USA Modern Express vol. 33 -『エルドレインの王権』がモダンにもたらした影響-

Kenta Hiroki

Kenta Hiroki

みなさんこんにちは。

『エルドレインの王権』がリリースされ、早くも新カードを使ったデッキがモダンでも活躍しています。

新セットが環境にどのような影響を与えたのか、SCGO Philadelphiaの入賞デッキを見ながら解析していきたいと思います。

SCGO Philadelphia
複数の異なるUrzaデッキが上位を支配する

2019年10月5-6日

  • 1位 Amulet Titan
  • 2位 Urza Outcome
  • 3位 Urza Outcome
  • 4位 4C Whirza
  • 5位 Affinity
  • 6位 Titan Shift
  • 7位 Urza Outcome
  • 8位 Tron
Ayers/Dilks/Rosum

Ayers/Dilks/Rosum

StarCityGames.com

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チーム構築で開催されたSCGO Philadelphia。上位入賞チームが選択していたのは、Urza系TronTitan ShiftAmulet Titanといった直線的な戦略が多くを占めました。

チーム戦は個人戦と異なり、チームの勝率を上げるために環境のトップメタが選択される傾向が強く、そういった意味でも今大会の結果は今後のモダンの環境を考える上で参考になりそうです。

湖に潜む者、エムリー逆説的な結果

上位入賞デッキの中で最もポピュラーだったアーキタイプは、『エルドレインの王権』で登場した《湖に潜む者、エムリー》によって大幅に強化された《逆説的な結果》コンボでした。

SCGO Philadelphia デッキ紹介

「Urza Outcome」「4C Whirza」「Amulet Titan」「Jund Death’s Shadow」

Urza Outcome

今大会の上位を支配した《逆説的な結果》コンボ。

同じUrzaデッキでもこのバージョンはより爆発力を重視しており、《オパールのモックス》《モックス・アンバー》の2種類のマナアーティファクトを最大限に活かしつつ、《崇高な工匠、サヒーリ》《練達飛行機械職人、サイ》でトークンを生み出します。

最速3ターン目にゲームを決めることができますが、《練達飛行機械職人、サイ》《最高工匠卿、ウルザ》などキーカードが3-4マナなので、マナ加速がないと動きがもっさりしてしまうこともあります。コンボに寄せている分妨害要素も貧しいため、同じく今大会で結果を残していたAmulet Titanなど自分より速いコンボはやや不利な相手となります。

低マナのアーティファクトを多数搭載したこのデッキでは、《最高工匠卿、ウルザ》《逆説的な結果》によってカードを大量に引くことが可能で、《運命のきずな》によってライブラリーアウトになることもありません。

☆注目ポイント

仕組まれた爆薬

メインからフル搭載されている《仕組まれた爆薬》は、このデッキではスイーパーとしてだけでなくX=0でキャストすることで《オパールのモックス》の「金属術」を達成させたり、《最高工匠卿、ウルザ》の能力によってマナ加速に利用することができます。

練達飛行機械職人、サイ最高工匠卿、ウルザ湖に潜む者、エムリー

《練達飛行機械職人、サイ》《最高工匠卿、ウルザ》の能力を利用するので、《石のような静寂》《溜め込み屋のアウフ》といった対策カードにも耐性があります。《湖に潜む者、エムリー》はこのデッキではほぼ1マナで出すことができ、除去されずに生き残れば《ミシュラのガラクタ》《魔法の井戸》を使い回すことで毎ターンアドバンテージを稼ぎ出します。

王冠泥棒、オーコ集団的蛮行思考囲い

《オパールのモックス》などマナ加速やキーカードである《最高工匠卿、ウルザ》に依存しているため、対策されることが予想されるサイド後は《王冠泥棒、オーコ》を投入することでフェアなゲームでも勝負ができるようになります。このデッキに対して速さで勝るBurn対策には《集団的蛮行》、コンボ対策には《思考囲い》などメインで妨害要素が貧しい分サイドには多めに採用されています。

4C Whirza

Hogaakの夏から結果を残し続けるUrzaは、現在環境のトップデッキの一角として幅を利かせており新環境のSCGOでも結果を残していました。

《アーカムの天測儀》《オパールのモックス》といったアーティファクトの恩恵で色を足すのが容易で、万能除去である《暗殺者の戦利品》のために緑をタッチするスタイルが定着しています。

《飛行機械の鋳造所》《弱者の剣》のコンボを搭載していますが、同じUrzaデッキでも先ほどご紹介した《逆説的な結果》コンボと異なり爆発力よりも《発明品の唸り》から《罠の橋》などアーティファクトを状況に応じてサーチしてくるコントロールデッキ的な要素もあり、フレキシブルに動けるのがこのバージョンの魅力です。

