤの怒り》などは健在なので、新環境でも有力な選択肢と考えられていました。
チェックランドがなくなりマナ基盤に不安を抱えていましが、その代わりに《寓話の小道》を獲得しました。中盤以降は土地がアンタップ状態で出てくるようになるので使い勝手がよく、マナ基盤の安定性向上に貢献しています。
☆注目ポイント
《予言された壊滅》は、《王冠泥棒、オーコ》を始めとしたプレインズウォーカー対策として役に立ちます。キャントリップ付きの《黄金の卵》と《ギルド球》を序盤に並べることで《予言された壊滅》の維持が容易になり、対戦相手にのみ毎ターン生け贄を強いることができます。
《思考消去》、《時を解す者、テフェリー》、《ケイヤの誓い》といったEsper Controlお馴染みのパーツを駆使して、ゲームを序盤からコントロールしていきます。
最終的にX=6以上で《屋敷の踊り》を唱え、《予言された壊滅》によって墓地に送った《黄金の卵》や《ギルド球》、《ケイヤの誓い》などをリアニメイトすることでゲームを決めます。《時を解す者、テフェリー》から相手ターンに唱えることで、隙なく相手を倒すことも可能です。
Mono Black Aggro
4 《ロークスワイン城》
-土地 (23)- 4 《どぶ骨》
4 《漆黒軍の騎士》
2 《脚光の悪鬼》
4 《真夜中の騎士団》
4 《忘れられた神々の僧侶》
3 《ラゾテプの肉裂き》
4 《残忍な騎士》
3 《ロークスワインの元首、アヤーラ》
3 《真夜中の死神》
4 《騒乱の落とし子》
2 《悪ふざけの名人、ランクル》
-クリーチャー (37)-
《ロークスワインの元首、アヤーラ》、《悪ふざけの名人、ランクル》、《残忍な騎士》など優秀な黒いクリーチャーが多数登場したことで注目を集めているアーキタイプです。高いポテンシャルを持ちながら、イマイチ環境に合っていなかった《騒乱の落とし子》にもようやく活躍のチャンスが与えられました。
環境初期は能動的に攻める戦略が勝ちやすい傾向にあるので、今週末の大会に参加される方にもお勧めです。
☆注目ポイント
《ロークスワインの元首、アヤーラ》は色拘束が強く、能力の性質上黒単専用のクリーチャーとなりますが、ドレイン能力は他のアグロデッキに対してダメージレースで優位に立ちやすくなります。アリストクラッツの主力である《忘れられた神々の僧侶》とともに戦闘以外で相手のライフを削る手段となり、最後の一押しとして活躍します。
《どぶ骨》や《漆黒軍の騎士》といった優秀な1マナ域のクリーチャーが多数見られます。これらのおかげで安定して3ターン目に《騒乱の落とし子》をプレイしやすくなり、軽く太いフィニッシャーとして活躍してくれます。
「出来事」によって《英雄の破滅》のように機能する《残忍な騎士》は、絆魂持ちなのでライフルーズも問題になりにくく、黒を使うデッキの必須カードとして多くのデッキに採用されています。
Jeskai Superfriends
2 《山》
1 《平地》
4 《神聖なる泉》
4 《蒸気孔》
3 《聖なる鋳造所》
2 《寓話の小道》
4 《次元間の標》
3 《天啓の神殿》
1 《凱旋の神殿》
-土地 (27)- 4 《願いのフェイ》
-クリーチャー (4)-
4 《轟音のクラリオン》
2 《抽象からの抽出》
2 《時の一掃》
2 《牢獄領域》
4 《創案の火》
4 《覆いを割く者、ナーセット》
4 《時を解す者、テフェリー》
3 《主無き者、サルカン》
1 《人知を超えるもの、ウギン》
-呪文 (29)-
2 《神秘の論争》
1 《解呪》
1 《古呪》
1 《否認》
1 《ケイヤの怒り》
1 《集団強制》
1 《戦争の犠牲》
1 《戦慄衆の指揮》
1 《次元を挙げた祝賀》
1 《主無き者、サルカン》
1 《目覚めた猛火、チャンドラ》
1 《呪われた狩人、ガラク》
-サイドボード (15)-
『エルドレインの王権』から多くの収穫を得たJeskai Superfriends。チェックランドを失いマナ基盤に不安を抱える中、このデッキは《次元間の標》を組み込むことができる強みがあります。
☆注目ポイント
《願いのフェイ》の「出来事」コストが高めで使いにくい印象ですが、《創案の火》によってマナコストを踏み倒せるので、持ってきたカードをそのまま使うことができます。デメリットもタップアウトコントロールのこのデッキでは特に気にならないと思います。
《願いのフェイ》のサーチ対象としてサイドには強力なスペルが多数採用されています。《創案の火》によってマナコストが踏み倒せるようになるので、《戦慄衆の指揮》や《呪われた狩人、ガラク》、《古呪》、《次元を挙げた祝賀》といった色マナの合わないスペルでもキャストできるようになります。
《願いのフェイ》+《創案の火》のコンボが成立せずとも、《覆いを割く者、ナーセット》、《時を解す者、テフェリー》、《主無き者、サルカン》といった強力なプレインズウォーカーによって、旧環境で活躍していたJeskai Superfriendsのようにも振舞うことができるフレキシブルさがこのデッキの魅力です。
Simic Ramp
5 《島》
4 《繁殖池》
4 《神秘の神殿》
4 《ギャレンブリグ城》
-土地 (25)- 4 《樹上の草食獣》
4 《金のガチョウ》
4 《ハイドロイド混成体》
1 《楽園のドルイド》
4 《意地悪な狼》
4 《貪るトロールの王》
-クリーチャー (21)-
プレビューの段階から注目を集める《王冠泥棒、オーコ》を活用したシミックカラーのランプデッキ。
旧環境でも活躍していた《ハイドロイド混成体》や《世界を揺るがす者、ニッサ》は健在で、《貪るトロールの王》や《意地悪な狼》といった新戦力も加わり、それらをマナクリーチャーによって素早く展開していきます。
☆注目ポイント
《王冠泥棒、オーコ》は、早くも新環境のスタンダードを代表するカードとして緑のデッキで活躍しています。[+2]能力は《意地悪な狼》や《貪るトロールの王》、《金のガチョウ》に必要な食物を確保してくれます。[+1]能力で盤面を強化するだけでなく、相手の脅威となるクリーチャーやアーティファクトを無力化することが可能です。
《金のガチョウ》は余ったマナを食物に変換し、《王冠泥棒、オーコ》や《意地悪な狼》をサポートします。《ラノワールのエルフ》に代わる貴重なマナクリーチャーで、2ターン目に《王冠泥棒、オーコ》、最速3ターン目に《世界を揺るがす者、ニッサ》を展開することを可能にします。
《意地悪な狼》は、あの《貪欲なチュパカブラ》のようにアドバンテージが取れるクリーチャーとして活躍します。緑のデッキにほとんど採用されている《むかしむかし》は、このデッキでは中盤以降《意地悪な狼》や《ハイドロイド混成体》といった強力なクリーチャーをサーチできます。
食物トークンを有効活用できるこのデッキでは、《貪るトロールの王》のもたらす食物トークンはさらなるアドバンテージとなります。また、このデッキは食物トークンを用意しやすく、除去されても墓地から何度も復活させることでプレッシャーをかけ続けることが可能です。
総括
『エルドレインの王権』発売前とはいえ、オンラインではすでに多くのプレイヤーが新環境のデッキを試しています。
旧環境を定義していた《時を解す者、テフェリー》は、今回の連載でも挙げたEsper StaxやJeskai Superfriendsのほかにも、Bantなど様々なデッキに採用されています。『エルドレインの王権』で登場した《王冠泥棒、オーコ》も前評判通りの活躍をしており、現環境において最高のカードの1枚として環境を牽引する存在となりそうです。
以上、USA Standard Express vol.157でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!