☆注目ポイント

感電破

メインから採用されている《感電破》は、同型やUrza Outcomeとのマッチアップにおいて《ゴブリンの技師》《最高工匠卿、ウルザ》《湖に潜む者、エムリー》《練達飛行機械職人、サイ》対策になります。

ゴブリンの技師

《ゴブリンの技師》は重要なアドバンテージ源となると同時に、起動能力によってアーティファクトを除去から保護することもできます。《最高工匠卿、ウルザ》を除くと、メインの主なアドバンテージ源がこのクリーチャーとソプターコンボなので、《石のような静寂》《安らかなる眠り》といった対策カードが刺さってしまうのがこのバージョンの弱点となります。

暗殺者の戦利品ボーラスの工作員、テゼレット

そのためサイドには《暗殺者の戦利品》だけでなく、それら対策カードの影響を受けない追加の勝ち手段として《ボーラスの工作員、テゼレット》が採用されています。[-1]能力でアーティファクトをクリーチャー化させ、アーティファクトが並ぶこのデッキでは[-4]能力だけでも勝つことができます。対策カードは確かに厄介ですが、《発明品の唸り》によって《罠の橋》《虚無の呪文爆弾》といった特定の戦略に刺さるアーティファクトを状況に応じてサーチしてこれるフレキシブルさは捨てがたく、コントロールが好きなプレイヤーにもお勧めのデッキです。

Amulet Titan

最速で2ターン目に《原始のタイタン》を出すこともできるAmulet Titanは、その爆発力とデッキパワーの高さが魅力で、課題だった安定性もロンドンマリガンが導入されたことで改善されています。

このデッキも『エルドレインの王権』から収穫があったデッキです。《むかしむかし》はプレビュー段階から話題になっていたカードで、条件付きとはいえマナを支払うことなくキャストでき、さらなる安定性の向上に貢献しています。

☆注目ポイント

むかしむかし

《むかしむかし》は、バウンスランドや《原始のタイタン》《迷える探求者、梓》といったキーとなるカードを探し出せるのでAmulet Titanというデッキにフィットしたスペルです。このカードのおかげでより安定して《原始のタイタン》に繋げやすくなりました。

ギャレンブリグ城

《ギャレンブリグ城》は、このデッキでは《原始のタイタン》へ速い段階から繋げることを可能にする土地で、《むかしむかし》からサーチできるマナ加速となります。

死者の原野

Titan Shiftでも採用されている《死者の原野》は、このデッキにも追加の勝ち手段として採用されています。以前は《原始のタイタン》が出てしまっても、それを除去して後続をカウンターすることで凌ぐことができましたが、《死者の原野》により多角的に攻めることが可能となりました。バウンスランドの能力を利用することで、ほぼ毎ターントークンを生み出すことができるようになります。

Jund Death’s Shadow

《むかしむかし》の恩恵を受けたのはAmulet TitanやTronなど土地コンボだけではありません。

元々《ミシュラのガラクタ》《通りの悪霊》といったフリーキャントリップによる圧縮によってデッキの動きが安定していたDeath’s Shadowも、《むかしむかし》によってさらに安定性が増しています。

☆注目ポイント

むかしむかしウルヴェンワルド横断

土地を切り詰めたこのデッキでは、土地とクリーチャーを探し出せるスペルは必須です。《むかしむかし》は追加の《ウルヴェンワルド横断》として機能します。《通りの悪霊》から《むかしむかし》をキャストする動きも可能で、《ウルヴェンワルド横断》の「昂揚」の達成にも貢献します。

《ウルヴェンワルド横断》は、《疫病を仕組むもの》《溜め込み屋のアウフ》などを状況に応じてサーチすることができるので、サイドに特定の戦略に刺さるクリーチャーを多数採用したシルバーバレット戦略をとることが可能になり、Jund型のDeath’s Shadowを選択する理由のひとつになります。

高山の月

土地コンボを苦手とするので《高山の月》などの対策は必須です。サイド後は《レンと六番》も投入され、ミッドレンジ寄りにシフトしていきます。軽いクロックをハンデスや軽量除去でバックアップする戦略は、土地コンボを除いて現環境に存在する多くのデッキと互角以上に勝負をすることができるデッキなので、土地コンボやUrza系以外のデッキを使いたいという方にもお勧めできます。

総括

最高工匠卿、ウルザ原始のタイタン

《信仰無き物あさり》《甦る死滅都市、ホガーク》が禁止カードに指定され、《石鍛冶の神秘家》が禁止解除されたことで環境は激変しました。『エルドレインの王権』の影響は大きく、SCGO PhiladelphiaはUrzaやAmulet Titan、Titan Shiftといった直線的な戦略が中心でした。

今週末には、SCGO Indianapolisがモダンで開催されるのでメタがどのように動くのか要注目です。

USA Modern Express vol. 33は以上になります。

それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki

Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Standard Express」「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら